ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

重篤な病気の前触れとなる足の病気

2019-03-31 10:09:23 | 健康・医療
足の血管の病気は、直接命にかかわることが少ないとされ、心臓や脳などの病気に比べるとあまり重要視されていません。

ところが脚の動脈や静脈のトラブルは、他の主要臓器の重篤な前触れとなることがあり、命に関わる疾患の原因ともなり得るようです。

ヒトは直立姿勢と大股歩行ができ、他の動物に比べて高いエネルギー効率で移動できます。ところが文明の発展によって身体活動の豊富な狩猟採集によって食事を得る必要がなくなり、ヒトは習慣的に怠惰な生活でも生きていけるようになりました。

このため二足歩行や走行のために重要な足の機能を維持する上で非常に大切な足の血管にとって、多くの弊害が生じるようになりました。飽食かつ身体活動が低下した日常生活により、血管、特に動脈に発症する重大な病気が「動脈硬化」です。

これは血栓が作られやすくなり、重力の影響で血管内圧が大きくなる足の動脈に生じやすく、閉塞性動脈硬化症と呼ばれていました。

閉塞(血行が遮断される状態)まで行かなくても、狭窄性変化(血管の内腔が狭くなる状態)が病態として容易にとらえられるようになり、足や首などの末梢の動脈硬化症をPAD(末梢動脈疾患)として注目するようになってきました。

PADは足の冷え、しびれ、痛みなどの初期症状をきたします。PADの進行は、心臓・脳血管の動脈硬化と連動すると言えますので、症状を伴うPADは動脈硬化の終末像である心筋梗塞や脳梗塞の予測因子として軽視できません。

PADは足の症状だけでなく、無症状でも頸動脈エコー検査でとらえられることが可能です。これによりPADを発症していないか、すなわち心筋梗塞や脳梗塞の発症に近づいていないか評価することができます。

次が足の静脈ですが、これは動脈よりもさらに軽視されていますが、静脈の病気は20代でも発症することがあるとされています。その代表的なものが血栓の形成で、エコノミークラス症候群などで知られています。

これは肺につまり肺塞栓の原因となりますが、血栓は足の筋肉の内部の深いところにある静脈で作られ、脱水や足の筋肉の静止状態がその生成を促します。

この深部静脈血栓症(DVT)は片足に発症し、腫脹、熱感、疼痛といった症状が現れます。その他DVTの前駆症状として静脈機能不全(CVT)というのはかなり一般的な症状のようです。

このような足の血管の病気は、単純に言えば良く足を動かしポンプの役割をさせることで予防できるようです。私は基本的に歩くのが嫌いですが、少しは散歩でもしてみようかと思っています。

朝食抜くと「時差ボケ」に

2019-03-30 10:38:44 | 自然
朝食時差ボケという言葉があるようで、朝食を抜くと午前中頭がぼーっとして体がだるく、仕事や勉強に対するやる気が出ない状態のことのようです。

これは人間の「体内時計」の狂いが原因とされています。時間栄養学という分野があり、ここでは体内時計と食事との関連性が指摘されています。

2017年に体内時計に関する領域で研究者がノーベル生理学・医学賞を受賞し、体内時計という概念が身近なものとなりました。この時計遺伝子は体中にあり、標準時計に当たる主時計は脳に、ローカル時計である末梢時計は肝臓や腎臓に存在します。

末梢時計はそれぞれ特徴があるので、バラバラに働かない様に主時計である脳が指揮者のように、全体に調和のとれたハーモニーを作り出しています。

1日は24時間ですが、実は体内時計は毎日30分ずれて来るようです。半月で8時間のずれが生じることになり、それを補正するメカニズムが働きます。朝の光が主時計を30分進め、夜は逆に光を浴びると主時計は遅れてきます。

一方末梢時計の活動は食事に影響されます。朝昼夕の3食を5時間遅らせ、正午、午後5時、10時に取ると体内時計がどうなるかが実験したところ結果は2時間30分ずれました。主時計は影響を受けませんが、末梢時計は5時間遅らせようとし、そのせめぎあいの結果として2時間30分のずれが生じたと考えられています。

末梢時計のリズムを整えるためには、食事の内容も大切で、コメやパンなどの炭水化物と肉や魚、卵などのタンパク質の組み合わせが良いようです。

炭水化物を食べると血糖値を下げるインスリンが分泌され、この信号が末梢時計を合わせます。タンパク質もIGF-1というインスリンに似た物質が末梢時計のリセットに役立ちます。

