尾道ラーメンという新たに
「創作」されたラーメン。
実は、私はこの背脂が苦手
だ。
嫌いではない。
だが、とりわけて好きでは
ない。
先日、東京生まれ育ちの古い
友人とバイクで尾道にラーメン
を食べに行った。
あ〜うまかった、と二人で御
馳走様したら、奴の丼には少
量残の残スープしかない。
「え?背脂全部食べたの?」
と訊くと「うん」と答える。
それが何か?みたいな感じで。
そりゃあ、東京環七シリーズ
も背脂たっぷりだけどさぁ。
外苑前や三田にあった有名店
も。
東京人も背脂には慣れっこだ
けど、おいらは気分によって
は全部食べるけど、基本、背
脂は出汁の為ではなどと思っ
ているので食さない。
広島県の人たち、背脂も全部
食べるのかなぁ。
よく知らないが。
東京では、背脂までは食べな
い派と食べる派できっぱりと
分かれていたような記憶があ
る。
ところで、東京のラーメンだ
が、古くからの東京ラーメン
はかなりうまい。
私個人では、「ラーメン」は
あれが基本だ。
醤油が不動の定番だが、さっ
ぱりとしてシャキッとしてい
る。温度も高く、ぬらぬら感
は一切ない。
キッパリとした味が東京ラー
メンだ。余計なゴテゴテ感も
無い。
ただ、昔ながらの東京ラーメン
を店の看板にしているところ
は今は極めて少ない。
本物の江戸前寿司と同じだ。
本物はもう少ない。
今やラーメンは創作系の新作
ラーメンばかりの店が東京だ
けでなく、全国どこでも繁盛
するような時代になった。
「こだわりのラーメン」とか
「ラーメン道を追求してます」
みたいな勘違いしてる店。
そんなのばっか。
屋台が絶滅危惧種になった今、
本物の東京ラーメンはなかなか
食べられなくなった。
つい15年ほど前まで沢山あった
東京都内23区のの駅前の屋台
こそが、実はホントの昔ながら
の東京ラーメンの味を守ってい
た。
ラーメンってさぁ、気負ったり
気取ったりしない庶民の食べ
物なんだよなぁ、ホントは。
昔、あるさるとこのお嬢様が
おいらと食事したいと言うの
で、レストランではなくラー
メンを食べに連れて行った。
そしたら、ラーメンなるもの
を食べるのは生まれて初めて
だと言うので、こちとら驚い
た。
ズボン=パンツも履いた事が
ない。ジーンズなどは無縁だ。
丼物も食した事が無い。
「まあ、食べてみな」とラー
メンをすすめた。
食べられない(笑
箸で丼から麺をすするという
事をした事がないから。
仕方ないから蓮華に取って食
べる方法を見せて、ようやく
食べた。
「こんな美味しい物があった
のですね」なんて事言う。
住む世界が違うって人は何か
と不便だねぇ、なんて思った。
尤も、彼女たちの世界では何
の不便も感じていないのだろ
うが。
勢いで、その次の時には立ち
食い蕎麦に連れてったい。
目を丸くしていた。
「立ったまま皆様召し上がる
のですか?」と。
思わず、死語「ってやんでぃ、
べらぼーめ」が出そうになっ
た。
ただ、宝塚音楽学校の生徒と
無断で時を過ごすような背徳
感があった事は確かだった。
ただ、宝塚音楽学校の生徒と
無断で時を過ごすような背徳
感があった事は確かだった。