ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

結婚が増えない根本的な理由

2022-10-31 10:30:59 | その他
私がまだ現役のころの1985年に男女雇用機会均等法が施行され、男性も女性も同じように働くという第1歩が踏み出されました。

この辺りから晩婚化や結婚しない若者が増加し始めましたが、女性が働きやすくなる反動のようなもので、一過性のものと考えていました。ところがこの傾向は進む一方で、現在は少子化が社会問題となっています。

2019年に内閣府が実施した「少子化社会対策に関する意識調査」において、20〜49歳の結婚願望のある未婚男女を対象とした「結婚していない理由」の調査結果が出ていました。

それによると「まだ若い」「必要性を感じない」「仕事に打ち込みたい」という、結婚に今は時期が悪いという理由を挙げる人が男女とも2割程度いました。また「結婚資金や住居など経済的な問題」を理由としているのが男性3割、女性2割ほどとなっています。

さらには「異性とうまくつき合えない」というのが男28.5%、女23.7%もおり、一時話題になった一度も恋愛したことがない恋愛未経験者は、20代男性で27.3%、30代でも23.6%も存在しています。

しかし最も多いのは男女ともに「適当な相手に巡り合えない」で男45.9%、女48.1%とほぼ半分近くがそれを理由として挙げています。この調査では巡り合えない具体的な内容を聞いていますが、この理由が男女で大きく異なっていることが分かりました。

女性の場合は「条件に見合う相手がいない」など、婚活系の記事で言われる高望みすぎる条件が原因だったりしますが、女性に多いのは「そもそも人を好きにならない」という身も蓋もない回答でした。

一方男性の方は「そもそも周りにいない」という地方在住者にとっては身につまされる場所的な問題などもありますが、圧倒的に多いのが「好きな人がいても相手が好きになってくれない」というこちらも身も蓋もないものでした。

つまり「好きにならない女」と「好きになってもらえない男」が結婚したいのにできない状態のまま、生涯未婚年齢を迎えてしまうという構図になっているようです。

現代は伝統的な「お見合い結婚」がほぼ5%以下といわれていますので、自由結婚という名の下で「恋愛できなければ結婚できない」という状態に置かれていることも確かです。いわば恋愛と結婚の自己責任化といえるのかもしれません。

昔から何の努力も学習もしなくても自由に恋愛してしまう「恋愛強者」30%といわれています。残りの7割をどうするのかが問題ですが、近年430万人の未婚男性が余っているようです。

女性の2割が「好きにならない」のであれば、消えてしまった「お見合いおばさん」を復活させるぐらいしか思い浮かびませんが、現在の人間関係ではこれも難しいのかもしれません。少なくとも若者の経済環境を改善することは必須の状況といえるでしょう。


急な冷え込みで身体が不調「寒暖差疲労」のはなし

2022-10-30 10:31:21 | 健康・医療
朝晩の冷え込みはだんだんきつくなっていきますが、日中との温度差や日によって違う気温によって「寒暖差疲労」が出ることがあるようです。

私は少し変わった体質のようで、寝ているときに十分温まっていると、朝起きたときに寒さを感じることがありません。ですから起きるとき寒くて布団から出るのがつらいなどという経験はありません。

ただ身体は寒さに備えるようで、パジャマのままうろうろしていると鼻がグズグズしてくしゃみが出たりしますので、必ず上着を着ています。この寒さを感じないというのは、起きてから1時間以上続きますので実質的にどんなに寒い朝でも問題がないという得な体質となっています。

さてこの時期は晴れると朝は放射冷却によって寒くなり、昼間は日差しで暑いくらいになるという寒暖差が大きくなってきます。

寒暖差が大きいと、倦怠感や肩こり、頭痛、めまい、不眠などの症状が出やすくなり、これを寒暖差疲労と呼んでいます。これは5〜7度の寒暖差は注意が必要で、7度以上の寒暖差は危険とされていますが、この時期はこの程度は普通の気がします。

寒暖差が大きいと体温調節する自律神経の機能が乱れ、これが体調不良の原因となるようです。夏に汗を十分かいていない人は、この自律神経が衰えている可能性があり特に注意が必要とされています。

自律神経はレバーのような役割をしており、暑い時には体温を下げようと血管を広げたり、筋肉を緩めることで熱を逃がそうとします。寒い時には体温を上げようと血管を収縮させ、筋肉を固くすることで熱を逃げないようにします。

寒暖差が大きいとレバーの役割を果たす自律神経は過剰に働き、それが疲労に繋がってしまうことになります。これを防ぐためには「自律神経のトレーニング」が重要なようです。

