ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

若者の「市販薬依存」の問題点

2019-01-31 10:30:24 | 
市販の風邪薬や頭痛薬などは、素人の判断で飲める薬となっていますが、この市販薬による依存症が問題になっているようです。

悩みを抱えた若者たちが、その場しのぎに市販薬で気を紛らわせ、依存に陥るというのです。この代表格が咳止めの薬の「ブロン」や風邪薬の「パプロンゴールド」ですが、他にも色々あるようです。

ブロンの乱用は1980年代後半から広がってきたようです。ブロンもパブロンも麻薬系の成分「コデイン」と、覚せい剤系の「メチルエフェドリン」、さらに「カフェイン」と抗ヒスタミン薬の一種の「クロルフェニラミン」という成分を含んでいます。

これと同様の成分を含む薬は市販薬の風邪薬などに多くあるようです。こうした若者が集まるインターネットサイトでは、市販薬の情報が交換されています。この4成分のそれぞれは微量ですが、互いに依存性を高め合っていると動物実験からいわれています。

他の薬も含めて市販薬は、複数の成分を合わせた「合剤」で、微妙に依存のリスクある成分を混ぜたものが多いようです。例えばある頭痛薬は、頭痛に効く成分のほかに、カフェインや鎮静剤の成分を含み、この余計な成分で止めにくくなります。

つまりカフェインで元気出て、鎮静系の成分で気持ちが落ち着いてまったりします。度胸が出てきて疲れが取れた感じがし、緊張感や不安も取れた気がします。常用している人は、頭痛がなくても一息つくために使ったり、飲まないとスッキリしないと感じる人も出てきます。

こうしたことからパブロンやブロンの錠剤を使う量が増えていくようです。それでもあまり問題化していないのは、医師にも責任があります。

医師は他の医師による処方薬には関心を払いますが、市販薬には関心を持たないことが多いようです。また患者も市販薬を使っていることを医師に言わないことが多く、市販薬の問題は表に出づらいのです。

こうした依存症になるとブロンなどは、「離脱(薬をやめること)」が難しいようです。覚せい剤などは、入院で使用をやめると疲れて寝て、腹が減ってご飯を食べると元気になるという、離脱は比較的簡単です(覚せい剤があると又使うという点は残ります)。

ブロンの場合は、元気が出る系統の成分をやめると、電池が切れたようになり何もする気力が出なくなります。それで寝ていればいいのですが、コデインなどの離脱症状で寝てもいられなくなるようです。

さらに離脱した後にまた薬を使う「再発」をする患者も多く、市販薬は手に入れやすく使っても法的に罰せられないという事情も背景にあるといいます。私の身近ではあまり聞かない問題ですが、何の規制もできないという点が深い問題となっているのかもしれません。


体内時計と働き方

2019-01-30 10:00:32 | その他
海外の多くの企業では、従業員は自らが最もパフォーマンスを発揮できる時間に合わせてスケジュールを調整できるようになっているようです。

これは「クロノタイプ」と呼ばれ、朝型、夜型、あるいはその中間など、生物学的な体質を表しています。ただほとんどの企業ではまだ従業員全員を同じ時間に働かせ、難しい問題を間違った時間帯に行わせており、そのことが成功を遠ざけていると指摘しています。

自分のクロノタイプが就業時間にあっているかどうかを知る方法として、起きる時間にアラーム時計を使うようならば、体質と時間があっていないと判断できるようです。

こういったその人の体質にあった時間に仕事をするというのは、理想論としてはわかりますが、実際はほぼ不可能なような気がします。

私が勤務していた研究所も当然就業時間は決まっており、9時までに出社しないと遅刻というペナルティーがありました。これは多分工場などで全員が一斉に部署に付かないと仕事が始められない、つまり一人が遅れると全員に迷惑がかかるといった時代の名残と思っていました。

この制度はその後フレックスタイムを導入して、ある程度自由な時間設定ができるようになり、遅刻ということは無くなりました。このフレックスタイムというのが、日本なりにうまくクロノタイプに合わせた働き方と言えるのかもしれません。

現在どの程度の企業がこういったフレックスタイムを導入しているのかわかりませんが、研究所といった特殊な職場以外は難しいのかもしれません。

ドイツの鉄鋼・工業品メーカーでは、クロノタイプに基づいてシフトを組んでおり、同社の従業員はより長い、質の高い睡眠時間を確保しているといいます。またある製薬企業では、難しい仕事をするのは何時が良いかを見極めるために、9時間にわたるトレーニングを受けるそうです。

