ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ある種の乳酸菌は高血圧を改善できる

2024-10-31 10:34:57 | 健康・医療
私は比較的胃腸が丈夫なようで、お腹が痛くなったり下痢や便秘にもほとんどなりません。これを実感したのが10年以上前の入れ歯を入れた時です。

入れ歯が出来上がるまで、仮の歯があったのですがほとんど噛めず丸呑みに近い状態でした。この時胃腸の具合を心配したのですが、特に悪くなることもなくこの時期を乗り切ることができました。

最近このブログでも取り上げていますが、「脳腸相関」と呼ばれる腸と脳が情報のやりとりをして、お互いの機能を調整するという仕組みに注目が集まっているようです。

腸内環境が乱れると不眠やうつ、発達障害、認知症、糖尿病、肥満、高血圧、免疫疾患と全身のあらゆる不調に関わることが分ってきました。日本では成人の3人に1人、高齢者では3人に2人が高血圧と言われています。

心臓病や脳卒中などの疾患に繋がる高血圧の予防には、減塩と体重管理が有効とされています。2019年の国民健康・栄養調査報告によると、日本人の男性は1日10.9グラム、女性は9.3グラムの食塩を摂取しているそうです。

世界保健機構は、成人の1日の食塩摂取目標を5グラムとしているので、減塩をした方が良い人はかなり多いと言えそうです。近年の研究から、この高血圧の発症にも腸内マイクバイオータが関与している可能性が示されました。

栄養バランスの取れたエサに食塩を添加したものをマウスに与え、腸内マイクロバイオータの組成を解析したところ、マウスにに特有のある乳酸菌の数が大きく減少することが分りました。これまでの研究から、塩分の取りすぎは炎症反応を亢進させるのではないかと考えられています。

そこで体内で炎症反応が起こっているモデルとして多発性硬化症モデルのマウスにこの乳酸菌を投与したところ、炎症反応を引き起こすサイトカインを産生する免疫細胞の数が減少して、炎症反応が抑制されたのです。

さらに食塩を添加したエサを与えているマウスにこの乳酸菌を投与すると、血圧が低下したのです。同様の効果は、乳酸菌の一種であるロイテリ菌の投与でも見られました。

つまりマウスでは、塩分の高い食事をとることで起こる高血圧や炎症反応は、乳酸菌を補えば改善できる可能性があると言えます。

被験者の数は少ないですが、ヒトに塩分を余分に摂取させる実験を行ったところ、マウスと同様に腸内マイクロバイオータに含まれる乳酸菌が減少し、免疫細胞が増加していることが分りました。

なぜ乳酸菌を投与すると、免疫細胞が減少し高血圧が抑制されるのか、その詳細はまだ完全には明らかになっていません。

将来的には、乳酸菌や乳酸菌が代謝して産生する物質を含む食品を摂取することで、高血圧や炎症反応を抑制できるようになることが期待されています。

認知症リスクとなる脳卒中対策の注意点

2024-10-30 10:34:29 | 健康・医療
私は若いころから血圧が低く、上が110いかないことがほとんどでした。医師も特に不都合なことが無ければこのままでよいという事で、放置していました。

さすがに77歳になると120〜130程度に上がってきましたが、年の割にはまだ低血圧といえるようです。これから寒くなると高血圧に留意すると言われており、食事や運動などによって改善するとされています。

ただ私は血圧はいわば体質のようなもので、なかなか変わらないものと思っています。高血圧を放置してまずいのは、血管にダメージを与えるからといわれています。粥状硬化といって、血管の内壁に悪玉コレステロールなどが入り込んでプラークとなり、蓄積して血管が狭くなります。

すると臓器に酸素が行き届かなくなり、狭心症や一過性脳虚血発作が起こってしまいます。粥状物質が破裂して血栓ができると、血管が詰まって心筋梗塞、脳梗塞が起きます。脳や腎臓の細かい動脈が硬化する細動脈硬化は、進行すると脳出血を招きます。

こうした脳梗塞や脳出血は、認知症のリスク要因となります。寒くなると血管が縮んで血圧が上がりやすくなるのに加え、ヒートショックの問題もあります。温度の急激な変化で血圧が大きく変動し、心臓や血管に負担がかかって心筋梗塞や脳卒中を引き起こしやすいのです。

高血圧の人は薬による血圧コントロールが必要ですが、その際に注意点が2つあります。ひとつは数値の細かい変動に一喜一憂しないことです。血圧は測定時のストレス、測定前の行動などの影響を受けやすく変動しやすいものです。

