遅ればせながら上野千鶴子さんのエッセイ集、2010年発刊『ひとりの午後に』を読んでいます。
ジェンダー研究や高齢者介護の社会学を始め、政治・経済・文学・芸術など幅広いジャンルに於ける
著作で知られる上野さん。2007年に『おひとりさまの老後』が70万部を超えるヒット作品になったのは、
まだ記憶に新しいところです。
今回の『ひとりの午後に』は、人生の午後、人はひとりになる…のフレーズに惹かれて手に取りました。
富山での子供時代から、孤独な青春期を振り返り、ひとりの女性として現代を生きる日々、亡き人への
想いなどが柔らかく簡潔な文章に綴られています。「好奇心」 「母の味」 「風呂」 「佇まい」 「ひとり」など、
項目ひとつひとつを丁寧に語っていることに、上野さんの生き方が想像されて面白く読み進めています。
ひたひたと押し寄せる今後の高齢社会は女性の問題とは、よく聞く言葉です。
今一度その言葉を受け止め、考える“よすが”として、此のエッセイをじっくり味わうことにしましょう。