冷暖房に囲まれて暮らしている我々とは違って、野の生き物たちは気温の変化に敏感です。
地球温暖化で気温が上がれば、昆虫たちの暮らしも変わり、寒い北の冬をこれまで越せなかった南の昆虫たちも、その生息域を北に広げています。
国内で有名なところでは、南方系のチョウであるナガサキアゲハ、蚊の仲間のヒトスジシマカ、南方のセミだったはずのクマゼミは大坂ではもうメジャーで、関東で聞くことも珍しくなくなっています。
そこにもともといた昆虫の生活にも地球温暖化の影響が出ているかという実例を、京都大学の研究グループが発見しました。夏の間に卵を産んでその子がすぐに育つ「年に2世代」のコオロギが、同じ種類だが「年に1世代」のコオロギが暮らす北方に分布を広げていることが分かりました。
研究グループが注目したのは、日本全国に分布している「シバスズ」というコオロギの仲間で、2015~17年に全国調査を行いました。これによるとシバスズの体の大きさは、九州などの南のシバスズの方が、例えば関東あたりより大きく、成長に適した暖かい期間が長いためです。
ところが関東より北の東北になると、再び大きなシバスズが主流となっていました。これは南のシバスズは年に2世代で、生まれて成長して卵を産んで死ぬというライフサイクルを、夏から秋にかけて2回こなさなければいけないためです。
従って南から北に向かって急に身体の大きなシバスズが増える頻度は、年に2世代から年に1世代へのちょうど変わり目になっていると考えられます。その代り目の緯度は、地球温暖化で移動しているのかということがポイントとなりました。
問題は、シバスズの体の大きさに関する過去のデータがなければ比較ができないわけです。それが1970年代の弘前大学の調査記録が残っており、当時の調査でも同様の傾向が出ていました。
研究グループはこの両者を比べたところ、1970年代には北緯34~39度のあたり、つまり四国から東北中部のあたりにあった変わり目が、今回の調査では北緯36~40度のあたりまで北上していました。
この40年ほどで緯度にして2度ほど北にずれたことになります。これが本当に気温の上昇によるのかは難しい問題のようです。降水量が変わったりエサとなる動物や植物が北上したからそれを追っただけかもしれません。
このあたりは他の気象データの解析などいろいろ複雑な分析を行い、年に2世代のシバスズはやはり気温の上昇で分布を北に広げた可能性が高いと結論しました。
昆虫の生態という点では非常に面白い研究で、こういった方向から害虫の分布の変化などの対応が取れるのかもしれません。
地球温暖化で気温が上がれば、昆虫たちの暮らしも変わり、寒い北の冬をこれまで越せなかった南の昆虫たちも、その生息域を北に広げています。
国内で有名なところでは、南方系のチョウであるナガサキアゲハ、蚊の仲間のヒトスジシマカ、南方のセミだったはずのクマゼミは大坂ではもうメジャーで、関東で聞くことも珍しくなくなっています。
そこにもともといた昆虫の生活にも地球温暖化の影響が出ているかという実例を、京都大学の研究グループが発見しました。夏の間に卵を産んでその子がすぐに育つ「年に2世代」のコオロギが、同じ種類だが「年に1世代」のコオロギが暮らす北方に分布を広げていることが分かりました。
研究グループが注目したのは、日本全国に分布している「シバスズ」というコオロギの仲間で、2015~17年に全国調査を行いました。これによるとシバスズの体の大きさは、九州などの南のシバスズの方が、例えば関東あたりより大きく、成長に適した暖かい期間が長いためです。
ところが関東より北の東北になると、再び大きなシバスズが主流となっていました。これは南のシバスズは年に2世代で、生まれて成長して卵を産んで死ぬというライフサイクルを、夏から秋にかけて2回こなさなければいけないためです。
従って南から北に向かって急に身体の大きなシバスズが増える頻度は、年に2世代から年に1世代へのちょうど変わり目になっていると考えられます。その代り目の緯度は、地球温暖化で移動しているのかということがポイントとなりました。
問題は、シバスズの体の大きさに関する過去のデータがなければ比較ができないわけです。それが1970年代の弘前大学の調査記録が残っており、当時の調査でも同様の傾向が出ていました。
研究グループはこの両者を比べたところ、1970年代には北緯34~39度のあたり、つまり四国から東北中部のあたりにあった変わり目が、今回の調査では北緯36~40度のあたりまで北上していました。
この40年ほどで緯度にして2度ほど北にずれたことになります。これが本当に気温の上昇によるのかは難しい問題のようです。降水量が変わったりエサとなる動物や植物が北上したからそれを追っただけかもしれません。
このあたりは他の気象データの解析などいろいろ複雑な分析を行い、年に2世代のシバスズはやはり気温の上昇で分布を北に広げた可能性が高いと結論しました。
昆虫の生態という点では非常に面白い研究で、こういった方向から害虫の分布の変化などの対応が取れるのかもしれません。