kenroのミニコミ

kenroが見た、読んだ、聞いた、感じた美術、映画、書籍、舞台、旅行先のことなどもろもろを書きなぐり。

アメリカ西海岸美術紀行3 ロサンゼルス①

2010-01-24 | 美術
ロサンゼルスには二度とはあまり行きたくないと思うのは、公共交通のあまりの貧弱さ故である。車を持たない者は人にあらず、と感じるほど移動が不便な町だ。大都会であるものの地下鉄は路線も本数も少なく、日常遣いには適さないし、路線バスはタイムテーブルがはっきりしない上とても時間がかかる。と、一旅行者の感想だが、美術館目当てだけでロサンゼルスを訪れ、一人で公共交通で移動する輩などいないのであろう。ただ、バスに乗っても地下鉄に乗っても感じたことだが、美術館やレストランなどであれだけたくさんいた白人が、バスや地下鉄ではほとんど見かけないのだ。カラードばかりで、黒人さえ多くない。あと筆者のような東洋系。移動に車が当たり前ということとそういった車を持つ層が一定の収入のある層に限られていること(ビバリヒルズ界隈を路線バスで通り過ぎたが、なぜこのような金持ち大邸宅の地域を路線バスが走っているのかなと思ったが、乗車してきた人たちを見ても、使用人の通勤手段として必要であることがわかった)、何よりもアメリカが車社会であることを実感したのが、今回のロサンゼルス訪問だった。美術館巡りなど観光をするための公共交通という意味では、ニューヨークはとても便利だった覚えがあるからだ。
で、ロサンゼルスの美術館は。回れる範囲で回ったそのどれもがすばらしい。ゲティ・センターなどロサンゼルス中心部からバスで2時間もかかったが、行く価値おおいにありである。ゲティ・センターのことは次回以降のブログで紹介することにしてまず訪れた順番でロサンゼルス郊外のパサデナにあるノートン・サイモン美術館を。
カリフォルニアでオレンジジュース会社を買収などして食品企業で財をなしたNorton Simonが西洋近代美術作品を収集し、建てたのがノートン・サイモン美術館(Norton Simon Museum)である。
エントランスに入るとすぐにドガの彫刻に気づく。そしてすぐ隣の大きな部屋に歩を進めると至る所にドガの油彩と彫刻。絵画ではWoman Drying Herself、After The Bath、Dancing In The Wingsなど、彫刻では有名なLittle Dancer Aged FourteenからArabesqueが幾種類も。素晴らしい。よくもこれだけドガを集めたものだ。オルセーにもたしかドガの部屋があったと思うが、どちらのコレクションがすばらしいか俄には答えられない。
ドガの部屋がまだ続くうちにあふれだす西洋近代絵画の絶品たち。時代的には13世紀頃からルネサンス期、古典の時代の作品もあるが、やはり近代作品が圧倒。昨年パリに行ったときには時間がなかったこともあり、オルセーには行かなかったくらい印象主義の作品群から遠ざかっていたが、ノートン・サイモンで数々の作品、ルノワール、ピサロ、モリゾ、モネ、シスレーなどに対面し、改めて印象主義もよいと思えた。
(ドガ アラベスク)
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