ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

現代人は糖質無制限食になっている

2020-05-31 09:41:00 | その他
糖質制限食が当たり前になっていますが、糖質オールカットは寿命を縮めるというデータは世界中で数多く提示されています。

糖質を摂ることでなぜ太るのか、その理由を知ることが重要です。口から取り入れた糖質食品は、主に最小単位のブドウ糖に分解されて小腸から吸収され、肝臓に取り込まれます。その後一部は血液中に放出されて各組織に運ばれエネルギーとして利用されます。

一方何かの時にいつでも使えるようにと身体は肝臓や筋肉に糖質をプールし、これがグルコースが結合したグリコーゲンです。

体格や年齢、運動経験などによって多少異なりますが、基本的にグリコーゲンとして身体に蓄えられるのは400〜500g程度で、約1日分の活動量と言われています。

口から取り入れる糖質がこの貯蔵量と身体が必要とするエネルギー量をオーバーすると、グルコースはどんどん脂肪組織にに運ばれて脂肪に合成され蓄積されます。糖と異なり脂肪はいくらでも蓄えることができます。

比較的やせ型の人でも約40日分のエネルギーをため込むことができるようです。3食当たり前のように主食のご飯やパンや麺を食べ、さらに小腹がすいたらスイーツも食べる。現代人ははっきり言って「糖質無制限食」に陥っており、これでほとんど運動しなければ太るのはあたり前と言えます。

急務はこの無制限にブレーキをかけることです。消化吸収に関わるホルモンの中でインスリンは唯一血糖値を下げる役割を持つホルモンです。食事をして血糖値が上がると、これを合図に膵臓からインスリンが分泌されます。

インスリンは筋肉や肝臓の細胞に働きかけ、細胞内にある糖質を取り込む運び手を細胞膜まで呼び出します。そして糖質を引き渡してエネルギーとして使ったり、グリコーゲンとして蓄積させます。

余った糖質はインスリンが同様に脂肪細胞に働きかけることで、脂肪細胞に取り込まれます。こうして血液中のブドウ糖がさまざまな場所にデリバリーされた結果、血糖値が下がるという仕組みです。

このシステムは飢餓時代の人類にとってかなり重宝するものでした。次の食事はいつありつけるかわからない状況で、微々たる量ですが糖を筋肉と肝臓に、または脂肪という効率の良いエネルギー源に代えて蓄えていました。

ところが現代のような飽食の時代ではこれがあだとなり、食事やおやつなどを口にすると、その都度インシュリンが分泌され、一日中インスリンが出っぱなしという場合さえあります。

するとインスリンが効きにくくなり、これがインスリン抵抗性と呼ばれる状態になります。ところが脂肪細胞は抵抗性が生じにくく、インスリンは糖質を脂肪細胞に誘導する役となり、肥満ホルモンの汚名を着せられることになります。

以上が糖質を過剰摂取すると肥満になるメカニズムですが、糖質制限というのは予想以上に難しいのかもしれません。

心臓病=突然死は間違った認識

2020-05-30 10:15:16 | 健康・医療
心臓・血管の病気は、ガンと並ぶほど日本人に多い死因です。

しかし健康に関する情報があふれている中、心臓・血管の病気について正しい知識を伝える媒体は極めて少なく、多くの誤認が生じている現状があるようです。

心臓や血管の病気と聞くと、急に胸が苦しくなったり、急激な頭痛に襲われたりして倒れてしまうという、いわゆる「突然死」のイメージがあります。しかし現代では、心臓・血管の病気によって突然死するケースは多くありません。

もちろん全くないわけではありませんが、そういうケースは医療の進歩によってどんどん減っています。現代における心臓・血管の病気の正しいイメージは、徐々に悪化していく「慢性病」といえるようです。

ある意味ガンと似ているのですが、ガンと血管疾患のイメージは全く異なっています。ただし心血管疾患とガンとの間には大きな違いもあり、心血管疾患は観察しやすく、予防も治療も比較的簡単になっています。

心血管疾患についての誤ったイメージが広まっているのは、心血管疾患が複雑であることが一つの理由のとされています。心臓は一つの臓器ですが、心臓病には医師でも覚えきれないくらいの、非常の多くの種類があります。

