今週は火曜日までは暖かく天気も良かったが、水曜日には西から次第に天気が
崩れる予想。今週歩こうと思っていた『線で繋ぐ石鎚山~引地山』の残り3区画の
内のひとつの青滝山辺りは、お昼には雨が降り出しそうで、縦走するとなると時間的に
ちと厳しいので、少しでも降り出しの時間が遅れる東の山を歩くことにした。
それなら先週の続きで大川原高原から東に歩けば、『線で繋ぐ剣山~和田ノ鼻』の
繋ぐ距離が少しは伸びる。しかも轆轤山・日ノ出山・杖立山とYAMAPの
ポイントが三つゲットできるとなると、当然奥様たちは断る理由がない。
またあわよくば帰りに神山町に寄り道して、枝垂れ桜がまだ咲いていたらと思って
計画をして奥様たちに連絡をした。
奥様たちとは自宅近くで待ち合わせをして、高速道路で板野まで走り、先週と同じ道を
大川原高原まで走る。トイレの前の広場には三重ナンバーの車が一台。県外からわざわざ?
と思いながら車を降りると、ルリちゃんが開口一番『あっ、寒いわ!』と。
気温は12度ほどだがとにかく風が強い。脇に立つ風力発電のプロペラも先週見た以上に
勢いよく回り、機械音とも風切音ともつかぬ大きな音をたてて回っている。
今日の雨の降り始めは15時前後の予想。それまでにはここまで戻ってきたい。
眉山の脇を鮎喰川が蛇行して流れている
阿讃山脈の奥に薄っすらと小豆島も見える
駐車場からまずは東に向かって歩いて行く。ヒルトップハウスの施設の横を通り
道路に沿って下って行くと四差路に出た。そこから四国のみちの道標に沿って
小高い丘を登って行く。ここから今日の折り返し地点となる杖立峠までは、尾根の
北側に舗装した林道が続いているが、往きは出来るだけ尾根を歩いて行くことにする。
その小高い丘を越えると直ぐにまた車道に。ここからも尾根に向かって登って行く。
擬木の階段が終わると道は少し不明瞭になるが取りあえず東に向かって進んで行く。
周りの木々はまだ葉はつけていないが、小さな芽があちらこちらに。
キブシ(木五倍子)
アブラチャン
二つ目のピークからもすぐに車道に出た。この辺りはこの林道が四国のみちにもなっている。
地形は少し複雑になりはっきりとした尾根もなくなってきたので、ここから轆轤山の取付き
までは舗装路を歩いて行く。途中ピークでも何でもない場所の道の脇に朝宮山と彫られた
石柱が立っていた。
正面に轆轤山
佐那河内・上勝・勝浦の三町村の境界となる辺りが轆轤山への取付きになっていた。
そして山頂に向かって急登が始まった。
急登は2段構えになっていて一旦緩やかになったと油断させて、最後にまた急登に。
山頂には巨大な電波塔が3基。その北側に三等三角点 六郎丸 971.2m
この山、地形図には六郎山と書かれ括弧書きで轆轤山となっている。
轆轤(ろくろ)とは木地師が椀や盆などの木工品を作る際に用いる道具なので、
山の名前としては轆轤の方が相応しいが、とにかく見ながらでもなかなか書くのが
難しい漢字なので、簡略化して六郎山としたのだろう。
阿波志に、「轆轤山、坂本村にあり。上に経塚あり里民これに雨乞す。また通夜石あり、
俗に伝ふ釈空海(弘法大師)跌座の所。この地霜降らず、蛭人をすはず」とあるが、
三角点の向かいにある石積みがその経塚なのだろうか?
経塚?の脇のアセビの横を抜けると更にアセビの群生。正面には少し色目の違う
大きな木に数珠なりに花を付けていた。
そのアセビの横から境界杭に沿って下って行く。車道に出る手前で可愛らしい三角の
小さな札が木に掛けられていたが、無視して真っすぐ進むと道は少し藪になる。
慌てて引き返してその三角札の方向に進むとまた車道に出た。
まだほとんど蕾だが数輪だけ咲いていた気の早いミツバツツジ
車道から大きな電波塔と風力発電を正面に見て、そのピークではなく横の地道を
歩いて行く。するといつものように奥様たちは新しく始まった朝ドラの話をし始めた。
迷うような道ではないので後ろからその話を聞きながら付いて行っていると、
道の脇に小さな道標があった。よく見ると日の出山登山口と書いている。『お~い!
