ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ガン治療は「臓器別」から「分子別」へ

2024-02-29 10:39:22 | 健康・医療
私の大学時代からの友人が、肺ガンを発症してしまいました。基礎疾患があるため外科手術ができず、遺伝子検査を行い分子標的薬の治療を受けていました。

昨年夏に合ったときは若干痩せていましたが、あまり酒は良くないと言いつつ適度に飲みながら楽しい時間を過ごしました。しかしその後少し離れた部位に転移(再発)してしまい、新薬の臨床試験などにも参加したようですが、昨年10月に還らぬ人となってしまいました。

やはり進行ガンは最新治療をもってしても、まだ克服できない病気のようです。私は元々ガンはできた部位によって(肺ガンや胃ガン)分類するものではなく、ガン細胞のどの遺伝子が変異したかによって分類すべきと思っていました。

しかし日本ではガン治療のほとんどすべてが外科手術になりますので、部位別の分類が重要となっているようです。この様に現在は臓器別にガンを治療する方法が主流ですが、徐々にガン細胞が持つ分子に注目して治療法が選択できるようになりつつあります。

ガンの診断はまずどの臓器にできたのか、そして周囲にどれくらい浸潤しているのか、リンパ節や他臓器への転移の有無を問います。ガンの進行度を表わすステージ分類は、外科的切除を念頭に置いた分類です。

一方で抗ガン剤治療では、ガンができた場所よりもガン細胞の性質の方が重要です。同じ胃ガンでも抗がん剤が効きにくいガンもあれば効きやすいガンもありますし、ある胃ガンに有効な抗ガン剤が、肺ガンに効くこともあります。

革命的な進歩のひとつが分子標的薬の登場です。それまでの抗ガン剤は細胞分裂を妨げることで作用しますが、分子標的薬はガン細胞の表面にある分子に働きかけることで効果を発揮します。

肺ガンに対して最初に承認された分子標的薬であるイレッサは、EGFRというガン細胞の増殖に関連する分子をブロックします。現在では遺伝子検査でEGFR遺伝子変異が陽性の患者に限り投与されています。

このイレッサ以降もさまざまな分子標的薬が登場しています。分子標的薬はガンが発生した場所よりも、ガン細胞がどのような分子を発現しているかが重要となっています。一度に複数の多くの遺伝子を調べてどの薬が期待できるのかを調べる検査も行われ始めています。

現時点では、遺伝子変異を調べても有効なクスリが無かったり、費用が高すぎることが課題のようです。将来は臓器ではなく分子レベルに基づいて、個別の患者に最適化された治療が行われるようになるのかもしれません。

ウナギの「完全養殖」に向けて人工孵化に成功

2024-02-28 10:32:29 | 自然
ウナギは何となく夏の物というイメージがありますが、いつ食べても美味しい食材です。

このウナギはほとんどが養殖で、私の会社も宇部の方の工場で出てくる温排水を使ってウナギの養殖をしていました。これはいろいろ難しい問題があるようで、宇部研究所に水産技術研究所を併設し研究を行っていました。

私も見学に行ったことがありますが、プールのような大きな水槽にウナギが泳いでいるのを見た記憶があります。この売り上げなど見たことがありませんので、社員が消費する程度だったのかもしれません。

こういったウナギの養殖は完全養殖ではなく、シラスウナギと呼ばれるいわば稚魚を捕獲して、育てるものでした。近畿大学水産研究所は、昨年二ホンウナギの完全養殖に成功したと発表しました。

人工孵化で育ったオスとメスから得られた「第2世代」の受精卵が昨年7月に孵化し、10月中旬「レプトセファルス」と呼ばれる柳の葉のような形の赤ちゃんウナギが約600匹育ったようです。

自然界でウナギが生まれるのは日本から南へ2500キロ離れた太平洋・マリアナ海溝付近で、産卵期を迎えた成魚は夏にこの海域で卵を産みます。

孵化した赤ちゃんウナギは、海流に乗って移動しながら成長し、冬頃に細長い形のシラスウナギとなって日本沿岸にたどり着くことが近年分かってきました。ウナギの大半は養殖ものですが完全養殖ではなく、捕獲したシラスウナギを育てたものです。

完全養殖で難しいのが、環境の変化に非常に弱い受精卵をシラスウナギまで育て上げることのようです。近畿大学は、質の良い受精卵を得る方法や手間がかからないエサの開発など課題は多いが、実用化に向けて研究を進めたいとしています。

