フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

デーモン聖典最終回前の妄想その④

2007年06月10日 | デーモン聖典関連

「う…わああ…!」<o:p></o:p>

 皮膚に当たった雨粒が、火に触れたような痛みをもたらした。吸い込んだ空気が肺を焼く。

 いきなり何かにぶつかった衝撃が来た次の瞬間、彼は逆に体が浮き上がるのを感じた。開けた目には、赤い色しか見えない。<o:p></o:p>

 赤龍…?<o:p></o:p>

 顔を上げようにも、おそらく両腕──前足と言うべきか──にがっちり抱きこまれていて、身動き一つできない。声も出せず息もできず、遠のきかけた彼の意識を、心地良い感触が引き止めた。<o:p></o:p>

 ひんやりしたものが、肌の上を優しく撫でていく。ひりひりとした痛みが和らいでいく。忍は安堵して力を抜いた。彼を包んでいるのは、清らかな真水だった。何かに支えられて、その中に浮いている。<o:p></o:p>

 忍ははっと目を開けた。頬に触れているのは、ゴムの塊のように弾力があり、表面はつるつるして滑らかだ。水の温度に比べれば温かささえ感じる。腰から上をそれに押しつけられて、水の中に落ちないように支えられている。<o:p></o:p>

「…レッ…」<o:p></o:p>

 彼は咳き込んだ。一度咳き込むとどんどん誘発されて止まらなくなった。咳をするたびに胸のあちこちが痛む。<o:p></o:p>

 ざば、と赤龍は忍を抱えたまま水の中から飛び上がった。

 赤龍は忍を足から地面に降ろすと、すぐに彼から離れ、背を丸めて咳き込み続ける彼を見守った。<o:p></o:p>

“…横になってゆっくり深呼吸しろ”<o:p></o:p>

 言われたとおり、忍は仰向けに横たわって、咳を我慢して懸命に深呼吸を繰り返した。次第に落ちついてくると、自分が寝ているのが青々とした草の上だと気がついた。目蓋を上げれば薄い絹のような雲が浮かぶ青い空。ずぶ濡れの布越しに感じる風が少し冷たい。<o:p></o:p>

 彼は首だけ横に向けて、少し離れたところに体を伸ばして伏せている赤龍を見つめた。<o:p></o:p>

「…ここは……地球か…?」<o:p></o:p>

“そうとも言えるし、そうでないとも言える。私の結界の中だからな”<o:p></o:p>

 赤龍の体長は、前に見たときの半分もなかった。体長の半分は尾で、頭から後ろ足まではおそらく忍より少し大きいくらいだろう。<o:p></o:p>

 金色の眼球と虹彩、縦長の赤い瞳。爬虫類に近い、全く異質な目だというのに、その目には複雑な感情が浮かんでいる。忍は、「霊的存在」の彼らがそんなことを感じるのかどうかよくわからないが、赤龍は、疲れているようだと思った。たぶん…存在することに。<o:p></o:p>

 忍は、また咳の発作に襲われないように、ゆっくりと身を起こした。濡れた服が重く、はりついて動きにくい。せめて上着を脱ぎ、靴も脱いで裸足になる。<o:p></o:p>

 赤龍は、何も言わない。訊こうともしない。ただじっと忍を見つめている。<o:p></o:p>

「…そちらに行ってもいいか…?」<o:p></o:p>

“……”<o:p></o:p>

 返事はないが、怒ったり拒んでいる気配はないので、いざり寄る。まだ立ち上がるだけの力はなかった。<o:p></o:p>

「触っても、いいだろうか…」<o:p></o:p>

“……”<o:p></o:p>

 忍は、そっと手を伸ばした。腕の付け根の上あたり、赤い鱗が規則正しくぎっしりと生えている。ごつごつしているのかと思ったら、鱗の一枚一枚は曲線を描いたプラスチックのようで、さらさらと乾いた手触りだった。そこから鱗のない胸の方へと触れていく。赤龍は目を細めた。<o:p></o:p>

「……すまない……銃で撃ったりして…」<o:p></o:p>

 もちろん、赤龍の体に傷などない。それでも彼を撃ったという事実は消えるわけではない。<o:p></o:p>

“撃たれたところで私には影響ない。そう仕向けたのは私だ。謝る必要はない”<o:p></o:p>

 一時の感情の爆発にまかせて引き金を引いてしまっただけで、殺意はなかった。けれども、撃ったからにはたとえヘルムートが死んでも死ななくても、自分は死ぬつもりだった。…確かに、自分には破滅願望があるのだ。そう、あのときも…そう、望んだ。<o:p></o:p>

「赤龍…僕はあなたに謝らなくてはならない。僕は、思い出したんだ。あなたと出会ったときのことを…」<o:p></o:p>

 悪夢のようなあの夜。それは、ヘルムートと忍の宿命が断ち切られ、忍と赤龍が出会った、宿命の日だった。

 

 はーっようやく山場にたどりつきました。峠を越えれば終わりがみえるかな…

 ワードで打ったのをブログの記事編集ページにコピーペーストしてみたんだけど、勝手に字下げしたり、改行したりして、修整がきかない・・・。なんでだろ?HTMLの方でも見ても、そんなタグは見当たらないんだけどなあ。
 というわけで、お見苦しいところがありますが、直す技術がないのでご勘弁を!

