休園前の日、近所の野草園を歩く。メグスリノキ(カエデ科カエデ属)やハウチワカエデ(カエデ科カエデ属)の葉はいまだ朱く色づいている。仙台も、とうとう12月でも紅葉する都市となりつつあるのか。
ユリノキ(モクレン科ユリノキ属)は、葉をすっかり落とし、蓮華のような堅果を青空に突き上げている。冬を越してもそのまま立ちつくしているのだろうか。それとも、花柄の下より次世代の命の脈を感じながら、まもなく、北風に吹き飛ばされるのだろうか。
メグスリノキ
ユリノキの堅果
ユリノキの枝ぶりが好き。エネルギーを感じます。
野草園も東北大植物園も、春のお彼岸ころまでの休園となるが、根雪にならないのなら、マンサクやオオイヌノフグリが開花する2月頃から開園してほしい。木の芽が赤く大きくなるのも観察したいな。
ああ、そうか、なにも植物園でなくても、青葉山には遊歩道が縦横に巡っている。歩こう、冬の森。観察しよう、木々や冬鳥の季節の過ごし方。
明け方、NHK教育放送「こころの時代」、写真家桃井和馬さんの「戦場から祈りへ」を拝見。世界中の悪夢を撮影し、家族の死をも体験した写真家が、大いなる自然やヒトの祈りを撮影するようになった半生に感銘を受けたが、恥ずかしながら知らなかった自然の驚異について知らされる。
何と、インドネシア東カリマンタンでは、20世紀後半に日本向けの木材伐採などが集中し、保水力を持った樹木の喪失により、大量の赤土が川に流れ、石炭層が露になり、何らかの原因で、着火したまま、消すすべもなく「今もなお燃え続けている」との悪夢が語られている。
https://www4.nhk.or.jp/kokoro/x/2019-12-07/31/19602/2008353/
検索したら「石炭火」といって、世界中のあちこちにも「今もなお地下が燃え続けている」地域があるとの、さらに驚くべき事実。アメリカは、1962年から燃え続けている炭鉱の町もあって、もはや廃墟と化しているとか。火山と相まって地球温暖化の大きな要因となっているとも思われるが、「人間の力ではどうにもならない力が自然にはあって」、地球時間の一時を生きさせてもらっているヒトに、あるいは刃を向け始めているのかもしれない。石炭火のきっかけを作ったのは、ヒトかもしれないから。
いままた、石炭発電所を作ったりして、国連から顰蹙を買った我が国の懲りない宰相や、自国の地下が燃え続けているのに、パリ協定からいともたやすく脱退した超大国の大統領。
紅葉が年を越すなんて時代も生きている間に来るというのか。
暦の七二候で、朔風払葉。寒かった木枯らしの時代を忘れて、滅びの道をまっすぐに突き進むしかないのか。
祈るしかないのだろうか。
ハウチワカエデが名残惜しそうに色づいていた野草園。また来春。