ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

老化細胞を除去する薬の研究が進展

2023-03-26 10:37:50 | 健康・医療
いつまでも若くいること、すなわち不老不死というのが人類の永遠の課題といえるのかもしれません。

最近「セノリティクス」という言葉が出てきましたが、老化細胞除去薬という意味の造語です。細胞分裂を停止した「老化細胞」は健全な細胞にも悪影響をを及ぼし、腐ったリンゴが他のリンゴ全部に腐敗が広がるように、周辺の細胞まで老化に引きずり込みます。

この老化細胞を除去するセノリティクスに大きな期待が寄せられているようです。「老化細胞除去説」に基づく若返り研究は、2008年から取り組みが加速しています。

研究の基本目標は、合成または自然の成分を用いて傷ついた細胞や老化した細胞を除去し、老化のスピードを遅らせることです。カルフォルニア大学の研究者が、若いマウスの血液を老齢マウスに注入し続けたところ、この老齢マウスは若いマウスのような身体機能を取り戻しました。

見られた効果のひとつとして、この老齢マウスでは幹細胞の数と成長因子が増加していました。メイヨー・クリニックによるマウスを用いた研究では、セノリティクスの将来を期待させる結果が得られています。

研究者は2匹のマウスの写真を公開しました。どちらも同じ時に同じ親から生まれたマウスですが、自然に老化したマウスは体長が縮み外見も老けています。しかし老化細胞を除去する処置を受けたもう1匹は、元気いっぱいで体内で起きている変化は眼に見えませんが、外見だけでもその差は明らかでした。

また別の研究グループの報告によれば、生後109週の老齢ラットに生後30週の若いラットの血液成分を注入したところ、老齢ラットが若いラットに匹敵するほど若返りました。

現在視力の回復や椎間板の修復などを目指して、動物のあらゆる部位を対象にセノリティクスを利用した実験が行われており、成果が期待されています。

メイヨー・クリニックの研究では、別の用途に認可されている2つの薬が心臓の老化細胞の除去に有効である可能性が示されています。これらの薬を組み合わせて老化細胞を除去すれば、周辺にある細胞の正常な機能を回復させ、心臓のポンプ機能を改善することができるとしています。

老化研究における大きな課題のひとつは。老化が病気やプロセス、システムエラーの集まりであるという点です。セノリティクスによる治療の有無によって死亡年齢が具体的にどう変化したかを知るすべはなく、この点を評価することはできません。

またある集団を対象に死亡年齢の変化を調査しようとすれば、経過を長期間見守らなければなりません。このセノリティクスの効果をヒトで検証するには、まだまだ長い年月が必要となりますが、将来的には十分期待が持てる処置といえそうです。

インフルエンザの流行収束見えず「注意報」レベル

2023-03-25 10:36:32 | 時事
新型コロナの感染者数は東京で1000人程度が続いており、ほぼ収束しているといえそうです。

この第8波は緊急事態宣言などの行動制限は全く行われず、むしろGotoなどの振興策が実施されており、さらにマスク着用も個人の判断にゆだねられるなどほとんどの規制が解除されています。

コロナ変異株の推移などがあるものの、過去に行われてきた規制策が本当に効果があったのか非常に疑わしい事態といえる気がします。

一方インフルエンザの流行はこの3月末になっても収まってこないと専門家が警鐘を鳴らしているようです。定点医療機関当りの患者報告数は、12日までの1週間で11.10人に上り、注意報レベル(同10人)を超えた状態が続いています。

厚生労働省は、全国約5000の医療機関からの患者報告数を集計し報告しています。昨年12月28日には、1機関当り「1人」を超えたため流行期に入ったと発表しました。報告者数は増え続け、今年1月下旬には4週間以内に大流行が起きる可能性を示す注意報の水準を上回りました。

その後報告数は2月第2週の12.9人をピークに減り始めましたが、3月第2週は前週比0.93人増の11.10人で、約1カ月ぶりに増加に転じました。これはコロナ前の2019年同時期と比べても高い水準です。

国立感染症研究所によると、3月第2週の受診患者数は全国で推計約31万8000人に上り、前週より約2万9000人増え、昨年9月以降の累計は約320万4000人と推計されています。

こうしたインフルエンザの感染者数を見ると、感染症の流行はどうして起きるのかについての興味ある現象といえます。過去2年間インフルエンザの流行は全くありませんでした。

これは新型コロナの感染対策である、手指の消毒やマスクの着用が徹底していたためではないかと考えていました。では今シーズン流行したのは、専門家によると過去2年間流行が無かったために免疫力が低下したことが一因としていますが、これは免疫の常識から全く間違っていると思っています。