食事と食事の間の時間も重要で、朝食抜きで正午ごろ食事をし、その後が午後10時に食事をすると絶食の時間が長すぎるようです。末梢時計は昼の食事を朝食だと勘違いしてしまい、当然ながら体内時計は乱れてしまいます。

朝はインスリンの分泌が多く、朝食をたくさん食べても血糖値は上がりにくいのですが、夜はインスリンの効きが悪く血糖値が上がりやすくなります。

しかし仕事や塾などで夕食の時間が遅くなることも多いのが現代ですので、分食が良いとされています。夕方の時間にちょっと間食をするだけでも、体内時計の正常化には役立つようです。

私は昔よく海外出張をしましたが、いわゆる時差ボケは全く起こりませんでした。どうも私の体内時計は非常に性能が良いのか壊れているのかもしれません。体内時計は個人差が大きいようですが、やはり朝食はしっかりとることが色々な面で体には良いことは確かなようです。

加齢黄班変性に遺伝子治療

2019-03-29 10:32:26 | 健康・医療
世界中で何百万という人が発症するリスクのある「加齢黄班変性」は、加齢に伴う視力喪失の要因として最も一般的な病気だと言われています。

今回オックスフォード大学が両目に加齢黄班変性がみられ、特に左目が深刻な状況になっている80歳の女性に遺伝子治療を行いました。

この女性の疾患は萎縮型と呼ばれるもので、滲出型と比べてより一般的で治療の難易度も比較的高いと言われています。萎縮型は、黄班内の細胞(中心視力や焦点を合わせるのに重要な網膜の一部)が徐々に死滅し再生されない状況に陥ります。

これにより視野の中心にあるものがぼやけたり暗く見えたりすることがあるようです。今回の遺伝子治療は、加齢黄班変性の進行を食い止めることを目的とした臨床試験の一環として行われました。

治療では局所麻酔を投与し、左目の網膜をはがして人工ウイルスを含む溶液が注入されました。今回は実験的なやり方であることから右目は治療されなかったようです。

溶液には修飾されたDNA配列が含まれており、特定の網膜細胞にウイルスが届くことで加齢黄班変性の原因となる遺伝的欠陥を修復することが期待されています。

このようにウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)として使用する場合は、色々と工夫がなされるようですが今回は詳しいところはわかりませんでした。

ウイルスが網膜細胞に作用し始めると、合成DNAを放出して細胞が疾患を治療すると考えられるタンパク質を作って、補体系によって引き起こされる炎症の不均等性を修正するようになると説明されています。

補体系は細菌と闘うタンパク質からなるものですが、黄班変性では免疫系が必要以上に活性化して網膜細胞を攻撃するようになります。今回の遺伝子治療によって、この補体系の正常でない動きを止められるはずで、これを確実にできるように目の後ろの極めて特定的な部分で行うのが重要だったようです。

今回行われた遺伝子治療は進行を遅らせるものですので、患者の左眼の症状の悪化が止まったかどうかを見分けるには数週間から数カ月と時間をかけて慎重に様子を見る必要があります。

手術が成功したかどうか判断するには時期尚早ですが、手術は1回で完了するようです。今回の遺伝子治療は悪化を食い止めるものですので、特に初期の段階にある患者への適用で効果を発揮されることが期待されています。

今回の遺伝子治療がどの程度簡便なものかはわかりませんが、眼の老化として治療法がなかった疾患の対処法として面白そうな気がしています。

二人だけの同窓会

2019-03-28 10:33:20 | 日記
学生時代の友人のM君と、軽く飲みながら話をする会を久しぶりに行いました。

一昨年に10年ぶりぐらいに合い、色々と話しをするのがなかなか楽しいということで、年に何回かは会おうという話になっていました。昨年11月に合ったときには、M君の思い出話のようなことをブログに書いています。

今年もそろそろと連絡を取ったのですが、M君が重篤ではないのですが、体調を崩したということでした。それでも何とか復調したということで、前回合ったビール会社の直営店で待ち合わせました。

ここは昼から営業しているのですが、さすがに昼は客も少なくゆっくり話ができます。当然彼の体調につての話しから始まりましたが、基本的には老化現象として70代であれば70%ぐらいの人がこの症状が出るという病気です。

