KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

WOC登山部2020.10.07 土佐矢筈山

2020年10月08日 | 四国の山
今日はWOC登山部では年に一度の遠征で八幡平に6名で出かけているので、

留守を預かるメンバーで、先週天候不良で予定を変更した土佐矢筈山にリベンジしてきた。

集合場所から高速に向かう途中でコンビニ立ち寄ると、朝焼けを背に飯野山のシルエット。

朝から天気の良くない日が二週続いたが、今日は久しぶりに期待できそうだ。




先週の工石山から帰って来てから左膝がずっと痛んでいた。

以前にも同じような症状があったが2,3日すると治っていたのに、今回はいつまで経っても

痛みが治まらない。少し不安になって前回足首が腫れた時に訪れた整形外科で見てもらうと

触診した後に先生が『少し腫れていますね。レントゲンを撮ってみましょう。』と言った後に、

『今度も山に登るんですか?』と聞いてきた。前回診察してもらった時のことを覚えていたようだ。

幸い骨には異常はなく、周りの筋が炎症しているとの事だった。

『毎回、山に登る前に、レントゲンを撮りにきますね。』と先生に皮肉を言われたが、取りあえずは一安心。

コンディショニング・タイツを履いて更に膝にサポートして登ることにした。



高知自動車道を大豊ICで降り(3週続けて)、豊永から439線を京柱峠へと向かう。

豊永からの道は国道とは名ばかりで道幅の狭いくねくねとした道を走って行く。

『峠は憶えているけど、こんな道を走ったかな?』と二年前も運転をしてくれたIRIBITOさん

峠に着くと二年前にはあった峠の茶屋の建物が無くなり、基礎の部分だけが残っていて様変わりしていたが

南側に遠くに見える梶ケ森までの景色は変わることなくメンバーを迎えてくれた。

身支度をした後メンバーはここ最近の定型業務?のYAMAPの記録をスタートにしている。











峠から東に林道を歩いて行くと右に小檜曽山登山口の小さな標識がある。

ここから斜め上に登って行くと登山道がスタートする。

登り始めると直ぐに気になっていた左膝ではなく、右足のふくらはぎと太もも痛み始めた。

ずっと左足をかばっていたいたせいだろうが、今まで経験したことのない痛みと症状だ。

山さんとIRIBITOさんに『ひょっとしたら登れんかもしれません。』と

言って弱気になりながら、しばらく幅の広い作業道のような道を進むと萱原になる。

IRIBITOさんの提案で、今日は女性陣に前を歩いてもらう事にしたので、

時々道を少し外れながらも、所々に付けられたテープを見ながら萱原を抜けると、檜と杉が混在した林になった。







林の中のトラバース道が終わると今日のコースで一番気になっていた急登が始まる。

トップを歩くキョウちゃんのスピードが半端ない。

女性陣に前をと、ちょっと上から目線で言っていたが、あとのルリちゃんもみなちゃん

どんどんと登って行く。IRIBITOさんと二人で『女性陣についていけんがな~!』








この急登は登っては少しだけ緩やかになるのを3・4回繰り返す。その度に先を行く女性陣が

待ってくれていて、一呼吸置きながら登って行くが、足の痛みはどんどん酷くなる。

もうすでに10時間近くも歩いた後のような張りで、『せめて笹原まで・・・・・』などと

思いながらも右足をひきづる様にして登って行く。










急登が終わると原生林コースの分岐点に着いた。先ほどまでの針葉樹の林から、

広葉樹の広がる手付かずの自然が残る道。







ブナやミズナラの森に朽ちた倒木には苔がつき、サルノコシカケや小さな

可愛らしいキノコもあちらこちらに目につく。

みなちゃんも度々立ち止まっては独特のポーズで写真を撮っている。

夫婦のマムシグサものびのびと葉を広げている。
















下草もなく柔らかい土の上をブナの大木を見上げながら歩いて行くと足元をすくわれる。

原生林と書いているだけあって、ほんとうに素晴らしい森だ。










『小さい秋、み~っけ!』





原生林の森を抜けると分岐の道が交わるモミ千本に着いた。

前回来た時に誰かさんが消えかかった標識の千本を十本と勘違いして読んだ場所だ。

『十本のモミの木をわざわざ書かんやろ!』と笑ったこの場所から、

しばらくはウラジロモミの林の中の道が続いていく。







ウラジロモミの林が終わると、いよいよ笹原の稜線に飛び出す。

右足は相変わらず痛くて、いつ攣ってもおかしくない状態だが、

ここまで来ると気分が盛り上がって痛みを和らげてくれる。小檜曽山と土佐矢筈山の分岐に出る手前は

平らな広場になっていて、北には天狗塚と牛の背、その向こうには

寒峰から矢筈山に続く稜線が見渡せる。

西側には遠く石鎚山までの峰々が続いている。













分岐からはまずは小檜曽山へと歩いて行く。少し先のピークに道標が立っているのが見えるくらいの距離。

背の低い笹の中明瞭な道が続いている。










白骨林までとはいかないが、枯れかかった木々の間を抜け10分ほどで小檜曽山に着いた。

二等三角点『笹』のピークからは、今から歩く土佐矢筈山までの笹が広がる尾根が見渡せる。










夕方からは雨になるという予報がウソのように青空が広がっている。










ここからが今日のルートのメインディッシュ。四国でも有数の笹原尾根の道。

暑くもなく寒くもなく湿度も低く、このコースを歩くには今日は最高のコンディションだ!

