川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

平沼赳夫議員の差別発言を許してはならない

2010-02-03 18:57:32 | 政治・社会
川越は1日夜から雪になりましたが降雪量は大したこともなく2日昼ごろには道路の雪も自然に消えました。でも寒いことには変わりなく、ふるさとの湯に連れて行ってもらった後布団に入って国会中継を聞きました。ほとんど何の緊張感もない「代表質問」と「政府答弁」の連続でこれこそ「無駄」。

 やや旧聞に属しますが僕が許してはならないと思った政治家の発言があります。どういうわけか、国会では問題になっていません。こんなことでいいのでしょうか。


 平沼赳夫氏:蓮舫議員の仕分け批判「元々日本人じゃない」
      
          (毎日新聞 2010年1月17日 20時25分)
 
 平沼赳夫元経済産業相(岡山3区)は17日、岡山市内で開いた政治資金パーティーのあいさつで政府の事業仕分けを批判し、仕分け人を務めた民主党の蓮舫(れん・ほう)参院議員について「元々日本人じゃない」と発言した。

 平沼氏はあいさつの中で、次世代スーパーコンピューター開発費の仕分けで蓮舫議員が「世界一になる理由があるのか。2位では駄目なのか」と質問したことは「政治家として不謹慎だ」とし、「言いたくないが、言った本人は元々日本人じゃない」と発言。「キャンペーンガールだった女性が帰化して日本の国会議員になって、事業仕分けでそんなことを言っている。そんな政治でいいのか」と続けた。

 平沼氏はパーティー終了後の取材に対し、「差別と取ってもらうと困る。日本の科学技術立国に対し、テレビ受けするセンセーショナルな政治は駄目だということ。彼女は日本国籍を取っており人種差別ではない」と説明した。

 蓮舫議員のウェブサイトによると、蓮舫議員は67年、台湾人の父と日本人の母の間に生まれた。当時は父親が日本人の場合にしか日本国籍を取得できなかったが、改正国籍法施行後の85年に日本国籍を取得した。【石川勝義】


 蓮舫議員の政治活動を批判する自由はだれにもあります。しかし、その際なぜ「元々日本人じゃない」などとその出自をあげつらう必要があるのでしょうか。これでは「もともと日本人じゃない」者は日本の政治に口を出すなと言っているのと同じです。ルーツを攻撃して口封じをしているのです。こんなことを許していいはずがありません。

 蓮舫議員のルーツを調べてみました。

 
 台湾人で、主に日本の企業との間で貿易業を営んでいた父:謝哲信と、日本人で、「ミス資生堂」と称された母:斉藤桂子の長女として誕生した(1967年11月28日 )。(略)

1985年に改正された日本の国籍法が「父母両統主義」であるため、国際結婚によって国籍の異なる両親から日本国内で出生した蓮舫は、同年の法改正以降台湾(中華民国)籍および日本国籍の両籍を保有することとなった。法改正以前を含め、中等部・高等部在学中においては、父方の姓を用いて「謝蓮舫」を名乗り、高校在籍中および青山学院大学進学初期に、「謝蓮舫」名義で芸能活動を行っていた。

 その後、改正国籍法が定める、本人の意思で国籍を選択し多重国籍状態を満22歳までに解消する義務規定により、青山学院大学進学に際して18歳時に自身の生活基盤である日本国籍を選択、同時に母方の姓を用いて「斉藤蓮舫」に改めている。その後は、対外的に改姓による混乱を避ける目的で、もっぱら名のみの「蓮舫」で芸能活動を展開した。本人は、改正戸籍法に基づく国籍選択と表現せず、「帰化」したと表現している[要出典]。
  出典http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%93%AE%E8%88%AB

 国際結婚をした女性などの長い闘いの結果、1985年、日本の国籍法は父系血統主義から父母両系血統主義に改められました。母親が日本国民の場合も生まれながら日本国籍を受け継ぐことができるようになりました。二重国籍を持つことも認められますが22歳までに国籍選択をすることになっています。

 蓮舫さんは1967年の生まれですが経過措置の適用を受け18歳の時に日本国籍を選択したとのことです。「帰化」手続きによる国籍取得ではありません。その際、お母さんの戸籍に入ったため(お父さんは外国人のため日本には戸籍がない)斉藤蓮舫と戸籍名が変わったようです。

 平沼議員たちが作った日本の法律に従って母の国籍を選択して日本国民としての権利を獲得したのです。そのような人を東京都民が国会議員(参議院議員)として選んだのです。

 2004年参議院議員選挙 東京選挙区

  中川雅治 57歳 自民・新 当 1014293
  小川敏夫  56歳 民主・現 当 991477
  蓮舫    36歳 民主・新 当 924643
  沢雄二   56歳 公明・新 当 827091
  青島幸男  71歳 無所属・元 × 596272
 今村順一郎 45歳 共産・新 × 453287
  増元照明   48歳 無所属・新 × 381771
  中川直人 47歳 社民・新 × 176289
  上田哲 76歳 無所属・元 × 165551
  松村久義 55歳 諸派・新 × 10479
  又吉光雄 60歳 諸派・新 × 8382

  出典http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/6451/04sangiin_tokyo/


 蓮舫 さんは時代の先駆けともいうべき人です。

 国際結婚が普通になって二つ以上の民族的ルーツを持つ人が増えてきました。ぼくの知り合いの中には父(日本国籍)は韓国と日本、母(オーストラリア国籍)はアイルランドにルーツを持つという子ども(日本国籍)がいます。こうした子供たちも将来、蓮舫 さんのように国会議員として活躍してくれるかもしれません。

 いいじゃありませんか。閉塞感のある社会に新たな息吹を注いでくれるかもしれません。

 日本は否応なしに多民族国家になっています。ならば多民族が共生できる社会の仕組みを国会議員が先頭に立って意図的に作っていかなければなりません。国籍法を父母両系に改めたのはその第一歩でした。

 平沼議員と蓮舫さんは議員として対等な存在です。議論は自由ですが、ルーツを攻撃して議員としての行動を非難することは国会議員の資格を欠いた行為といわなければなりません。反省・謝罪するのでなければ国会議員を辞職すべきです。

 可能性の豊かな若い議員へのこのような攻撃を座視することは日本社会に根深い単一民族国家観を増長させ、民族的差別を温存助長させることにつながります。

 平沼議員は「真・保守政策研究会」や「正しい日本を創る会」などを主宰しているようです。

 こんな発言をして省みることのない人の「真・保守」や「正しい日本」とはどんなものでしょう?

 あきれ果ててものが言えません。僕には私たち日本人の伝統や矜持(きょうじ)を貶(おとし)める卑劣極まりない貧相な人間に見えます。