その結果に従って、各自の就業時間を設定しています。ただしこういった取り組みは当然ですがまだ一般的ではないようです。企業のマネージャーは、一般的に朝方の従業員を好ましく感じるというデータもあるようです。

つまり職場に早く来る従業員は誠実とみなされ、遅く来る従業員よりも高く評価される傾向が残っていると報告されています。

確かに自分のことを考えても、クロノタイプというのは決まっており、私は完全に夜型でした。別に午前中は仕事ができないというわけではありませんが、やはり遅くなった方が集中できたような気がします。

これに合った働き方が良いのはもちろんですが、未だに規律を重んじる日本では遠い夢のような気がしています。

女性に少ない心筋梗塞や脳梗塞

2019-01-29 10:08:23 | 健康・医療
急性心筋梗塞や脳梗塞の原因の一つが、コレステロールや中性脂肪がたまる脂質異常症とされています。

脂質異常症は大きく3種類あり、高LDLコレステロール血症(悪玉コレステロールが高い)、低HDLコレステロール血症(善玉コレステロール値が低い)、高中性脂肪血症(中性脂肪値が高い)と分類されています。以前は高脂血症と呼ばれていましたが、HDLコレステロールは高め方がいいなどの理由から、10年ほど前に名称が変更されました。

厚生労働省の国民健康・栄養調査(2018年)の数字を参考にすると、中高年(40~64歳)男性の約15%、女性の約10%が脂質異常症の条件に該当します。人数的には男性約320万人、女性約210万人といったところで、脂質異常症は中高年男性に多いといえます。

一方厚生労働省の「患者調査(2016年)」によれば、継続的に治療を受けている中高年は、女性約47万8000人に対し、男性はわずか26万4000人と女性患者の方が1.8倍も多くなっています。女性の方がまじめに医者に通う人が多いからでしょう。

男性も職場健診などで自分が脂質異常症であることはわかっているのですが、痛くもかゆくもないし、面倒だからわざわざ医者に行く人は限られているのです。

高脂血症を放っておくと、次第に血管の内側にコレステロールや脂肪がこびりついて、動脈硬化が進むと言われています。現在は動脈硬化の原因は、必ずしも高脂血症のためだけではないとされていますが、やはり原因の大きな部分を占めているようです。

それがさらに進むと、血管が詰まりやすくなるため、急性心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。急性心筋梗塞の患者は、中高年男性が8000人もいるのに対して、女性はわずか1000人に留まっています。死亡数でも男性3684人対女性660人と、女性の方が圧倒的に有利な数字が出ています。

また脳梗塞に関しては、中高年男性の患者が約6万4000人に対し、女性は3万4000人、死亡数では男性684人対女性227人となっています。

確かに私の友人でも何人か軽い心筋梗塞や脳梗塞になっていますが、その奥さん方は1人もそんな話を聞いていません。このように脂質異常がもたらす病気については、かなり大きな男女差がついてしまっています。

先に述べた様に、女性の方が脂質異常症を放置せず、まじめに治療を受けているということだけでは、こんな大きな差を説明するのは難しいでしょう。単なる平均寿命でも女性の方が非常に長いという点も、このあたりからきているのかもしれません。

こういったホルモンなどが関係しない病気で、大きな男女差が出るのはなぜか、このあたりの原因を追究すれば、高齢者の健康維持という点で何か出てくるかもしれません。

全豪オープンテニス女子決勝

2019-01-28 09:46:51 | テニス
全豪オープンテニスもいよいよ大詰めとなり、決勝を残すだけとなりました。

女子は大坂なおみが見事決勝進出を果たし、対戦相手は第6シードのチェコのクビトバとなりました。この試合には、グランドスラム優勝という栄冠と共に、勝った方が世界ランキング1位つまり女王の座を獲得するという大一番となりました。

クビトバは左利きで鋭いサーブとショットを武器にここまでセットを落とすことなく勝ち上がってきた強敵です。試合が始まると決勝戦にふさわしい良い戦いとなりました。本来ゲームが決着するまで観客は声を出さないのが観戦マナーですが、あまりにも良いストローク戦で、観客から「おおー」というどよめきが何度も出たほどです。

