川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

韓国映画『クロッシング』

2010-02-17 17:50:37 | 映画  音楽 美術など
 脱北者の救援に東奔西走している友人から映画『クロッシング』のビラが届きました。遅れに遅れていたが4月から東京でも上映が始まるようです。

 「東京新聞」によればアジア映画社が上映に尽力したようです。

 この映画社の朴炳陽(パク・ピョンヤン)社長は古い友人です。1970年代に川越のご近所さんでした。神戸に帰ってからアジア映画社をおこすなどの活躍をされましたが震災で長男の竜寧くんを亡くされました。小学生の竜寧くんが遊びに来て息子たちと戯れていた日々を思い起こします。

 「李三郎」の名で映画にも出ていましたが、僕が知り合ったころには在日コリアン芸術家協会のたち上げに尽力していました。歌手の朴保(ぱくぽー)くんを世の中に出したのも「三郎」さんです。

 あれから30年の時が流れましたが、こうして古い友人の活躍を知ることは嬉しいことです。民族差別と闘う運動の中で出会った友人たちのうちで今日、北朝鮮の人権問題にかかわって出会う人は皆無に近いからです。

 「東京新聞」の記事には二つあって小さい方の記事にはこんなことが書かれています。『新潮45』が発売されたら朴さんの文章を読んでみたいと思います。

 

 ≪記事紹介≫(2010年2月14日 「東京新聞」 朝刊)

  ①「延期は北の対日文化工作」

       配給会社代表 月刊誌に手記

 北朝鮮の実態を告発する映画「クロッシング」を昨年買い付け、全国公開につなげたアジア映画社(神戸市)の朴炳陽代表が十八日発売の月刊誌「新潮45」三月号に、「クロッシング」の公開延期は 「北朝鮮による対日文化工作と言わざるを得ない」とする手記を寄せていることが十三日明らかになった。

 この中で朴代表は、最初に映画を買い付けたシネカノンが「映画を使って極めて北朝鮮に有益な 行動を取り続けている」と、具体例を挙げて指摘。韓国の制作会社との契約を守らず、結果的に一年以上映画を「封殺」したと批判している。

 これについてシネカノン側は本紙に「担当者がおらずコメントできない」と回答した。


   ②『幻の脱北映画』やっと日本公開 棚ざらし1年、配給会社変更

北朝鮮を脱出する住民(脱北者)や北朝鮮内にある収容所の実態をリアルに描いた韓国映画「クロッシング」が四月に日本で公開される。韓国では二〇〇八年に公開され数々の賞に輝いたが、日本では上映されず「幻の映画」となっていた。関係者が正式契約し、一年以上かかって日本公開が実現した。 (外報部・五味洋治)

 映画の舞台は北朝鮮にある炭鉱の町。サッカー選手だった男性は、妻の病気の治療代を稼ぐため中国に行くが、韓国亡命に追い込まれる。その後、妻は病死。男性は韓国で懸命に金を稼ぎ、北朝鮮に残されホームレスとなった息子を救い出そうとする。

 制作に当たったキム・テギュン監督は、脱北者百五十人以上に会い、一年半かけてシナリオを練り上げた。モンゴルや中国で秘密撮影を敢行し、細部まで迫真の仕上がりとなっている。

 韓国では観客百万人を動員。韓国の映画評論家協会賞を受賞したほか、〇九年の米アカデミー賞外国語映画賞韓国代表作品にも選ばれた。厳しい監視をかいくぐって決行される脱北や、暴力が横行する北朝鮮内の収容所の実態を本格的に描いた作品。

 脱北ルートであるタイや、人権問題に関心の高い米国で自主上映されている。

 日本では、映画「フラガール」「パッチギ!」などを制作した映画制作・配給会社「シネカノン」(東京都渋谷区)が買い付け、〇九年春からの一般公開を予告したが、棚ざらしになっていた。

 シネカノンは結局、資金繰りが悪化して今年一月末に負債四十七億円を抱えて民事再生法の適用を申請し、事実上「倒産」。上映を望む人たちと配給会社のアジア映画社が正式契約し、四月十七日から東京・渋谷の「ユーロスペース」を皮切りに全国公開されることになった。

 韓国統一省によると、二〇〇九年に韓国入りした脱北者は推計で二千九百五十二人。総数は一万八千九人となり、今年中に二万人を超す見通しだ。

 公開決定にあわせて来日したキム監督は、「非常に敏感な問題であり、政治的な非難を受けないよう事実に即して制作した」と説明。「北朝鮮や脱北者問題に関心の高い日本で公開が実現し、うれしい。日本の人たちにも脱北者の苦痛、閉鎖社会に住む悲しさを感じていただけたら」と期待を寄せた。

 『クロッシング』のHPです。4月になったら見に行きます。

 http://www.crossing-movie.jp/