
『もうひとりの息子』
2012年制作のフランス映画、『もうひとりの息子』は、イスラエルとパレスチナという対立関係にある
ふたつの家族の間で、18年前に取り違えられた子供たちを巡る困惑の日々を描いた映画です。
2013年制作の是枝裕和監督作品、『そして父になる』と同様の幼児の取り違えを題材にしていますが
『もうひとりの息子』は、敵対するイスラエルとパレスチナの家族だけに、問題がより深刻です。
突然に大事な息子であり弟だった家族が、「敵方の人間」だと知った時の困惑や動揺。「生まれ」や
「血」で決まる民族属性。複雑な民族問題や信仰・宗教も含めて、違う世界で育った青年とその家族が
苦悩しながらも現実を受け止め前進しようとする姿勢に、希望と再生を感じます。
今なお紛争の絶えないイスラエルとパレスチナの地で生きる家族愛に、胸が熱くなる映画でした。