ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

宇宙での老化加速が判明

2020-10-31 10:25:02 | 自然
特定の遺伝子を働かなくさせた実験用マウス(ノックアウトマウス)を宇宙で飼育して地球に生還させ、変化を調べる実験に世界で始めた成功したと、東北大学などの研究グループが発表しました。

宇宙では老化が加速することや、ストレスから体を守る遺伝子を活発にする働きが強まることが分かりました。

研究グループは2018年4月、環境ストレスから身体を守る遺伝子の働きを制御するタンパク質の一種「Nrf2」が機能しないノックアウトマウスと、比較用の普通のマウス各6匹、計12匹を国際宇宙ステーション(ISS)に運び、日本実験棟「きぼう」で31日間飼育し、すべてを生きたまま帰還させることに成功しました。

往復には米国の物質補給機「ドラゴン」を使用しています。分析の結果、宇宙では普通のマウスのさまざまな臓器でNrf2が活性化したことが分かりました。また各臓器の遺伝子の働きや血液中の代謝物が変化しており、一部はヒトの糖化に伴う変化と同じものでした。

普通のマウスは帰還後に血漿コレステロール値が上がりましたが、ノックアウトマウスはでは変化しないことも確認できました。宇宙では代謝の制御が大きく変わることが判明しました。

エネルギーを貯蔵する「白色脂肪細胞」を調べたところ、普通のマウスでは宇宙存在によって肥大化していました。ヒトでは老化などにより肥大化することが知られていますが、宇宙マウスでも同じことが起こったわけです。

一方ノックアウトマウスでは地上にいるうちから肥大化して細胞の数が減り、宇宙では肥大化しませんでした。

実験を通じ、宇宙の微小重力や放射線などによるストレスが、老化によるさまざまな変化をいわば早回しで引き起こすことや、Nrf2にそれを抑える役割があることが分かりました。

宇宙に滞在すると筋肉の量が低下するなど、老化に似た現象が起こることは飛行士の体験で知られていましたが、遺伝子や血液中の代謝物で確認したのは初めてとなります。

研究グループは、「世界にはヒトの病態を解明するためのノックアウトマウスがまだ数多くあります。これらを宇宙に持って行って調べれば生命科学や医薬品開発を進めることができる。今回の成果はスペースマウスの時代を切り開いた。」と述べています。

ただ私はこのような宇宙空間で実験することにはやや懐疑的な感じを持っています。地球上と宇宙との大きな差は重力の有無で、これが生命活動にそれほど大きな影響を与えるとは思えません。

莫大な金と時間をかけてまで、宇宙で実験する意義があるのか、特に生命科学の分野ではあまり意味がないと感じています。

うつ病の原因解明か

2020-10-30 10:26:46 | 健康・医療
コロナ禍で活動は制限され、心身に変調をきたす人も少なくないようです。

うつ病は生涯で15人に1人が経験するという「国民病」ですが、東京慈恵会医科大学の研究チームによって、その原因がウイルスにあることが判明しました。

過労や強いストレスによって引き起こされるうつ病は、誰もがかかる可能性を帯びていますが、その発症メカニズムについては長らく解明されいませんでした。

今年6月にこの研究チームは、体内の「ヒトヘルペスウイルス」が唾液を介して口から鼻に逆流し、脳に感染すると特定のタンパク質が作られることを発見しました。このタンパク質を持つ人は、持たない人に比べて12倍以上もうつ病にかかりやすいという結果も得られています。

動物を含めると数百種類にのぼるヘルペスウイルスの中で、ヒトに感染するのは9種類といわれています。この内訳は省略しますが、ここで問題になるのはそのうちのヒトヘルペスウイルス(HHV)-6と7となります。

このHHV-6と7はヒトに100%感染する、人間ならば誰もが持っているウイルスです。通常幼児期に家族などを通じて感染し、これらのウイルスは突発性発疹といった軽い発疹症をおこすだけで、体内のマクロファージに感染して静かにしています。

これを潜伏感染といい、宿主が疲労すると敏感に察知して再活性化し、外に出ようと唾液中に出現します。従って唾液中のHHV-6と7の量を調べれば、その人がどれだけ疲労しているかを客観的に分析することができます。

HHV-6は潜伏感染中も「H6LT」というメッセンジャーRNAを発現させています。通常はこれからタンパク質は作られないのですが、身体が疲れてくると「増えろ」という指示を出すタンパク質を作り始めます。

