ごっとさんのブログ

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加熱式タバコに「PM2.5」は含まれている

2024-08-07 10:34:26 | 煙草
このところタバコ関連が多くなっていますが、すべて禁煙を前提にしていますのでタバコの害ばかりになっています。

特に最近は加熱式タバコが増えているようですので、この有害性に注目が集まっています。加熱式タバコのメリット(私は害が減っていると思っています)などが出ても良さそうですが、禁煙の趣旨に反するため誰も取りあげないのでしょう。

大気中の汚染物質であるPM2.5は、タバコ製品にも含まれ、能動喫煙、受動喫煙で健康被害を及ぼす原因のひとつです。ヒトは平常時、1日に1万リットルを超える空気を呼吸していますが、肺などの呼吸器はこうした空気にさらされ、影響を受けていることになります。

微小粒子状物質、いわゆるPM2.5は、大気中に浮遊する2.5マイクロメートル以下の粒子のことで、PM2.5の量は体汚染の度合いを測る指標のひとつにもなっています。

日本の環境基本法によると、PM2.5についての望ましい環境基準は、呼吸器疾患や循環器疾患、肺ガンなどに関する様々な国内外の疫学的な知見を基に、1年平均値を15マイクログラム以下でかつ1日平均値が35マイクログラム以下と決められています。

世界保健機構の基準値によれば、PM2.5が37.5マイクログラムで住民の死亡率が1.2%上昇するとしています。PM2.5のPMは、単に微小粒子のことなので、その粒子がどんな物質なのかは問いません。こうした微小粒子は、それ自体が健康への害を及ぼします。

PM10以下の微小粒子は、喘息や肺炎、COPDといった呼吸器疾患や心血管疾患の原因になったり悪化させることが分っています。工場の煤煙や車の排気ガスなどからも出ますが、タバコの煙からも無視できない量のPM2.5が出ています。

喫煙者が吸い込む主流煙も受動喫煙を及ぼす副流煙にも、1マクロメートル以下の微粒子が含まれています。普通の紙巻きタバコの場合、1本吸うと28〜36ミリグラムのタールを含んだエアロゾルが発生します。

加熱式タバコの場合は、アイコスと紙巻きタバコ、電子タバコを比較した研究によれば、アイコスの微小粒子の割合はPM1が92.1%、PM2.5が1.1%、PM2.5からPM10が6.8%で、アイコスは他のタバコ製品に比べて最も小さいPM1の割合が多くなっていました。

従来の紙巻きタバコと比べると量は少ないものの、加熱式タバコからはどうやら非常に小さな微小粒子が出ているようです。このように加熱式タバコでもPM2.5やそれより小さい微粒子が含まれているようですが、これは当然と言えるでしょう。

問題はここでも「比べると量は少ないものの」という文で済ませていますが、どの程度少ないのか知りたいものです。たぶんこの部分は加熱式タバコのメリットになってしまうため、この程度で済ませているのかもしれません。

しかし微粒子が含まれていることは確かですので、やはり害があると認識すべきでしょう。

タバコの成分ニコチンに発ガン性はないのか

2024-07-23 10:31:42 | 煙草
ニコチンに発ガン性があるのかという議論は昔からありましたが、ニコチンは毒性が強いため投与するとガンになる前に死んでしまうというのが結論のようです。

研究者はなんとかニコチンでガンを発生させようとしているはずですが、そういった研究結果は聞いていませんので発ガン性はないといって良いのかもしれません。ここではニコチンと代謝物などの関連化合物についての話を紹介します。

ニコチンは植物性アルカロイドの一種で、ナス科の植物に含まれており、タバコもナス科の植物です。アルカロイドとは、進化の過程で植物が昆虫や草食動物など他の生物から食べられないように備えた防御物質です。

例えばナス科の青いトマトにはトマチンが、ジャガイモの青い芽にはソラニンが含まれ、どちらも強い細胞毒性を持つアルカロイドです。

品種改良されてきたナス、トマト、ピーマン、ジャガイモなどに含まれるアルカロイドは、タバコのニコチンに比べればごく微量であったり毒性を弱まるようにされ、これらの栽培植物を食べても身体への悪影響はほとんどありません。

ニコチンの毒性は体重1Kg当たりニコチン1〜13mgが成人の致死量とされています。ニトロソアミン類はニトロソ基を持つ化合物ですが、食道ガンや肝障害などを引き起こす発ガン性物質です。タバコにも特異的ニトロソアミンが含まれ、同様に喫煙による発ガンの有力物質として知られています。