大坂は強烈なサーブと早いショットを武器に、クビトバも安定したストロークとドロップショットなどの技を巧みに使い、互いに一歩も引かず6-6のタイブレークにもつれ込みました。ここでクビトバに珍しいミスが出て大阪がリードし、見事大阪がこのセットを取りました。

これで一安心ですが、セットを取ったことによる大坂の油断を心配していました。2セットは大坂の2ゲーム目のサービスゲームが再三ブレークポイントを握られたのですが、何とかこれをしのぎ、逆に3ゲーム目をブレークし大坂が一歩リードしました。

5-4となり大坂はサービスゲームをキープすれば優勝となったゲームから、クビトバの猛攻が始まりました。大坂のミスが出たというわけではないのですが、ここ一番のクビトバの集中力はすさまじく、何と3ゲームを連取され5-7で取られてしまいました。

ファイナルセットはこの2セットの嫌な流れを断ち切れるかどうかでしたが、大坂が最初のサービスゲームを本当に苦労して長いジュースの末守ったところから流れが変わったようです。2時間を超える長い戦いで、クビトバに疲れが出てきたようで、大坂がリードすることができました。

またもや5-4で大坂がサービスゲームをキープすれば勝つという場面が出来上がりました。このゲームは40-15となった次の大坂の強烈なサーブをリターンしたクビトバのボールが外れ、大坂は見事勝利しました。

勝った瞬間の大坂はうずくまりしばらく動きませんでした。この瞬間大坂の全米からのグランドスラム2大会連続優勝と日本人初の世界女王が誕生したのです。

この後行われた表彰式ではあまり良い優勝スピーチとはなりませんでしたが、21歳でこの偉業を達成した大坂を心から祝福したいです。

なお男子はジョコビッチ-ナダル戦と接戦が予想されましたが、ジョコビッチがストレートで優勝しました。本当に楽しい2週間でした。

膵臓ガン治療は進歩しているか

2019-01-27 10:32:39 | 健康・医療
ガンの「標準療法」とは、科学的根拠に基づき専門家の間で最善であると合意を得られている治療法で、最も多くの患者を救えると考えられています。

しかし膵臓ガンは、かなり進行してから見つかることが多いため、標準治療でも生存期間を延ばすことが難しくなっています。そのためある程度の科学的根拠が認められる治療法については、臨床研究(治療法などの有効性や安全性をヒトで確かめ検討する)として、病院の裁量で行っている治療法が多くあるようです。

横浜市立大学医学部付属病院では、術前補助療法として、抗ガン剤と放射線を組み合わせた治療を行っています。

術前に放射線をやった方がいいかどうかという結論は出ていないのですが、放射線を当てるとガンが放射線で死ぬときに、ガン抗原(免疫反応を引き起こす物質)のような因子を出すという研究があり、それを期待して行っています。

つまり放射線によって出たガン抗原とリンパ球が出会って戦うべき相手だと覚えると、全身に広がった目に見えないガン細胞をやっつけてくれるのではないか、という仮説が考えられています。

横浜市立大学附属病院では、手術前に2か月抗ガン剤治療を行った後に、放射線を2週間(週5日)照射するという治療法を行っています。ほかの病院では、抗ガン剤と放射線を同時に数週間行うという方法を採用しているところもあります。

こういった膵臓ガンの臨床試験は数多く、実施病院も少なくないようです。こういった術前に抗ガン剤と放射線を行い、手術が思うようにできれば、ガンが進行して血管に浸潤した切除可能境界の人でも30%のヒトの命が助かり、最初の診断で切除不能だった人でも20%が切除可能になります。

こういった切除可能になる人の割合が少ないような気もしますが、末期の膵臓ガンではやむを得ないのかもしれません。

化学療法、抗ガン剤も近年かなり進化し、数種類の抗ガン剤を使う多剤併用が主流となっています。2013年に保険認可された「フォルフィリノックス療法」は、3種類の抗ガン剤に増強剤(効果を高める製剤)を投与する方法です。

その他、ジェムサール(一般名ゲムシタビン)は、副作用が比較的少ないので高齢者や体力のない人に向いているし、TS-1は飲み薬なので、毎回通院する必要はないなど、患者の事情に合わせて選べるようになってきています。

なおノーベル賞で話題のオプジーボや免疫療法は、研究が進められていますが、まだ膵臓ガンに対する効果は認められていません。このように難治性の膵臓ガンについてもいろいろ臨床試験が行われていますが、まだまだ難しい課題も残っているようです。