ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

全く進まない選択的夫婦別姓はどこに行ったか

2022-09-30 10:29:41 | 時事
1985年に男女雇用機会均等法が施行されましたが、まだ私が現役のころです。

当時は雇用の男女差別ははっきりとしており、女性が働きやすい環境を作ることは非常に良いことだと思っていました。ただ女性が働きやすくなると、結婚の動きが鈍くなるのではと少し心配していました。

確かに1990年代に入ると晩婚化が進み、結婚しない女性も増えていきましたが、私はこれが過渡的な現象で、落ち着けば元に戻ると思っていました。ところがその傾向はずっと続き、その流れとして少子化問題が生じています。

私はこの問題は政府などが率先して取り組むべき問題と思っていますが、これといった方策がないのが現状です。その中で選択的夫婦別姓制度は、少しでも若者に結婚の抵抗を減らす制度ではないかと思っています。ところがこれが全く進みません。

この制度のどこに問題があるのかよく分かりませんが、反対派は家族制度などを根拠にしているようです。私はこういった反対派に「サザエさん一家」を見てほしいと思っています。

サザエさんの家庭はお父さんの磯野浪平さん一家と娘婿のフグ田マスオさん一家が住んでいます。つまり一家に二つの姓があり、子供たちも磯野ワカメちゃんとフグ田タラオ君が暮らしているわけです。

このサザエさん一家には何の問題もなく、楽しい家庭を築いており昭和からの平均的な日本家族といえるのではないでしょうか。つまり夫婦別姓になり、一家に二つの姓ががあっても何ら問題はないことをこの漫画は表していると感じます。

さて最近選択的夫婦別姓について面白い記事を見ました。この制度導入について賛成は2017年には42%だったものが、2021年には28%まで落ちたというのです。

そこで昨年の調査を調べてみましたが、これは法務省民事局が行ったもので、夫婦別姓に賛成か反対を聞いたものではなく、夫婦同姓制度の維持、別姓制度の導入と新たに「旧姓の通称使用の法制度を設ける」といった中から選択するものでした。

この旧姓を通称として使用するというのは、すでに多くの働く女性や男性も含めて多くがやっていることです。この通称が保証されるならと安易に選んだ人が多かったようで、この項目を42.2%の人が同意しています。

これは明らかに国民を惑わす行為であり、法務省が保守反対派に媚びたもの以外の何物でもないような気がします。調査で夫婦別姓賛成者数が50%を超えれば、少なくとも議論の必要性が出てきます。

しかしこのように分かれた結果になれば、当分は何もする必要がないことになります。この制度が少子化対策の一環になるかは分かりませんが、日本の官僚は超保守的であることを実感するような調査といえます。

エタノールが植物を乾燥に強くすることを発見

2022-09-29 10:35:43 | 
私は夕食の時は必ずビールを飲むことにしていますが、かみさんとロング缶1本ですので酔うほどではありません。

その後風呂から出てきたとき軽く寝酒を飲むのですが、このところウイスキーの水割りが多くなっています。今年は梅の実が不作でしたが、2Lほど梅酒を作りましたのでそろそろ飲める時期かもしれません。

このようにアルコール(エタノール)の恩恵にあずかっていますが、植物もエタノールを与えると乾燥に強くなることを発見したと、理化学研究所の研究グループが発表しました。

気候変動や人口増加による食糧不足を解決するためには、環境ストレスに強い作物の開発が有効と考えられます。研究グループはこれまでに、植物にエタノールを与えると塩や強い光、高温に強くなることを明らかにしていました。

これらに続き乾燥に強くなるかどうかや、その仕組みを調べました。実験によく用いられるモデル植物のシロイヌナズナに低濃度のエタノールの水溶液を根から3日間与えたのち、12日間にわたり給水を絶ちました。

続いて4日間給水して観察したところ、比較のため水しか与えなかったものはほぼしおれてしまったのに対し、エタノールを与えたものは再び葉が育ち生存率が高まっていました。エタノールの濃度が10ミリモルの場合に最も効果が高く、コムギやイネ、キャッサバでも効果が認められました。

エタノールを与えると、水を蒸散する気孔の閉鎖が促され、細胞内の水分が減りにくくなっていました。またエタノールが植物体内に取り込まれて代謝され、酢酸や糖、アミノ酸ができて蓄積していました。

気孔が閉じて二酸化炭素の取り込みが減るものの、体内で作られた糖により成長が維持されることや、グルコシノレート、フラボノイド、アントシアニンなどの乾燥耐性に関わる有用な物質が多く作られ蓄積することも分かりました。

