敷地の庭の、そろそろ桜吹雪ならぬ梅風吹ともなりそうな満開の梅の木にウグイス色の可愛い客が来ていた。メジロさんである。この小鳥は、ウメやサクラの花が好きだ。甘い蜜があるので花ごといただいているのだろう。彼らにとっては、待ちに待っていたごちそうなのだろう、夢中に枝を行き来している。
花にとっては迷惑なのかもしれないが、ウメやサクラはたくさん花をつけているから大丈夫だろうし、あるいは動き回る間に羽やおなかにつけた花粉を、他のお花に受粉させる役割も担っているのかもしれない。ウメやサクラはスズメたちも好んで食べるが、スズメなどは桜たちにとっては天敵のガやチョウの幼虫たちも食べてくれるので、ここでも「持ちつ持たれつ」の関係を維持できているのだろうと、前向きに推測する。
隣の敷地のサクラの木、たぶんソメイヨシノだと思うが、全体にピンクのツボミが膨らんでいて、二、三のツボミはすでにほころんでいる。明日も、気温が今日のように15℃以上を維持すれば、この木は、「開花」となるのだろう。
報道では、今日福島が開花したのだという。福島の開花の平均は4月7日ということで、二週間ほど早い開花だ。喜んでいいのか何とも言えないが、植物全体が同じスピードで行動をしていると見た方がいい。今日、しばらくぶりに青葉城まで歩いてきたが、土手にもうカンゾウの若芽も伸びだしていた。サクラやウメも平年を大幅に更新しているなら、たべておいしい野草や山菜だってもうソロソロということだ。山菜と言えば、どちらかというとクセがある個性派のウドやコシアブラ、タラノメなどのウコギ科の若芽を好むが、カンゾウやウルイと言ったクセのない若芽も好んで摘んでいる。
近年、花の開花を聞くと、花を愛ずるより、花の下で味わうお酒のことや、お酒といただく食べておいしい野草や山菜のほうが気になる。感性の退廃ということだろうか。
それに、野草や山菜を摘み取って食べても彼らに何の恩返しもできないことが、メジロたちと異なることが悲しい。
曇天には桜色が似合う