久し振りに、本当に何年振りかで、自分で飯を炊きおかずを作って食べた。
そこそこに、うまくできたと思った。
中学生や高校生の頃に、姉たちが都会へ出て行った後は、夕食の炊事係だった。
当時は、お金を出して買うおかずの材料といえば、1枚10円の揚げかまぼこや、1枚5円のこんにゃくと、値段は忘れたが鯨肉ぐらいだった。
1枚の揚げかまぼこやこんにゃくを細切りにしたものが、家族4人分のジャガ煮しめの中に分散して入っていた。
しかし、実は1枚の揚げかまぼこの4分の1ぐらいは、ジャガ煮しめになる前に、炊事係である自分の胃袋に「お味見」という大義名分で、こっそりと入ってしまっていた。
ジャガ煮しめに入れる揚げかまぼこを切っていると、ついつい誘惑に負けて、3ミリぐらいの厚さの物を口の中に入れてしまう。
もう少しぐらいはいいだろうと、少しずつ切っては口に入ってしまう。
かくして、味の誘惑に負けて、1枚の揚げかまぼこの4分の1ぐらいまでが胃袋に入ってしまった頃に、自分の中の良心がささやく。
「そこら辺でやめとけば」と。
貧しかったけれども、1枚の揚げかまぼこを、家族4人で分け合って食べて、幸せだった時代もあった。
豊田かずき
そこそこに、うまくできたと思った。
中学生や高校生の頃に、姉たちが都会へ出て行った後は、夕食の炊事係だった。
当時は、お金を出して買うおかずの材料といえば、1枚10円の揚げかまぼこや、1枚5円のこんにゃくと、値段は忘れたが鯨肉ぐらいだった。
1枚の揚げかまぼこやこんにゃくを細切りにしたものが、家族4人分のジャガ煮しめの中に分散して入っていた。
しかし、実は1枚の揚げかまぼこの4分の1ぐらいは、ジャガ煮しめになる前に、炊事係である自分の胃袋に「お味見」という大義名分で、こっそりと入ってしまっていた。
ジャガ煮しめに入れる揚げかまぼこを切っていると、ついつい誘惑に負けて、3ミリぐらいの厚さの物を口の中に入れてしまう。
もう少しぐらいはいいだろうと、少しずつ切っては口に入ってしまう。
かくして、味の誘惑に負けて、1枚の揚げかまぼこの4分の1ぐらいまでが胃袋に入ってしまった頃に、自分の中の良心がささやく。
「そこら辺でやめとけば」と。
貧しかったけれども、1枚の揚げかまぼこを、家族4人で分け合って食べて、幸せだった時代もあった。
豊田かずき