ごっとさんのブログ

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「年に2世代」コオロギが北上

2018-10-31 10:08:35 | 自然
冷暖房に囲まれて暮らしている我々とは違って、野の生き物たちは気温の変化に敏感です。

地球温暖化で気温が上がれば、昆虫たちの暮らしも変わり、寒い北の冬をこれまで越せなかった南の昆虫たちも、その生息域を北に広げています。

国内で有名なところでは、南方系のチョウであるナガサキアゲハ、蚊の仲間のヒトスジシマカ、南方のセミだったはずのクマゼミは大坂ではもうメジャーで、関東で聞くことも珍しくなくなっています。

そこにもともといた昆虫の生活にも地球温暖化の影響が出ているかという実例を、京都大学の研究グループが発見しました。夏の間に卵を産んでその子がすぐに育つ「年に2世代」のコオロギが、同じ種類だが「年に1世代」のコオロギが暮らす北方に分布を広げていることが分かりました。

研究グループが注目したのは、日本全国に分布している「シバスズ」というコオロギの仲間で、2015~17年に全国調査を行いました。これによるとシバスズの体の大きさは、九州などの南のシバスズの方が、例えば関東あたりより大きく、成長に適した暖かい期間が長いためです。

ところが関東より北の東北になると、再び大きなシバスズが主流となっていました。これは南のシバスズは年に2世代で、生まれて成長して卵を産んで死ぬというライフサイクルを、夏から秋にかけて2回こなさなければいけないためです。

従って南から北に向かって急に身体の大きなシバスズが増える頻度は、年に2世代から年に1世代へのちょうど変わり目になっていると考えられます。その代り目の緯度は、地球温暖化で移動しているのかということがポイントとなりました。

問題は、シバスズの体の大きさに関する過去のデータがなければ比較ができないわけです。それが1970年代の弘前大学の調査記録が残っており、当時の調査でも同様の傾向が出ていました。

研究グループはこの両者を比べたところ、1970年代には北緯34~39度のあたり、つまり四国から東北中部のあたりにあった変わり目が、今回の調査では北緯36~40度のあたりまで北上していました。

この40年ほどで緯度にして2度ほど北にずれたことになります。これが本当に気温の上昇によるのかは難しい問題のようです。降水量が変わったりエサとなる動物や植物が北上したからそれを追っただけかもしれません。

このあたりは他の気象データの解析などいろいろ複雑な分析を行い、年に2世代のシバスズはやはり気温の上昇で分布を北に広げた可能性が高いと結論しました。

昆虫の生態という点では非常に面白い研究で、こういった方向から害虫の分布の変化などの対応が取れるのかもしれません。

エルステバンクオープン 錦織活躍も

2018-10-30 10:23:14 | テニス
先週オーストリアのウイーンでエルステバンクオープンテニス(ATP-500)が開催され日本からは錦織圭が参戦しました。

錦織は来月行われるATPファイナルへの出場を狙っていますが、現在この順位はイズナーに続いて10位となっています。上位8名に入らないといけないのですが、4位のデルポトロが怪我で欠場を表明していますので、9位に入れば出場できるわけです。

そこで錦織は厳しい日程ですが、先週のエルステオープンと今週の最終戦であるパリマスターズ(ATP-1000)で良い成績を残そうとしています。

エルステバンクオープンでは、錦織はアメリカの20歳ティアフォーとの1回戦で始まりました。やはりこれからが期待される若手はビシビシと厳しいショットを打ち錦織もやや悩まされ1セットはタイブレークでやっと取りました。

ところが2セットは5-7で取られファイナルセットとなりましたが、このあたりでやっと錦織らしさが出て6-2で取りやや苦労しましたが何とか突破しました。

2回戦はロシアの22歳カチャノフとなりましたが、過去2敗している嫌な相手でした。しかしここに来てやっと錦織の良さが出てきて、6-2、6-2とストレートで勝ち上がることができました。また当面の目標であるイズナーがこの2回戦で敗れ、ファイナル出場にやや近づいた結果となりました。

さて準々決勝はオーストリアの地元であり、今回第1シードとして出場しているティエム戦となりました。世界ランキングも7位と良い位置につけており、苦戦が予想されましたがティエムの調子が非常に悪いのです。

