パパだけの料理教室!
ジャガイモのニョッキ
作る人の満足ではいけません。
食べる人の満足を得られる料理を。
みなさんは、未来を担う子供にどんなものを食べてほしいですか?
"食"を通じて育まれる味覚。素材の味、自然の偉大さ、めぐみ…。
今日の料理教室は、どうやってジャガイモの味を引き出しその味をニョッキの中に封じ込めるかの技術を身につけましょう。
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ジャガイモを皮付きのまま、少量の岩塩を入れてコトコトと下茹でしていきます。
加熱は、竹串を刺してスーッと通るくらいまでの硬さにします。
下茹でしたジャガイモは予め200℃にあたためておいたオーブンで10〜15分セシェ(水分を飛ばすこと)しながら香ばしさを引き出していきます。
時間はあくまで目安。素材の声をききましょう。
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この間に、"ソースピストゥー"を作ります。
イタリア・リグリア州のジェノバ県うまれのジェノバソースに似ています。バジルペーストに、松の実、オリーブオイルを加えたものです。
古いレシピには松の実を入れずに、パルメザンチーズやペコリーノチーズを入れることもあります。
当時どこが占領していたかで異なります。
レシピから読み解く歴史的背景。非常に興味深いですね。
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軸をとったバジルの葉、芯を取り除いたニンニク、塩、乾煎りした松の実、オリーブオイルを入れミキサーにかけます。
塩は最初に必ず加えてください。後から入れても塩は油に溶けません。手作りのマヨネーズやドレッシングも同様、塩は最初に加えます。
ペースト状になったら色止めのレモン汁を加えます。
このソースは、パスタをはじめ焼いた魚や肉、スープに入れたりと色鮮やかで万能なソースです。
冷凍保存も可能です。
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熱が入ったジャガイモ皮の表面にプツプツと中のエキスが出てきて焼き芋の香りがふわーっと広がってきました。
今回は下茹でをしていますが、レストランでは岩塩の上で皮付きのジャガイモをオーブンで数時間じっくりと加熱し香ばしく濃厚なピューレをつかうこともあります。
ジャガイモは、熱いうちに皮をむきます。
裏漉し器にのせたジャガイモは等分し、ここでのポイントは、木べらと網の目をクロスさせ強度を強くした状態で熱いうちに平たな木べらを使って上から体重をかけ手早く裏漉すことです。
裏漉し裏面についたジャガイモを取りながら作業を続けていきます。
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裏漉したジャガイモに塩・卵黄・ナツメグ、オリーブオイルを1フィレ(一周まわしかけること)し、小麦粉をふるいながら4割程度加えグルテンが出ないように切るようにして混ぜていきます。残りの小麦粉も同様にして加え(打ち粉分を少し取り置きしておく)ひとまとめにします。
ラップを敷いた作業台に打ち粉をしてニョッキのベースをのせ、コルヌ(スケッパー)で切るようにして混ぜていきます。
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まとまったベースは、直径1㎝ほどの棒状にして打ち粉をふるい、カードで幅1㎝程度にカットしていきます。
丸めたニョッキはフォークの上で転がしてうっすらとした筋をつけていきます。
沸騰したお湯に、ニョッキを入れ浮き上がるまで茹で、氷水に落とします。すぐに調理する場合は、湯きりをしてオリーブオイルを絡めておきます。
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どこか懐かしい"焼きいも"の香りに包まれた、休日に家族と作る手作りのニョッキ。
ジャガイモの裏漉しはお父さんが、丸めて筋をつける作業は、お子さんと一緒にしてください。
食材に触れ、香りや温度を感じながら作りいただく料理は、よいコミュニケーションになります。
※整形した状態で、1か月程度冷凍保存も可能です
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ニョッキの食べ方を4種類ご紹介します。
1.ピストゥーソース
2.焼きニョッキ
3.バターコンソメ風味
4.簡単トマトソース