症状や病気が起こるメカニズムもさまざまで、他の臓器に比べて心臓はとてもややこしい臓器と言えます。

これは心臓を専門とする医師は理解できても、一般の人が同じように理解することは難しいことです。医師は患者に分かりやすく説明したつもりでも、あまり正確でない心臓病の知識が広まってしまい、漠然と心臓病=突然死という、全く実態とかけ離れたイメージが広まってしまいました。

書店に行くとガンの闘病記がたくさん並び、テレビでもガンに関する番組を多く放映しています。ところがガンと同じくらい日本人にとって近しい病気である心血管疾患については、患者があまり情報を発信していません。

例えば「不整脈」という言葉は誰でも聞いたことがあるのですが、一般向けの不整脈に関する本はほとんどないのが現状です。この患者が口を閉ざす理由も、おそらく心血管疾患の理解が難しいからかもしれません。

ガンについては、悪いものができ徐々に大きくなるというイメージが定着し、これの基づきガンと戦おう・受け止めようといったメッセージを患者や医師、家族などが共有できます。

しかし心血管疾患については、日本社会に正しいイメージが存在しないのが現状です。心血管の正しいイメージは私もよくわかりませんし、そのためには難しい心臓について知らなくてはいけないようです。

単に心臓病=突然死ではなく、長く戦う慢性疾患である程度でもよいのかもしれません。

脳科学で紐解く睡眠と創造性

2020-05-29 10:22:11 | 自然
このところ脳のはなしを多く取り上げていますが、ここでは睡眠中に脳で何が起こっているのかを脳科学で検証しています。

起きているときに何らかの問題に精いっぱい取り組んでも分からなかったことが、一度睡眠を取った次の日突然答えが降ってくるといった経験は時々あるようです。

一日中楽器の練習をしてもうまく弾けなくて、疲れて睡眠をとった次の日に、突然上手に弾けるようになるという事もあります。睡眠はこのように創造的な手法や答えを見つけるための重要な時間と言えます。

実際は睡眠中だけでなく脳を休息させるだけでも十分な効果が得られるのですが、いわゆる睡眠中に行われる「情報の選別タイム」を作ることが大切です。覚醒時に受けたたくさんの情報から、思考を繰り返しながら一時的な知識としての確率分布が作成されます。

それが情報の選別タイムに入ると、たくさんある短期的記憶情報(エントロピーの低い確かな情報)だけをピックアップします。そして重要な情報の塊は、一つの情報としてチャンク(情報の圧縮)されます。

ひとつに圧縮された情報は、低情報量で長期記憶貯蔵庫へ送り出すことができるのですが、この時点で本来別々の情報だったものが、チャンクによって一つの情報とみなされるので、全体の情報量も減り情報全体の確率分布も変化します。

この処理により最初の試行段階では、脳のメモリー容量いっぱいまで使ってすべての情報を処理していたものが、チャンク(情報の圧縮)によってメモリーに余裕ができ、新しい情報を取り入れたりさらに深い思考ができるようになります。

新しい情報をこれまでの記憶情報と組み合わせることも可能になり、確率分布自体も最初のものと比べて変化していくので、これまでになかったような新しい発想も生まれてくるのです。

こうして脳のメモリースペースが開くことで情報処理速度も上がり、莫大な情報処理を瞬間的に行わなければいけないような思考も可能になるのです。

チャンクされた情報は意味記憶とみなされ、これを自由に組み合わせることで自分だけのエピソード(ストーリー)記憶を創造することもできます。会話でいうところのさまざまな単語(意味記憶)を組み合わせて、自分の気持ちを文章(エピソード)にするようなものです。

このように睡眠中に行われる、情報選別、記憶の定着、情報の圧縮(チャンク)などを通して、創造的な思考が高まると考えられます。

ややわかりにくい文章となりましたが、睡眠が脳にとっては非常に重要で、これによって難解なことも理解できるという事のようです。

トイレットペーパー騒ぎは何だったのか

2020-05-28 10:32:02 | 時事
トイレットペーパーが店頭から消えました。

人は開店と同時にドラッグストアやスーパーに殺到し、トイレットペーパーを抱えて帰ってゆくという、あの「買いだめ騒動」はなんだったのでしょう。

私の家ではいつも買っている種類が買えなかった程度で、特に被害といったことはありませんが、一時店頭から消えたことは確かなようです。

コロナ自粛に伴って、マスクを始めとしてさまざまな日用品が多くの人によって買い集められ、入手困難になりました。その後ほとんどの品薄は解消されましたが、いまも商店の棚から消える日用品が見受けられます。

