『線で繋ぐ石鎚山から引地山』で弥山から二ノ森へ歩いた時に、西ノ冠山の辺りで
数輪咲いているイワカガミを見つけて三人で喜んだ。
それが6月の初旬にエントツ山さんとアカリプタさんがYAMAPにアップした
大山三ノ沢の活動日記には、尾根近くの斜面一面にコメツツジとイワカガミが
びっしりと咲いた写真が載っていた。『なんじゃ~これは??』と目が点に!。
さっそく奥様たちに『天空のお花畑』のお誘いをすると、もちろん即OK。
ただエントツ山さん達が出かけて以降の天気が、梅雨らしいといえば梅雨らしい
ぐずついた天気が続き、出かけるのに二の足を踏んでいたのと同時に、お花は
まだ大丈夫だろうか?と心配する日々が続いた。
今週は木曜日までそんな天気が続き、金曜日にやっと天気が回復した。
降雨の後の大山がガスがかかっていないかが気がかりだったが、仕事の都合も
あって今日しか出かけられないので、意を決して・・・・!
坂出で奥様たちと待ち合わせをして高速道路を一路蒜山ICを目指す。途中の
中国山地辺りでは曇り空からポツリポツリと雨が。蒜山SAでトイレを済ませたが、
やはり蒜山・大山は雲がかかって姿が見えない。車に乗り込む前に頭の上の雲を
じっと眺めると、雲は西から東へと流れている。この調子で雲が流れてしまう事を
願いながら高速を降りて、大山環状道路を走ってスタート地点となる文殊堂に着いた。
文殊堂の横の駐車場は平日にかかわらず満車状態。『みんな考えることは同じかな?』と
思いながら、文殊堂の後ろの少し路肩が広くなった場所に移動して車を停める。
まわりはやはり霧がかかって薄暗い。
その霧のせいもあってか、少し肌寒かったが、時間が経てば陽が照ってくるのを
願いながら、三ノ沢の右岸に造られた工事用の道を歩いて行く。
右手に砂防ダムを見ながら登って行くと、道の左側に工事現場の小屋と工事の人の
車が数台停まっていた。道の正面は立ち入り禁止の標識とロープが張られていたが、
なぜか立入禁止と書いた矢印の方向にはロープは張られていなかった。
その矢印通りに樹林帯の中へと進んで行く。しばらく歩くと砂防ダムの際にでた。
そこから砂防ダムの上手に降り、河原についた踏み跡を辿りながら今度は左岸へ。
左岸に渡ると自然林の中の道になる。気のせいか四国の山とは周りの木々も林床の
植生も少し違って見えた。足元に今日初めてのダイセンクワガタみ~っけ!
樹林帯を抜けると最上部の大きな突堤の足元に出た。ここでまた今度は右岸に渡り、
突堤のコンクリートにロープがかかった斜面を登って行く。
コンクリートの斜面を登り、タニウツギの咲く突堤の脇を抜けていくとまた
岩や石が堆積した広い沢に出る。ここから見上げると千畳敷カールや涸沢カールの
ような景色が見られるはずだったが、残念だが稜線をうす暗い雲が覆い隠していた。
この沢の最上部になるゴルジェの様な場所には、白い塊が見えた。大山の南壁にある
沢だが、まだ雪が残っているようだ。
沢の踏み跡を辿りながら一旦右手の中州の様な灌木帯の中へ入って行く。この頃には
汗のせいなのか霧のせいなのか、シャツがしっとりと濡れている。
灌木帯からまたゴロゴロ石の斜面に出る。ザレた斜面は踏み出すたびにズル・ズルと
足が後ろに滑って歩きづらい。ここでも踏み跡を辿りながら右の灌木帯へと登って行く。
前を行く岡山から来たという男女のペアは、このルートにも何度も来ているようで、
途中で色々と話をすると私たちと同じようで、やはりぐずついた天気が続いて
いたので、やっと今日の天気を待って出かけてきたそうだ。ここからが沢から
離れて尾根への取付きとなる。
ザレ場から岩肌になると今日初めてのイワカガミ。先ほどの女性に『この辺りからが
群生地になるのかな?』と尋ねると、『もっと上の方よ』と教えてくれる。
ポツリポツリとマイズルソウも姿を現し次始めた。
すると今度は霧の雫と同じくらい小さなコメバツガザクラも目立ち始めた。
奥様たちもそんな可愛い天使たちの写真を撮るのに夢中だ。
更に今度はあちらこちらの岩肌にダイセンクワガタが群生していた。手前のイワカガミは
既に枯れていたけれど、ダイセンクワガタの群生を見られただけでも良かったねと。
霧は期待を裏切っていっこうに流れそうにもない。それどころか高度が上がるにつれて
益々濃くなっていっている。
険しい岩肌に咲く濡れたダイセンクワガタの群生に圧倒される。それに負けじと
高度が上がってくるとイワカガミもまだまだ咲いている。
最上部から尾根に近づくにつれイワカガミのピンクが目立ち始める。右を見ても
左を見てもピンク色の斜面。そして星屑の様な白いツガザクラがその周りを覆っている。
道の両脇に続くイワカガミの群生。尾根手前で少しだけ下ると独特な形と色をした
オダマキも咲いていた。この辺りから右に行くとキリン峠への道になる。
晴れていると目の前に槍ケ峰がデ~ンと構えているはずだが、そのシルエットが
辛うじてわかる程度だ。その槍ケ峰の足元を西にトラバースして巻いて行く。
槍ケ峰をトラバースすると初めて稜線に出た。槍ケ峰は岩を積み上げたような岩稜。
その尾根は足を踏み出しただけで崩れていきそうだ。ここから西に向かって稜線を
歩くと最初のピークが三ケ峰となる。相変わらずの霧のお陰で、両側が切れ落ちている
場所もさして高度感も恐怖心も湧かずに通過できた。
三ケ峰山頂では先ほどのペアが腰を降ろして休んでいた。お二人は剣ケ峰へは
行かずにここで引き返すという。『以前は平気だったけれど、最近は無理をしない』と
言っている。それを聞いたルリちゃんもここまでにすると言っている。もちろん
あっちゃんは行く気満々!