例えば・適度な運動で汗をかく、・入浴で汗をかく、・過度な暖房を控えて寒さになれる、といった簡単なことでも鍛えられるとしています。過度な暖房で気温を一定に保つことは、自律神経の衰えに繋がりますので、寒さに体を徐々に慣らすことで適度に自律神経を使った方がいいようです。

夏には熱中症対策として「暑熱順化」という体を暑さにならすことが重要です。それとは逆にこれから本格的な寒さを迎える前に、寒さに体を慣らす準備をしておくというようなことです。

結局寒暖差疲労に対処するこれといった方法はないようですが、私のように引退していると外に出ることも少なくなっていますので、あまり気にすることも無いのかもしれません。

医薬品開発研究からみた抗ガン剤の難しさ

2022-10-29 10:30:29 | 
かみさんの昔からの友人(70歳)に胃ガンが見つかり、胃の3分の2を切除する手術を受けました。比較的早期のガンだったようですが、細胞診によりやや悪性と判断され、抗ガン剤治療を受けています。

やはり抗ガン剤治療はかなり大変なようで、食欲が出ないとか体がだるいといった副作用が出ているようです。またその途中で胆のう炎を併発し、1週間ほど入院しています。胃ガンの場合手術時に胆のうの神経に触れることが多く、その結果胆のう炎になることは多いようです。

このように早期の胃ガンといっても、完治するまではかなり大変なようです。私はそれほど長期ではありませんが、抗ガン剤の開発研究に従事したことがあります。

このガン細胞をやっつける薬を作るということは、他の医薬品に比べて非常に難しいものでした。ガン細胞というと正常細胞とは大きく異なり、見た目も全く違いますが本質的には患者本人の細胞の遺伝子が変異し異常増殖するものです。

つまり正常細胞とガン細胞は機能的には全く同じ細胞なのです。従って異物を排除するための免疫システムも、ガン細胞を異物とみなさいないため攻撃することはありません。

ガン細胞と正常細胞と構造的な差は全くないのですが、増殖速度が大きく違っています。正常細胞は活発なものでも何日に1回程度分裂増殖するだけですが、ガン細胞ははるかに頻繁にしかも悪性であれば特に細胞分裂が盛んになっています。

そこでこの細胞分裂するときに働きかけ、これを阻害し殺してしまう薬であれば、ガン細胞を攻撃することができるわけです。現在使用されている抗ガン剤の大部分がこのメカニズムによるものです。

もちろんこの細胞分裂の時に作用し、分裂時に細胞を殺すという作用はガン細胞特異的ではなく、正常細胞にも働いてしまいます。そのため正常細胞でも比較的細胞分裂が活発な毛母細胞や免疫系細胞は被害を受けてしまい、脱毛や血小板減少などの副作用が出てしまうことになります。

従って抗ガン剤は体内に投与してから速やかに除去できる、または代謝分解が非常に早く短時間で無くなる性質が必須となるわけです。抗ガン剤治療は医療現場では時間との戦いでもあり、腫瘍内科の医師の腕の見せ所となるわけです。

私はこの増殖速度以外にガン細胞と正常細胞の違いがないかを徹底的に調べましたが、残念ながら具体的な差異は見つかりませんでした。

特にガン細胞と正常細胞の細胞分裂の仕方には違いがあるのではないかと、いろいろ検討しましたがガン細胞特異的に作用する薬剤を作ることはできませんでした。

現在は細胞自身の詳しい解析や、分裂時の遺伝子コピーメカニズムなど詳細に調べられていますが、残念ながらガン細胞に特異的な差異は見つかっていません。

分子標的薬など新しいタイプの抗ガン剤は開発されていますが、ガン細胞が基本的に患者の細胞であるという点は乗り越えられていないようです。

新型コロナワクチン接種後死亡者1881人の意味

2022-10-28 10:33:28 | その他
新型コロナのワクチンの多重接種に私は反対していますが、結局4回も接種してしまいました。

私は副反応もほとんど出ず、接種部位に痛みが出た程度でしたので、何の問題もなかったといえます。

厚生労働省は新型コロナワクチンの接種と副反応との関連性を議論する専門部会を開催しました。この会に提出した資料によると、予防接種開始(2021年2月17日)から2022年9月23日までに、新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例は1881件となっていました。

これはワクチン接種後1か月の死亡者数ですが、あまりにも多いので驚いています。この内訳はファイザー社製1680件でうち4回目接種後30件、モデルナ社製199件で同15件、アストラゼネカ社製1件、ノババックス1件となっています。

