ごっとさんのブログ

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既存薬からコロナ治療薬を探索

2021-05-19 09:43:49 | 
新型コロナ感染症は、非常事態宣言で抑えられるかどうかの瀬戸際のような気がします。

高齢者へのワクチン接種も始まっていますが、私の市ではやっと近々ワクチン接種券を配布するという予定で、実際の接種はかなり先になりそうです。

このワクチン接種でどの程度感染が抑えられるのかは、若干疑わしいところがあり、やはり治療薬の開発が急がれるところです。比較的簡単と思われる既存薬から治療効果がある薬を探す研究は盛んになっているようです。

最近の成果として京都大学と長崎大学がiPS細胞を使って治療薬候補を見つける手法を開発しました。また九州大学は抗うつ薬に感染抑制効果があることを明らかにしています。

京都大学と長崎大学の共同研究グループは、人間のiPS細胞に特定の化合物をかけるなどの措置をして、新型コロナと同じRNAウイルスの一種であるセンダイウイルスの感染を防げるかどうかを調べる方法を開発しました。

このウイルスはマウスなどに感染すると肺炎を起こします。同グループはこの方法を使い、約500種類の既存薬を対象に調べた結果、いくつかの既存薬に感染防止効果があることが判明しました。

続いて新型コロナウイルスにも効果があるかどうか判定できる実験用細胞を使って調べたところ、骨粗しょう症の治療薬「ラロキシフェン」と糖尿病の治療薬「ピオグリタゾン」に感染を防ぐ効果があることが分かりました。

こういったインビトロでの効果が実際の動物試験でも再現されるかどうかが今後の課題となるでしょう。九州大学と国立医薬品食品衛生研究所などの研究グループは、新型コロナウイルスが人間の細胞膜上にある受容体タンパク質と結びついて細胞内に侵入し、増殖して感染を引き起こすことに着目しました。

独自の研究で約1200種類の既存薬から感染予防の可能性がある薬として13種類を絞り込みました。さらに新型コロナを模した人工タンパク質を用いた擬似的感染実験や実際にコロナウイルスを使った実験を行いました。

その結果抗うつ薬「クロミプラミン」に細胞へのウイルス侵入を防ぐ効果があることが分かりました。またこのクロミプラミンと国内でコロナ治療薬として承認されている抗ウイルス薬「レムデシビル」を併用することで、ウイルスの増殖約制効果が大きく増すことも判明しました。

研究グループは、クロミプラミンには既存の治療薬とは異なる薬効メカニズムがあることから、既存薬との併用による相乗効果が期待できるとしています。

このブログでも他の研究チームによる治療薬候補を取り上げていますが、こういった中から早く実際の治療薬が出てくることを期待しています。