時間は11時ジャスト。12時までには帰ってくるとルリちゃんに約束をして、あっちゃんと
二人で先ずは天狗ケ峰へと一旦三ケ峰山頂から下って行く。ここまでも、そして
ここからも道の脇に小さな小さなマイズルソウがあちらこちらで咲いていた。
稜線の痩せ尾根は何度も歩いた事はあるが、ここの稜線は今にも崩れそうな
危うい場所が何ヵ所かあった。ただ想像していたよりは道が踏み固められていて
歩きやすかった。ただこれも霧がなく晴れ間の下ではもっと怖かったかもしれない。
天狗ケ峰は山名標もないので気づかずに通り過ぎてしまったようだ。剣ケ峰が
近づいてくると、稜線の北側は草木が生え、南側は切れ落ちた道。草木があると
気分的に少しは楽になるが、気をつけないとその根っこに躓いたりする。
剣ケ峰山頂手前は稜線から北側を巻いて行く。そして樹林帯を抜けると『あら、山頂?』。
山頂では女性が独りで休んでいた。『こんにちは!』とあいさつをした後、コンクリートの
モニュメントで記念撮影をすると、その女性が『そちら側は遭難の碑になっているから
反対側で写した方がいいわよ!』と教えてくれた。確かに反対側には剣ケ峰の山名が
刻まれていた。山頂では霧が流れて一瞬だが青空も見えた。その女性も何度も大山には
登っているようで、色々と話を聞くことができた。そして大山最高峰に立つ事ができた。
ここから見えるはずの360度の眺望は残念だが今回は見ることが出来なかったが、
槍ケ峰から剣ケ峰へのルートも後何年かすれば崩落するかもしれず、そうなると
大山最高峰のこの場所に立つ事は二度とできなくなる。そう思うと感慨深かった。
さあ山頂を踏んで満足した後はルリちゃんの待つ三ケ峰へと折り返していこう。
三ケ峰で話をした女性が『剣ケ峰への登りはいいけど、下りがザレて危ないから』と
言っていたが、今日はそのザレた場所も湿っていて、乾ききったザレ場よりも
思ったよりも歩きやすかった。
ただ一度動画を撮っていて足が滑って尻もちをついてしまって冷や汗がでた。
この痩せ尾根は今にも崩れそうだった
あっちゃんは剣ケ峰で話をした女性に、花の名前を教えてもらいながら歩いて
来ている。途中では前から来るソロの女性とすれ違い、三ケ峰の山頂では別の
ソロの女性がルリちゃんと話し込んでいた。それにしても平日にソロの女性が
意外と多い。しかもその女性たちはこの山に何度も足を運んで、山にも花にも
詳しい。今日のような周りが何も見えない霧の中を歩いてみても、この大山が
多くの女性を魅了しているのが何となく分かった。
時間は12時。少し風が冷たいがこの三ケ峰でお昼ご飯にする。
帰りの下りは、登りに比べると霧が少し流れてイワカガミの群生が更に色濃く見えた。
途中まだ登ってきている何人かの人達とすれ違う。そのどの人も大きな一眼レフを
抱えて歩いている。やはりお花畑がお目当ての様だ。
麓の霧も流れて少しの間だが三ノ沢の全容が見渡せた。そして振り返ると槍ケ峰の
山容も初めて確認できた。剣ケ峰からの折り返しですれ違った女性が降りてきている。
それにしても景色以上に花の写真をこれだけ撮ったのは久しぶりかもしれない。
三ノ沢の霧は刻々と流れて周りの景色を変えていく。三ノ沢の奥は二ノ沢だろうか。
同じように南壁に向かって白い線が延びている。そんな移り変わる景色を先ほどの
女性も何度も立ち止まってはカメラに収めている。
灌木の中の道もザレていて歩きづらい。注意深く下って行かないと簡単に足を滑らせる。
途中であっちゃんと二人で灌木の中から飛び出し、石屑でザレた沢を下って行く。
足を踏み出すと2~3mはズ・ズッと滑って行く。まるでスキーをしているような
感覚で下って行くのが楽しい。
振り返ると朝方はガスがかかって全く見えなかった稜線が見渡せるようになった。
やはりこうしてみるとプチカールに見える。プチとはいえ四国には無いスケール感だ。
往路とは反対に右岸から左岸に、そして最後は右岸へと歩いて行く。森では今年
初めて聞くカッコウの鳴く声が鳴り響いていた。
奥様たちも途中で何度も立ち止まって、最後に草花を写しながらのんびりと歩いている。
三ケ峰からは1時間40分ほどで文殊堂に着いた。
帰り道、鍵掛峠展望台には大勢の人達が車を停めて、南壁の写真を撮ろうとしていた。
私たちも暫くの間待ったが結局雲が流れて大山の全容が見られることはなかったが、
その雰囲気だけでも感じることができた。さらに走った所の御机みつめの棚田でも
同じように雲がかかっていたが、それでも大山のスケール感には三人が虜になった。
来年は晴れた日にもう一度三ノ沢を登って天空のお花畑に出かけようと奥様たちと
話をする。その前に、7月にユートピア小屋のお花畑にも!
最後に貴重な花たち
コケイラン
クゲヌマラン
ノビネチドリ
ノビネチドリ
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