日本人が2022年に食べたウナギは5万8000トンで、うち3分の1が国内で養殖された二ホンウナギです。しかし乱獲や護岸工事などの影響で、1963年に232トンだった国内のシラスウナギ捕獲量は、2023年には5.6トンと40分の1に激減しています。

そのため国は2050年までにシラスウナギをすべて天然から人工生産に替える目標を掲げています。課題は生産コストで、天然のシラスウナギは1匹当り180〜600円ですが、水産研究・教育機構によると、人工では2016年当時、1匹2万8000円となったとしています。

同機構によると、量産化を進め2020年には3000円まで下がりました。今後は1匹1000円を目指し、数百円の上乗せでかば焼きが食べることが可能になるなら、理解も得られるのではと語っています。

このところ二ホンウナギは非常に高価になっていますが、早く安くて美味しいウナギが出ることを願っています。

新型コロナ「第10波」の特徴

2024-02-27 10:37:57 | 健康・医療
現在は新型コロナの感染者も増え、第10波になっているようです。インフルエンザもまた増加しているようで、やはり感染対策ができていないと言えそうです。

私も今月初めについに新型コロナに感染してしまいました。ほとんど風邪らしい症状はなかったのですが、明け方ベッドから落ち身体が全く動かなくなってしまいました。

救急車で市内の大きな病院に入院しましたが、間質性肺炎や細菌性肝炎となっており、かなり重篤な状況だったようです。医師に聞いたところでは、血中酸素飽和度が下がってしまうと、脳も酸素不足となり痛みや苦しみを感じなくなるようです。

かみさんは医師から人工呼吸器の装着の可能性もあると言われ、非常に焦っていたようです。幸いコロナ薬の点滴や酸素吸入によって、比較的早く酸素飽和度も回復しましたので、10日間の入院でほぼ正常に戻ることができました。

今回のコロナ第10波は、何度も感染する人が多く2度目や3度目という患者も多いようです。年に2度感染した患者や、2,3か月ごとに再感染する患者もおり、ワクチン接種やコロナに罹患することで増強される感染・発症予防効果は短時間しか持たないようです。

第10波の典型的な症状は、熱やのどの痛み、せき、鼻水でこれまでと変わりませんが、全く無症状のケースも多いとしています。

JAMDAS(日本臨床実態調査)の新型コロナ感染者の推計によると、第10波は昨年12月から始まり、2月3日ごろにピークとなりました。

JAMDASのコロナ感染者数は、定点医療機関で新型コロナと診断されて患者の数を基にして全国の患者数を推定した推計値ですが、過去の例から実態をほぼ正確に表すことが判明しています。

今回の第10波の特徴のひとつが、重症化率の少なさです。私は重症化してしまいましたが、退院前医師から昔のコロナだったら回復はできなかっただろうと言われました。2021年夏の流行では、40、50代が重症化して死亡する例が続出しました。

現在は高齢者でも予防的観点から入院させているケースが多いとしています。コロナが流行しているからマスクをするとか、ちょっと具合が悪いから外に行かないなど、個人が臨機応変に判断して行動を変えることができれば問題はないようです。

私も退院して2週間が過ぎましたが、まだ何となく人込みには出たくない気がしています。当分マスクは手放せないのかもしれません。

血液検査でガンを発見するポイントがある

2024-02-26 10:34:01 | 健康・医療
私の歳になると(もう77歳です)、友人知人にガンが増えています。無事手術で元気にしていたり、基礎疾患のため手術ができず薬物療法に取り組んだりしています。

ガンの検査には、学術的な論文などによって多くの医師から信頼性が認められた検査方法が使われています。しかし検査自体が患者の体に負担になる場合もあり、検査によっては合併症の可能性もあるようです。

血液検査はどこの病院でも行える簡便な検査ですが、ガンの存在を疑う手掛かりとなる情報が得られる場合があります。たとえばガン患者の半数は貧血を示します。

これはガンによって体内に貯蔵された鉄をうまく利用できなくなるために赤血球の寿命が短くなったり、赤血球を作れと命令するエリスロポエチンというホルモンが、ガンによって起こる炎症の影響で減ってしまったりするからです。

