日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

人の道

2006年05月16日 | インポート
日本将棋連盟(米永邦雄会長)の理事会が、名人戦の主催権を、毎日新聞社から朝日新聞社に鞍替えしようとしたことから、おかしな事になっている。

過去の65期は毎日新聞社と主催契約していたのに、今後の第66期以降は朝日新聞社と契約するとして、毎日新聞社とは一切の協議無しに、名人戦の第66期以降の契約解消を3月28日付けで毎日新聞社に通告しているという。

そして今度はその理事会が、名人戦の主催を毎日新聞社と朝日新聞社の共催とする案を提示したそうだ。

そこで毎日新聞社は、その共催案に対する回答書として、「弊社は当初より、貴連盟が一切の協議なしに名人戦の第66期以降の契約解消を通告してきた3月28日付の通知書の取り消しを求めております。通知書が撤回されたならば、第66期以降の契約内容について誠実に話し合う用意があることも、以前から繰り返し述べてきた通りです」との内容のものを日本将棋連盟に送付しているとの事だ。

この事は、明らかに日本将棋連盟の理事会のやり方が間違っていると私は思う。

主催者として出してくれる金額を、朝日新聞社の方が多く提示したので、毎日新聞社との協議もしないで、毎日新聞社に契約解除通知を出したようだ。

将棋の世界には「将棋道」というものがあろう。
そのようなものの奥義を極めた人たちだけが、プロの棋士として、色々な方面からの援助を受けながら「将棋を打つ」という行為を職業として生活できているのではないか。

それだけでも幸せな事だと、一庶民の身としては思う。

それなのに、一部の将棋連盟の幹部たちは、「もっとお金が欲しい」という事のようだ。

彼らには「分相応」という思いが欠如しているのではないかと思う。

はっきり言って、職業としてのプロの将棋士が居なくなっても、私たちの生活には何の支障も無い。
生産活動を支えているわけでもなんでもない。

我が国の伝統文化の継承の必要性から、色々な方面から援助をしているのであろう。
プロ棋士が、仮に居なくても、一般人の趣味としての将棋が途絶える事は無い。

その辺の事を、日本将棋連盟の幹部の方たちは、もう一度熟慮して頂きたい。

過去の名人戦を主催するために毎日新聞社が出し続けていたお金の一部は、毎日新聞の読者が払ってきた購読料から出ているものだろうから、日本将棋連盟の理事会が毎日新聞社に対してそのような理不尽な通告書を出したという事は、毎日新聞の読者に対しての冒涜でもあると私は思う。

将棋の駒の動かし方もおぼろげにしか覚えていないような者で、将棋には全く興味は無いが、日本将棋連盟の理事会がした事は、「将棋道」を云々言う前に、「人の道」に反する行為であろうと強く思う。


豊田かずき