ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

増加している前立腺ガンとPSA検査の活用

2023-04-30 10:34:57 | 健康・医療
私の友人・知人の中にも前立腺ガンは多く、3人ほど手術をしています。

術後の経過は良いのですが、排尿時の問題などいわゆる後遺症が出ているようです。なかなか詳細については聞けませんが、かなりQOLが低下していることは確かで、友人は尿の回数が増えるといって好きなビールもほとんど飲まなくなってしまいました。

この辺りは公表されることが少ないのですが、術後の後遺症というのは大きな問題のような気がします。前立腺がんは転移の無い段階で発見されれば、経過が非常に良いガンとして知られています。

国立ガン研究センターのまとめでは、ステージ1〜3なら、5年生存率はほぼ100%としています。前立腺ガンの患者は増加しており、新たに診断された人は2000年は2万人ほどでしたが、2019年には4倍以上の9万4700人になり、男性では患者数が最も多いガンになっています。

PSAは前立腺特異抗原の略語で、この抗原は男性特有の前立腺で作られるタンパク質です。多くは精液中に分泌されますが、ごくわずか血液中にも取り込まれるため、血液中の抗原の量を調べます。

日本泌尿器学会のガイドラインでは、50〜64歳は3.0ナノグラム、65〜69歳は3.5、70歳以上は4.0を基準としてこれを上回る場合は専門医を受診し、精密検査を行う流れになっています。

精密検査はMRIを見たり直腸診をしたりして、最終的には前立腺生検でガンかどうかを確かめます。これは痛みを伴うこともあり、実施するかどうか慎重に検討するようですが、私はやりたくない検査のひとつです。

主な治療法はPSA検査を定期的に行いながら経過を見る「監視療法」や、手術、放射線、ホルモン療法、化学療法があり、複数を組み合わせることもあるようです。

PSA検査の数値は、前立腺ガンだけでなく前立腺肥大症や前立腺炎でも上がります。基準を超えたとしても10.0ナノグラム程度までなら、ガンの発見率は25〜40%とされます。数値が上がるほどガンである可能性は高まりますが、検査には不確実性があることは確かなようです。

ガンの中には放置しても生命に影響がないものもあり、見つかることで無用な不安を覚えたり、過剰な治療を受けたりする恐れもあります。PSA検査を受ける際には、こうした利益と不利益を理解しておくことが重要です。

私は59歳ぐらいから2年に一度程度PSA検査をしていましたが、昨年から止めてしまいました。76歳になれば、前立腺ガンになったらあきらめるというのも、ひとつの選択肢ではないでしょうか。

私は前立腺ガンだけでなく、全てのガンに対してあきらめの境地となっています。 

日本はなぜ「薬漬け大国」になったのか

2023-04-29 10:37:31 | 
日本の高齢者が多数の薬を服用しているという話しは、このブログでも取り上げてきましたが、なぜ医師はたくさんの薬を処方するのでしょうか。

ひとつには日本人が薬好きであり、病院に行ってすぐ薬を処方されることを好むという部分はあるような気がします。

医者がたくさんの薬を処方するのは儲かるからという見方もありますが、現在の医療制度では院外処方のシステムが採用されており、医者は処方箋料しか手元には入りません。

医者が薬を多く処方する大きな理油は、医者の多くが自分の専門外の病気についてよく分かっていないという見方もあるようです。

たとえば糖尿病内科の医者は糖尿病については対処法もよく分かっており、薬をなるべく使わずに生活習慣を見直しながら数値を正常にしようと治療を行うことができます。しかしその患者が高血糖に加えて高血圧も併発している場合は、良い対処法が分からないためすぐに血圧を下げる薬を出してしまうのです。

このあたりは現代医療の問題点で、あまりにも専門化が進み過ぎて自分の専門領域外の知識を学ぶ機会がないためといえるようです。結局自分の専門外の病気を併発している場合は、ガイドブックを参照して医療業界の標準治療とされる治療を採用し多くの薬を処方することになるわけです。

高齢者の場合は2つ、3つは病気を抱えているものなので、結果的に処方する薬の量が多くなってしまうわけです。もうひとつ医者が薬をたくさん出すのは「保身」という側面もあるでしょう。

標準治療として決められた薬の種類や量を出しておけば、万が一副作用などでその患者の身に何があっても、医療ミスとはならないわけです。薬については、個人差を考慮しない医師が多いのも問題だと感じています。

