ごっとさんのブログ

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   薬と猫と時々時事

生命のシステムは1種類だけではないのか

2024-12-15 10:32:48 | 自然
このブログでもよく取り上げていますが、私は生命の起源に大いに興味を持っています。私が生きているうちに解明されることはなさそうですが、さらに地球外生命体がいるのかという議論も活発です。

観測可能な宇宙には、10の23乗個という文字では表せないほど膨大な星があります。特別ではない太陽系の珍しくもない衛星である地球に生命が存在しているという事は、広く見渡せば宇宙のどこかに複数の地球外生命が存在していても不思議ではないという意見があります。

東京大学の研究者は観測可能な宇宙に地球外生命が存在している可能性は極めて低いという説を発表しています。知っている生命システムは、タンパク質を触媒として代謝を行い、DNAを用いて複製をする地球生命のシステムのみです。

そのため地球外生命体も同様の生命システムを有しているのではないかと考えがちです。代謝と複製の材料という枠を取り払って、生命の定義を「自律的に化学反応をして自分の体を作り運動するもの」であり、「その過程で自己複製をして進化していくもの」としたとします。

するとウイルスは生命か非生命かという議論が生じますが、未だ結論が出ていません。増えるか進化するか定かではないけれども、自分の身体を維持しながら動いている何かが地球外で見つかった時、それを生命とも非生命とも判断しかねてしまうでしょう。

1982年にある特定のRNAが自己複製と触媒の2つの機能を持つことが明らかになりました。これはタンパク質やDNAが無くても、RNAのみで代謝と複製が可能であるという事を示唆しています。

地球生命の生命サイクルはRNAのみで賄われていたのではないかというのが「RNAワールド仮説」です。これを含めタンパク質以外の物質を触媒に、DNA以外の物質で複製を行う生命システムのパターンがあってもおかしくないと考えられます。

そこで生命の定義は難しいという話しにも関係しますが、「ここまでは非生命」「ここからは生命」というように切り分けて考えるのではなく、生命と非生命の間はグラデーションであるという考え方もあるようです。こうすると地球外生命を定義することも難しくなくなるかもしれません。

この地球外生命は地球生命と違う生命システムである可能性が高いような気もします。この様な考え方はあるのですが、私は地球外生命はいないだろうと思っています。どうも生命の発生は誰も分からない偶然性の積み重ねでできたような気がしています。

地球の生命誕生から何十億年経ち、地球は生命の生育に適した環境があっても新たな生命システムが出てこないというのは、発生の偶然が非常に稀なものであることを意味しているような気がします。

毎日10万回も心拍する心臓はいつ休憩しているのか

2024-11-27 10:31:28 | 自然
私は若いころから心拍数が90〜100近くと、かなり多い方です。小動物では早く大動物ではゆっくりしていますが、一説によると一生の心拍数は皆同じという話しがありました。

これによると心拍数の多い私は、ゆっくりしている人より寿命が短いのではと心配していました。医師によれば頻脈という程ではなく、放置していても問題ないという事でした。

実際ヒトの心拍数はキリンやトラと同じぐらいですが、寿命はヒトがずっと長く心拍数と寿命は関係がないようです。今でも心拍数は多いのですが、この歳(77歳)まで元気ですので個人差という事かもしれません。

さて心臓は生まれてから死ぬまで毎日およそ10万回の拍動を繰り返しながら、全身に血液を送り続ける働き者の臓器です。1回の拍動で60ミリリットル、1分間に約5リットルの血液を送り出し、1日にすると牛乳ビン約4万本(7200ミリリットル)分にもなります。

これを入力している今、膝の上にネコが寝ていますのでその心拍を測ろうとしたのですが、首の周りや心臓近くを調べても脈動が見つかりませんでした。どうもネコは拍動があまり外に出ないのかもしれません。

成人の安静時の心拍数は1分間およそ60〜70回ですが、常に同じペースを保っているわけではなく、同じように見えても厳密に計測すると、拍動の間隔は0.9〜1.1秒ぐらいの間で細かく変動しています。

この心拍変動を「揺らぎ」といい息を吸うと速くなり、吐くと遅くなるという特徴があります。実は心臓は、この息を吐いているわずかな時間に「休息」しているのです。そして健康な人ほどこの休息時間が長く、揺らぎが大きくなる傾向があるといわれています。

