先週に続いて休みが合ってしまった。『・・・・しまった』というのは言い方がおかしいので、休みが合ったの
で、どこにお連れしようかと考えた。先週の剣山では、次郎笈峠から剣山への登りで相当バテていたので、今週
は軽めにと考えていたら、『そう言えば塩塚高原にススキを見に行ったことがあるわね』と仰った。と言うこと
は『もう一度行ってみたい』いや『連れて行け!』ということだろうと直ぐに理解した。
ただ一緒に出掛けた記憶が全くない・・・・のは決して口には出さずに、塩塚高原だけでは時間がもたないので、
他にどこか立ち寄る場所はないかと考え、そう言えば以前から行ってみたいと思っていた毎週水曜日が定休日の
『ハレとケ珈琲』が営業していると思ってコースにプラスしてみた。その近くには紅葉の名所の『竜ケ岳』もあ
るので、様子伺いで車を走らせてみるのもいい。
6月に西の奥様たちと歩いて登った時のスタート地点になった『道の駅 霧の森』でトイレをすませて県道から
塩塚高原への道へと入ると直ぐに『ノーベル物理学賞受賞、真鍋淑郎博士の生家』の案内板。
『真鍋さんて知ってる?』と聞かれたが、『さぁ?』と答える。(博士と地元の方すみません)
そこからさらに車を走らせると『西横井の棚田』。稲刈りを終えた棚田の向こうの山の斜面に、茶畑が続く集落
が見える。新宮はその気候や土質がお茶の栽培に適しているということで、『新宮茶』として特産物になってい
るそうだ。
それまでの山間部の道から高原まで上がってくると一気に景色が変わった。薄曇りの白い空の奥の白い太陽から
届いた柔らかい光に、ススキの穂が銀色に輝いている。
高原の起伏のある台地が幾重にも重なり、一面に広がるススキ原が大海原で押し寄せる波の様だ。
展望台による前にパラグライダーフライトライディング場へ車を走らせる。ライディング場からは塩塚峰山頂へ
登って行けるのだが、前回歩いた時に結構急登だった記憶があったので、今回は先週の剣山の事もあるので、無
理はせずに無難にパスして、展望台へと向かう。
あまり天候もよくないが、道の北側は瀬戸内海の島々まで見渡せた。
展望台手前の駐車場に車を停めて歩き始める。駐車場にある公衆トイレは使用禁止になっているので要注意。
緩やかな階段状になった斜面を登って行くと東屋のある展望台にすぐ着いた。
6月に歩いた時は緑の萱原だった稜線は銀色のススキ原に変わっていた。遠目にはそのススキが柔らかい産毛
のように見える。
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展望台はもちろん遮るものはなく360度の景色。
北側は低い位置に横に続く雲の下に、同じように横に荘内半島が讃岐三埼灯台まで続いている。
西側は塩塚峰の山頂とその手前のピークとの間に見えるのは筒上山。と言うことは塩塚峰山頂の奥には石鎚山が
見えているはず。
南は手前にカガマシ山から笹ヶ峰へと続く稜線。その奥に工石山と白髪山が頭を出している。
東は国見山の右に、天狗塚から三嶺、剣山と続く稜線。左は中津山の両側に黒笠山と烏帽子山。ただ遠すぎて山
容がはっきり確認できない。唯一、烏帽子山だけは同定できた。
駐車場に戻る途中、右側の斜面に紫色の花が咲いていた。遠すぎてはっきりと分からないが形的にはアジサイの
花のように見えた。
駐車場からもと来た道を戻って行くと陽の光がどんどん強くなってきた。オートキャンプ場まで下ってきたが、
せっかくなのでもう一度写真を撮りに引き返してみたが、あまり変わり映えはしなかった。どうせならやっぱり
青空が欲しかった。
銀色に輝く高原のススキを堪能した後は、今日の次の目的地の『ハレとケ珈琲』へと向かう。
高原から山城町に差し掛かると『半田岩』と書かれた案内板があった。車を停めて道の下を覗いてみると川の対
岸に水車小屋。川底には巨岩が並び、そのまわりはモミジの木々。そのモミジが色づいた時はいい写真が撮れた
だろうに、残念ちょっと時期が早かった。
その昔長曾我部軍が田尾城攻略した際に、この地で休憩して軍議を行った。その際この巨岩の一つが膳に似てい
ることから、『飯台岩』と呼ばれていたのが、いつしか半田岩の字が当てられるようになったという。
(三好市公式観光サイトより)
半田岩から順調に車を走らせて県道319号線に出る手前で警備員に車を止められた。『すみません!時間通行止
めで、11時20分まで通れません』と言う。時間は10時50分過ぎ。途中で時間通行止めの看板を見ていたが
今まで見てきた時間通行止めはだいたい50分から00分の間が通行できるようになっていたので、ここもそうだ
と思って、書いている時間を確認せずに走ってきたのが間違いだった。