こういったトップ10の選手はミスが少なく、よく拾うのが普通ですが、ティエムはネットにかけたりアウトしたりと全く安定していませんでした。錦織の調子が非常に良いわけではないのに、いわばティエムが自滅する感じで6-3、6-1とあっさり勝ってしまいました。満員の観客もがっかりしたことでしょう。

この大会はシード選手が次々に敗れ、準決勝は71位のククシュキンとなりましたが、これまで錦織が7戦全勝の選手です。この試合は6-4、6-3と順当に勝ちいよいよ決勝戦となりました。

決勝の相手は南アフリカの32歳、203センチという長身のビッグサーバーであるアンダーソンになりました。彼は30近くなってからストロークが安定し、明らかに強くなりランキングも8位につけています。

サーブは相変わらず210キロを厳しいコースに決められ、錦織が付け入るスキがありませんでした。1セットは長いジュースとなったゲームでリードされ、6-3で取られてしまいました。

2セットは錦織も良いショットを出していましたが、ブレークすることができず6-6のタイブレークにもつれ込みました。これをおしいところで落とし準優勝となってしまいました。

それでもファイナル出場には1歩近づきましたが、決勝戦9連敗という最後の弱さを出したことになります。もうパリマスターズが始まりましたので、1つでも多く勝ってファイナル出場を果たしてほしいものです。


血液で卵巣がんを判別

2018-10-29 10:15:43 | 健康・医療
国立ガン研究センターなどの研究チームは、血液1滴を使った検査法で卵巣ガンを98.8%の高率で診断することに成功したと発表しました。

卵巣ガンは自覚症状が出にくいため、早期発見や治療向上につながる成果として期待されています。

研究チームは、細胞から血液中に分泌される微小物質「マイクロRNA」の変動パターンが、ガンの有無の判別に使えることを突き止め、13種類のガンで正解率95%以上という検査法を開発していました。

この検査法で、卵巣ガン患者の428人とほかのガン患者、およびガンがない人を合わせた4046人の血液を使って、卵巣ガンの判別精度を調べました。その結果がんの進行度を4段階で示すステージ別では、初期の1期で95.1%、2~4期では100%判別できました。

この結果について血液を使ったガンの早期発見の研究者は、「4000例を超えた大規模解析で非常に信頼度の高い成果と言えます。卵巣ガンと健常者のほか、他のガンとも区別できることを示した点が重要な発見だ」としています。

こういった血液を使ったガンの判別は研究が進んでいるようで、私のところにも以前レナテックという会社から治験の参加依頼が来ました。

ここはメタロバランスといって血液中の微量金属の組成が、ガンによって若干異なることからガンを判別するというもので、千葉大学などと共同して開発を進めているようです。

こういった検査技術の開発時は、ガンであるのに正常と判断してしまうことが最も不味いことになりますので、それを避けるためにどうしてもガンでないのに疑いありという結果が出ることが多くなってしまいます。

これをフォールスポジティブ(偽陽性)といいますが、これを色々な工夫で減らしていくことが重要となるわけです。ですからこういった治験を受けると、疑いありという結果出ることが多いためその後の検査などが面倒になるので私は参加しませんでしたが、かみさんと友人が採血を受けました。

これが5月中旬頃でしたが、やっとその結果が届きました。かみさんは幸い大腸ガンや子宮ガンなど4種のガンについてすべてA判定という心配ないという結果でした。このメタロバランスという検査法がどの程度確実性があるのかわかりませんが、将来は実用化されるのかもしれません。

今回のガンセンターの卵巣ガンなども含めて、いつ頃一般的な検査法となるのかは分かりませんが、これからは負担の大きな内視鏡検査や細胞生検等に代わって、簡単な血液を調べるだけでガンの有無が分かる検査法が一般化されるのかもしれません。 

ホタル発光能力のなぞ解明

2018-10-28 10:14:05 | 化学
ホタルはきれいに光りますが、この能力をいつどのようにして手に入れたのかを解明しました。

基礎生物学研究所と中部大学のグループがホタルのゲノムを解読し、遺伝子の重複と変異によって発光に必要な酵素を獲得したことを明らかにしました。

ホタルは発光の基質である「ルシフェリン」を酵素である「ルシフェラーゼ」の触媒作用で酸化し、光るという仕組みは知られていましたが、こうした能力を獲得した過程は分かっていませんでした。

余談ですが、このルシフェリン-ルシフェラーゼというシステムはかなり昔から実験室では応用されていました。まだ遺伝子工学と呼ばれていた時代ですので、30年以上前の話です。