息を吸うときは心臓は肺にできるだけ多くの血液を送って酸素を取り込まなくてはなりませんが、息を吐いて酸素が少なくなったときに必要以上の血液を送り込む必要はありません。そこで息を吐いているときはペースを落として休み、疲労回復をするのです。

このシステムはヒトに限らず、肺呼吸するあらゆる動物に見られるようです。カエルはオタマジャクシのときはエラ呼吸ですが、脚が生えて肺呼吸するころになると、脳の中に揺らぎを生み出す「疑核」という部位ができて、呼吸に合わせて拍動が揺らぎ始めます。

ある意味動物は心臓の揺らぎシステムを身に着けたことで、地上に進出できたといえるほど、0.1〜0.2秒ほどのわずかな休息は心臓にとって欠かせないものであり、心臓が死ぬまで拍動を続けることができる秘訣でもあるようです。

この心臓の揺らぎは始めてみましたが、やはり自然のシステムは素晴らしいと感じました。


ビールの主役ホップの健康効果が脚光

2024-11-18 10:34:29 | 自然
ビールは私も割と好きな酒で毎日飲んでいますし、居酒屋など行くとまずビールとなっています。それでもジョッキ一杯くらいでほかの酒にしていますが、アルコール濃度も低く気軽に飲めるからかもしれません。

最近ビールの原料のひとつであるホップには、健康を促す様々な性質があることが分ってきました。実験室内での多くの研究や少人数の人を対象にした研究からは、ホップに含まれる物質には抗菌、抗腫瘍、抗炎症、血糖値の調整といった幅広い特徴があることが分っています。

専門家はこの植物が心血管疾患、糖尿病、胃腸障害、さらにはガンに対する効能を持つ可能性を探っています。ホップが持つ有益な性質の大半は、雌株の毬花に豊富に含まれる抗酸化物質に由来します。

毬花は、ビールの製造に使われる部位で、抗酸化物質は炎症を抑えたり、細胞を損傷から保護したりする働きを持ち、ホップの14%を占めています。ホップに含まれる有望な抗酸化物質である苦味酸とポリフェノールは、ビールの風味や香りのもとになっています。

研究者が特に注目しているのは「キサントフモール」と呼ばれるポリフェノールで、これはホップにだけ含まれる強力な抗酸化物質です。

ただし多くのビールに含まれるキサントフモールはごく微量であること、心臓病やガン、肝臓障害、免疫機能不全といったアルコールのさまざまな健康リスクを無視してはいけないようです。

ビール造りは農業と共に始まっています。およそ1万2000年前、人間は農耕生活へと移行し、地域に応じてコムギ、オオムギ、トウモロコシなどの、ビールのもととなる穀物の栽培を始めました。

発酵を制御する方法が人類によって解明されると、ビールは世界で最も人気の高い飲料のひとつとなりました。それでも穀物、酵母、水だけでは風味や香りが乏しいうえ、飲料が腐らないようにする方法も必要でした。

1000年ほど前のローマ帝国では、食品の腐敗を遅らせるために既にホップが使われていたようです。ホップとその成分に関する研究は、細胞やげっ歯類を対象に実験室で行われたものが大半ですが、結果は概ね良好です。

ホップ由来の抗酸化物質の混合物を脂肪細胞に加えると、低密度リポタンパク質、いわゆる悪玉コレステロールの酸化が防がれ、それによるダメージが抑えられます。肥満のオスのラットにキサントフモールをエサと一緒に与えると血糖値が下がり、量が多いほど損効果は大きくなりました。

キサントフモールは、肺ガン、大腸ガン、甲状腺ガン、卵巣ガンなどのガン細胞にも影響を与えることが分っています。キサントフモールがあると、ガン細胞は自滅したり、複製や転移を行わなくなったりします。

こうした結果がヒトにも当てはまるかは分かっていませんが、ビールには想定外の効能があるのかもしれません。

自然が本来持つ力を回復させる「ネイチャーポジティブ」に注目

2024-11-03 10:31:47 | 自然
私は自然が好きで、このブログにもそういった話題を出しています。身近な自然として自宅の小さな庭にも面白いことが色々起きています。

例えば庭の雑草を6月ぐらいに綺麗にしてもらっていますが、その後最初に出てくる草が必ずアサガオです。なぜアサガオから出て来るのかいろいろ調べてみましたが、未だに分かっていません。

さてかつては維持されていた生態系が、人間の手によって破壊され続けています。1990年以降、世界では4億2000万ヘクタールもの森林が失われてきました。これは日本の国土の11倍にも相当する広さです。