身長や体重が人によって違うように、本来ならば人によってクスリの適正量は違っているはずです。しかし日本の医師は成人であれば、70キロの中年男性であろうと40キロの80代の女性であろうと、同じ分量の薬を処方するのが当たり前となっています。

薬の適正量は主に若い男性での臨床試験を基に体重1キロ当たりの量として決められ、成人は60キロとして子供は体重に合わせて使用量が決められているのです。そこから私は小児科があるように、老人科を設置すべきと考えています。

高齢者は臓器の機能が衰え、薬の代謝や排泄が悪くなるなど多くの問題がありますが、この辺りはタイトルとずれてしまいますので、別な項目で触れたいと思っています。

それでも現在は高齢者だけではなく、多剤服用があまりにも多い感じがします。多くの薬を処方する医師の問題だけではなく、薬好きの日本人でも患者も問題意識を持ってほしいと感じています。

未だに多くの謎に包まれた「しゃっくり」の話し

2023-04-28 10:36:29 | 自然
「しゃっくり」という現象に悩まされることは多いと思いますが、未だに多くの謎に包まれているようです。

私はしゃっくりが出ると息をいっぱいに吸い、息を止めて肺に力を加えるという方法をやっていますが、息を吐いた瞬間に出てしまうなどあまり良い止め方とはいえないようです。

しゃっくりは自然に止まるものと思っていましたが、米国では年間4000人ぐらいがしゃっくりが原因で医療機関を受診しているそうです。

膝の皿の下を軽くたたくと足が跳ね上がりますが、しゃっくりもこれと同じ反射運動で、哺乳類全般にみられる現象でイヌやウマやウサギも例外ではありません。しゃっくりは、横隔膜と脳をつなぐ神経経路を信号が繰り返し行き来することで起こります。

横隔膜は胸腔と腹腔を仕切る膜状の筋肉です。これが何らかの刺激によって急激に収縮して下がると、空気を吸うときと同じように胸腔の容積が増します。そして肺に空気が吸い込まれるとほぼ同時に、反射によって喉頭蓋が素早く閉じられ「ヒック」という音が出ます。

これがしゃっくりで、この現象は反射が止められるまで続きます。たいていの場合しゃっくりは横隔神経や迷走神経が刺激されることで起きます。いずれの神経も人類の祖先である魚類や両生類で発達したものです。

この魚類や両生類ではしゃっくりが必要な動作であったものの名残といえそうですが、哺乳類は赤ちゃんだったころの名残という説もあります。哺乳類の赤ちゃんは乳を飲みますが、赤ちゃんは大人よりも頻繁にしゃっくりをします。

このときしゃっくりはげっぷと同様に胃に溜まった空気を反射的に外に出すのに役立っているという説です。しゃっくりを頻繁にするのは赤ちゃんだけでなく、妊娠10週目の胎児もしゃっくりをします。

これについては専門家はしゃっくりをすることで胎児の脳は身体のさまざまな部分の位置を覚えているという仮説を立てています。胎児はしゃっくりをすることで、誕生後すぐに元気よく呼吸ができるように練習していると考えられるようです。

さてしゃっくりはたいてい2日以内に自然と治まります。長引くしゃっくりには、脳腫瘍など深刻な病気が隠れている可能性もあります。また難治性のしゃっくりは、ガンの化学療法やステロイド剤の使用でよく見られる副作用であり、患者が51歳以上の男性だと9割以上で現れます。

しゃっくりの治療薬も試されており、筋弛緩剤や横隔膜の痙攣を抑える薬、神経の反応を変える薬などがありますが、「質の高い証拠」は不足しているという評価のようです。

ここではしゃっくりを止めるための工夫は省略しますが、どんな方法でもそれなりの効果はあるそうです。結局原因などよく分からないようですが、ある意味自然現象として捉え、自然に治まるのを待って問題はないといえるようです。

ガンを狙い撃ちする微生物を複数発見

2023-04-27 10:38:52 | 健康・医療
生命誕生から40億年といわれていますが、最初は微生物のような単細胞生物から始まり、ヒトのような多細胞生物に進化したと考えられています。

ヒトの身体で暮らす微生物は約100兆といわれており、ヒトの細胞のおよそ37兆より圧倒的に多くなっています。太古の祖先による海から陸上への進出も、腸内に微生物がいたことで果たせた可能性があるようです。

このようにヒトの身体のいたるところに微生物は存在するのですが、それをガン治療に応用しようとする研究が行われています。固形ガンといわれる大きな塊になるガンは、その中心が酸素不足になるため壊死していくことが知られています。

