ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

緑内障の手術には視力低下のリスクがある

2024-07-31 10:28:43 | 健康・医療
最近は眼からの情報が圧倒的に多いため、楽しい老後を過ごすためには眼の健康は非常に重要です。私は今のところ眼の病気はないようですが、定期的に検査を受けようと思っています。

現在メガネをかけていますが、近視はひどくなくメガネの必要性はないのですが、老眼がひどくPC画面もよくみえませんので遠近両用のメガネをしています。

やはり怖いのは緑内障で、会社の大先輩は緑内障が原因で失明してしまいました。緑内障という病気は、レーザー治療や手術をしても症状が改善することはないようです。知人も目薬による治療をしていますが、全て眼圧を下げる目的で使われます。

目薬で3割程度眼圧を下げることができれば、70〜80%の患者は視野欠損の進行が抑えられます。しかし目薬によって目標眼圧まで下がっても、視野欠損の進行が止まらない患者が20〜30%存在するのも事実のようです。

新しい目薬に変更したり、追加で処方しても視野欠損の進行が止まらない場合には、目薬だけでなくレーザー治療や手術への移行を余儀なくされるケースが出てきます。目薬にも副作用による不調は存在しますが、レーザー治療や手術にははるかに大きなリスクが伴います。

特に視野の中心部が欠損している患者は、手術の影響で中心視野が少し欠けただけでも大きく視力が低下します。緑内障の研究は世界中で進められています。既に再生医療や遺伝子治療の分野では、緑内障を改善するきっかけになりそうな研究結果も示されています。

未来のために今ある視野をしっかり維持することが大切です。緑内障のレーザー治療や手術には多くの種類がありますが、それらはすべて眼圧を下げることを目的に行われます。

具体的には眼球内の房水の流れをよくするために、手術によってその詰りの原因を取り除いたり、新しい通り道を作るのです。房水の詰りを除去したり、新しい通り道ができれば、もちろん眼圧は下がりますが、それでも100%成功したとは言えません。

これは時間が経過すると、その部分が再び塞がってしまうことがあるからです。緑内障の基本治療は目薬です。目薬にも副作用はあるものの、手術と比べるとその危険性は微々たるものです。

しかし思う様に眼圧が下がらない、眼圧が極端に高い、視野欠損の進行が止まらない、進行のスピードが速いなどの場合は、レーザー治療や手術を勧めることになるようです。10,20代の若い世代の人は、緑内障になると初期であっても手術をすることが多くなります。

これは若い人が緑内障になる場合は、房水の流れが先天的に悪いという原因があることが多いためです。

このように緑内障の治療は基本的に眼薬ですが、やはり確実に眼圧が下がるような新薬の開発を願っています。

夫が年上の結婚が50年で80%も減少

2024-07-30 10:32:49 | 時事
このブログでも少子化問題は時々取り上げていますが、今後の日本を考えるうえでも早急に解決すべき問題と思っています。

現在の少子化対策は、子供の支援などが中心になっていますが、全く効果がないような気がしています。少子化は子供が生まれないことではなく、子供が生まれる環境が整わないつまり婚姻の減少にあるのではないかと思っています。

そういった点では何の施策もなく、今後ますます少子化は進んでしまうのではないかと危惧しています。最近この婚姻数につておもしろいデータが出ていました。

私が結婚したのはもう50年も前のことですが、当時は皆結婚世代で友人や知人でも結婚しなかったのは1人しかいません。結婚することが当然と考えていましたので、いつごろから結婚に躊躇するようになったのかよく分かりません。

この1970年代から現在までの夫が年上の結婚、同い年の結婚、妻が年上の結婚数の変遷がグラフとなっていました。1970年には夫が年上婚が年間60万組以上あり、同年婚や妻が年上婚は10万組もありませんでした。

確かに私の知人でも奥さんが年上は1組しかいません。こういった分類で現在までの推移を見ると、夫が年上婚は直線的に減少しており、2022年には15万組程度となっていました。同年婚や妻が年上婚はほとんど変化がなく、10万組程度で推移しています。

正確には1970年と2022年を比べると「夫年上婚」はマイナス48.5万組で、78%減となっています。なぜこれほどまでに夫年上婚が減ったかといえば、かつて皆婚を実現させていた結婚の社会的お膳立てシステム、つまりお見合いや職場結婚の比率が減少したからとしています。

この説には一理あるとは思いますが、若干疑問もあります。私の知人の中でお見合い結婚は1組もなく、職場結婚が1組あるだけです。多分色々な要因が組み合わさって、現在のような婚姻数になってしまったのかもしれませんが、これは十分検討する必要があるようです。