専門部会では22年9月4日までに報告された12歳以上の1844件の死亡とワクチン接種との関連について、a ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの、b ワクチンと死亡との因果関係が認められないもの、c 情報不足などによりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの、という評価をしています。

この結果はワクチンの種類により細かく示されていますが、ここではまとめた結果を示します。まずaの因果関係があるものは1件もなく、bの因果関係がないものが11件であり、残りのc評価できないものが1784件といわば何もわからないというような結果となっています。

これに対してきちんと情報を集めていれば、新型コロナワクチンの接種と死亡との因果関係が明らかになるのに、必要な情報を集めていないのではないかと、政府の対応に不信感を抱きワクチンの多重接種を躊躇する人も出てきているようです。

厚生科学審議会の資料によればワクチン接種後の死亡原因で多かったのは、虚血性心疾患、心不全、肺炎、出血性脳梗塞、大動脈疾患となっています。これらはワクチン接種に関係なく、死亡原因として多く見られる疾患といえます。

日本の年間死亡者数は正確な数字ではありませんが、120万人前後となっています。これから考えると1か月には平均して10万人前後が亡くなっていますので、接種後の1900人程度というのは少ないといえるのかもしれません。

ワクチンを接種するような人はある意味元気であり、その後亡くなる人は少ないのは当然なのかもしれません。現在ワクチン接種と死亡の因果関係がある、つまりワクチンが死亡の原因と判断されている人は誰もいないのですが、この因果関係を証明するのは非常に難しいような気がします。

今後多くの情報を集めれば、因果関係なしは増加するかもしれませんが、ワクチンが死亡原因であるは出てこないような気がします。まあ現在のところワクチンは安全であるといって良いのではないでしょうか。

ガン免疫療法の副作用の原因を解明

2022-10-27 10:32:29 | 
ガン治療法のうち大きな比重を占めている化学療法ですが、治療薬は従来の細胞毒性物質から分子標的薬など新しいメカニズムの薬も増えています。

その中に「免疫チェックポイント阻害剤」という分野の薬があり、「オプジーボ」などが注目を集めています。

アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究グループは、この免疫チェックポイント阻害剤による治療の際、腫瘍が急激に大きくなる副作用が起こるのは、ガンの増殖を助ける「制御性T細胞」の働きが原因であると発表しました。

余談ですが私はこのオプジーボのような薬には、懐疑的な印象を持っています。本来ガン細胞は元々患者の細胞が変異したものですが、異常増殖をしており患者の持つ免疫細胞が異物として攻撃してもおかしくないといえます。

しかしガン細胞は表面に「PD-1」というタンパク質が発現しており、免疫細胞がこのタンパク質を認識すると患者の体細胞であるとして攻撃できなくなるのです。そこでこのPD-1と結合して効力をなくしてしまうのが、抗体医薬であるオプジーボということになります。

ここで問題なのが、このPD-1はガン細胞に特異的に発現しているものではなく、正常細胞にも発現しているのです。多分正常細胞はこのPD-1がなくとも、免疫細胞が異物として認識することは少ないのですが、何らかの影響はあるのかもしれません。

もうひとつがオプジーボの異常な薬価と有効率の問題です。発売当初オプジーボは年間で約3000万円以上の薬価となっていました。この薬は抗体医薬ですので、ある程度のコストがかかるのは当然ですが、あまりにも高いということで年間1000万円程度まで下がったようです。

しかもこれだけのコストをかけても、治療有効率が10%程度と報告されています。これではとても良い治療薬とは言えないような気がします。

さてNIHの研究グループによると免疫チェックポイント阻害薬は、長期的に治療効果を得られる患者がいる一方、ガンが急激に大きくなってしまう患者が2割前後いました。

研究グループはマウスの腫瘍内部でガンを攻撃する免疫細胞を減らし、制御性T細胞を活性化させました。そこに免疫チェックポイント阻害薬を投与したところ、結腸癌で約2週間、頭頸部ガンでは約4週間でほぼ2倍の大きさまでガンが拡大しました。

こうした実験結果からガンを拡大する原因は制御性T細胞であると結論付けました。この制御性T細胞を減らすには「光免疫療法」などがあるようですが、あまり効果的な治療法ではない様な気がします。

新しい治療法として注目を集めた免疫チェックポイント阻害剤ですが、実験的な治療法から一般的な治療法にはならない薬剤といえるような気がします。所詮はノーベル賞効果だけだったのかもしれません。