ジョンホプキンス大学の研究チームは、嫌気性の微生物を使ってガン細胞を攻撃する手法を研究しています。注目したのがクロストリジウム・ノビィという酸素の無い場所を好み、本来は土の中に暮らし土の中の脂肪分をエネルギーにしている細菌です。

この細菌が血管に取り込まれた場合、そこには十分な酸素が存在するため、分裂や増殖をすることはできません。この細菌は酸素のある環境では不活性であるだけでなく、「芽胞殻」と呼ばれる硬い膜を鎧のようにまとって酸素をしのぐことができるようです。

ガン細胞に流れ着くと、この細菌は鎧を脱いで本来の姿に戻り、どんどん分裂して大増殖します。腫瘍には酸素が少なく、クロストリジウム・ノビィは人体では腫瘍の内部だけで生きていける微生物であり、この菌はガンにだけ作用することができるわけです。

腫瘍までたどり着くと、この菌はエネルギーを得るため脂肪を分解する酵素を作り始めます。この酵素にはガン細胞を壊す働きがあり、ガンだけを狙い撃ちにできるかもしれないのです。

いくつかの臨床試験では、劇的な効果を示すケースも出ているようです。ある女性は腹部の悪性腫瘍(肉腫)と、そこから肩に転移した腫瘍を持っていました。そこで肩の患部にこの菌を注入したところ、肩の腫瘍がほとんど消えてしまったのです。

残念ながらこの患者は腹部の悪性腫瘍の悪化によりまもなく亡くなってしまいましたが、この細菌の効果は希望の持てるものといえるようです。

この細菌以外にも他の研究グループによりサルモネラ菌の仲間、リステリア菌の仲間など、ガン治療に役立ちそうな微生物が複数見つかっています。こういった菌を用いた15の臨床試験が行われ、一般の治療で使用できる安全性が確かめられています。

このような微生物(嫌気性細菌)を用いたガン治療は始まったばかりですので、まだ多くの課題が残されていますが、新たな選択肢となることは確かなようです。

左利きの人は創造性が高い「利き手」と思考法

2023-04-26 10:33:58 | 自然
私は普通に右利きですが、左利きも10人に1人ぐらいといわれており、私の周りにもかなりいました。

何故「利き手」というのができるのかに興味を持っていますが、あまりそういった観点での研究はないようです。左利きの人が訓練して右手を使えるようになった人は多く、苦労しているのかもしれませんが何となくうらやましいと思っていました。

さて左利きの人は、右利きの人と思考方法が違う可能性があることが脳のスキャン画像の解析から明らかになりました。一部のタスクや機能について、左利きの人は右利きの人よりも脳の右半分が活性化する傾向が強いようです。

こうした脳の働き方の違いによって、左利きの人は想像力がより発揮されやすい可能性があると専門家は述べています。文字を書く時や食事をする時、あるいは歯を磨く時左右どちらの手を使うかは、大きな視点でみればそれほど重要な問題ではありません。

科学者たちは100年以上にわたって「人の利き手」について研究を重ねてきました。その研究からヒトの脳の働き方の違いに関する多くの知見が得られることを発見しました。

米ドレクセル大学の研究者は、左利きの人は脳の側性化があまり進んでいないことが、顕著な相違点だと解説しています。脳の側性化とは、人間の大脳が左右2つの半球に分かれており、それぞれの半球が異なる機能を担っているという概念です。

左半球は一般的に、話すことや書くこと、計算、言語、理解を担うとされています。右半球は代表的なものとしては、創造性や音楽のスキル、芸術的表現などの機能を担うと考えられています。

ところが左利きの人に関しては、こういったことが当てはまらないことが科学者の研究により判明しました。大半の左利きの人の場合は、言語に関するタスクを行う際にむしろ右半球が活発になります。

左利きの人は脳の左半球に頼る度合いが低いため、前述した脳の側性化があまり進んでないようです。利き手と顔の認識をテーマとした研究では、左利きの人が顔を観察する際に脳の左右の領域を使っていることが判明しました。

一方この研究に参加した右利きの人の場合は、顔の認識に使われる領域はおおむね右脳に限られていました。

こういった結果から、脳の側性化の度合いが違うため、左利きの人はより常識にとらわれない発想が可能で、創造性という意味で優位に立っているのかもしれないと指摘しています。

ここでは単に脳の活性化を見ているにすぎませんので、本当に創造性の高い分野には左利きが適しているのかは不明ですが、そういった点を追求していくとより詳しい脳の仕組みが分かってくるのかもしれません。