栽培タバコ葉は、収穫後乾燥・内部発酵の糧を経て製品化されますが、各種のタバコ特異的ニトロソアミンはこの過程でタバコ由来のアルカロイドから化学的に生成されます。

1990年代後半から、ニコチンが喫煙者の体内で発ガン性物質であるタバコ特異的ニトロソアミンに変化するのではないかという研究が出始めました。これらの中には、マウスやハムスターなどの実験動物へニコチンを暴露させ、発ガン性を検証したものがいくつかあります。

最近の研究からは、ニコチンが代謝されてできるコチニンに肺ガン、子宮頸ガン、大腸ガン、胃ガンなどの発ガン性が疑われるという多くの証拠が出てきています。

またニコチンは細胞受容体に対する多種多様な機能を持ち、染色体や遺伝子の変異、DNAの損傷を促す作用があり、ニコチンによる酸化ストレスで細胞への害がある活性酸素が過剰に作られ、細胞のガン化やその進行を促進する危険性が報告されています。

ニコチンには、ガンの転移を促進したり、ガン治療を阻害したりする作用があることも分かってきました。この様にニコチン自身には発ガン性はないものの、その代謝物はかなり危険といえるようです。

加熱式タバコはガン細胞を増殖させる

2024-07-18 10:45:51 | 煙草
私は喫煙者ですが、タバコの害といった記事は積極的に取り上げるようにしています。現在は禁煙が大きな流れになっていますので、研究者はタバコの害について積極的に取り組んでいます。

実際はタバコ会社以外でも、加熱式タバコの評価などはしているはずですが、結果を取りあげることがないためどんどん減少しているのが実情でしょう。禁煙活動は積極的になっていますが、タバコ税との絡みもあり本当にタバコが減るかというと、かなり疑っています。

実はタバコの研究はかなり難しいものとなっています。タバコは燃焼させて煙を吸うものですが、この吸引速度などによって燃焼温度が変わり煙の成分は大きく変わってしまうものです。昔はタバコを直接抽出して成分の性質を調べるなどと言った研究すらあったようです。

つまり本当に喫煙によって体内に入る物質を調べているのかの検証が必須ですが、ほとんど行われていないのが実情です。またタバコ1回分に含まれる成分は、本当に微量です。

そこで数百本分を集めて成分の分析をするのですが、これで出たタバコの毒性が本当にタバコを吸って出る害といえるのかも疑問に思っています。

ついでに最小有効濃度(MEC)という概念があります。これは主に薬の場合ですが、ある程度以上の濃度にならないと何の効果も出ません。薬の場合はこのMECより高濃度にするためにと多くの研究を行うわけです。

これは毒物でも同じで一定濃度以上にならないと、何の作用も示さないという事がほとんどです。摂取した化合物が排出されずに蓄積するかどうかというのは、全く別な研究といえます。

この様にタバコの研究は非常に問題点が多く、出た結果が本当に信頼できるかは細かい解析が必要となるのです。タバコの煙からの抽出物を使って、ある作用が出たからといって、例えばタバコを1箱吸って同じ作用が出ることはほとんどないといえるような気がします。

ここではタイトルの横浜市立大学の研究結果を紹介するつもりでしたが、前提となるタバコ研究の難しさを思いつつまま書いたところ予想以上に長くなってしまいました。

ここでは加熱式タバコのスティックからの抽出物の細胞毒性を調べたところ、活性酸素の生成と細胞内のカルシウム濃度の上昇という現象が起き、ガン細胞を増殖させるなどの毒性があることが分ったというものです。

この詳細は分かりませんが、まず抽出物とはどんな方法で得た物でしょうか。スティックを加熱して発生する気化物を集め抽出した場合は、それなりの書き方があるような気がします。

繰り返しになりますが、本当に喫煙して体内に入る物質を調べるという事は、かなり大変な作業であることは確かといえそうです。

日本で年間20万人以上を殺す病気とは

2024-06-22 10:36:51 | 煙草
このタイトルを見て内容がタバコの害であると分かる人は少ない気がします。私はもう50年以上も喫煙を続けていますが、77歳の今までナントかやっていますので死ぬまで喫煙するつもりです。

こういったタバコや酒などの嗜好品の害は具体的にどう計算するのか、非常に興味があるのですがあまり具体的な方法が出ていません。公式に使われていますので、それなりに納得できる統計的手法があるのかもしれません。

厚生労働省の研究班がまとめた「タバコ対策の推進に役立つファクトシート(2021年版)」によれば、日本でのタバコによる超過死亡数(2019年)は年間21万2000人となるようです。

世界的にもタバコにより年間約870万人が亡くなっていて、世界では高血圧の死者よりタバコによる死者の方が多いとしています。厚生労働省の過去調査によれば、喫煙者の約54%がニコチン依存症と推計されています。