いったん獲得した免疫はそんなに簡単に消えるものではありません。では今回のケースは、感染対策が疎かになったためでしょうか。私の周りを見ても、まだどこに行っても消毒液の設置や、マスクの着用が減っているとは思えません。

しいて上げれば昨年末から海外からの渡航者が増加しており、ウイルスが海外から入ってきたことが挙げられるのかもしれません。また発熱や咳が出た患者が、コロナを恐れて病院に行くことが増えただけなのかもしれません。

従ってインフルエンザの大流行は今後起こる可能性はほとんどないと考えています。もうすでに通常であれば流行が治まる気候となっていますので、インフルエンザを気にする必要はないでしょう。むしろ5月に5類となる新型コロナの方を注意すべきと考えています。

誰でも知っている「タンパク質」の基礎知識

2023-03-24 10:35:46 | 化学
三大栄養素のひとつである「タンパク質」は色々な形で表れており、タンパク質という名前の付いた食品やサプリメントがあふれています。

私も高齢になり、タンパク質を摂取しないといけないといわれており、肉類などを取るように心がけています。ここでは改めてタンパク質とは何かをまとめてみました。

タンパク質を英語表記するとプロテインですが、これは「第一の物」という意味のギリシャ語のプロティオスが語源とされています。タンパク質は多くのアミノ酸がペプチド結合で繋がった高分子化合物です。

アミノ酸が2個以上結合したものがペプチドであり、アミノ酸が約80個以上結合したものをタンパク質と呼んでいます。

タンパク質を構成しているアミノ酸には20種類があり、そのうち体内で合成できず必ず食物から取り込まなくてはならない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といいます。

タンパク質は構成するアミノ酸の数や種類、結合の順序によって種類が異なり、さまざまな働きを有することになります。タンパク質の最も大切な働きは身体を作ることです。ヒトの身体の主成分はタンパク質で、男性では16〜18%、女性では14〜16%がタンパク質で占められています。

次がエネルギー源になることです。タンパク質は炭水化物や脂質と同様に、エネルギー源として利用されます。特に飢餓状態など食物からの摂取エネルギーが不足した際には、生命を維持するために身体を構成しているタンパク質を分解してエネルギーに利用します。

食事からとったタンパク質は分解され、アミノ酸やペプチドとして小腸から吸収され、一定量が体内に蓄えられます。蓄えられたアミノ酸はタンパク質の合成に利用されます。

さらに組織を構成していたタンパク質は分解され、この合成と分解が常に繰り返されることで、身体のタンパク質は常に新しくなっていき、これを新陳代謝と呼んでいます。

例えばコラーゲンをたくさん摂ると、身体のコラーゲンが増えるかのようなCMをよく目にします。前述のようにコラーゲンというタンパク質を摂っても、アミノ酸まで分解されて吸収されますので、吸収後にもう一度コラーゲンに合成される保証はありません。

この辺りはタンパク質の面白いところと言えそうです。タンパク質のもうひとつの重要な点が酵素として働くという事です。生体は生きていくために非常の多くの酵素反応を行っています。

タンパク質の一種である酵素は必要に応じて合成され、すぐに分解されることを繰り返しています。

こうした重要な働きをするタンパク質を補う意味でも、バランスのとれた食事を規則正しく摂ることが健康の基本といえるでしょう。

体重を減らし生活習慣病リスクを下げる「褐色脂肪」

2023-03-23 10:34:42 | 自然
私は若いころからやせ型でありあまり脂肪を気にしたことはありませんが、通常白色脂肪と呼ばれる脂肪が問題となります。

一方ヒトの身体には違う種類の脂肪もあり、褐色脂肪は重要な働きをしているようです。褐色脂肪は生まれて間もない新生児の首と肩に多く、カロリーを燃やして体温を維持しています。

成長するにしたがって褐色脂肪は減り、6歳になるころには5%以下しか残らないものの、代謝にとって重要な組織でありこれが多い大人は肥満や糖尿病、高血圧などになりにくいとされています。

白色脂肪がいわば「悪い脂肪」なら、褐色脂肪は「良い脂肪」といえます。2020年カナダのシャーブルック大学病院研究センターなどの研究チームが、褐色脂肪を活性化させる方法を発見したと発表しました。

褐色脂肪は冷たい空気や化学信号によって活性化され、エネルギーを燃焼して熱を発生させ、このプロセスを熱産生と呼んでいます。

ヒトの身体には少量の褐色脂肪が蓄えられていて、薬など別な方法で活性化させたり、あるいは白色脂肪を褐色脂肪に変えて代謝を改善できると、科学者たちは長い間仮説を立てて研究に取り組んでいました。