決まった時間に落ち着いた状態で測定し、医師にチェックしてもらい必要に応じて薬の処方となるのが良いようです。もうひとつは低すぎる血圧を放置しないことです。降圧剤で下げた場合、低すぎると脳への血流が悪くなり、小さな脳梗塞を起こしやすくなります。

さて着替えは料理と並んで認知症の病状の進行がどれくらいかを見る目安となります。着替えはほとんどの人が小さいころから身に着けている行動ですから、経験値の差がある料理と比べて容易にチェックできます。着替えは結構難しい行動といえます。

洋服の立体的な構造を頭に思い浮かべ、それに伴って体を動かしいくつもの工程を経なければなりません。いずれもアルツハイマー型認知症の人にはにがてなことなので、病状が進行すると洋服の脱ぎ着が困難になるのです。

この様に血圧の把握や、ちょっとした行動の変化により認知症を見分けることができるようです。いつもの行動に変化がないかを気を付けることは必要かもしれません。

ガンの放射線治療、最新装置イーソスセラピーの実力

2024-10-29 10:35:43 | 健康・医療
ガン治療においては、日本は手術第一主義がまだまだまかり通っているようです。患者に持病などがあって手術ができない場合を除いて、ほぼすべてに切除が第一選択肢となっています。

近年放射線治療の装置が大幅に進化し、手術に代わるともいわれています。正常細胞を避け、ガンにピンポイントで放射線を強く照射できる高精度放射線治療の登場で、放射線治療の成績は向上してきました。

予後が非常に悪い進行ガンでも、薬物療法との併用で生命予後が劇的に伸びています。放射線治療の成績向上に一役買っているのが「画像誘導放射線治療(IGRT)」とさらに進んだ「即時適応放射線治療」です。

従来の放射線治療では、まず治療計画用のCT検査を行い、その画像情報を基にどこへ照射するか、1〜2週間かけて治療計画を作成します。ただガンの病変や臓器は体内で日によって変動しています。

そこで放射線治療時は、CTなどでガンの位置を確認し、ガンの位置が変動している場合は照射範囲の中心軸をずらします。位置再現精度は向上しており、IGRTが登場したことでガンの位置が変動しても適切に治療を行えるようになっています。

ただガンによっては位置だけでなく、臓器が大きく変動するものもあります。例えば膀胱ガンでは、尿量によって1センチ以上変動することは珍しくありません。そこで即時適応放射線治療が開発されました。この治療法はガンの位置の変動だけでなく、形状の変動にも対応できます。

AIを用いた専用の装置によってその日の臓器の位置関係や状態に合わせて照射範囲を調整し、即時に適応させた放射線治療を行えます。膀胱ガンに対する即時適応放射線治療の有効性を示した研究では、病変を狭く照射でき周囲の臓器の線量も低減するとの結果が出たと報告されています。

即時適応放射線治療は、それに応じたCTまたはMRIが必要で、新しいイーソスセラピーという装置が開発されました。この治療の周囲の臓器の線量低減とは、周囲の臓器の損傷が少ないことで、高精度放射線治療の本領がもっと発揮できるという事になります。

放射線治療は治療機器も吟味して選ぶ時代がやってきたようで、できる限り情報を集めてどの病院で受けるかを決める時代になったといえそうです。このイーソスセラピーでは、CTの高画質に加え、画像撮影が非常に早いことも大きなメリットです。

治療までの時間、撮影時間の苦痛時間を低減できるとしています。高精度放射線治療には、定位放射線治療(SBRT)や強度変調放射線治療(IMRT)といった治療法も出てきているようです。

ただ問題はこういった装置がごくわずかの治療機関にしかなく、高価になってしまうことかもしれません。


高齢者の転倒・骨折をいかにして防ぐか

2024-10-28 10:37:49 | その他
私も高齢者となり、転んだりしないようかなり注意して歩いています。特に階段は気を付けていますが、ちょっとしたことで骨折などの危険があるようです。

私の母は70代のころ、洗面所で転ばなかったのですがちょっとつまずいただけで足を骨折してしまいました。実際高齢化の進展とともに、高齢者の転倒事故は大きな社会課題として浮上してきています。

人口動態統計(2023年)によると、転倒による65歳以上の高齢者の死亡数は9662人と、交通事故による死亡者数2116人をはるかに上回っています。高齢者の転倒をいかにして少なくするかが、健康寿命の延伸にとっても重要なテーマとなっています。