当時は色々な細胞に新しい遺伝子を入れるという実験が行われていましたが、目的の遺伝子が挿入されたかどうかの確認が難しい課題となっていました。そこで目的とする遺伝子にルシフェラーゼ遺伝子をつないだものを使用したのです。

この遺伝子を導入すると、処理の終わった細胞を顕微鏡で見ながらルシフェリンを加えるのです。遺伝子導入が成功した細胞は、ルシフェラーゼが発現しますので、ルシフェリンによってホタルのように光出すことができます。

私もこの顕微鏡を見せてもらったことがありますが、散らばった細胞の中のあちこちにホタルのような淡い光を放つ細胞があり、なかなか幻想的なものでした。このように全くの素人でも細胞への遺伝子導入が成功したものを選別できるようになったわけです。

さて研究グループは、雌のヘイケボタルのゲノムを解読しました。発光しない生物にも存在する脂肪酸代謝酵素の遺伝子が重複を繰り返し、ルシフェラーゼに変異したことを突き止めました。

またアメリカマサチューセッツ工科大学と共同で北米産ホタルのゲノムを調べたところ、ヘイケボタルと共通の進化の跡が見られました。1億500万年前に両種が分岐する以前の共通の祖先が、ルシフェラーゼを獲得したと考えられるようです。

このような遺伝子重複による進化は、従来仮説にも符合し、医療などで応用が進む化学発光検出システムの改良にも役立つとしています。

ここではルシフェリンについては触れていませんが、これは3種のアミノ酸から合成される比較的簡単なイミダゾピラジノンという化合物ですので、広く生物界には存在しているのかもしれません。

こういった化合物を使って発光するという面白い性質が発光生物にはどんな役割があるのかも興味が持たれる部分です。


急増している前立腺ガン

2018-10-27 10:22:20 | 健康・医療
PSAというガンマーカーの検診が普及し、前立腺ガンの患者が急増しているようです。

泌尿器科で治療するガンのことを総称して「泌尿器ガン」と呼んでいますが、代表的なものが前立腺ガン、腎ガン、膀胱ガン、精巣ガンとされています。特に多いのが男性に特有の前立腺ガンで、国立ガン研究センターが公表したデータによると、2016年の罹患者数は9万2600人と予想されています。

この数は男性に限ると、全ガンの中で1位となり、そのほか腎・尿路が2万9400人、膀胱が2万1900人となっています。前立腺ガンは、罹患者数は多いものの死亡者数は少なく、1万2300人となっています。

PSAは4ng/mlを超えると前立腺ガン、前立腺肥大症、前立腺炎の可能性があるとされ、前立腺ガンの疑いがあるときは、肛門近くから針を刺して組織を採る針生検などの精密検査が行なわれます。

私の周りでも3人が前立腺がんと診断され、全員手術を受けています。近くの友人はそれほど悪性と診断されたわけではないのですが、お父さんが前立腺ガンで亡くなっているため、念のため手術をしたと言っていました。しかし体の組織を採るというのはやはり大変なようで、その後排尿などに悩んでいるようです。

PAS検診で多くの前立腺がんが見つかっていますが、この中には進行がゆっくりで、生涯にわたり生命に悪影響を与えないガンが多く含まれています。このようなガンを「ラテントガン(潜在ガン)」と呼びます。

実際、前立腺ガン以外の病気でなくなった高齢者を解剖すると、約2割にラテントガンが見つかると言われています。その為最近では、75歳を超えるような高齢者の場合は、前立腺ガンと診断しても悪性度が高くなければ手術はせず、経過観察やホルモン療法だけで様子を見ることも多くなっているようです。

定期的にPAS検査や針生検を行って、病状が悪化したと判断した場合に治療を検討する方法をPSA監視療法(待機療法)と呼びます。体に負担をかける過剰な治療を受けないためにも、こうした選択肢も重要なようです。

ガンが前立腺内に留まる段階で根治を目指す治療を受ける場合には、前立腺を全適する手術か放射線治療を選ぶことになります。手術は従来の開腹手術だけでなく、腹腔鏡手術やミニマム創内視鏡手術があり、近年はロボット手術の選択肢も出ています。

こういった体の負担を減らす術式も開発されていますので、治療の選択肢はどんどん増えていくのかもしれません。私の場合はもう歳ですので、PSA監視療法で済ませることになりそうです。