こっち!』と言って呼び戻す。二人が話に夢中になると結構道を間違える事が多い。
広い道なので安心して油断していたら見逃す所だった。危ない危ない。
道から逸れて登って行くと四等三角点 日ノ出山 846.74m。
時間は11時前。そろそろかなと思っていたら案の定あっちゃんがお昼ご飯の話を
し始めた。時間的には折り返し地点の杖立峠辺りでもよかったのだが、とにかく
『風の当たらない場所にしましょう』とあっちゃん。ん~風も気になるが雲行きが
どうも怪しくなってきた。15時前までに戻るには途中でお昼ご飯を食べていると
微妙だ。『折り返して、林道(舗装路)を歩いて急いで駐車場まで戻ってお昼に
しましょう』と言うと、『え~~え!!』とあっちゃん。
風は相変わらず強く、体感温度は低い。雨具を持ってきているとはいえ、雨の中は
出来るだけ歩きたくない。ここはへっぽこながらもリーダー。『では駐車場で!』と
言ってあっちゃんをなだめる。(と言いながらも既におにぎりを二つも食べている)
日ノ出山からは地籍調査のテープがあちこちの木に巻いてあって紛らわしい。
赤テープも結構な頻度で木に巻いてある。地籍調査のテープが目立つので
ついついそちらに行ってしまいそうになるが『赤テープを目印に!』と声掛けをして、
不明瞭な尾根を進んで行く。
足元には地籍調査の杭と国土調査の杭。取りあえず赤テープと杭を見ながら進む。
踏み跡はなく木々の間を抜けながら緩やかに下って行く。最後に少し登ると
三等三角点 大泉 723.95m これでYAMAPのポイント3つゲットした。
杖立山で杖を立てる
杖立山から杖立峠までは登山道らしい道。前の二人のスピードも上がっていく。
すると先頭を歩くルリちゃんが急に立ち止まり『スマホが無い!』と騒ぎだした。
前、後ろとポケットを触っても無い。仕方がないのであっちゃんが電話をかけると、
背中のザックから着信音が聞こえて来た。『ルリちゃ~~ん!!』。(; ・`д・´)
山頂から7分ほどで車道に降り立った。杖立権現が祀られている峠は佐那河内と
勝浦の坂本を結ぶ峠で、杖をついて越えるほどの急坂で、峠に着くとその杖を
突き立てていた事に由来するそうだ。
杖立権現の鳥居の横に杖立峠の石柱が立っていたが、ここでも地籍調査のピンクの
テープが巻かれていた。足元にある杭の目印だろうが、それにしても無粋な事をするもんだ。
ここからは林道大川原高原線を車を停めた場所まで車道歩き。道の脇には芽吹いた
木々が、冬の間『山眠る』の閑散とした景色を、黄緑色の明るく色に染め始めた。
ヤマナシ
奥様たちはまた朝ドラの話をし始めた。ただ曲がりくねってはいるけれど、もう
道を間違えることはない。『どうぞ安心しておしゃべりしてください!』
途中で見えた徳島の市街地の上の雲はまだ薄い色だが、この山中はポツリポツリし始めた。
シコクブシが群生していたが開花の時期にはまだまだ早い。
帰ってGPSを見てみると杖立峠から大川原高原までは7.7km歩いていた。しかも
緩やかだがほぼ登りの車道歩きは意外と堪えた。この大川原高原へは以前から何度も
来ているが、最初のころは風力発電の工事が始まったばかりだったが、この辺りの
設備も運転開始からもう15年近くになるようだ。
南からは重苦しい雲が流れてきている。雨が降らないうちに急いで歩こう。
すると前を歩く奥様たちの更に前方を小さな動物が道路を横切った。二人が『ワッ!』と
声を上げている間に後ろからもう一匹。後から飛び出して来たもう一匹は道路の真ん中で
立ち止まりこちらを見ている。二人が『たぬき!』『でも鼻が長い』と言うので、『なら、
タヌキじゃないです』と言ったものの、名前がなかなか出てこない。数十秒間が開いた後、
『アナグマです!』とやっと答えられた。
結局大川原高原には2時間以上歩いて着いた。南からはガスがどんどん流れてきている。
風を避けながらヒルトップハウスのベンチに腰掛カップラーメンをすする。
そのラーメンを食べ終わる頃に小さな雨が降り始めた。周りはガスに包まれ視界も
どんどん悪くなる。急いで食べ終えて小走りに車へと急いで行く。
少し濡れたが何とかずぶ濡れにはならずに車中に。
帰り道、山から降りると風も殆どなく雨も小粒。先週も寄り道した神山町へと車を
走らせるが、国道沿いの枝垂れ桜はほとんど散っていた。
農村ふれあい公園の枝垂れ桜も半分以上は散っていたが、代りに八重桜?だろうか
濃いピンクの桜がほぼ満開だった。
天気予報では明日から雨。花散らしの雨になるだろう。桜も今週で終わり、山肌は
一気に明るい色になる。『山笑う』季節は人の心も笑顔になる。
さあ来週からは『線で繋ぐ石鎚山~引地山』の再開だ。スムーズにいけば残り3回で
コンプリート。今月中には何とか終わらせたい。そして今回の区間は更にその次の線で
繋ぐの区間。花の山を愉しみながらまた新たな目標にGO!
『線で繋ぐ剣山~和田ノ鼻』コース図