KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

WOC登山部2020.09.30 工石山

2020年10月01日 | 四国の山



先週は中津明神山の山頂から猿越山への笹原稜線と

くねくねと続く天空の林道を眺めた。

緩やかに北に広がり延びている笹原の尾根を見て、気温も下がり始めた事だし、

久しぶりに笹原歩きがしたくなり、四国でも有数のシコクザサが広がる土佐矢筈山を計画した。


今週も秋雨前線の影響かまた天気予報が思わしくない。どうやら毎水曜日が悪天の周期に入ったようだ。

自宅から高速道路を西に向かって車を走らせていると、西の空がピカっと光った。

雨雲レーダーも雨雲がかかったままだし、雷注意報の予測マークも時間が経っても外れない。

豊浜ICで丸亀からのメンバーと合流。事前に変更も有と相談していた麺法師さん

IRIBITOさんと話をして、急遽行き先を工石山に変更することにした。

土佐矢筈山の笹原尾根と違って工石山は山頂までほとんど樹林帯の中を歩くので、

多少の雨でも万が一の雷でもリスクが少ないと判断。


大豊ICを降りて先週と同じように国道439号線を西に、途中から県道16号線を稲刈りを前に色づいた

棚田の稲穂を眺めながら工石山青少年の家まで車を走らせる。

青少年の家の体育館の建屋の下に車を停めてスタートする。雨に濡れずに準備ができるのが

工石山に変更したもうひとつ理由。空はまだ怪しげな雰囲気。

まゆゆとあっちゃんが雨具やスパッツは?と服装を聞いてくるが、

『道は足元が濡れることはないと思いますが、濡れて騙された~!』と言われたら嫌なので、

『どうぞご自身の判断で!』(笑)と軽く答えた。




舗装路の林道をしばらく歩いて未舗装の林道へと入って行く。道の脇には秋の花が咲き誇っている。

先週の中津明神山には群生していたが、ここでもハガクレツリフネがたくさん咲いている。

オミナエシやアケボノウソウもみ~っけ!













テント場を過ぎると登山口になる。杉林の中を緩やかな道が続いていく。

剣山で群生しているテンニンソウとは色の違う、

まだ色づく前のオオマルバノテンニンソウも咲いている。










駐車場で用心のためカッパのズボンを着こんだまゆゆが、『暑~い!』と言い始めた。

見ると薄い上着も着込んでいる。







途中で南周りコースへの分岐があり、前回は雨の中を南回りコースを歩いたので

今日は北回りコースへ進んで行く。この山は標識が充実しているので

道に迷う事はない!(本当に?)




しばらくすると広場になった杖塚と呼ばれている場所に出た。

白く小さな花をたくさんつけたシシウドを見てあっちゃんが、

『このレースのような花は?』と聞いている。

私にはこの花はパッと上がった花火が開いているように見える。










杖塚から少し東に登り西に折り返すと山頂から派生した広い尾根の道になる。

全国(県の木)遊歩道となっているこの道には、各県を代表する樹木が集められ

植栽され保護されていていて道の至るところにその樹木の名を記した案内板が立てられている。







おび杉と書かれた杉林の道になると緩やかな歩きやすい道になる。

おび杉は宮崎県を代表する杉で、油分が多く腐りにくい材質は江戸時代には主として船を造る

板材として使われ、全国から注文を受けていたという。




杉林を進んで行くと白鷲岩がある。晴れていれば嶺北の山々が見渡せるが、

今日はやはり厚い雲に隠れてほとんど何も見えない。










更に進んで行くと天然ひのき風倒根と書かれた案内板があり、

その横に台風でで~んとひっくり返ったひのきの根が横たわっている。

硬い地質の為、下にではなく横に根を張ったひのきが台風の風に耐え切れずに倒れたとの事だが、

縦横無尽に張った根は、高知特有の自然が生み出した芸術作品だ。

ちょっと年齢は高いが、森の妖精?達が顔を覗かせている!




