JSAの後イ・ビョンホンが選んだ作品として、なるほどな、という部分と?という部分とがある。それくらい評価の難しい作品だ。これはセクシュアル・マイノリティ作品ではまずないだろう。じゃあ、単純に「輪廻転生」物語か? あるいは「純粋な《思い》の」物語(竹中直人)か。
かっこ良いピョンホンがぶきっちょさを器用に演じているのが好感だが、物語の流れが王道過ぎてつまらない。雨の日の出会い、駅で待っても現れない愛しい人、二人手を取り登った山、そして交通事故。卵が先か鶏が先かではないけれど、どれも最近の韓流ドラマの小道具で、どの「純愛」作品にもどれか出て来る。恋する若者の群像とはどれも変わらないのかもしれないし、韓国ではこのような小道具が好まれるのかもしれない。ただ、ピョンホン演ずるインウが駅で待っていたのは、兵役に行くから。そして、イ・ウンジュ演ずるテヒが突然インウを激しく拒絶するのも彼が兵役に行くことを告げたからと解すれば、韓国の徴兵制が若者の恋愛を中途で遮断する大きな壁となっていることに日本の観客はもっと敏感になってもいいかもしれない。
儒教社会の韓国で同性愛はもちろん御法度、同時に仏教信仰もある同国で「輪廻」の「転生」もまた韓国人の死生観の一般的範疇なら、この作品は上述した韓国人の恋愛メンタリティとともにあまりにスタンダードな構成とも言える。そして導入部分とエンディングで用いられるニュージーランド(バンジージャンプの国)の切り立った渓谷の美しさは、恋に例えていたとしても、人生に例えていたとしても見抜きやすすぎる。
いずれにしてもピョンホンの魅力映画と簡単に切り捨てるほどすっきりした作品でもない。微妙なのだ。今年亡くなったイ・ウンジュの演技が「永遠の片想い」でもそうだったが、瞳以上のものをこれからもっと出してほしかっただけに残念だ。
かっこ良いピョンホンがぶきっちょさを器用に演じているのが好感だが、物語の流れが王道過ぎてつまらない。雨の日の出会い、駅で待っても現れない愛しい人、二人手を取り登った山、そして交通事故。卵が先か鶏が先かではないけれど、どれも最近の韓流ドラマの小道具で、どの「純愛」作品にもどれか出て来る。恋する若者の群像とはどれも変わらないのかもしれないし、韓国ではこのような小道具が好まれるのかもしれない。ただ、ピョンホン演ずるインウが駅で待っていたのは、兵役に行くから。そして、イ・ウンジュ演ずるテヒが突然インウを激しく拒絶するのも彼が兵役に行くことを告げたからと解すれば、韓国の徴兵制が若者の恋愛を中途で遮断する大きな壁となっていることに日本の観客はもっと敏感になってもいいかもしれない。
儒教社会の韓国で同性愛はもちろん御法度、同時に仏教信仰もある同国で「輪廻」の「転生」もまた韓国人の死生観の一般的範疇なら、この作品は上述した韓国人の恋愛メンタリティとともにあまりにスタンダードな構成とも言える。そして導入部分とエンディングで用いられるニュージーランド(バンジージャンプの国)の切り立った渓谷の美しさは、恋に例えていたとしても、人生に例えていたとしても見抜きやすすぎる。
いずれにしてもピョンホンの魅力映画と簡単に切り捨てるほどすっきりした作品でもない。微妙なのだ。今年亡くなったイ・ウンジュの演技が「永遠の片想い」でもそうだったが、瞳以上のものをこれからもっと出してほしかっただけに残念だ。