『どこか迂回路はないですか?』と尋ねると、『1kmほど戻って、田尾城跡の看板に沿って行けば、別の道で国
道に出られます』と教えてくれた。
聞いた通りの道を走って行くと、これがけっこう狭い道でスピードも出せずに、結局迂回するのに15分ほどかか
ってしまって待っているのとあまり変わらなかった。
『ハレとケ珈琲』の『ハレとケ』。それは、特別な・晴れを意味する「ハレ」と日常の「ケ」。民俗学者である柳田
國男氏が提唱している言葉らしいが、高尚過ぎてあまりよく分からない。
まぁとにかく廃校を利用した施設と言うことで、話をすると奥さんは食いついてきた。
国道32号線の祖谷口から吉野川にかかる橋を渡って、県道32号線を東に走り、松尾川温泉への分岐の200mほ
ど手前で山側へと入って行くと、こんなところに?と思うような場所に立派な鉄筋コンクリートの旧出合小学校の校
舎があった。正門を通って校舎の手前に車を停めて中へと入って行く。
最盛期には500人以上の児童が通っていたようだが、2004年には7人となり、翌年には廃校となった小学校だ。
1階の教室の中をそのまま利用して『ハレとケ珈琲』は営業していた。
店内は昭和を感じさせるソファーや懐かしい小学校の木製の小さな椅子が並んでいて、黒板にチョークでメニュー
が書かれていた。奥さんは紅茶、私はコーヒーそして初めて食べるカヌレなるものを一緒に頼んだ。
コーヒーは深煎りなのにそれほど濃くもなく、奥深い香りと風味があって美味しかった。
初めて食べるカヌレは表面が固くて一瞬『ん?』となったが、なかはもっちりとして一瞬でペロリ。
コーヒーを飲んでゆっくりとした時間を過ごした後、竜ケ岳へと紅葉の様子見に車を走らせたが、松尾川温泉か
らさらに奥へと走って行くとまた時間通行止めの看板。周りの紅葉もまだまだな感じだったので、そのまま引き
返す。それにしても竜ケ岳は松尾川温泉からもけっこう遠くて道幅もけっこう狭くてなかなかの道だった。
国道まで戻ってさてさてお昼はどうしようかと考えながら車を走らせる。そして思いついたのがいつもは朝夕に
横を通るけれど、こちらも今まで立ち寄ることはなかった三好市の八番館。
ゆとりのある空間に川沿いの建物らしく大きな窓の下には吉野川が見下ろせた。少し遅いランチになったが、手
作りハンバーグに一味違うデミグラスソース。カリカリ揚がった白身魚に酸味の効いたタルタルソースがとても
美味しくて、けっこう量があったのに奥さんも『美味しい美味しい』と言いながら完食した。
ランチの時間としては遅かったが、家に帰るにはまだちと早い。どうしようかなと考えた結果、奥さんがまだ一
度も行ったことがないというのでまたひと走り。
奥さんは初めてだというが、私も車で来るのは初めて。いつもは香川側から歩いて登ってくる場所。
駐車場に来るまでの間、そして参道を歩いていると『参道補修費の協力金』のお願いの看板が目立つ。看板に書い
てある通りに納経所で500円を払って参拝する。
参道から歩いている途中ですれ違ったスクーターに乗ったお坊さんが本堂の横に居た。すると納経所の奥から来た
女性が、そのお坊さんに向かって『住職、連絡がつくように携帯電話を持っていてください』と言って怒っている。
どうやら急ぐ用事があるのに住職さんは境内をうろついて、携帯も持って出ていないので連絡が付かずに困ってい
たらしい。威厳のある雰囲気の住職が、年の離れた女性に叱られているのをみて思わずクス!とする。
境内のモミジの紅葉を少しは期待して来てみたが、色づいた木もあったが、全体的にあともう少し先の様だった。
季節に関係なくこの石像『五百羅漢』は見ごたえがある。奥さんも熱心に動画を撮っている。
ここまで来るとやはりあの場所によってみたい。駐車場には『広場に行く人は車を停めないでください』と大きな
看板が立っていたが、駐車場料のお金も払っているのでちょっとだけ寄らせてもらった。
すると奥さんはやっぱり予想通り写真や動画を撮りまくって、うれしそうにしている。
これでニュースにはならないが、今日の私の株価はストップ高となってるはずだ。(ニンマリ!)
広場から引き返す途中で目にした木に刺していた活力剤。同じようにそれを見つけた女の子が、『ママ、マヨネ
ーズが刺してるよ!』と可愛らしく言っている。その横で『マヨネーズじゃなくてケチャップやろ』と小声で聞
こえないように言ったおばさん。(おばさんやな~!と、これも聞こえないように小声で言う)
境内まで戻って仁王門をくぐって太子堂にお参りする。鐘楼の横のモミジが一番色づきが良かったが、それでも後
少しかな。
陽が低い位置に落ち始め杉の大木の中の参道は少し暗くなり始め気温がさがってきていた。
帰り道、いつも山の帰りに立ち寄る温泉でほっこりと温まって帰る。