すると眠っていたHHV-6が動き始め、唾液中に出て新しい宿主を探しに行きます。疲労には運動などの情報が脳に伝わって生体アラームとして発せられる「生理的疲労」と病気の脳が勝手に疲労を感じてしまう「病的疲労」があります。

この病的疲労にうつ病が潜んでいるようです。このうつ病と関わってくるのは「HHV-6B」という可能性を見出しました。HHV-6は口腔からさらに鼻へと遡り、脳の中でにおいを司る嗅球という部位に感染します。

ここでHHV-6は「SITH-1」というタンパク質を産出するのですが、これは細胞内の別のタンパク質と反応して活性化し、嗅球内にカルシウムを流入させます。その結果嗅球の脳細胞は死んでしまうといいます。

その他のタンパク質の挙動も含めて、うつ病を発症するとしています。うつ病の原因がウイルスというのは俄かに信じにくいことですが、よくわからないうつ病ですので、こういった可能性もあるのかもしれません。

国内死亡者数は何と激減

2020-10-29 10:26:39 | 時事
厚生労働省の「人口動態統計月報」では意外な数値が並び、医療関係者を驚かせています。

9月に公開された今年1月から4月までの国内死亡者数を昨年同時期と比べると、今年の方が1万200人以上も少ないことが分かりました。

死因の中で最も減少しているのは呼吸器系の疾患で、6708人も減少しています。その背景には、新型コロナ感染対策として多くの人が「手洗い、マスク、うがい」を徹底するようになり、インフルエンザや風邪などにかからなかったことがあるとされます。

注目すべきは、循環器系疾患の死者が昨年に比べて5629人も減少した点です。ただし大きく減少しているのは65歳以上の高齢者であり、65歳未満の世代では昨年と大きな変化はありません。

循環器疾患の中でも、65歳以上では心筋梗塞1423人、心不全1407人、脳卒中1691人も減少しました。この理由の1つとして、新型コロナの流行拡大によって「新しい生活様式」が始まり、不要不急の症状でも病院に通っていた高齢者が、外出を控えたことが考えられます。

この点に関し、80代の女性の意見が出ていましたが要約すると「少し具合が悪いとすぐ近所の内科に行っていたし、腰痛があるのでバスに乗って整形外科に通っていました。娘からコロナがあるので病院に行かない方が良いといわれ、ほとんど病院に行かなくなりました。それでも体調に問題ないし、元気に過ごしています」というものです。

本来病院は病気を治療する場所であり、体調に不安がある場合はきちんと受診し適切な治療受ける必要があります。そのため新型コロナの流行が広がり始めた初期は、病院に行けずに体調を崩し亡くなる人が急増すると懸念されていました。

今回の死亡者数減少は、病院が「リスク」になるケースもあることを示しています。以前から明らかに医療によって体調不良を起こすことがあることは知られていました。

「医原性疾患(医原病)と呼ばれ、例えば採血時に刺した針が神経を傷つけて痛みやしびれを残してしまったり、CT検査などで使う造影剤でアレルギーによるショックを起こすことがあります。

この記事では他にアメリカでの「医療過誤」の死者数などを紹介し、病院に行くことが問題であるという論調でした。私も特に高齢者が本当に必要があるかわからい状況で、病院に行くことは問題であるということをこのブログでも書いています。

それでも病院に行かなくなることで、死亡者数が減少するという論調には賛成できません。

今回はコロナのため、外出をひかえその結果病院にもいかなくなったのは確かです。ただこのことと死者数の減少に相関関係があるのかは、詳しい検証が必要だと思っています。

透析を招く色々な腎臓病

2020-10-28 10:26:47 | 健康・医療
近年人工透析を受ける患者数が増加しているようです。

私の周りでもギター仲間の友人は、糖尿病から腎症となりもう10年近く透析を受けています。またテニス仲間のご主人など身近でも透析患者の話を聞き、他人ごとではないような感じもしています。

この透析が必要となるのは、主に以下の3種の病気が原因となるようです。まず最も多いのが、糖尿病が原因で生じる糖尿病性腎症で、次が高血圧などが原因で生じる腎硬化症、腎臓の糸球体に炎症が起きる慢性糸球体腎炎となっています。

腎臓は血液中の老廃物をろ過して尿から出したり、体内の電解質バランスや血圧を調整するなど、身体の恒常性を維持するさまざまな機能を持つ重要な臓器です。慢性腎臓病は、これら腎臓の機能がゆっくりと低下していく病気の総称です。

日本の慢性腎臓病の患者数は1330万人とされ、これは成人の8人に1人に該当するとされています。この患者数はやや多すぎるような気もしますが、予備軍も含めるとこんなものかもしれません。

