ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

ビールの主役ホップの健康効果が脚光

2024-11-18 10:34:29 | 自然
ビールは私も割と好きな酒で毎日飲んでいますし、居酒屋など行くとまずビールとなっています。それでもジョッキ一杯くらいでほかの酒にしていますが、アルコール濃度も低く気軽に飲めるからかもしれません。

最近ビールの原料のひとつであるホップには、健康を促す様々な性質があることが分ってきました。実験室内での多くの研究や少人数の人を対象にした研究からは、ホップに含まれる物質には抗菌、抗腫瘍、抗炎症、血糖値の調整といった幅広い特徴があることが分っています。

専門家はこの植物が心血管疾患、糖尿病、胃腸障害、さらにはガンに対する効能を持つ可能性を探っています。ホップが持つ有益な性質の大半は、雌株の毬花に豊富に含まれる抗酸化物質に由来します。

毬花は、ビールの製造に使われる部位で、抗酸化物質は炎症を抑えたり、細胞を損傷から保護したりする働きを持ち、ホップの14%を占めています。ホップに含まれる有望な抗酸化物質である苦味酸とポリフェノールは、ビールの風味や香りのもとになっています。

研究者が特に注目しているのは「キサントフモール」と呼ばれるポリフェノールで、これはホップにだけ含まれる強力な抗酸化物質です。

ただし多くのビールに含まれるキサントフモールはごく微量であること、心臓病やガン、肝臓障害、免疫機能不全といったアルコールのさまざまな健康リスクを無視してはいけないようです。

ビール造りは農業と共に始まっています。およそ1万2000年前、人間は農耕生活へと移行し、地域に応じてコムギ、オオムギ、トウモロコシなどの、ビールのもととなる穀物の栽培を始めました。

発酵を制御する方法が人類によって解明されると、ビールは世界で最も人気の高い飲料のひとつとなりました。それでも穀物、酵母、水だけでは風味や香りが乏しいうえ、飲料が腐らないようにする方法も必要でした。

1000年ほど前のローマ帝国では、食品の腐敗を遅らせるために既にホップが使われていたようです。ホップとその成分に関する研究は、細胞やげっ歯類を対象に実験室で行われたものが大半ですが、結果は概ね良好です。

ホップ由来の抗酸化物質の混合物を脂肪細胞に加えると、低密度リポタンパク質、いわゆる悪玉コレステロールの酸化が防がれ、それによるダメージが抑えられます。肥満のオスのラットにキサントフモールをエサと一緒に与えると血糖値が下がり、量が多いほど損効果は大きくなりました。

キサントフモールは、肺ガン、大腸ガン、甲状腺ガン、卵巣ガンなどのガン細胞にも影響を与えることが分っています。キサントフモールがあると、ガン細胞は自滅したり、複製や転移を行わなくなったりします。

こうした結果がヒトにも当てはまるかは分かっていませんが、ビールには想定外の効能があるのかもしれません。

自然が本来持つ力を回復させる「ネイチャーポジティブ」に注目

2024-11-03 10:31:47 | 自然
私は自然が好きで、このブログにもそういった話題を出しています。身近な自然として自宅の小さな庭にも面白いことが色々起きています。

例えば庭の雑草を6月ぐらいに綺麗にしてもらっていますが、その後最初に出てくる草が必ずアサガオです。なぜアサガオから出て来るのかいろいろ調べてみましたが、未だに分かっていません。

さてかつては維持されていた生態系が、人間の手によって破壊され続けています。1990年以降、世界では4億2000万ヘクタールもの森林が失われてきました。これは日本の国土の11倍にも相当する広さです。

また絶滅危惧にある野生動植物のレッドリストには、4万5321種が記載されており、多くの生き物が絶滅の危機にさらされています。森では適度に間伐をし、日の光が差し込むようになっていることで、下草が生え生き物が集まってきます。

こうした自然が本来持つ力を回復させようというアプローチが「ネイチャーポジティブ」と呼ばれています。一言でいうと、自然の劣化を食い止め回復の軌道に乗せるということです。

2022年12月のCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」で2030年グローバルターゲットのひとつに盛り込まれ、世界的な目標として掲げられています。

気候変動対策というと温室効果ガス削減などがまず思い浮かびますが、近年ネイチャーポジティブが気候変動や生物多様性だけでなく、社会経済の発展、コミュニティの創出、防災・減災や食糧問題など複数の社会課題の解決につながるということで、取り組みが盛んになってきています。

