前回製剤研究について書きましたが、剤形が決まってもまだまだ調べなければいけないことがたくさんあります。
次がADMEといわれる、吸収、分布、代謝、排泄の良い結果が出ないと薬にはなりません。まず吸収ですが、注射剤の場合は、動脈注射はもちろん皮下や筋肉注射でも、ほとんど100%が血液中に入ります。しかし経口投与の場合は、どのくらい腸管吸収があり、血液中に入っていくかが問題となります。これを生物学的利用能(BA)と呼びますが、当然なるべく高くなければいけません。最終的には人間のBAを測定する必要がありますが、これは臨床試験まで分かりません。動物実験に使うような小動物は、大体人間より吸収性は高いようです。ですから動物実験では、かなり高くないと人間には使用できないわけです。およそ30%が最低値とされていますが、これより低くなりそうな場合は、もう一度製剤研究に戻り、吸収促進剤の添加や、吸収性のよさそうな剤形を作り直すことになります。
実験動物は、何代も前から系統をそろえ、生まれた日も同じもので実験するので個体差は出ないのですが、実際に人間が使う場合はかなり個人差が大きくなります。例えばBA30%の場合は、平均的にはそのくらいでも、人によってはすべて吸収してしまうようなケースが出てしまいます。この場合、適用量の3倍投与してしまうことになるわけです。こういった可能性も含めて、吸収性能はあらゆる角度から測定するわけです。
次が「分布」の問題です。投与した薬剤が吸収され、血液中に入っても目的とする臓器にとどかなければいけません。血液中には様々なタンパク質などがあり、薬剤がどういう風に結合するかなどによって、全身に均一に分布するわけではありません。特に脳の薬の場合は、脳の前に「脳血管関門」という膜があり、これを通らないと効果が出ないわけです。
この分布を調べるというのは非常に大変な作業で、動物からすべての臓器を取り出して、その臓器中の薬の濃度を測定するのでは、あまりに時間がかかります。少し前までは、このために放射性同位元素とよばれる(通常はトリチウムという水素の仲間です)物質の入った薬を作り、これで放射能を測定する方法などが利用されていました。最近では紫外線で発光する物質を使うなどして、実験動物を殺さずに測定されています。
こういった実験により、しっかり吸収されて血中にはいり、目的とする臓器に分布することが確認されて初めて次のステップに進むわけです。
次がADMEといわれる、吸収、分布、代謝、排泄の良い結果が出ないと薬にはなりません。まず吸収ですが、注射剤の場合は、動脈注射はもちろん皮下や筋肉注射でも、ほとんど100%が血液中に入ります。しかし経口投与の場合は、どのくらい腸管吸収があり、血液中に入っていくかが問題となります。これを生物学的利用能(BA)と呼びますが、当然なるべく高くなければいけません。最終的には人間のBAを測定する必要がありますが、これは臨床試験まで分かりません。動物実験に使うような小動物は、大体人間より吸収性は高いようです。ですから動物実験では、かなり高くないと人間には使用できないわけです。およそ30%が最低値とされていますが、これより低くなりそうな場合は、もう一度製剤研究に戻り、吸収促進剤の添加や、吸収性のよさそうな剤形を作り直すことになります。
実験動物は、何代も前から系統をそろえ、生まれた日も同じもので実験するので個体差は出ないのですが、実際に人間が使う場合はかなり個人差が大きくなります。例えばBA30%の場合は、平均的にはそのくらいでも、人によってはすべて吸収してしまうようなケースが出てしまいます。この場合、適用量の3倍投与してしまうことになるわけです。こういった可能性も含めて、吸収性能はあらゆる角度から測定するわけです。
次が「分布」の問題です。投与した薬剤が吸収され、血液中に入っても目的とする臓器にとどかなければいけません。血液中には様々なタンパク質などがあり、薬剤がどういう風に結合するかなどによって、全身に均一に分布するわけではありません。特に脳の薬の場合は、脳の前に「脳血管関門」という膜があり、これを通らないと効果が出ないわけです。
この分布を調べるというのは非常に大変な作業で、動物からすべての臓器を取り出して、その臓器中の薬の濃度を測定するのでは、あまりに時間がかかります。少し前までは、このために放射性同位元素とよばれる(通常はトリチウムという水素の仲間です)物質の入った薬を作り、これで放射能を測定する方法などが利用されていました。最近では紫外線で発光する物質を使うなどして、実験動物を殺さずに測定されています。
こういった実験により、しっかり吸収されて血中にはいり、目的とする臓器に分布することが確認されて初めて次のステップに進むわけです。