晴れて、やっと暖かくなった青葉の森。
昨年より10日ばかり遅い春の船出、とはいえ、森はいつも通りの季節を調整しているかのような速度で遅れを取り戻そうとしているような気配。
大好きなコシアブラやハリギリが小さな芽を出していた。ウルイ(ギボウシ)も仏の光背のような衣装を地上に現わしていた。木の芽(サンショウ)も、あちこちの枝先から黄金色の葉を一生懸命伸ばしていた。
そして、いつもの場所で、リョウブの金色の葉が枝先から天をめがけて新芽を伸ばしていた。
青葉の森のこれらの「幸」を、少しづつ摘んで夜の晩餐とした。すこし欲張って摘みすぎたのかもしれない。晩の酒のあてとしてわずかだけでいいのだが、つい、新芽を見つけると手を伸ばしてしまうのは我欲という性(サガ)か。
帰って、缶ビールをいただきながら、よく洗って、おひたし、天ぷら、油みそ、リョウブごはん用醤油漬けを、30分程度でこしらえながら、メスティンでご飯を炊いた。
1年ぶりの「森の地霊の味」が口腔に満ちた。心身に春が舞い戻った。
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