たとえば猛禽類が住める太い木があるかどうかは、森の豊かさのバロメーターになるそうですが、今は太い木が減ってしまいフクロウが住宅難に陥っています。そこで木が育つまでの緊急措置として、フクロウの巣箱を設置しているようです。

企業が製品作りに欠かせない安心・安全な地下水を守るために、森の再生を行っている企業もあるようです。今では1万2000ヘクタールにも及ぶ森林の豊かさを守っています。

食料自給率が38%と先進国で最下位の日本で、食と農と健康の課題解決を目的とした農体験は、誰でもできるネイチャーポジティブの取り組みと言えそうです。

こういった取り組みが増加しているようですが、従来自然を破壊する方向であった人間の活動が、自然の回復力を助ける方向に向けば豊かな自然は帰ってくるという気がします。

ただ実際にどういう活動をするのかはなかなか難しい課題といえそうです。

地球の全生物の起源は1つとは限らない

2024-10-23 10:32:47 | 自然
生命の起源という問題は私が最も興味を持っていることのひとつですが、残念ながら私が生きているうちには明らかになりそうもないと思っています。

生命誕生の条件はまだいろいろな説がありますが、現在の科学をもってすれば、それを再現することは可能で実際色々試みられていると考えられます。しかしまだ人工生命の成功例はなく、まだ見つかっていない非常に稀な偶然のような要素があるのかもしれません。

地球の生命の共通の起源となった生物はルカ(LUCA)と呼ばれていますが、これは全生物の共通祖先という英語の頭文字をとったものです。ルカはおよそ42億年前に生きていたと考えられています。これは現生生物のDNAの情報から推定されたものです。

42億年前の化石は残っていないので、現生生物のDNA情報から推定するしかありません。例えばヒトとチンパンジーとゴリラの進化の道筋、つまり系統樹は以下のようなものと考えられています。

昔は3種すべて同じ種でしたが、まずゴリラが分岐して、その後チンパンジーと人が分岐しました。この様な系統樹を、DNAの情報から推測することを考えてみます。

仮に3者のDNAの塩基配列の違いが、ヒトとチンパンジーで4塩基、ヒトとゴリラで5塩基、チンパンジーとゴリラで5塩基だったとします。すると3種の無根系統樹の様な系統樹が描けます。

さらに外群と呼ばれるさらに古い時期に分岐したと考えられるものを加えていき、系統樹を完成されることになります。この辺は図示してありますがなかなか理解するのが難しい操作のようです。

このような操作を繰り返すことによって、系統樹の中での共通祖先の位置も決まってくるようです。系統樹を描くためにDNAの情報を使う場合、具体的には特定の遺伝子の塩基配列を使うことが多くなります。

つまりそういう系統樹は、正確に言えば種の系統樹ではなく遺伝子の系統樹となります。種の系統樹と遺伝子の系統樹はおおかた一致するだろうと仮定することによって、遺伝子の系統樹を種の系統樹と解釈しているにすぎません。

さて種の系統樹と解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在しません。しかし遺伝子の系統樹として解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在することになってしまいます。

こういったことから、ルカが生きていた時代より古い時代の生物がいたことになるようです。これは単にルカの定義を変えるだけですが、実際はもう1種類のルカがいないと説明できないことになるようです。

生命の起源を考えると、異なった場所で生命が発生するという偶然が起こるとは考えられませんので、この系統樹から見た生命の起源は怪しいという事になるでしょう。

こういったことも含めてどこかで人工生命を作り出す実験に成功して欲しいものです。

人差し指と薬指、どちらが長いのか

2024-10-11 10:34:07 | 自然
私は長い事ギターを演奏してきましたので、指の長さは気にしていたのですが、人差し指と薬指の長さを比べたことはありませんでした。

この長さを比べる「指比」の研究は世界中で行われているようです。指比研究が明らかにしてきた意外な人間の才能とホルモンの関係が分かってきました。ここでは北海道大学の研究を中心に紹介します。

精巣の発生が始まるのは、ヒトでは妊娠8週目ごろと言われています。胎児の身体に精巣が作られると、そこから男性ホルモンが大量に分泌されます。この大量分布は妊娠12週目ごろから顕著になり、16週目あたりをピークに22週目ごろまで続きます。

胎児期におけるこの一過性の男性ホルモン分泌は、「アンドロゲンシャワー」と呼ばれています。大量に分泌された男性ホルモンは、胎児の身体の隅々まで届けられ、後に男性型に発達していくためにさまざまな細胞、組織、器官を整えていくと考えられています。

