確かこの本の書評で双日研の吉崎達彦が話半分にしても恐ろしいことだというようなことを書いていたと思うのですが、まったく同感。話四分の一にしても恐ろしい。
この本はトランプ政権の内幕を書いたものですが、なぜか著者のマイケル・ウォルフは大統領執務室の中に指定席を得て、インタビューを200回以上重ねている。トランプ政権の中ではホワイトハウスに出入りする公式許可を与えるべき人は現れなかったのだが、出て行けと問題にする人もいなくて取材を重ねることができた。これ自体が信じられないような話ですが、トランプ政権の内幕はもっと信じられないような話が満載です。
500ページ近い本なのですが、唖然呆然としながら一気に読み終えてしまいました。
当然ながら翻訳本なので分かりにくい表現はありますし、人名が色々出てきても覚えにくくて絶えず「主な登場人物」欄を見ていました。それにしても場所によっては姓で書いてあったり、名前で書いてあったりと同一人物でも表記が変わっているので混乱します。トランプの娘婿はジャレッドと書いてあったり、クシュナーと書いてあったり、娘のイヴァンカとあわせて「ジャーヴェンカ」と書いてあったりです。会話の部分は呼び方が違うのでしょうし、そのほうが臨場感が出るのでしょうけど、ここは日本人向けには統一してくれるとわかりやすいんですけど。まあ、そんなところがちょくちょくあって決してスラスラ読めるわけではないのですが、内容の面白さはいささかも損なわれません。
そもそもトランプは大統領選に出ても本気で当選するとは思っていなかった。本人も周りもだ。だからこそロシア疑惑のようなことをあまり深く考えずもしないでやってしまう。当選しないのだからそれぐらいやってもそのうち話題は消えてしまうだろうと。
トランプを候補に大統領選を戦うことに誰も具体的にイメージできてない時に「奇跡の仕事人」のステーヴ・バノン(この人も時折ステーヴィと表記されていて戸惑う)が登場する。この本は読んでいて思うのだがある意味トランプの「影の大統領」とまで言われたバノンのやった仕事についての詳細なルポでもある。その立場を由とするかどうかは別にしてバノンのやろうとしたことはそれなりに首尾一貫していてトランプを制御しようとしている。著者はバノンの協力を得て多く取材しているのだが、バノンはこの本の内容について一部不正確な点があるというだけで否定していない。
著者のよればトランプは精神的に大統領にふさわしくないそうだ。集中力は5分と持たず、資料を出して説明してもほとんど読むことはなく聞いてもいない。トランプにとって印刷物の形で示された情報は存在しないも同然!
自分の知りたい話にしか耳を傾けない人間にどのように情報を届けるのかがスタッフの大きな問題となる。マティスだったかトランプの理解力は5歳児並みと言ったとか言わなかったとかの話があるが、レクをどれだけやっても聞く気がないのなら意味がない。
自信ありげにふるまっているが、それと同じくらいにしょっちゅう思考停止に陥っている。トランプに直接耳に入れたことは大きな効果があるが、それは容易にその後に聞いたことによって打ち消されてしまう。
政権内部では、バノン派、ジャーベンカ派、共和党派と三つ巴で大統領を取り込もうとしてメディアへのリーク合戦となっていた。トランプ自身がツイッターで虚実入り乱れて発信しているので、これはもうホワイトハウスは混とんとしていておまけに人事はころころ変わり行政府はどうしたらいいのか!登場人物を見てもその後辞職とか解任のなんて多いことか。この本の出版後もティラーソン、マティス、ケリーとやめている。元軍人で他国との関係に目を配れていたマティスなどはある意味頼みの綱だったのだがもたなかった。
アメリカの抱えている多様な政策課題についてトランプがどれぐらい理解あるのだろうか。オバマに反対するということだけでオバマケアの撤廃を主張したのだが、トランプ自身はヘルスケアについて何の興味もなく門外漢と言っている。
普段はベッドルームに3台のテレビを持ち込みハンバーガーを食べながら見ている。当然ながら新聞などは読まないのだろう。そしてあちこちに憤りと自己憐憫に満ちた電話をかけ続けるのが日課と書かれると「大丈夫かアメリカは」となります。当然ながら通話相手との守秘義務の取り決めなどはないのですが、秘密も何も大統領自身がバンバンあることないことをツイートしているから関係ないか。
この本ではいかがわしいと思っていたバノンが意外とそれなりにアメリカをどうするかという戦略を持っていた感じに描かれていますが、バノンの全面的な協力があって成り立った本だからか?