彼は昨年末に急に発症してしまい、病院も終わっていますので応急処置をして大変な正月を過ごしたようです。正月明けから本格的に治療をしてほぼよくなったようですが、やはり酒やコーヒーはあまり良くないようで、この時もビールを一杯しか飲みませんでした。

私は2杯目に彼が飲んでいたフローズンビールを頼んでみましたが、泡がソフトクリームのようにきれいになっており、名前のように氷の泡という面白いものでした。だからと言ってビールはいつもの味がしていました。

話題は私がしていたスマートウオッチになりましたが、私はスマフォを持っていないため色々取ってあるデータを見せることはできませんでした。それでも色々な機能はわかったようで、睡眠状態の解析に興味を持ったようでした。

通常は脳波を測定するところが、なんで腕につけて血流を見ているだけで測定できるのかは彼にもわかりませんでした。まあ元研究者といっても専門は微生物ですので、AIに関しては私より詳しいようですが、やはり訳が分からない世界のようです。

その他昔話も含めていろいろ盛り上がったのですが、2時間以上過ぎたためこの場は終わりにして近くのコーヒーショップに移動しました。どうも前回と同じパターンになったようです。

私としては軽く飲めるしゃれた店を教えてもらっていたのですが、M君の体調から酒は無理なようですので、コーヒーを飲みながら話すことにしました。

ここではかなり深刻な時事ネタになりました。終末医療がやはり問題であるということで、意見交換しましたが元気なうちには延命治療は拒否していても、実際の終末期になった時家族がどうするか難しいところです。

またなぜ日本は女性が活躍できないのかなど、お互い自分の意見を持っていますので面白い話となりました。結局いつものように5時間以上過ぎてしまいましたが、こうった忌憚のない意見が交換でき友人がいるというのは嬉しいことと再認識しました。

農薬が子どもの発達障害の原因か?

2019-03-27 10:41:33 | 
発達障害の子供が増加していますが、この原因として注目されているのが農薬との関係という説があります。

食べ物に含まれる化学物質が、子どもの脳の発達に悪影響を与えるという説です。あまり科学的根拠はないような気がしますが、紹介してみます。

文部科学省が2012年に公表した調査によれば、全国の公立小中学校に在籍する児童生徒のうち、コミュニケーションがうまく取れないなど発達障害の可能性がある子供は6.5%で15人に1人となっています。

文科省の資料によると、発達障害で特別支援教育を受けている児童生徒数は、06年度に6894人であったものが年々増え続け、17年度には5万4247人と8倍近くまで達しています。

この発達障害の原因について、かつては遺伝による要因が強いとされていましたが、現在では環境的な要因が注目されています。2011年に大規模な疫学調査が実施され、発達障害の遺伝性は約37%で、約63%は環境要因となる結果が示されました。

原因としてここ数年指摘されているのが、環境中に蔓延している化学物質による影響で、中でも農薬の危険性が焦点となっています。一例として農地1平方キロ当たり何トンの農薬が使われているかを、OECD加盟国で比較したデータがあります。

これは湿潤で虫や病気が発生しやすい日本や韓国では、農薬が大量に使われています。これを自閉症、広汎性発達障害の国別有病率と見比べてみると、数値が高い方から4番目までの順位が一致し、日本と韓国が抜きんでています。

この農薬のうちネオニコチノイド系農薬が発達障害急増の一因となっていることが予想されています。これは殺虫剤として使われるもので、それまでの有機リン系農薬に代わって90年代から世界で急速に広まったものです。

神経細胞のメカニズムは、情報がアセチルコリンという神経伝達物質によって次々と伝えられていきます。このネオニコチノイド系農薬は、アセチルコリン受容体に結合して、ニセモノの神経伝達物質として作用します。つまり神経へ誤った情報を流すのです。

この誤った情報によって、脳細胞の発達が最も著しい胎児期から幼少期の子供の神経細胞が、正常に分裂していかなくなる危険性があるとしています。

日本でも国立環境研究所が、ネオニコチノイド系農薬の発達期暴露が成長後の行動に影響を与える可能性を動物モデルで示差という論文を2016年に発表しています。こういったことから農薬と発達障害が結びつけられているようですが、現行の非常に厳しい農薬の残留規制から考えると、私はほぼ無関係と感じます。

このように何かの病気の原因を化学物質に押し付ける風潮は、最近増えていますがほとんど科学的根拠のないものであり、単なる言葉遊び程度ではないかと思っています。