このアンドロゲンシャワーをどれくらい浴びたのか、大人になってからも知ることができると言われています。それが人差し指と薬指の長さを比べる「指比」の研究です。

人差し指と薬指の長さの比は、第2指・第4指比(2D:4D比)と呼ばれ、人差し指の長さを薬指の長さで割った値のことです。男女で指比に差があることは150年前の1875年に報告されています。

日本人の双子300人を対象として指比を調べた研究では、男性の平均値が0.951、女性の平均値が0.968と報告されています。男性同士で比べた場合でも、胎児期にアンドロゲンシャワーをより多く浴びた男性ほど、薬指より人差し指が短い傾向があることが報告されています。

さらに1990〜2000年代には、指比がさまざまな特性と相関があるという報告が相次ぎました。身体能力や行動、判断力、性格や気質、病期のかかりやすさなど、成人してからの男性のさまざまな特徴に影響を及ぼすといったものです。

スオンジー大学はスポーツと指比の関係を調査する研究を行い、イギリスのサッカー選手の指比を調べた有名な研究があります。一般男性30名とサッカー選手30名の指比の値を比べたところ、一般男性の平均は0.98でしたが、サッカー選手では0.95と人差し指がより短いことが分りました。

さらに200名ほどのサッカー選手を対象に、そのクラス分けに応じて指比を比較したところ、活躍していた選手やコーチの値の平均は0.94と、さらに人差し指が短い傾向がわかりました。これは名プレイヤーほど、胎児期にあびたアンドロゲンシャワーの量が多いことを示唆しているようです。

私ははここで初めて指比という概念を知りましたが、指の長さとホルモン量(しかも胎児期の)に関係があるというのは、ヒトの面白さをあらめて感じたような気がします。

人の意識は「死んだら終わり」ではないのか

2024-10-04 10:34:25 | 自然
私は「死」とは生命が有機化合物の集合体に代わることであり、脳の活動も停止しますので意識も無くなると考えています。

当然死後の世界など存在しないと思っていますが、最近でも色々な大学の研究者たちが、死そのものを科学的に解き明かそうとしているようです。

こういった研究では臨死体験という話しがよく出てきますが、「臨死体験」とはなにか明確にはなっていない気がします。非常に難しい手術が奇跡的に成功して助かったとしても、脳は正常に機能していたはずで、別に死に近づいたとは言えないような気がします。

中部大学の研究員がある少年との話を例示しています。この少年は「戦艦大和で戦死した乗組員だった」という記憶がはっきりしているようです。その詳細は省略しますが、これは単に記憶が遺伝によって受け継がれる可能性があるという事だけのような気がします。

また海外では米国の女性が体験した「体外離脱」が有名なようです。この女性は脳動脈瘤の治療のため、「低体温心停止法」という仮死状態で行う特殊な手術を受けました。

体温を15℃に下げられて心肺停止となり、目隠しと耳栓をされていたにもかかわらず、自分が手術される様子を克明に見聞きしていたということです。これも詳細は略しますが、この件は「史上最も詳しく、科学的裏付けのある臨死体験の証言」と言われているそうです。

さらにこの女性の証言は、古今東西に残された「あの世」についての言い伝えとも驚くほど似通っていたとしています。ここで語られていた光景は、国や文化、宗教、時代を超えて多くの臨死体験経験者が証言する内容と一致しています。

この様な証言は、かつてなら「妄想だ」「幻覚だ」あるいは「捏造だ」などと切り捨てられていました。

現在では世界各国であまりに多くの報告があること、それらに不思議な一致が見られることから、「人の意識は、死後も何らかの形で存続する」そして「その形式には何らかの法則性がある」ということを少なからぬ研究者が認めるようになっているそうです。

ここで私はこうした臨死体験が、なぜ「意識が死後も存続する」という話しと結びつくのかがよく分かりません。バージニア大学では、すでに2600件以上の「死後の世界」や「生まれ変わり」に関する証言が集められ、分析されています。

もちろん信頼に足る証言が増えているからと言って、直ちに「死後世界が実存する」とは断言できません。ただ脳や身体の機能が止まるとその先は完全に無であるという考え方は、医学界や科学界でも過去のものになりつつあると言えるでしょう。

当然ですが私はこの意見に賛成できません。やはり「臨死」と「死後」は全く異なるものであり、臨死体験で死後の世界を推定することはできないと思っています。