エタノールを与えると、こういった効果が組み合わさって乾燥に強くなると考えられます。面白いことに乾燥時に体内に蓄積する植物ホルモンの「ABA」の働きを妨げると、エタノールの効果はなくなってしまいました。

エタノール自体は比較的安価(酒は別格に高いのですが)で入手しやすく、さまざまな栽培技術の開発につながると期待されています。研究グループは、簡便かつ安価に旱魃に対処できる技術として応用でき、有用な代謝産物の多い作物の開発も期待できると述べています。

エタノールのヒトに対する作用は非常に詳しく調べられていますが、植物でも予想外の効果がある可能性があり、今後の展開に期待できる成果といえそうです。

頻尿や痛みが出ることがある「間質性膀胱炎」のはなし

2022-09-28 10:35:08 | 健康・医療
歳をとるとトイレが近くなるという話しはよく聞きますが、私も最近回数が増えた気がします。

それより問題なのは、急に我慢できないような尿意に襲われることがあることです。ほとんどの場合は尿意を感じてもすぐに消え、しばらくしてやや強くなるという感じですが、ごく稀に急激な尿意が来ることがあるのです。

かなり前のことですが電車で帰るとき、30分ぐらい乗るのですが15分ぐらいしたときにこの急激な尿意に襲われました。

最初は降りる駅のトイレに行こうと思っていたのですが、急激に強くなり後10分ほどと我慢していましたが、非常に苦しい10分間でした。それ以来電車などに乗るときは必ずトイレによるようにしています。

さて膀胱のトラブルとして多いものに「細菌性膀胱炎」と「過活動膀胱」のふたつがあります。細菌性膀胱炎は、尿道から入った大腸菌などが膀胱で炎症を起こす病気で、尿道が短い女性がかかりやすく頻尿や残尿感、排尿時にしみるような痛みが起こります。

これは抗菌薬を数日間飲んで菌を排除します。一方過活動膀胱は尿意を急に催したり、トイレが我慢できなくなったりする症状を指しますので、私もこの病気かもしれません。

この二つの治療を続けても、1.尿が溜まると下腹部に不快感や痛みがある、2.昼間に8回以上トイレに行く、3.夜間にトイレに起きて困る、4.尿意を急に感じる、などの症状が1か月以上改善しなければ、「間質性膀胱炎」が隠れている可能性があります。

間質性膀胱炎は、膀胱粘膜の防御機能が低下し、粘膜と筋肉の間にある「間質」に炎症が起きる病気です。粘膜の傷から尿が染み込んで不快感や痛みを覚え、一般的な痛み止めは聞きにくく、尿が溜まると強く痛むために頻尿になります。

原因ははっきりしていませんが、細菌性膀胱炎を繰り返すことで傷や炎症が残っている可能性もあります。またストレスや食事の影響で尿が酸性になり、粘膜を刺激し続けていることも考えられます。

診断が付くまでに時間がかかる人が多いのですが、国内に100万人ほどの患者がいるとみられます。膀胱の傷を治そうと免疫が過剰に働き、新しい血管がたくさん集まる「ハンナ病変」が生じることもあり、この重症例は国の指定難病になっています。

残念ながら根治する治療薬はなく、尿をアルカリ性にする薬や、免疫の働きを抑えたりする抗アレルギー剤などが医師の判断で処方されているようです。こういった薬で改善しなければ、膀胱を水圧で広げる手術が検討されます。

その他膀胱に炎症を抑える薬を注入する治療や、病変を焼き切るといった方法もあるようです。歳をとるとある程度こういった症状は出るようですので、日常生活に差支えが無ければうまく付き合っていく病気かもしれません。

ブログ開設から8年が経過しました

2022-09-27 10:30:22 | その他
この「ごっとさんのブログ」を開始したのが、2014年9月7日ですので、既に8年が経過し9年目に入ってしまいました。

その間の記事の件数が2898件となり、日数が2941日ですのでほぼ毎日更新ができています。今ではこのブログを書くことが私の午前中の日課になっており、現役を引退してからの仕事のようになっています。

実はこの投稿時間にもやや拘っており、できれば毎日10:30頃に投稿しようとしています。ブログの原稿は面白い記事を見つけたり、書きたいことが浮かんだりした時にワードに入力していますので、常に7,8件のストックがありその中から選んで投稿しています。

朝食後朝のルーチンを片付けて投稿準備をしますが、ワードの文章を貼り付けるだけですのであまり時間はかかりません。それでも日によって準備が整うのにかかる時間は変わりますので、10時ごろ済んだ場合は時間まで他のことをしています。