高齢者が転倒し、骨折することを防ぐためには、ウォーキングを行う、スクワットをするなど日ごろの運動習慣が重要といわれています。しかしいくら運動を行っていたとしても、年齢と共に筋力は衰え、結果として転倒するリスクは高まります。

そうしたリスクを低減するために期待されるのがテクノロジーの力です。高齢者の生活課題をテクノロジーによって解決する技術はエイジ・テックと呼ばれています。ここでは転倒防止テーマに焦点を当てた、海外のエイジ・テック企業のケースを紹介します。

エイジテックでは数多くの転倒関連のデバイスが開発されています。アップルウオッチに代表される様な加速度センサーを備えたウエアラブル端末や、家庭内に設置したセンサーなどで転倒を感知するものです。

すぐさま家族や施設職員などに転倒を連絡するデバイスは、多数開発されています。しかしそれらの多くは、転倒したことを通知するという、あくまで事後対処的な装置です。

フランスの企業が開発した「ヒップウエア」は、転倒の瞬間にエアバッグを膨らませ、腰を保護するウエアラブル・デバイスです。これを装着しておけば、万が一転倒した際にも、センサーが転倒を察知すると、0.08秒で転倒側のエアバッグが膨らみます。

特殊なエアバッグの形状により、腿骨頸部は地面に衝突する前に保護され、股関節や骨盤を守ることができます。テキサス州ヒューストンで開発されたジブリオは、自分の体のバランスを測定することができる計測器です。

測定の仕方は簡単で、ジブリオの上に乗り、1分間じっと静止しているだけです。しかし実際には何もせず60秒間立ち続けるのは、実は極めて困難です。ヒトは直立を保つために小さな体のバランス調整を行っています。

ジブリオはこれを測定し、ユーザーが今後12カ月間に転倒するかどうかの可能性を予測するのです。これ以外にも多くのデバイスが開発されていますが、やはり基本は如何に注意深く行動するかにかかっているような気がします。

ビフィズス菌で認知機能がアップし、脳の萎縮が抑制

2024-10-27 10:32:54 | 健康・医療
私は胃腸がわりと丈夫で、あまりお腹の具合が悪くなるという事はないようです。ただ若いころに嘔吐恐怖症と呼ぶような症状になったことがあります。

これは自律神経失調症の一種のようでしたが、精神安定剤を飲むと良くなった記憶があります。その後特に腸の調子が良くなり、何かを食べてお腹を壊したことはありません。

最近「脳腸相関」と呼ばれるメカニズムが注目されていますが、腸と脳は情報のやりとりをして互いの機能を調整する仕組みのようです。腸内環境が乱れると、不眠、うつ、発達障害、認知症、糖尿病、肥満、高血圧や免疫疾患と全身のあらゆる不調に関わることが分ってきたとしています。

日本では現在85歳以上の4人に1人が認知症と診断され、高齢化と共に身近な病気となっています。日本の有病率は世界1位で、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を発症するのではないかと推測されています。

記憶力の低下が主な症状である認知症も、腸と関係があることが分ってきています。記憶力に関係する病気には、認知症の前段階といわれる軽度認知障害というものがあります。日常生活への影響はほとんどない程度の物忘れが主な症状で、日本では約400万人の患者がいるとされています。

そのうち1〜3割の人が、発症後1年以内に認知症に移行すると推定されています。世界中の研究者が、認知症の予防法や発症前や超早期に体内で増加する物質(バイオマーカー)を発見するために技術開発を進めています。

これらの研究の中で注目されているのが、腸内マイクロバイオータとそれが生産する腸内代謝物です。ヒトの場合認知症患者と健常者の腸内マイクロバイオータを比較すると、認知症発症によって腸内マイクロバイオータの組成が大きく変化し、それに呼応して腸内代謝物の組成も変化していました。

認知症の患者では、バクテロイデス門に属する細菌類が少ない傾向にあり、腸内代謝物であるアンモニアが増加する一方、乳酸が減少していました。最近では認知機能に対するプロバイティクスの効果についても研究が行われています。

軽度認知症患者130人を対象に、プロバイオティクス候補である乳酸を産生するビフィズス菌の認知機能及び脳委縮への影響が解析されました。

解析の結果、ビフィズス菌を摂取したグループは、プラセボを摂取したグループと比較して、現在の日時や時刻、場所や周囲の状況、人物などの情報から自身が現在置かれている状況を把握する能力(見当識)が、統計的に有意に改善していました。

まあこの程度で効果があるのならば、予防のためにヨーグルトなど食べても良いのかもしれません。