このトイレットペーパー騒動については、NHKが面白い報道をしていました。東京大学がこの騒動についてSNSの分析をしたところ、不足するだろう(中国製だから)といったのはたった1人で、それがデマであるというメッセージが2日後には460万を超えるほどになったそうです。

それでもトイレットペーパーは店頭からある時期ほぼ消えてしまったのです。デマだという情報が多数発信され、多くの人がそれに接しているにもかかわらず、結局はデマに従った行動をとっているという事になります。

これを認知科学(心理学の一種)的に解析すると、理由の一つが「相互不信」による、社会的ジレンマとしています。

つまりみんなが冷静に行動すれば何の問題もないのですが、無謀な行動をとると無謀な行動をとった人には利得が生じ、冷静な行動をとった人は損害を被ることになります。そのため無謀な行動をみんなが取ると、全員に大きなコストがかかるという状況なのです。

社会心理学的には、自分は平均よりは賢くまともだと多くの人が考えています。自分は平均以上だということは、自分より馬鹿なやつやおかしなやつの方が多いという事になります。本来なら、自分以下の人が自分と異なる行動(ここでは買いだめ)をとるとは限りません。

しかし平均より賢くまともな(と思っている)人は、自分以下の人間の愚かな行動を予測し、自分もその一部となり買いだめに走るという奇妙な図式が出来上がるとしています。

第二の理由が「何度も見聞きするので、意識に上りやすくなる」というものです。街中で行列を見たり、スーパーや薬局の前を通りかかった時、「トイレットペーパー不足」、「買いだめ」という言葉が連想されるというものです。

これも「デマである」という情報はあるのですが、心理学的にはかえって購買意欲がそそられるようです。

その他色々分析をしていますが、今回のようなトイレットペーパーの買いだめは、社会心理学的に当然の結果と言えるようです。

人命を奪う「キラーストレス」のはなし

2020-05-27 10:27:20 | 健康・医療
現在は外出自粛が続き、ストレスの種がそこら中にあふれています。多くの人はこうしたストレスが心身に及ぼす影響を軽視しがちです。

ストレスはある条件が重なることによって、人命を奪う「キラーストレス」となることが最新の研究で分かってきました。

ストレスがかかると脳の偏桃体が活動し、副腎に指令を送ってストレスホルモンを分泌します。そして心拍数増加、血液凝固促進、血圧上昇といったストレス反応を引き起こします。

これは人類が狩猟をしていたころ、天敵と戦ったり逃げたりするときに身体を瞬時に動かしたり、怪我をしたときに素早く血を止めたりするための機能だったようです。それが現代では「もともと身体を守るための反応」が、「体を痛めつける反応」となってしまっているのです。

ストレスを単体で受けるとストレス反応はやがて収まりますが、複数のストレスを連続的に受けるているとストレスホルモンの分泌が止まらず、心拍数のほか血管が自律神経で締め上げられ、血圧が異常に上昇します。

その結果動脈破裂や脳出血などを起こす危険性が高まるといいます。さらに心臓を動かす筋肉の血液量も減少して動きが鈍ることから、心不全に陥る可能性も出てきます。

ある研究結果では、免疫にかかわる遺伝子がストレスホルモンによって活性化すると、ガン細胞を攻撃する免疫細胞の機能が止まり、ガン細胞が増殖し続けるといわれています。

また口腔内細菌が何らかの原因で血管壁に入ることがあり、ストレスホルモンの働きで、血管壁に入り込んだ血中の鉄分は細菌の栄養となります。そこで細菌が大増殖し、血管壁を突き破り突然死を招く危険性が示唆されました。

このようなキラーストレスに関連し、アメリカ心理学会では5つのストレス対策を掲げています。ここではそのうちの運動を取り上げ、単純に運動でリラックスできるだけではない効果を示します。

運動をすると脳の延髄にある神経細胞の突起が減少し、偏桃体から副腎への指令が抑えられストレス反応の暴走を阻止できるとのことです。つまり運動によって脳自体が変化することが、科学研究により解明されています。

このようなキラーストレスという事は全く知りませんでしたが、どうも私はストレスを受けにくい体質のようです。元来楽観的であるとよく言われてきましたが、他の人が悩むようなことでも、何とかなるだろうとあまり気にしませんでした。

ですからストレスについては、あまり実感できていないのですが、このようなキラーストレスがあることは何となく理解できました。