怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

中島らも「異人伝」中島美代子「らも」

2009-09-12 15:52:55 | 
このところ中島らもの本を続けて読んでいる。
「異人伝」を読んでいると中島らもは、自らの死期を悟っていたのではないだろうかと思えてくる。酔っぱらって階段からぶち落ちて、そのまま意識が回復せずに亡くなったのだが、申し訳ないが然もありなんと思ってしまった。でも亡くなる前にこの「異人伝」のような本を書いているのは、自分はもう長くはないと感じて人生の総括をしたとしか思えないのです。
この本と合わせて妻が書いた「らも」を読むと重なる部分が多いのですが、微妙に捉え方が違っているところがあるのが面白いものです。妻の書いた本を読むと夫婦の絆とは何なんだろうと考えさせられるのです。世間一般の目から見るととんでもない生活としてか思えませんが、多分らもの天賦の才を深く愛していたから夫婦が成り立っていたのでしょう。
らもは小学生のころは全国模試で2番をとるほどで、IQ185だったとか。灘中へ進みいつの間にかドロップアウトしていくのですが、そこから妻になる「ミー」に会う。短い会社員生活を経て、コピーライターとなるのだが、どうしたらいいコピーができるか、その分析は緻密でクレバーです。どうしたら銭の取れるキャッチコピーが出来るか、誰にも思いつきそうなのに出来ないノウハウがあるのです。
そのうち小説を書き出すのですが、らもは小説を書くときは大きな紙にプロットのチャートを最初にきちんと作って、後は字を原稿用紙に埋めていくだけとか。いい加減に思いつくまま書いているみたいな気がしたけど、周到な準備と緻密な計算があるのです。
多分こういうことを続けるためには、多量飲酒とか睡眠薬とか咳止めとかをごぼごぼ飲んでいないと持たなかったのではないでしょうか。アルコール依存だけだなく躁鬱病での入院も繰り返していて、身体を痛めつつ精神の綱渡りをしていたような感じでした。
ミーが最後に言っているように、もう身体はぼろぼろでちょうどいい時期に亡くなったもかもしれません。「異人伝」の最後ももうさようならといっているみたいです。
コメント
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