18キップでいく一線1湯・一酒の旅。なんのことはない、出かければどこかの沿線に近接した温泉を楽しみ、湯上り後に缶ビールやワンカップを嗜みながら車窓からの風景を楽しむということである。
今の季節は、駅を降りたら季節の花を撮ったりや野草を摘んで、帰ってからの酒のあてにして楽しむ。
今日の目当ては、県境を越えて雪どけの土手に芽を出したバッケ(フキノトウ)を摘んできて、天ぷらやバッケミソをこしらえていただこうということだった。
3時間かけて陸羽東線で山形に行き瀬見温泉駅におりたが、駅構内でもまだ1メートル程度の残雪は意に反した。探せど探せど雪どけの土手は見当たらず1時間余り捜し歩いたが、やっと小国川の土手の一部に草が現れていたところにバッケを見つけ、30株ほど摘んでから、小1時間熱い湯に浸かった。
湯上り後、近くの酒屋で、缶ビールと地元産どぶろくを買って、帰りの車窓の友とした。
帰って、小さな10株ばかりをラージメスティンで天ぷらにして、塩とてんつゆでいただいた。
残りのやや大きな株は、刻んだものを油で炒め、みそに砂糖とみりんをいれたものととともにさらに軽く炒め、バッケミソとしてごはんとともにいただいた。作り置きは1週間程度は楽しめるだろう。
このバッケの香りを口に入れないと、東北のDNAをいただいた者にとって春はこないのだ。
バッケを終えたら、いよいよヤマウドやウコギの仲間の季節がまじかだ。土の魂、地霊たちの季節がはじまる。