ここでは夫の年齢別初婚相手の平均年齢というデータも出ていました。たとえば夫の平均初婚年齢にあたる31歳の場合で、妻の平均年齢は29.5歳となっています。40歳の男性の場合、相手の平均年齢は36.3歳となっています。

40歳過ぎて20代の女性と結婚したいというのはかなり無理なことといえそうです。夫年齢が26歳までは、妻の年齢の方が上回る「妻年上婚」となっており、若くして初婚する男性は年上の「姉さん女房」と一緒になる傾向があるのかもしれません。

こういった面白い分析はいろいろできるのですが、20代以上の若者にどうしたら結婚の意欲が出すことができるかというのは、重要な課題ですがかなり難しい事なのかもしれません。

溶血性レンサ球菌による感染症はなぜ劇症化するのか

2024-07-29 10:33:20 | 健康・医療
最近劇症型溶血性レンサ球菌感染症、いわゆる「人食いバクテリア」の感染者が例年より増えていることがニューになっています。今年は半年で977人と昨年1年間の感染者数を上回っているようです。

劇症型レンサ球菌感染症はいわゆる人食いバクテリア症ともいわれ、1990年代から米国などでメディアが報じてから広く周知されるようになりました。しかし19世紀から猩紅熱として報告されている感染症の多くが、劇症型レンサ球菌感染症と考えられています。

この感染症は一般的な喉頭炎、中耳炎、傷の化膿、猩紅熱などを引き起こすA群溶血性レンサ球菌咽頭炎が劇症化し、身体の組織を壊死させ、多臓器不全や敗血症によるショックを引き起こすなどして重篤な症状になり、死亡するケースもある感染症です。

初期症状としては、手足の疼痛、むくみ、発熱、血圧低下などですが数十時間程度で急速に症状が悪化します。致死率は30%から40%といわれ、劇症型は30代以上の成人に多く、治癒してもリウマチなどの自己免疫疾患や腎炎といった後遺症が残ることがあるようです。

飛沫感染、接触感染、手や足の傷口から感染すると考えられる感染症ですが、なぜ劇症化するのか、どんな人が劇症化しやすいのか、そのメカニズムや理由などはまだよくわかっていません。

劇症化した患者は、同じような病態をたどるのではなく、レンサ球菌の遺伝子のわずかな差異と転写機構、それによって生じた多種多様な構造によって、感染したレンサ球菌ごとに異なった病態になると可能性が高いと以前から指摘されていました。

そのため治療戦略の策定が難しいのですが、最近のゲノム解析などから劇症型のレンサ球菌が産生する毒素が次第に分かってきています。レンサ球菌が持っているMタンパク質は、ヒトの細胞へ感染するために重要な役割を持っています。

またMタンパク質は、免疫機能から逃れるオプソニン作用があるため、レンサ球菌による劇症化に関係していると考えられてきました。この他にも感染力を強めるタンパク質がいくつか報告され、劇症型レンサ球菌は直接ヒトの細胞へ障害を及ぼす毒素を持っています。

そのひとつが細胞壁に穴を開ける細胞溶解毒素で、細胞へあけた穴から細胞外へ毒素を送り込んだり、溶血毒として血液凝固作用を妨げます。こういった何か単独の因子だけで劇症型になるわけではないようです。

劇症型でも予後が不良のレンサ球菌とそうでないものを識別することと同時に、何故レンサ球菌が多様な因子を持ち、劇症型を引き起こすように変化するメカニズムを明らかにすることが重要でしょう。

今回は触れませんでしたが、マスターレギュレーターの研究が進められています。

第5のガン治療法BNCTの普及が遅い理由

2024-07-28 10:34:10 | 健康・医療
私の高校時代からの友人が、先月突然亡くなりました。本人が周りには知らせるなという事で、詳しい事情は分かりませんが胃ガンだったようです。

昨年末には忘年会で楽しく飲みましたが、その時は元気でしたので急な発症だったのかもしれません。ガン治療は外科手術、放射線治療、化学療法の3本柱が基本となっています。

2014年には免疫チェックポイント阻害薬を使用し、自身の免疫を利用してガンと闘う第4の治療法が承認されました。さらに2020年にはBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)、2021年にはアルミノックス療法(光免疫療法)が保険適用されて診療が開始されました。

BNCTとアルミノックス療法は「第5の治療法」と呼ばれています。アルノミノックス治療の仕組みは、ガン細胞に特異的に結合する薬剤を患者に投与し、患部にレーザー光を当てることでレーザーと反応させ、ガン細胞だけを壊すというものです。

