ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

加熱より冷却が難しいと感じられる理由

2024-04-30 10:35:12 | その他
私の家ではまだエアコンは暖房用に使っており、冷却することはありませんが、何故温度を下げることができるのかについてはほとんど知っていません。

ここでは冷蔵庫などが冷える仕組みについての解説記事を紹介します。一般に加熱より冷却の方が難しいと言われていますが、熱から仕事を作り出す熱機関は多種多様なものがあるのに対して、冷却器はあまりバリエーションがありません。

エアコンは気体や液体などを使って熱を交換することで、室内の温度を下げたり上げたりする空調機器です。熱を移動させるための流体のことを冷媒と言います。エアコンではおもに水素とフッ素と炭素の化合物が冷媒として使われています。

まず室内機の熱交換機で部屋の暖かい空気を集め、冷媒を暖めます。熱せられて冷媒は室外機に送られ、圧縮機で圧力をかけることでさらに高温になります。高温になった冷媒は、室外機の熱交換機を通過する際に外気に熱が伝わり、ファンによって暖かい風が室外へ放出されます。

低温になった冷媒はさらに減圧気を用いることで、体積が元のサイズになることによってさらに低温になります。この様にして冷やされた冷媒は、室内機に送られ熱交換器を通過して冷たい風を吹き出します。

現実のエアコンではより効率的な冷却を行うために、単に冷媒を圧縮することで高温にするだけではなく、気体が液体になるときの潜熱を用いてより大きな熱の交換が行えるよう工夫しています。

潜熱とは個体から液体へ、液体から気体に物体が変化する時、温度上昇を伴わない状態で変化する際に費やされる熱のことをいいます。文字通りに温度上昇を伴わない「潜んでいる熱」のことです。

身近な例では、注射する際に腕を消毒アルコールで拭くと冷たく感じるが、これも液体であるアルコールが気化するときに腕から熱を奪っていくからで、これも潜熱が起こす現象です。エアコンでは、気体の冷媒に高圧をかけて圧縮すると高温を発し液体に変化します。

この液体が減圧されて再び気体に戻る際には、消毒アルコールの例と同じように、周りから熱を奪っていきます。このように冷却器は、圧縮によって生まれる放熱と、減圧による冷媒の気化によって生まれる吸熱を利用することで、その冷却効果をさらに高めています。

この程度の説明ではあまりピンときませんが、冷却器が潜熱をうまく使って冷やしているという事のようです。

それでも1台で加熱と冷却がどちらでもできるエアコンは、考えている以上に優れた機器なのかもしれません。 

人工関節の技術革新で広がる選択肢

2024-04-29 10:33:54 | 健康・医療
私の知人は数年前からひざに痛みが出て、色々な病院に行ったようですが良くならず、現在は杖に頼っています。

根本的に治すには人工関節しかないようですが、まだ踏み切れずにいるようです。人工関節の機械的耐久性はかつて10〜20年程度といわれ、手術後における患者の負担もあったので、人工関節置換手術は原則1回、70歳前後にタイミングを見てとされていました。

これは平均寿命と人工関節の耐久性を約15年とした場合、70歳前後に手術を受けた方が人工関節を再び取り換える再置換手術の可能性が低くなるという考えに基づいていました。しかし近年の人工関節の技術革新により、状況は大きく変化しています。

1990年代以降、人工関節の製造技術の進歩に加え、改良を重ねて耐久性や安全性は目覚ましく向上しました。人工関節のデザインや形状の適合性や材料の表面処理技術の進歩によって、骨との固着性能も格段に良くなりました。

さまざまな技術革新によって、現在では通常の生活を送っている人の場合は平均20〜30年間の使用にも耐えられるようになりました。50〜60代はもちろん、40代でも生活レベル向上のために人工関節に置換する人が増えています。

平均寿命は今後も伸びると見込まれており、70歳以上であっても社会活動や趣味、スポーツなど積極的に活動したいという人が増加しています。そんな事情を反映してか、90歳以上で手術を受けられる人もいるようです。

こうした状況により、現在日本では1年間に約10万5000件の人工膝関節、約8万5000件の人工股関節が埋め込まれており、10年前に比べると手術件数は1.5倍程度まで増加しています。

