喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

佐田岬の少年たちへ贈る言葉  ~少年式 校長式辞より~

2014-02-28 | ふるさと
 2月4日、愛媛県内の中学校では少年式が行われた。
四国最西端の伊方町立三崎中学校でも。
 
 その時の校長の式辞が、学校だよりに掲載されていた。
とてもすばらしい贈る言葉。



「 2年生の皆さん、今日は少年の日の目標『自覚・立志・健康』の三つの言葉の中から「立志」という言葉を手がかりに、
少年式を迎える皆さんに私からのメッセージを伝えたいと思います。

「立志」とは、将来の目標を定めてこれを成し遂げようと志すこと。
先ほどみなさん一人一人が発表した言葉・志のことです。
 

 ところで、みなさんは文部省唱歌「ふるさと」という歌:「うさぎ追いし」で始まる歌をを知っていますね。
立志:志というと、私はこの「ふるさと」という歌の3番に出てくる歌詞
「志を果たして いつの日にか帰らん」を思い出します。

 これは、立志:自分がたてた志を成し遂げた後、いつの日かふるさとに帰ってこようという、
正に今、旅立ちの時の気持ちを表していると思います。

 私はこの、ふるさとを大切にした気持ちに加え、
一文字代えて「志を果たしに いつの日にか帰らん」という気持ちも持ってほしいと思います。
 なぜなら、みなさんが今日たてた志、そして今後持つであろう、
より大きな志の源は、みなさんの家族やみなさんが育ったふるさとに元があると思うからです。

 
 先日行われたPTAシンポジウムで、みなさんの先輩達・7名の若者が、
それぞれ進路選択の時の不安や現在就いている仕事のやりがいに対する熱い思いを語ってくれました。
 彼らの中には、中・高校生時代、将来についてはっきりとした目標が定まっていなかった方もいました。
 
 しかし、外の広い世界で生活したり、家族と離れた新しい環境で暮らしたりしたことで、
自分の良さやふるさとのすばらしさ、家族や地域との絆について、
あらためて気づくことができたという話をされました。
 そのことが、より大きな志につながり、その志に向かって今、努力を続けられています。

 

 また、本校は、3年前におきた「東日本大震災」直後から、気仙沼:大谷中学校との交流を続けています。

 先日送られてきた大谷中学校生徒会長:尾形さんの手紙には、
「現在大谷は、復興に向け少しずつではありますが、一歩一歩あゆみを進めています。
今も仮設住宅が残る校庭で、地域の方々を招き運動会を実施することができました。
今後も、わたしたちは地域の復興に貢献できるように頑張っていきます。」
と書かれていました。

 この手紙から、地域や支援してもらった人達・その他たくさんの人達との絆を大切にしながら、
将来自分が成し遂げていきたい夢や希望、そして、ふるさ大谷、復興に向けた力強い志が伝わってきました。

 
 立志とは、目標を定め、その志を成し遂げることだけでなく、
志を成し遂げるために努力すること、
そして、その志を時間をかけてより確かなものに育んでいくことだと私は思います。
 他人と比べたり、成し遂げようと急いだりする必要はありません。

 今日定めた志をこれからもしっかりと持ち続け、じっくりと時をかけて育んでいってほしいと思います。
そうすることで、今日の少年の日の志はより磨かれ、より大きな志へとつながっていきます。
 
 今後、みなさんの生活の場や人とのつながりは、より広く、より複雑になってくることでしょう。
しかし、どこで活躍するにしろ、みなさんの志の根っこは、
みなさんの家族、そしてこのふるさと三崎にあります。

 
 今日の少年の日の志が、みなさんの新しい出発点となり、
この集団をさらに大きく、たくましく成長させてくれることを願って式辞とします。」


                      岬人(はなんちゅう)