BNCTは、ガン細胞に取り込まれやすいホウ素の同位体を含んだ薬を投与した後、中性子線を照射し中性子とホウ素が反応してアルファ線という放射線の一種とリチウム粒子が発生し、2つのエネルギーによってガン細胞が破壊されるという仕組みです。

どちらもガン細胞だけを狙い撃ちするのが特徴で、正常な細胞への影響が少ないため従来の放射線治療や抗ガン剤に比べると身体的な負担は比較的軽くて済むとしています。

治療にかかる日数もアルミノックス治療では治療に2日、BNCTは1日、その後1週間の入院で経過観察をするため短期間で終わります。BNCTは東北BNCT研究センターにおいて保険診療で行われた頭頸部扁平上皮ガン55例の治療において、完全奏功26人(47%)、部分奏功13人(24%)で奏効率は71%でした。

問題はアルミノックス治療は実施可能な施設が全国約100カ所ありますが、BNCTは東北BNCT研究センターと大阪医科薬科大学にある関西BNCT共同医療センターの2カ所のみという事です。

BNCTのほうが良好な治療成績であることが分っていても、BNCT施設が遠いとの理由も一部あり、適応がある場合には全国的に施行可能なアルノミックス治療が優先されているようです。再発頭頸部ガンの予後は厳しく、10〜50%の人が半年ほどでなくなります。

東北BNCT研究センターの治療成績では、1年生存率が90%、2年は66%、またガンが完全に無くなったまま生存している無病生存率は2年で30%としています。

保険診療で受けられる確かな治療法であり、その対象となる患者にとっては希望となるはずのBNCTはなぜ施設がこんなにも限られているのでしょうか。

このあたりは開発経緯とも関連があるようですが、誰でも受けられるような施策を待ち望んでいると言えるでしょう。 

加齢で気になるもの忘れ、加齢と認知症の違いとは

2024-07-27 10:35:44 | 健康・医療
私も最近は物忘れが多くなり、昨夜の夕飯が思い出せなくなったりしています。それでもしばらく考えると思い出すことができていますので、まだ認知症にはなっていないようです。

しかし加齢によるもの忘れと認知症とはどこが違うのでしょうか。認知症の多くを占めるアルツハイマー病は、もの忘れから始まる進行性の疾患です。しかし歳をとれば程度の差はあるものの、誰もがもの忘れに直面します。

例えば昨日、お祭りで縁日に行ってかき氷を食べたとします。かき氷を食べたことは覚えているが、イチゴ味だったかメロン味だったか思い出せなくなります。

またたべた屋台はどの辺りにあったか程度なら、加齢に伴うもの忘れで、思いを巡らしたり何かヒントがあったりすれば思い出します。一方認知症の場合は、縁日に出かけたこともかき氷を食べたこともすべて忘れてしまうのが特徴です。

認知症のもの忘れは進行して判断力の低下を伴いますが、加齢によるものは重度化はしません。日常生活に支障が出てくると「認知症」と診断されます。記憶にはいくつかの種類があり、アルツハイマー病は短期記憶(新しい記憶)の喪失から始まるのが大きな特徴です。

記憶のタイプのうち瞬時記憶は、電話番号を確認してダイヤルするような極めて短い間の記憶で、数分から数日前の新しい記憶は短期記憶と呼ばれます。

長期記憶は意識にのぼる陳述記憶と、自転車に乗る、針仕事や物づくりなどの技能、ゲームやスポーツのルールに関わる手続き記憶(体が覚えたような記憶)に分けられます。陳述記憶はさらにエピソード記憶と意味記憶に区分されます。

アルツハイマー病では短期記憶から失われますが、長期記憶の障害はエピソード記憶から始まるケースが多く、手続き記憶は比較的長く保たれます。

認知症の初期症状としてもの忘れを上げましたが、いつ(日時・曜日・季節)、どこ(場所)、誰(人)の把握を見当識といいますが、見当識障害は一般的に、時→場所→人の順で進行します。

軽度認知障害(MCI)といわれる状態があり、健常でも認知症でもないグレーゾーンで、記憶などの認知機能の障害が見られるが、日常生活に影響するほどではない状態をいいます。厚生労働省の「認知症施策の推進について」は、「年間10〜30%が認知症に進行する」と記しています。

正常なレベルに回復する人もいて、同資料は「5年後に38.5%が正常化したという報告あり」としていますが、回復に関するデータも幅があるようです。

ここではどこかおかしいと思ったら、まずかかりつけ医に相談をとしていますが、現在の医療ではあまり意味がないような気もします。