問題は何かに集中すると「投稿する」のボタンを押し忘れてしまうことがあります。先日はすっかり忘れて午後になって気が付いたなどということもありました。

さてこのブログを書こうと思った理由は、何度か書いていますが私が大学で講義したことを何かに残したいということでした。

もともと私が大学の非常勤講師をやったのは、企業研究所を退職しいわば一生かけて学んできたことを、若い世代に伝えたいということでした。そこで東海大学生命工学科と青山学院大生命科学科で、医薬品工学という講座を教え始めたのです。

メインテーマはドラックデザインという非常に専門性の高い対象の3年生にしては難しい内容でした。そこで医薬品や自然、科学一般の面白そうなことを含めて教えていました。

この内容はパワーポイントにまとめて保存してありますが、やめてしまったらもう見ることはなさそうなので(実際に開いたことがありません)、どこかに記録として保存し、できれば多くの人にも公開したいということで「ブログ」という形で開設しました。

この大学の非常勤講師は9年やっていましたので、ブログに書けそうなトピックスは100件程度あったと思います。従ってこれに時事ネタなどを入れても半年ほどで終わりそうでしたが、ネット記事や科学ニュースなどいろいろ面白いものが出てきて、8年間も続いてしまいました。

たぶんこのブログを書いていなければ、色々な科学サイトや大学などのプレスリリースを見ることも無かったかもしれませんので、私の勉強にも大いに役立っています。ただやや面倒になり、盗作的な文章になったこともありますので、その辺りは反省材料です。

私は75歳になり、最近文章がなかなか出てこないと感じるときもありますが、いつまで続くかもうしばらくは頑張るつもりです。

自己免疫疾患「全身性エリテマトーデス」発症の仕組み

2022-09-26 10:37:33 | 健康・医療
かみさんの友人のリューマチがひどくなり歩くのも困難になってきたようです。自宅がしゃれた作りで色々段差があるため日常生活に苦労しているとのことでした。

こういった自己免疫疾患は加齢とは無関係な気がしますが、最近よく聞くようになりました。

理化学研究所と東京大学の研究グループが、難治性の自己免疫疾患「全身性エリテマトーデス」の発症と悪化では、それぞれ異なる免疫細胞が異なる仕組みで作用していることを突き止めたと発表しました。

さまざまな症状の患者に対し、免疫細胞ごとに遺伝子発現を詳しく調べ異常を多数特定して見出したようです。全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫の仕組みが自己の細胞や臓器を攻撃する疾患で、発症すると寛解と悪化を繰り返し治療が難しいようです。

多くの遺伝子が関係する上に血液のさまざまな免疫細胞が複雑にかかわり、症状が起きる臓器や勢いが患者ごとに大きく異なることなどから、病態の解明が進まず効果的な治療薬もあまりありません。

研究グループは、遺伝子発現量を過去最大規模で網羅的に調べ、病態の詳しい解明を目指しました。さまざまな症状の患者136人と比較対象のための健常者89人の血液から27種類、計6386サンプルの免疫細胞を取り出して調べました。

解析を通じまず発現する遺伝子群のタイプに、(1)寛解状態の患者と健常者での間で発現量が優位に異なる、つまり発症に関わる遺伝子群、(2)悪化している患者と寛解状態の患者の間で発現量が異なる、つまり悪化に関わる遺伝子群、の2通りがあることを見出しました。

27種類の免疫細胞で(1)と(2)の両方のタイプを調べた結果、発現量に差がある遺伝子を細胞1種類当たり平均2000ずつ見つけました。2つのタイプを比べると多くの細胞で、発現する遺伝子の顔ぶれがかなり違っていました。

このことから発症と悪化とで異なる仕組みが働いていると見られることを発見しました。症状が起こる臓器が違うと、活性化する免疫細胞が異なることも示しています。

既存の治療薬の働きを調べたところ、治療薬が抑える遺伝子群と悪化に関わる遺伝子群とが、効き目があった患者ではよく一致しました。つまり治療薬が悪化に関わる遺伝子群を抑えることで、効能を持っていることが分かりました。

研究グループは、「発症と悪化では異なる病態メカニズムがあることが分かりました。この成果を基に新たな治療薬の開発が期待できる」と述べています。こういった自己免疫疾患では、個々の患者の症状も異なりなかなか確定診断も難しいようです。

発症と悪化のメカニズムの一端が解明できたとはいえ、まだまだこのSLEなどは難病として残りそうな気がします。