また個々の患者に最適な形状や特性を発揮できる超長寿命型カスタマイズド人工関節の研究開発が、国家プロジェクトとして進められており、近い将来の導入が期待されています。それでも現在の最新の人工関節でも永久に使用できるわけではありません。

術後長期間経過したり、労働や運動によって間接に過剰な負担がかかったりして、人工関節の変性、摩耗、破損などが生じると、再度置換手術が必要になる場合もあります。近年の人工関節の発達や置換手術法、リハビリの手法の進歩により、再置換手術の成功率も向上しています。

さらに先進テクノロジーを駆使した手術支援ロボットの導入などによって、より正確で安定した生活のできる手術が可能となりました。

この様に人工関節技術は大いに進歩しましたので、膝や腰が痛い時など人工関節というのが簡単な選択肢になったと言えるのかもしれません。

麻疹ワクチン「1回だけ接種」の人は要注意

2024-04-28 10:31:58 | 健康・医療
各地で麻疹(はしか)の報告が増えているようです。私の年代では子供のうちにしっかり接種しているはずですし、子供がはしかに罹った経験もありますので、まず大丈夫とは思いますが、若干気持ち悪い部分もあります。

現時点では感染経路を追うことができていますが、感染者数が増えてくると、どこで感染したか分からなくなってしまう可能性があります。特に感染した人が中途半端な免疫を保有していると、「修飾麻疹」という状態になるため注意が必要です。

麻疹は定期で2回に分けてワクチンを予防接種します。しかし忙しい、忘れてしまったなどの理由で2回目接種が行なわれないことがあります。

子供のころに1回だけワクチン接種しているなど、麻疹に対して中途半端な免疫を持っている場合、麻疹ウイルスに感染すると、軽症で典型的でない麻疹を発症することがあります。こうした麻疹を「修飾麻疹」と呼んでいます。

症状は軽症になり、経過が通常の麻疹と異なるため、他の発疹性疾患である風疹などと誤診されやすくなります。修飾麻疹の感染性は通常の麻疹より劣りますが、それでも感染性があることには間違いなく、微熱とブツブツがある場合一度は疑う必要があります。

実際に診断することは難しく、医師が麻疹の抗体検査やウイルスゲノムを検出する検査を行うことで診断できます。麻疹について知らない世代が親になっていることもあって、全国的に接種率が年々低下傾向にあるというのも問題のようです。

定期接種されて、現在ではほとんど感染者がいないのに、なぜ麻疹が数例報告されてだけで報道されるのでしょうか。理由の1つとして、「子どものありふれた感染症」「幼少期に感染しておけば大丈夫」という誤解が過去にあったため、軽視している人が多いためです。

麻疹は免疫を有さない状態では感染率が100%の病原性が高いウイルスで、脳炎などを起こしたり、場合によっては亡くなったりすることもある怖い病気です。その他の理由として、免疫を持っていない人がたくさん存在することが挙げられます。

定期接種でさえ2回の接種が十分できていない地域があるようです。子供のころにワクチンを接種するという習慣が、麻疹では中止になってしまったようですが、この辺も麻疹に対する過去の誤解にもとづくものかもしれません。

現在の親世代からかなりの部分が未接種となっているようですが、新型コロナワクチンの多重接種などが重なっているため、積極的に接種しようという気が起きないのかもしれません。

健康食品の体にいい成分は本当なのか

2024-04-27 10:34:32 | 健康・医療
機能性表示食品についてこのブログでも取り上げましたが、私はこういった「健康食品」は全く摂取したことがありません。

ひとつには普通に食事をとっていて、なにか特定の栄養素などが不足することはないと考えられるからです。また単に飲むだけの味も何もないものが、健康食品というのも奇妙な話です。

それでも健康に良いとされる健康食品類が、毎日テレビやネットなどを通じて大々的に宣伝されています。病気の予防や健康維持に有効ではないかとされる物質が「機能成分」としてもてはやされ、それを摂取すれば容易に健康が得られるような「錯覚」に導いている気がします。

健康食品は表向きはあくまで食品なので、どのような良いことがもたらされるかについて明記することはできません。そこで「行間を読ませる」手法が用いられています。

たとえば「若々しくありたい方に〇を」と書いているだけなのに、「〇で若々しくなれる」と思ってしまう、「△を減量のお供に」とあれば、「△で減量できると」解釈してしまうのは、まさに行間を読まされているからです。