風倒根からスズタケの道を通り、トド岩も覗いて見る。










トド岩を過ぎると先ほどまでの緩やかな道から、山頂への登りになる。

ここでももののけ姫に出てくるのように見える

不思議な形をした杉?に出会う。










神の木を過ぎると山名を書いた丸テーブルのある展望台に出た。

途中にある標識には北の頂きと書かれた場所だが、

この時点ではこの場所の北の頂きの名前は全く頭になく、

メンバーは書かれた山名を見ながら盛り上がっている。

この展望台の辺りではアサマリンドウが目につくが日が当たらず開いていない。







展望台からもこの山の特徴らしい大木の根が目に入る。

初めてこの山を歩きこの北回りコースを歩いた時には気づかなかった小さな鳥居があった。

鳥居を潜り歩いて行くと岩陰に工石神社の小さな社殿があった。

社殿の脇には下から登ってくる参道と鳥居がある。麓の集落から参拝する参道だろうか?













シコクママコナの小さな花が咲いているが、コンデジで接写するのが難しい。




工石山山頂の展望台は以前に来た時は上に登れたのに、老朽化のせいか階段にはロープが

貼られて登れなくなっていた。しばらくの間ここで休憩をする。








ここで広場の端にある北の頂と書かれた標識を見て三角点・ピークハンター?の

セニョさんの目の色が変わってきた。どうやら頂きという文字が気になるらしい。

『まだ時間が早いし、行ってみたらええやん!』とIRIBITOさんが言うと、さっそく歩き始めたセニョさん。

初めてこの山にアケボノツツジがまだ咲いているかもしれないと来た時に、

一番最初にこの山頂に着いた麺法師さんが独りでこの道を歩いて、後からついたメンバーに

『アケボノツツジが咲いていますよ!』と言いながら戻って来た道だ。

その時はしばらく下って行ったが一向にアケボノツツジが見つからず、代わりにシャクナゲが咲いていて、

『麺法師さん、アケボノツツジとシャクナゲを間違えていません?(笑)』と言って引き返して来た道。




地形図を確認しても先に下った所に標高点があるだけで、『ピークがあるんだろうか?』と

疑心暗鬼で最後尾を歩いて行く。シャクナゲの群生が終わると道は北に続いている。

その内にまた巨岩にしがみつく様にして立つ檜や八岐大蛇のような大木が現れた。










その自然の厳しさと木々の生命力に感心しながら歩いて行くと、次第に道は登りになり、

そのうちにうす暗い森の中から明るい場所に飛び出した。

『やっぱり北の頂きはあったんや~』と思いながら広場に出ると前を歩いていたメンバーが

『さっきの展望台と同じような案内板がある!』と騒いでいる。

『まるでミステリーやね~』と話しているとやっさんが、

『ここ、さっきの展望台やんか!』と言い始めた。先ほどは下から登って来て、

今は上から丸テーブルの山名の案内板に出たから、しばらくの間メンバー全員が気づかなかった。

『な~んや~、結局ぐるっと一周回っただけやんか!』と全員で大爆笑!

GPSを直ぐに見れば気づいたのだろうが、それにしても思い込みと勘違いは怖い、怖い!







雨も散ら行き始めたので、妙体岩への急な下りはやめて、

登って来た道を戻って行くことにする。







途中で植栽直後に上陸した台風の影響で、曲がったままに成長した根曲がり杉があった。

ここでも『登りの時に通ったかな~』とメンバーのほとんどが気づかず通り過ぎていたようだ。




家に帰ってFBに写真をアップしたら、高知の花好きの流れ星さんから

『ヒメコウモリソウやクサヤツデは咲いていた?』とメッセージを頂いたが、毎回思うのだが、

花好きの人と花音痴の人とでは同じ道を歩いても目にする花の数が圧倒的に違う。

せっかく教えてもらったり調べた花の名前も、一週間後にはもう忘れている。







天気予報の予想に反して、先週に続いて今日もほとんど雨に降られず歩く事が出来た。

青少年の家に丁度12時に到着。体育館の下でお弁当と思ったけど、せっかくなら地元のお店で

と言う事で、隣にある直売所でお蕎麦を頂くことにした。直売所では女性一人が切り盛りしていて

大勢で押し掛け注文したせいで、二椀づつ運ばれてくるたびに『すみません、お待たせして!』と

言って済まなそうにして、かえって悪いことをしてしまった。








高度差もなく距離の割には四季折々の花が咲き、また高知県の自然の豊かさと厳しさを

感じられる工石山。香川からもそんなに遠くなく、こんな天候が良くない日でも

楽しみながら歩けるとってもいい山だった。