1.オリーブオイルを絡めた茹でたてのニョッキとピストゥーソースをボウルで混ぜ、上に刻んだバジルをのせて完成です。
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2.焼きニョッキ
掃除したマッシュルーム(旬のキノコで代用可)は、食べやすい大きさにカットし十分に熱したフライパンにオリーブオイルを加えソテーします。
ここでのポイントは、必要以上にキノコをかき混ぜず焼き色を付けることです。
ソテーしたキノコは、別皿に取り置きします。
次にニョッキを加えて焼き色を付けます。焼き色がついたら、キノコとみじん切りのニンニクを加え、その上に冷たくて固いバターをのせバターを溶かします。
最後に刻んだイタリアンパセリをのせて完成です。
焼き味のついたニョッキとキノコ、香りが引き出されたニンニクとアクセントのイタリアンパセリが一体となったとても美味しい一皿です。
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3.バターコンソメ味
2.と同様ニョッキに焼き色を付けます。
鍋肌に、少量の顆粒コンソメ(今回は、マギー無添加コンソメ使用)と冷たくて固いバターを入れて乳化させニョッキに絡めて完成です。
上からパルメザンチーズをのせても美味しくいただけます。
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4.簡単トマトソース
"トマトが赤くなると医者が青くなる"ということわざがあるように トマトには健康に有効な成分が多く含まれています。
イタリア料理には必ずといっていいほど使用される"トマト"。このトマト、ローマ時代から食べられてはいませんでした。
1492年の新大陸発見、コロンブスによりヨーロッパへ広められたと考えられています。
当初は食用ではなく、200年近くの間は観賞用とされていました。
ヨーロッパでトマトを食べるようになったのは18世紀になってからのこと。
強烈な匂い、鮮やかな赤色、ナス科の植物には麻酔作用や幻覚作用のある植物が多かったことから、
トマトも有毒植物であると信じられていたのでは?と考えられています。
飢饉のため仕方がなくトマトを食べたことがきっかけと言われています。
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ニンニクは、芯を取り除き包丁の背で叩いて香りを出しみじん切りにします。
オリーブオイルを入れた鍋にニンニクと一つまみの塩を加え、シューと音が出てきて透明になり香りが引き出されたところへ、一口大にカットした
トマトを加え中火でつぶしながら煮詰めていきます。十分に煮詰まったところへ、茹でたてのニョッキを加えて絡め完成です。
このベースのトマトソースの鍋肌で焦がし醤油を作り、からめるとみたらし団子の風味に似た香ばしい、どこか懐かしい和のテイストが加わった
一味違うニョッキも楽しめます。
地方料理は、その風土の素材と住む人々によって育まれ、長い歴史を経て今も残る貴重な文化です。
私の願いは、紹介するフランスの家庭料理を通じて、みなさんが健康で"食す"という日々の経験をもっと豊かなものにしていただければと願っています。
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【材料】
<ニョッキ>
・ジャガイモ(メークイン)…1Kg
・卵黄…1個
・塩、コショウ、ナツメグ、オリーブオイル…各少々
・薄力粉…300g(打ち粉用取り置く)
<ピストゥーソース>
・バジル…100g
・にんにくのみじん切り…1片
・オリーブオイル…250g
・松の実(乾煎りしたもの)…20g
・レモン汁…小さじ1
・塩、コショウ…各少々
<焼きニョッキ>
・きのこ(好みのもの)…100g
・オリーブオイル…適量
・にんにくのみじん切り…小さじ1/2
・イタリアンパセリのみじん切り…小さじ2
・バター
・塩、コショウ
<バターコンソメ味>
・マギー無添加コンソメ…適量
・バター
・パルメザンチーズ
<簡単トマトソース>
・にんにくのみじん切り…1片
・オリーブオイル
・トマト(中)…1個
(しょうゆ)
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【道具】
・鍋(ゆで鍋・ソース用)
・裏漉し器(ザルで代用可)
・木べら
・コルヌ(スケッパー)
・ボウル
・ザル
・ラップ(作業台に敷く)
・フライパン
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