胃ガン、大腸ガンといった消化管のガンからの慢性出血や、血液を作る骨髄にガン細胞が入り込むことによって貧血が起こる場合もあります。進行ガンでは白血球の一種である好中球が増え、リンパ球が相対的に減ることがあります。

これはガンが増殖して炎症反応が起こり、炎症の場所に集まる好中球が増えるためと考えられています。血液中には細胞が作る様々な酵素が含まれており、特定の酵素の増減や、複数の酵素のバランスからガンが疑われる場合もあります。

肝臓と腎臓の機能は、抗ガン剤の代謝に関係するので、詳しく調べる必要があります。B型肝炎ウイルスを持っている患者に免疫抑制効果のある薬剤を使用する場合には、ウイルスが再活性化する恐れがるため、慎重に検査をします。

またガンの治療では、手術などで出血する可能性もあるため、血液の凝固機能を調べることも重要です。ガンの血液検査と聞いて思い浮かべるのは「腫瘍マーカー」の検査でしょう。

ガンがあると、ガン細胞やガン細胞に反応した細胞が作る特定の物質が血液中や尿中で増加することがあります。これらのうちガンのできる臓器によって特徴的なものが腫瘍マーカーとして利用されており、全部で50種類以上が知られています。

腫瘍マーカーは、体への負担が少なく簡単に調べることができ、種類によっては健康保険で認められています。ただし現在のところでは、前立腺ガンのPSAぐらいしか認められていないようです。

この様に血液検査だけでもガンの疑いが分かるようですが、どうもかなり進行しているケースになるのかもしれません。それでも血液検査の結果を前回と比較したりすることで、異常が見つかる可能性はありそうです。

食道ガンの生存率の最新情報

2024-02-25 10:32:29 | 健康・医療
このところ色々なガンを取り上げていますが、知人でも時々聞くのが食道ガンです。かみさんのお父さんも食道ガンで亡くなっていますが、あまり予後が良くないガンと言えるようです。

食道ガンの進行度による分類(ステージ)のしかたは色々ありますが、日本では0〜Ⅳ期まで5段階の病期に分けてとらえるのが一般的です。

ガンの進み具合は、大きく3つの要因に分けてとらえることができます。これら3つの要因を組みあわせて、日本独自の「食道がんの病期分類」が定められています。まず壁深達度という食道壁のどこまでガンが達しているかの分類です。

これはガンがごく小さく、原発巣として認められないT0から、ガンが食道周囲臓器に浸潤しているT4まで6段階に分類されています。次がリンパ節転移の状況です。

食道の周りにはたくさんのリンパ節があり、原発巣の近くにあるリンパ節(領域リンパ節)への転移の有無や個数を見ます。領域リンパ節への転移のないN0から7個以上の転移があるN3まで4段階に分類されます。

3つ目が遠隔転移の有無で、食道に隣接しない臓器や、ガンから離れたところにあるリンパ節にがんが転移しているかどうかを見ます。これも遠隔転移なしのM0から遠隔リンパ節転移または遠隔臓器に転移があるM1bまで3段階に分類されています。

早期ガンといわれるのは、深さが粘膜内に留まり転移もない0期(ステージ0)に限られ、Ⅱ期以降は進行ガンとされます。食道ガンの標準的な治療法は、手術療法、化学療法、放射線療法、内視鏡治療の4つです。

どの治療法が適しているかは、病期などを目安に判断していきます。ガンの治療は、病巣を取り除いたり放射線や抗ガン剤でガン細胞を死滅させたりするのが基本です。食道ガンの場合ひとつの方法だけでなく、いくつかの方法を組みあわせて進めることがよくあります。

これを集学的治療と言い、ある治療法の弱点を別の治療法で補うことで、より高い治療効果を得ることが目的です。通常の医療機関で行われている標準的な治療は、上記の組わせとなります。

ガンは完全に治ったという意味の「治癒」という言葉を使いにくく、治療後に生きている人がどれくらいいるかという「生存率」で示します。

2014年に日本食道学会の治療成績によると、外科手術後の生存率は1年88.2%、2年75.5%、5年59.3%となっており、5年生存率は6割近くに上ります。診断や治療法、術後管理の進歩などもあり、近年食道ガンの生存率は大きく向上しているようです。

たとえ進行ガンと診断されても、適切な治療法を行うことで希望は持てると言える時代になったような気がします。