まだ梅雨も明けていないというのに周りではずいぶんと賑やかになってきた。
北海道へツアーで遠征や三連休を利用して長野に遠征など
夏山がスタートしたかと思うほど、皆さん積極的に四国外の山を歩いている。
そんな中で私と言えば、この一ケ月はこれといった山にも登らず旅行や
観光で休日を過ごしてきた。そうこうしていると、
体も鈍って体調も思わしくなく体重も徐々に増えてきた。
このままではいかん!と思っていても外は雨。カッパを着てまで歩く気にもならず
プチ観光でお茶を濁す、そんな水曜日が続いていた。
今週も早くから雨の予報の水曜日。やはり出かける気分にもなれずWOCでは
『自主トレ』と案内をして、夕方の腰の治療までのんびりとしようと
考えていたら、天気が回復してどうやら一日は持ちそうだと昨日わかり、
そうなれば久しぶりに、どこかお山に出かけたいとうずうずし始めた。
以前一人で山歩きをしていた頃はこうやって、
よく前日に行先を良く決めていたもんだ。
ネットで色々調べてみても若干体力に不安が残るので、
結局今まで何十回も登っている『剣山』に安パイで出かけることにした。
見ノ越の駐車場は思っていたよりも車が少なく取りあえず日陰になる奥の駐車場に
車を停めて歩き始めた。
劔神社への石段は色とりどりの提灯が飾られ、鳥居の手前にはきれいに編まれた
大きく太いしめ縄があり、脚立を持った人たちが準備に忙しそうにしている。
劔神社から登山道に入ると風景は深い森の景色へと変わります。
雨降りの後の木々の葉がみずみずしく、
時折聞こえてくるカッコーの鳴く声が森の中に響き渡ります。
木々の間を抜けて霧が流れていきます。薄暗い登山道に白い花びらが
落ちています。その上を見上げると高い枝にヒメシャラの花が咲いています。
祖谷川から沸き立つ霧に北側の『丸笹山』も見え隠れしています。
西島神社の大岩まで来ました。それにしても今日は一段と体が重い。
梅雨のこの時期一カ月以上まともに歩いていないせいか、
早くも脚が上がらない。体力の無さが見に染みます。
晴れていれば西島駅から正面に見える『三嶺』も、今日は雲の中。
やはり山頂からの眺望は期待出来そうにありません。
このまま剣山に登るとお昼には少し早いので、先に次郎笈に向かいます。
普段は下山時によく使う道は、反対から歩くとまたいつもと違う景色、
いつもと違う道に見えます。
山の北側の西島駅からトラバースして西側に回り込むと、
次郎笈の稜線が見え始めます。でもやはり山頂は濃い霧に覆われています。
剣山と次郎笈の分岐に出ました。ここから右に折れ鞍部まで一旦下って
山頂への急坂を登って行きます。
相変わらず正面の次郎笈山頂は姿を現せてくれません。
ふと振り返ると霧が流れて一瞬だけ剣山が見え始めました。
山頂への急坂も、いつもなら周りの景色が励ましてくれるのに、
真っ白な世界の中ではまるでひたすら鍛錬している修行僧のようです。
山頂で待ってくれていたのは、やはり白い霧と羽音をたてて
飛び回るたくさんの虫たちでした。
山頂で一息入れた後は霧も晴れそうにないので、剣山に向かう事に。
今日の稜線は雲というよりはやはり霧。空は明るいのに稜線の両側から
霧が駆け上ってきます。
次第に風が流れ霧も動き始めて薄い影のようだった山容が
どんどんと濃くなり始め、最後ははっきりと剣山が姿を見せてくれました。
空も所々で青空も見えてきました。
先程まで白かった次郎笈の山頂も見ています。
西島駅への分岐まで戻ってくると、いつもの大好きな景色に変わっていました。
クマザサの稜線に続く道とゆったりとした次郎笈の山容。
何度訪れても何度歩いても飽きる事のない景色です。
日差しを遮っていた霧が晴れると途端に暑くなってきました。
霧で景色が見えない、霧が流れて暑いとわがままなものです。
剣山への登り返しで脚は限界にきていました。踏み出す一歩に足の筋肉が
震えています。こんなにキツイのは久しぶりです。
一週間に一度でもいいから歩くのが、体力維持になっていたんだと痛感しました。
いつも写真を撮る山頂直下でもあまりのシンドさに
やっとの事で笑顔を作るので精一杯です。
山頂の三角点にも大きなしめ縄が巻かれています。
北のテラスでザックを肩から降ろすと直ぐに倒れ込むほど、
どっと疲れが押し寄せてきました。
仰向けになると吹き上げてくる風に疲れも心地よく感じます。
しばらくすると何やら太鼓の音が聞こえてきました。
その音に誘われて剣山本宮宝蔵神社へ歩いて行くと、白装束に身を固めた人達が
神社の前で神事を行なっていました。
剣山は剣にまつわる伝説の残る山。神事も剣の舞が奉納されるようです。
巫女さんと子供が捲くお札を拾って御利益がありますように!
山頂まで神輿が担ぎ上げられる例大祭はこの週末のようです。
神事が終わると、神主さんが週末もお越しくださいと
声をかけてくださいました。
最近は担ぎ手だけではなかなか難しいので、ロープを使って
引っ張り上げていると笑って教えてくれました。
ヒュッテに入って久しぶりにお蕎麦をいただく事にします。
カウンターでは宿泊予定の外国人がチェックインしながら
明日天気が良ければ三嶺まで行く予定だと言っています。
いつもお昼に食べるうどんは出来るだけ出汁は残すようしていますが、
汗をかいた今日は飲み干しても大丈夫でしょう。
柔らかい蕎麦と優しい味のする出汁でした。
お腹を満たした後は降りるだけです。
下りは得意なはずなのに今日はやはり疲れた足が堪えます。
西島で朝は見えなかった三嶺も遠くに見えています。
天気予報通り雨に降られる事もなく、期待以上の眺望にも恵まれた一日でした。
久しぶりの剣山と次郎笈は思い切り気分転換になりました。
梅雨が明ければ本格的な夏山シーズン。徐々に体も準備していきます。