健康食品が展開する巧妙な広告は、普通の食事だけでは何かが足りないかのように不安をあおり、健康維持には機能性成分を配合した健康食品が欠かせないと、消費者の購買欲をそそります。

しかし身体によかれとの思いから摂取したそれが、実は余計なもの、危険なものかもしれないことへの関心は低いようです。

科学的根拠の有無にかかわらず、健康食品の「有益性」に関する情報だけは大量に提供されている一方、「有害性」に関する情報に消費者が接する機会が極めて乏しいことがその一因でしょう。

いわゆるトクホなどの健康食品の登場から長い時間が経過しましたが、これらが国民の健康状態の向上に寄与しているのか否かについては何の検証も行われていません。食事は適正量をとるが何よりも大切なことです。

ところが世の中の関心は、食品中の微量成分いわゆる機能性成分に向けられています。機能性成分を摂取すればあたかも機能性が得られるかのような大いなる誤解が蔓延しています。特にこの30年ほどは、その蔓延を助長するような制度が作られてきました。

ラットにゴーヤの乾燥粉末を添加して約5週間食べさせたところ、血糖値が30%低下したという研究があります。しかしこの実験でラットが食べたゴーヤの量を体重50キロのヒトに換算すると9.5キロに相当するのです。

つまり常識的な量のゴーヤを食べても血糖値が下がることはないのです。こういったことも健康食品の問題につながっているのかもしれません。

私は健康食品をとることはないのですが、これからますます健康食品は増えていきそうな気がします。

高学歴な人とそうでない人、どちらが長生き

2024-04-26 10:32:20 | 健康・医療
私は学位(博士号)をとっていますので、高学歴に分類されそうです。実は日本では博士号をとってもほとんど意味がありませんでした。

研究職と言ってもサラリーマンですので給料が上がるわけではなく、なんの変化もありませんでした。こういった学歴と長生きに関係があるとは思われませんが、国立がん研究センターが日本人の教育歴ごとの死因別死亡率の推計を発表しました。

その結果教育歴が短いと死亡率が高いという傾向が出たようです。がんセンターは2010年の国勢調査と10年から15年の人口動態調査の死亡表に共通してもうけられている、性別生年月などの5項目が一致するデータを同一人物とみなし、30〜79歳対象に死因別死亡率を分析しました。

その結果教育歴が短い群(小学・中学卒業者)は、教育歴が長い群(短大・大学・大学院卒業者)に比べて男性で1.36倍、女性で1.46倍、死亡率が高いことが分かりました。

疾患別で差が大きかったのは、男女とも脳梗塞や脳出血といった脳血管疾患、肺ガン、心筋梗塞などの虚血性心疾患、胃ガンでした。同センターは教育歴の長さが喫煙や塩分の取りすぎなど、生活習慣の違いと関連しており、死亡率の差に繋がっていると分析しています。

厚生労働省の国民生活基礎調査では、教育歴が短い人は喫煙率が高く、ガン検診の受診率も低いことが分かっています。また別の調査では、所得が低い人ほどバランスの良い食生活ができていませんでした。

教育歴が長い方が死亡率が高いという疾患もありました。女性の乳ガンで、別の研究では出産経験がない、出産回数が少ない初産の年齢が高いことなどが、リスク要因として明らかになっています。同じリスク要因が指摘されている子宮体ガンでも、同様の傾向が見られました。

今回日本のデータを初めて出したことで、国際的な比較ができるようになりました。例えばオーストラリアの教育歴により死亡率の差は、男性2.2倍、女性1.64倍で日本より高くなっています。

ガンによる死亡率に限ると、日本は男女とも教育歴による差は1.10倍でしたが、アメリカでは2.29倍でした。

欧米と比べて日本での格差が小さいことについて、安全な水や食料など衛生水準が高いことや、国民皆保険制度により誰でも適切な医療・保険サービスを受けられることが寄与している可能性があると分析しています。

このような教育歴と死亡率の結果を見ると、この調査研究が本当に必要なものかが疑わしいような気がします。これが出たからと言って何か対処の方法があるわけではないし、単なる研究者の自己満足のような気がします。