研究チームは白色脂肪を試験管に入れていくつかのDNAスイッチを入れたところ、褐色化したことを確認しました。次にこの褐色脂肪を太ったヒツジに注射してみると、ヒツジの体重が減り、メタボリックシンドロームと糖尿病が改善しました。

もともと白色脂肪だった褐色化脂肪の問題点は、褐色脂肪の利点をすべてプログラミングしなければならないことでした。

デラウエア州の研究チームは、数人の女性を対象にした休眠状態の褐色細胞を活性化させる実験で、既に承認されている薬を使ってこのプログラミングに成功しました。

高齢者の多くは褐色細胞をほとんど持たないため、持っている褐色細胞を活性化させるだけでなく、外から褐色細胞を加える必要が出てきます。そこですでにその人自身の白色脂肪細胞を一旦多能性細胞に戻してから、それを褐色細胞に変える試みが検討されました。

研究チームは皮下脂肪組織などの細胞を多能性幹細胞に戻したのち、褐色脂肪細胞を作るためにさらにいくつかのDNAスイッチを作りました。

次にヒツジの体内に入れたときに身体が拒絶反応を起こさないように、この褐色脂肪細胞を培養して細胞表面のタンパク質を変える遺伝子を活性化させました。狙い通り太ったヒツジは注射された褐色脂肪に対して拒絶反応を示すことはありませんでした。

このように白色脂肪を褐色脂肪に変えるというこの技術は、人体での臨床試験を開始してから5年以内に実現できると予測されています。褐色脂肪によって体重を減らし、糖尿病、心臓病、認知症などのリスクを低下させられるかもしれません。

「痛風」はなぜ痛いのかその実態と最新事情

2023-03-22 10:36:47 | 健康・医療
風が吹いても痛いといわれる「痛風」ですが、尿酸が蓄積すると発症するといわれています。

私は実験に使う試薬として尿酸を扱ったことがありますが、本当に小さな針のような鋭い結晶で、これが神経に刺されば本当に痛そうだと感じていました。私は尿酸値は基準値の上限付近であり、若干心配していますがまだ発症には至っていません。

高尿酸血症になると尿酸は結晶になり、血流に乗って全身をめぐり足の指の関節などに徐々に蓄積しますが、この時点では痛みは出ないようです。

飲食物の影響や運動時などの足への刺激がきっかけで結晶が剥がれ落ちると、白血球がそれを異物とみなして攻撃するため炎症物質が出て、激痛が起きるとされています。近年高尿酸血症の患者は増え続け、さらに若年化も進んでいます。

日本生活習慣病予防協会などの調査では、高尿酸血症の患者は1000万人を超え、30〜40代男性の3割に上ると推計されています。痛風患者は125万人で、49歳以下が30万人近くになるようです。

食生活の欧米化や高カロリー摂取、運動不足などによるメタボリック症候群が若い人にも影響を及ぼしているからと考えられています。尿酸値を上げる要因の一つとして「プリン体」が知られているため、これを多く含む酒や食べ物に気を付けている人もいます。

しかしアルコール自体に尿酸値を上げる働きがあり、プリン体ゼロの酒でも尿酸は作られます。日ごろ食べている一般的な食品の大半がプリン体を含んでいるため、食べ過ぎればプリン体の総摂取量は多くなってしまうようです。

痛風の恐ろしいのは「痛み」だけではなく、繰り返していると関節そのものが変形していきます。もっとも大きな問題は腎臓の機能低下や、痛風後に心血管疾患のリスクが高くなるともいわれています。

高尿酸血症は高血圧や糖尿病、脂質異常症などと同じ「生活習慣病」で、命に関わる病気の引き金となります。治療は生活改善と薬物療法が基本となります。薬による治療が検討されるのは尿酸値が8.0ミリ以上で、一定期間6.0ミリ以下を維持するのが目標となります。

痛風発作が起きたときの対処法としては、1)安静にして患部をマッサージしたり押したりしない、2)横になるときは患部を心臓より高くする、3)患部を冷やし、入浴するときはシャワー程度で済ます、4)一時しのぎとして鎮痛剤を服用しても良い、というところのようです。

これらで様子を見て、歩ける程度まで痛みが弱くなったタイミングで病院に行くとしています。現在はよく効く薬が出ていますので、尿酸値に留意し、高くなってきたら痛みが出る前に受診するのが良いのかもしれません。