登坂になると足の痛みで俄然スピードが落ちるが、前を歩くメンバーに多少遅れて離れても

遮るもののないこの道では、全員の姿が確認できるので、ゆっくりと歩いて行く。

紛らわしい偽小檜曽山の道標の立つピークも通過して進んで行く。










以前に独り歩きをしていた時も、笹原を歩きたくなるとこの山に来ていた。

もう何度も訪れている山だが、何度来ても期待を裏切らない素晴らしい景色が続いていく。













前を歩くメンバーが立ち止まっている間に何とか追いつくが、

歩き始めると直ぐにどんどん離されていく。

笹原には人の歩く踏み跡とは別に、幾筋もの鹿たちが歩いた後の踏み跡が付いている。

先週の工石山では陽が当たらず開いていなかったアサマリンドウもきれいに花開き、

ヤマラッキョウの小さな花も道の脇に沢山咲いている。










二週間前に歩いた中津明神山では天空の鳥居と天空の林道を眺めたが、

今日は天空の笹原そして雲上の笹原。振り返ってもまた笹原だ。




鞍部からは山頂への最後の登り。最初は樹林帯の中を登って行くが、

随分前を歩くIRIBITOさんが『大丈夫?』と声を掛けてくれた。

大声で『大丈夫です。ゆっくり行きます!』と答えて歩いて行く。

樹林帯を抜けると山頂直下の登りをかなり先を歩くメンバーの姿が見えた。







高知の人たちが南側から登ってくる矢筈峠の分岐を過ぎると

山頂まではもう少し。ガンバレ・ガンバレ!







山頂に着くとメンバーたちの食事は始まっていた。

早速ザックを降ろして岩の上に腰掛けようとするが、足が固まって一苦労する。

前回独りで来た時も、あまりに多い虫の数に閉口して少し下った岩の上で食事にしたのだが、

今日も蚊のような小さな虫がまとわりついてくる。




山頂からは360度の大展望。剣山次郎笈

もちろん先ほどから見えていた天狗塚から三嶺

綱付森の笹原も手に取る様に見える。







仲が悪いわけではなくソーシャルディスタンスで食事をするキョウちゃんとみなちゃん

向こうには牛の背の笹原がで~んと広がっている。












今日はいつになく山頂でのんびりと過ごす。そりゃこれだけの眺望のある山頂で

せっかちにしても仕方がない。

先ほどまで私にまとわりついていた虫たちがIRIBITOさんの頭にTシャツにすごい数でたかっている。

払いのけてもきりがないので、ひょっとしたら白いTシャツの色に寄ってくるのかも言われて

Tシャツ脱いでみてもあまり変わらない。加齢臭に寄ってきてるのかも?(笑)

あっ!でもさっきまでは私に寄って来たので、人の事は言えないぞ・・・・!




山頂は風もなかったせいか思っていたよりも寒くもなく、

本当にゆっくりとできた。それではまた笹原を戻って行こう!











帰り道も女性陣がどんどん歩いて行くが、IRIBITOさんが心配して

遅れている私の後ろを付いてきてくれている。

空も予報通りに雲が広がり初め、モミ千本の辺りから雨がちらつき始めた。

分岐から往路と違うもう片方の道に進むと、次第に踏み跡が薄くなってくる。










自然林の森の中には鹿害避けのロープとネットが張られているが、注意書きには

『登山用のロープと間違えないように』と書かれているが、

そんな間違いをする人もいないだろうに!




こちらの道も原生林コースに劣らず自然が残り、様々な植物がいきいきとしている。










分岐まで戻ると残るは急な下り坂。時々他のメンバーが『おっと!』と言って

足を滑らせているが。一歩一歩足を踏み出すのが精いっぱいで

足を滑らせるほどの余裕もない。










スタート時点では『今日はリタイヤするかもしれない。』と思っていたが、

痛みをこらえながらも何とか歩き通すことができ、

この土佐矢筈山の自然のバリエーションと豊かさを存分に感じることができた。

京柱峠に着いて早速恒例のコーヒータイム。

今日はIRIBITOさんがコロンビアの美味しいコーヒーを用意してくれた。










約11kmを約6時間弱の行程。途中でいつも以上に写真を撮ったり、

山頂でものんびり寛いだりと今日もまた楽しい山歩きの一日となった。