このブログでもアルツハイマー病をよく取り上げますが、私が76歳と発症する可能性が出てきたからかもしれません。
2021年にアメリカで画期的な新薬が承認されましたが、非常に高価である点や飲むことが出来ないといった問題点があります。超高齢化社会を迎えて、認知症の予防や治療は存続可能な社会を維持するために重要な課題です。
今や高齢者の7人に1人は認知症であると推計されています(2018年厚生労働省)。認知症の多くは神経変性疾患と言って、神経細胞の中や外に老廃物が溜まって神経細胞が死んでいくために起こります。
アルツハイマー型認知症では、アミロイドβというタンパク質の一種が重合して蓄積します。これが原因であれば、アミロイドβを除いてやれば、認知症は改善するでしょう。
1999年、アメリカのグループが、アミロイドβが蓄積しやすいマウスモデルを用いて、アミロイドβをワクチンとして投与するという実験を行いました。その結果、マウスの体内でアミロイドβに対する抗体がつくられ、脳の中にたまったアミロイドβを取り除くことができたことを報告しました。
これのヒトでの臨床試験を行いましたが、ワクチン接種を受けた患者の数パーセントで、脳を覆っている髄膜に炎症が起こる重大な副作用が見られたため、臨床試験は中止になりました。そこでアミロイドβに対するモノクローナル抗体を体内に投与する方法が試されました。
かなり失敗が続きましたがようやく2021年に前述の新薬が開発されました。アミロイドβは、元になる大きなタンパク質が分解酵素によって切断されて生じます。この時アルツハイマー病の脳では、切断末端がピログルタミル化という修飾を受けます。
これが凝集の核となると考えられており、これに結合する抗体も開発されています。加齢とともにアミロイドβが沈着するのは、アミロイドβの発現が年齢とともに上がっていくこともありますが、アミロイドβを除去する機能が衰える可能性が指摘されています。
アミロイドβを除去するのはミクログリアです。ミクログリアが持つアミロイドβ受容体としてTREM2が知られています。TREM2に異常があると、アミロイドβを除去できずアルツハイマー病を発症しやすくなります。
このようにアミロイドβを除去するメカニズムはいろいろ分かっており、これを助ける薬剤の開発も進んでいるようです。しかしどうしても抗体医薬の方向に向いてしまい、高価で投与しにくいという問題は残ってしまうようです。
それでも高齢マウスで脳の若返りを起こすなど、進展していますので、認知症予防も夢ではなくなるのかもしれません。
2021年にアメリカで画期的な新薬が承認されましたが、非常に高価である点や飲むことが出来ないといった問題点があります。超高齢化社会を迎えて、認知症の予防や治療は存続可能な社会を維持するために重要な課題です。
今や高齢者の7人に1人は認知症であると推計されています(2018年厚生労働省)。認知症の多くは神経変性疾患と言って、神経細胞の中や外に老廃物が溜まって神経細胞が死んでいくために起こります。
アルツハイマー型認知症では、アミロイドβというタンパク質の一種が重合して蓄積します。これが原因であれば、アミロイドβを除いてやれば、認知症は改善するでしょう。
1999年、アメリカのグループが、アミロイドβが蓄積しやすいマウスモデルを用いて、アミロイドβをワクチンとして投与するという実験を行いました。その結果、マウスの体内でアミロイドβに対する抗体がつくられ、脳の中にたまったアミロイドβを取り除くことができたことを報告しました。
これのヒトでの臨床試験を行いましたが、ワクチン接種を受けた患者の数パーセントで、脳を覆っている髄膜に炎症が起こる重大な副作用が見られたため、臨床試験は中止になりました。そこでアミロイドβに対するモノクローナル抗体を体内に投与する方法が試されました。
かなり失敗が続きましたがようやく2021年に前述の新薬が開発されました。アミロイドβは、元になる大きなタンパク質が分解酵素によって切断されて生じます。この時アルツハイマー病の脳では、切断末端がピログルタミル化という修飾を受けます。
これが凝集の核となると考えられており、これに結合する抗体も開発されています。加齢とともにアミロイドβが沈着するのは、アミロイドβの発現が年齢とともに上がっていくこともありますが、アミロイドβを除去する機能が衰える可能性が指摘されています。
アミロイドβを除去するのはミクログリアです。ミクログリアが持つアミロイドβ受容体としてTREM2が知られています。TREM2に異常があると、アミロイドβを除去できずアルツハイマー病を発症しやすくなります。
このようにアミロイドβを除去するメカニズムはいろいろ分かっており、これを助ける薬剤の開発も進んでいるようです。しかしどうしても抗体医薬の方向に向いてしまい、高価で投与しにくいという問題は残ってしまうようです。
それでも高齢マウスで脳の若返りを起こすなど、進展していますので、認知症予防も夢ではなくなるのかもしれません。