また絶滅危惧にある野生動植物のレッドリストには、4万5321種が記載されており、多くの生き物が絶滅の危機にさらされています。森では適度に間伐をし、日の光が差し込むようになっていることで、下草が生え生き物が集まってきます。

こうした自然が本来持つ力を回復させようというアプローチが「ネイチャーポジティブ」と呼ばれています。一言でいうと、自然の劣化を食い止め回復の軌道に乗せるということです。

2022年12月のCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で2030年グローバルターゲットのひとつに盛り込まれ、世界的な目標として掲げられています。

気候変動対策というと温室効果ガス削減などがまず思い浮かびますが、近年ネイチャーポジティブが気候変動や生物多様性だけでなく、社会経済の発展、コミュニティの創出、防災・減災や食糧問題など複数の社会課題の解決につながるということで、取り組みが盛んになってきています。

たとえば猛禽類が住める太い木があるかどうかは、森の豊かさのバロメーターになるそうですが、今は太い木が減ってしまいフクロウが住宅難に陥っています。そこで木が育つまでの緊急措置として、フクロウの巣箱を設置しているようです。

企業が製品作りに欠かせない安心・安全な地下水を守るために、森の再生を行っている企業もあるようです。今では1万2000ヘクタールにも及ぶ森林の豊かさを守っています。

食料自給率が38%と先進国で最下位の日本で、食と農と健康の課題解決を目的とした農体験は、誰でもできるネイチャーポジティブの取り組みと言えそうです。

こういった取り組みが増加しているようですが、従来自然を破壊する方向であった人間の活動が、自然の回復力を助ける方向に向けば豊かな自然は帰ってくるという気がします。

ただ実際にどういう活動をするのかはなかなか難しい課題といえそうです。

地球の全生物の起源は1つとは限らない

2024-10-23 10:32:47 | 自然
生命の起源という問題は私が最も興味を持っていることのひとつですが、残念ながら私が生きているうちには明らかになりそうもないと思っています。

生命誕生の条件はまだいろいろな説がありますが、現在の科学をもってすれば、それを再現することは可能で実際色々試みられていると考えられます。しかしまだ人工生命の成功例はなく、まだ見つかっていない非常に稀な偶然のような要素があるのかもしれません。

地球の生命の共通の起源となった生物はルカ(LUCA)と呼ばれていますが、これは全生物の共通祖先という英語の頭文字をとったものです。ルカはおよそ42億年前に生きていたと考えられています。これは現生生物のDNAの情報から推定されたものです。

42億年前の化石は残っていないので、現生生物のDNA情報から推定するしかありません。例えばヒトとチンパンジーとゴリラの進化の道筋、つまり系統樹は以下のようなものと考えられています。

昔は3種すべて同じ種でしたが、まずゴリラが分岐して、その後チンパンジーと人が分岐しました。この様な系統樹を、DNAの情報から推測することを考えてみます。

仮に3者のDNAの塩基配列の違いが、ヒトとチンパンジーで4塩基、ヒトとゴリラで5塩基、チンパンジーとゴリラで5塩基だったとします。すると3種の無根系統樹の様な系統樹が描けます。

さらに外群と呼ばれるさらに古い時期に分岐したと考えられるものを加えていき、系統樹を完成されることになります。この辺は図示してありますがなかなか理解するのが難しい操作のようです。

このような操作を繰り返すことによって、系統樹の中での共通祖先の位置も決まってくるようです。系統樹を描くためにDNAの情報を使う場合、具体的には特定の遺伝子の塩基配列を使うことが多くなります。

つまりそういう系統樹は、正確に言えば種の系統樹ではなく遺伝子の系統樹となります。種の系統樹と遺伝子の系統樹はおおかた一致するだろうと仮定することによって、遺伝子の系統樹を種の系統樹と解釈しているにすぎません。

さて種の系統樹と解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在しません。しかし遺伝子の系統樹として解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在することになってしまいます。

こういったことから、ルカが生きていた時代より古い時代の生物がいたことになるようです。これは単にルカの定義を変えるだけですが、実際はもう1種類のルカがいないと説明できないことになるようです。

生命の起源を考えると、異なった場所で生命が発生するという偶然が起こるとは考えられませんので、この系統樹から見た生命の起源は怪しいという事になるでしょう。

こういったことも含めてどこかで人工生命を作り出す実験に成功して欲しいものです。