現在の日本の喫煙率を17%とすれば、日本人の約2125万人が治療の必要なニコチン依存症という病気にかかっていることになります。ニコチン依存症を含んだタバコは、日本だけでも年間20万人以上を殺す病気という訳です。

さらに受動喫煙の死者(年間1万5000人、肺ガン、虚血性心疾患、脳卒中)を含めるとこの数はもっと増えます。たばこ関連による超過医療費(介護費などを含む)などの経済損失は総額で約1兆8000億円とされています。

病気になれば本人のQOLは悪くなるし、家族の負担も増えます。喫煙は予防できる単一で最大の病気の原因といわれ、最初からタバコを吸わず喫煙者がすべてタバコを止めれば、タバコが原因で亡くなる人はもちろん経済的損失も社会的な負担もなくなります。

タバコが原因の病気には、ガン(肺、口腔喉頭、咽頭、鼻腔、食道、胃など多数)、循環器系の病気(虚血性心疾患、脳卒中など)、呼吸器系の病気(慢性閉塞性肺疾患=COPD、呼吸機能低下など)、2型糖尿病、歯周病、アルツハイマー型認知症など多くのものがあります。

例えば国立がん研究センターが2019年に発表した論文によると、全くタバコを吸わない人に比べ、現在喫煙者が膵臓ガンになるリスクは男性で1.59倍、女性で1.81倍であり、喫煙量と喫煙年数にも膵臓ガンの発症リスクと関係があることが示されました。

また加熱式タバコにも含まれるニコチンが加熱によって化学反応したり、体内で代謝される際に発生する発ガン物質のニトロソアミン類が、膵臓の腺ガン発生に関与していると考えられています。

タバコの影響による死亡はすべての病気の中の15.1%、健康状態の悪化は12.1%と推計されています。

この記事は禁煙推進のためと思われますが、やはりどんな方法論でこういった結果が出るのか詳しい説明を知りたいものです。

受動喫煙による肺ガン発症のメカニズム解明

2024-06-13 10:35:26 | 煙草
ずいぶん前から受動喫煙という言葉が注目されています。喫煙をしない人が周囲に流れるタバコの煙を吸うことですが、この量などは場合によって大きく異なり、その害を解析することは難しいのではと思っていました。

国立がん研究センターなどの研究グループが、受動喫煙による肺ガンの発症は、能動喫煙とは異なるメカニズムの遺伝子変異を誘発していることを明らかにしました。炎症により特定のタンパク質が活性化することで変異が生じるようです。

タバコを吸うと肺ガンになりやすいとされています。例えば発がん性物質の一種であるベンゾピレンがDNAに作用し、DNA中のシトシンがアデニンに変異してしまいます。この「タバコ型変異」によりガンが発症します。

一方受動喫煙については肺ガン発症のリスクとなっていることは認知されていたものの、発症に至るメカニズムは分かっていませんでした。国立がん研究センターのグループは、発症のメカニズムを解析するために肺ガン患者の調査を行いました。

10代と30代で受動喫煙を受けていたという女性で、国立がん研究センター中央病院で肺ガンの手術を受けた213人の患者の遺伝子解析を行い、同意を得られた64人はすべてのゲノム領域を解析し、喫煙で肺ガンを発症した女性患者と比較しました。

その結果受動喫煙では「アポベック型変異」という、タバコ型変異とは異なる部分のDNAが変異することが分りました。具体的にはDNA中のシトシンがチミンもしくはグアニンに変わっています。

この変異はタバコに含まれる物質による肺の中の炎症で、アポベックタンパク質が活性化することで誘発されます。アポベック型変異により初期の腫瘍細胞が悪性化するのを促進し、肺ガンが起きるメカニズムが考えられるとしています。

アポベック型変異は受動喫煙の肺ガン発症の原因と推察されるとともに、ガン細胞のDNAに均一には存在していないことも分かりました。研究グループは、不均一な存在であるために、異物として排除されることなく生き残ってしまいます。

タバコの含有物質による炎症に加え、ガンになる理由なのではないかと考察しています。なお今回の研究対象を女性に限定したのは、男性患者の受動喫煙では居酒屋など一時的なものにとどまり、保護者や配偶者の喫煙環境に日常的にさらされるという類似した環境下にあるのは女性が多いためとしています。

また肺ガンを発症したのは、受動喫煙から数年〜数十年を経た60代以降が多かったようです。解析の結果アポベック型変異は、受動喫煙があるタバコを吸わない女性に突出して発現していたとしています。

この変異は喫煙女性にはほぼ見られなかったようです。この辺りが面白いところかもしれません。私は日常生活において、受動喫煙が本当にあるのかは疑っています。