慢性腎臓病は多くの場合、無症状のままゆっくり進行します。腎臓は一旦障害を受けると元に戻すのは非常に難しいため、発見が遅れるなどして腎機能の低下が進むと、やがて末期腎不全の状態となり、血液を人工的に浄化する透析療法なしでは生命を維持できなくなってしまいます。

この透析を受ける患者は2018年末時点で、全国で約34万人に上ります。透析治療を導入することになった患者の原因疾患の内訳を見てみると、以前は慢性糸球体腎炎という、糸球体に炎症を起こす病気が原因の大半を占めていましたが、ここ20年ほどで糖尿病と入れ替わりました。

現在最も多いのは、糖尿病の合併症として起こる糖尿病性腎症となっています。腎硬化症も増加しています。腎硬化症とは、動脈硬化で腎臓が硬く小さくなり腎機能に異常をきたすものです。

原因は加齢などによる高血圧で、腎機能が落ちるとさらに血管も硬くなっていきます。太い血管は動脈硬化ですぐには詰まりませんが、細い血管は容易に詰まります。腎臓は細い血管の集合体なので、少しの動脈硬化も命取りになります。

そのほか脂質異常(高コレステロールや高中性脂肪など)や高尿酸血症、喫煙などさまざまな要因が慢性腎臓病に絡んでいます。腎臓の機能は加齢とともに衰えるため、長生きするほど慢性腎臓病になるリスクが高まり、健診で引っかかったら早く受診し対処することが大事です。

慢性腎臓病の治療は、ベースにある病気を改善させることによって、腎臓の負担を減らすことが原則となります。現在でもどこかの臓器の機能が低下した場合、それを改善する薬はありませんので、やはり早期発見で対処するしか方法はないのかもしれません。

身体の水分と足のむくみ

2020-10-27 10:30:22 | 自然
足がむくみやすく、何か病気ではないかと心配している人も多いようです。

このむくみを考えるには、体の中にある「水」について理解しておく必要があります。人の身体の約6割は水でできており、体重が50キロの人であれば約30リットルもの水が体の中にあるということになります。

身体のどこを見てもそんな水があるようには見えませんが、体の中で一個一個の細胞が水をため込んでいるのです。水は細胞の中に20リットル、血管の中に2.5リットル、それらの外に7.5リットル程度の割合で分布していて、常にこのバランスが維持されています。

このバランスが崩れて血管および細胞の外に水が増えてしまった場合に「むくみ」となって現れます。バランスが崩れて水が外側に漏れ出る仕組みのひとつは、水自体が持つ圧力の変化です。

血管は全身に水を行きわたらせる水道管の役割をしています。心臓と肺を浄水場だとすると、動脈はその水を家庭(各臓器や細胞)に送り届ける上水道で、静脈は各家庭で使われた水を回収する下水道となります。

血管が水道管と異なるのは、血管の壁には無数の小さな窓があり、水が簡単に漏れ出る構造をしています。ここで下水道のどこかで目詰まりが起きたとすると、水道管の中の圧力が高まります。

この水道管は無数の窓が開いているので、周囲に水漏れを起こし、むくみが生じることになります。これほど単純ではなく、水の移動は圧力の変化だけで生じているわけではありません。ここでのキープレーヤーは食塩に含まれるナトリウムと、血管の中を流れるタンパク質です。

ナトリウムやタンパク質には水を引き込む力があり、多く存在するとその場所に引き込まれて行きます。逆にそれらが減った場所では、水はその場所から逃げていきます。例えば足のむくみでは、足の血管の外に過剰な塩分が存在する場合には、水が引き込まれ溜まることになります。

また血管の中のタンパク質が減ってしまうと、水が漏れ出し脚にむくみが出ることになります。飛行機の中に長時間いると、足のむくみが出ることは有名な話のようです。これは足を低い位置に保ち続けるため足の血管の圧が上がるためや、足の動きが少なくなることが原因とされています。

また足の血管の中に血栓ができるエコノミークラス症候群も当然むくみの原因となります。その他足のむくみは薬が原因で出ることもあり、その代表がカルシウム拮抗薬と呼ばれる降圧剤です。酒を飲み過ぎた翌日、顔がやたらむくんでいるという経験は多いかもしれません。

色々な原因はありますが、結局むくみは水のバランスの崩れによるもののようです。

ほとんど気にする必要はないようですが、まれに腎臓や心臓、肝臓の働きが悪くなることでも出ますので、あまり頻繁に起きるようであれば注意が必要なのかもしれません。