それに対して娘と娘婿の「ベージャンカ」については辛らつです。暴露話満載ですので登場人物一覧を見ながらじっくり読んでみてください。
トランプの髪型の秘密とかトレヴィアな話題も豊富ですが、こんな人とアメリカのいや世界のリーダーとして付き合っていかなければいけないと思うと暗澹たる気分になってしまいます。
この本はトランプ政権の内幕を書いたものですが、なぜか著者のマイケル・ウォルフは大統領執務室の中に指定席を得て、インタビューを200回以上重ねている。トランプ政権の中ではホワイトハウスに出入りする公式許可を与えるべき人は現れなかったのだが、出て行けと問題にする人もいなくて取材を重ねることができた。これ自体が信じられないような話ですが、トランプ政権の内幕はもっと信じられないような話が満載です。
500ページ近い本なのですが、唖然呆然としながら一気に読み終えてしまいました。
当然ながら翻訳本なので分かりにくい表現はありますし、人名が色々出てきても覚えにくくて絶えず「主な登場人物」欄を見ていました。それにしても場所によっては姓で書いてあったり、名前で書いてあったりと同一人物でも表記が変わっているので混乱します。トランプの娘婿はジャレッドと書いてあったり、クシュナーと書いてあったり、娘のイヴァンカとあわせて「ジャーヴェンカ」と書いてあったりです。会話の部分は呼び方が違うのでしょうし、そのほうが臨場感が出るのでしょうけど、ここは日本人向けには統一してくれるとわかりやすいんですけど。まあ、そんなところがちょくちょくあって決してスラスラ読めるわけではないのですが、内容の面白さはいささかも損なわれません。
そもそもトランプは大統領選に出ても本気で当選するとは思っていなかった。本人も周りもだ。だからこそロシア疑惑のようなことをあまり深く考えずもしないでやってしまう。当選しないのだからそれぐらいやってもそのうち話題は消えてしまうだろうと。
トランプを候補に大統領選を戦うことに誰も具体的にイメージできてない時に「奇跡の仕事人」のステーヴ・バノン(この人も時折ステーヴィと表記されていて戸惑う)が登場する。この本は読んでいて思うのだがある意味トランプの「影の大統領」とまで言われたバノンのやった仕事についての詳細なルポでもある。その立場を由とするかどうかは別にしてバノンのやろうとしたことはそれなりに首尾一貫していてトランプを制御しようとしている。著者はバノンの協力を得て多く取材しているのだが、バノンはこの本の内容について一部不正確な点があるというだけで否定していない。
著者のよればトランプは精神的に大統領にふさわしくないそうだ。集中力は5分と持たず、資料を出して説明してもほとんど読むことはなく聞いてもいない。トランプにとって印刷物の形で示された情報は存在しないも同然!
自分の知りたい話にしか耳を傾けない人間にどのように情報を届けるのかがスタッフの大きな問題となる。マティスだったかトランプの理解力は5歳児並みと言ったとか言わなかったとかの話があるが、レクをどれだけやっても聞く気がないのなら意味がない。
自信ありげにふるまっているが、それと同じくらいにしょっちゅう思考停止に陥っている。トランプに直接耳に入れたことは大きな効果があるが、それは容易にその後に聞いたことによって打ち消されてしまう。
政権内部では、バノン派、ジャーベンカ派、共和党派と三つ巴で大統領を取り込もうとしてメディアへのリーク合戦となっていた。トランプ自身がツイッターで虚実入り乱れて発信しているので、これはもうホワイトハウスは混とんとしていておまけに人事はころころ変わり行政府はどうしたらいいのか!登場人物を見てもその後辞職とか解任のなんて多いことか。この本の出版後もティラーソン、マティス、ケリーとやめている。元軍人で他国との関係に目を配れていたマティスなどはある意味頼みの綱だったのだがもたなかった。
アメリカの抱えている多様な政策課題についてトランプがどれぐらい理解あるのだろうか。オバマに反対するということだけでオバマケアの撤廃を主張したのだが、トランプ自身はヘルスケアについて何の興味もなく門外漢と言っている。
普段はベッドルームに3台のテレビを持ち込みハンバーガーを食べながら見ている。当然ながら新聞などは読まないのだろう。そしてあちこちに憤りと自己憐憫に満ちた電話をかけ続けるのが日課と書かれると「大丈夫かアメリカは」となります。当然ながら通話相手との守秘義務の取り決めなどはないのですが、秘密も何も大統領自身がバンバンあることないことをツイートしているから関係ないか。
この本ではいかがわしいと思っていたバノンが意外とそれなりにアメリカをどうするかという戦略を持っていた感じに描かれていますが、バノンの全面的な協力があって成り立った本だからか?
それに対して娘と娘婿の「ベージャンカ」については辛らつです。暴露話満載ですので登場人物一覧を見ながらじっくり読んでみてください。
トランプの髪型の秘密とかトレヴィアな話題も豊富ですが、こんな人とアメリカのいや世界のリーダーとして付き合っていかなければいけないと思うと暗澹たる気分になってしまいます。