デーモン聖典最終回前の妄想その③

2007年06月10日 | デーモン聖典関連

 低く垂れ込めた黒い雲、風に煽られ激しく叩きつける雨、四方すべてが見渡す限り空の色そのままの、波立つ黒い海。もちろん太陽は見えず、だが薄ぼんやりと明るい。

“言っておくが、ここの空気も水も肉体には有毒だ。結界から出たら5分と生きていられないぞ”<o:p></o:p>

「わかった」<o:p></o:p>

 獏の忠告に応えながら、忍の意識はひたすら外に向けられていた。時折雲が光るのは、雷だろうか。ただでさえ薄暗いのに強い雨が見通しを極端に悪くしていて、これでは50メートル先も見えない。<o:p></o:p>

「獏、この次元に彼らはいるのか?」<o:p></o:p>

“赤龍とビーストの乱れまくった霊力の残滓がそこら中にある。相当やりあったんだろう、このひどい嵐はその余波だ”<o:p></o:p>

「余波?では彼らは?」<o:p></o:p>

 体温が一気に下がり、忍は悪寒に体を震わせた。<o:p></o:p>

 間に合わなかった?自分は遅すぎたというのか?<o:p></o:p>

“…おい?どうした?”<o:p></o:p>

 ガタガタと体が震える。獏のたてがみを掴む手から力が抜ける。体を起こしていられないほどの脱力感。息を吸う力さえ失われていく。まるであのとき…どうしても自分とヘルムートの間の溝を埋められないと思い知り、ヘルムートを見送って彼を「愛している」と思う日は決して来ないだろうと思ったときのように。<o:p></o:p>

 視界が急速に狭く、暗くなる。貧血だ。そういえば最後にいつ食べ物を口にしたのか覚えていない。<o:p></o:p>

 獏の背に突っ伏した忍の体は、ずるりと滑り落ちた。<o:p></o:p>

“ばかやろう!”<o:p></o:p>

(僕のせいだ…。僕がまた彼を苦しめて…そのせいで彼が「いない」のなら、もうどうだっていい…)<o:p></o:p>

 一瞬の落下感。強酸の海に落ちるはずだった彼の体は、しかし、獏の結界から抜けると同時に別の結界に包まれ、抱きとめられた。<o:p></o:p>

 かすんだ忍の目に、金色の髪が映った。<o:p></o:p>

「…ヘル…?」<o:p></o:p>

「奴なら別次元へ逃げた」<o:p></o:p>

 硬質な澄んだ声が答える。<o:p></o:p>

「ミカ…」<o:p></o:p>

「人間の脆弱な肉体でこんな次元に来るとは、愚かだな」<o:p></o:p>

「…逃げた…。赤龍は、生きているのか…?」<o:p></o:p>

「ああ。K2とやりあって弱ったところを私が喰おうとしたら、さっさと逃亡した」<o:p></o:p>

「な…」<o:p></o:p>

 ようやく明るさが戻ってきた視界の中で、ミカが薄笑いを浮かべていた。反射的に忍はその腕から逃れようともがいた。<o:p></o:p>

「一応、『自分のデーモン』への愛着はあるようだな。お前には何もしない。もなが怒るからな」<o:p></o:p>

 忍は暴れるのをやめ、怒りを抑えてミカを睨んだ。<o:p></o:p>

「…K2は」<o:p></o:p>

「狩りに行った」<o:p></o:p>

「では、赤龍はどこへ行ったかわかるか」<o:p></o:p>

「さあ。だが、奴は常にお前との接触を保っている。今もお前が私の手の中にいるのを知って、やきもきしていることだろう」<o:p></o:p>

「…ミカ、頼む。赤龍が地球を滅ぼそうとさえしなければ、K2と争う必要もないはずだ。教えてくれ…!」<o:p></o:p>

 ミカは無表情に忍を見下ろした。<o:p></o:p>

「奴は完全に痕跡を消して移動した。こちらから追うのは不可能だ。だが、呼び寄せることはできる。お前が本気で奴を呼べば」<o:p></o:p>

「本気でって…僕はずっと彼を探しているじゃないか」<o:p></o:p>

「それでは足りないな。さあ、死ぬ気で呼べ」<o:p></o:p>

“…!やめろ!”
獏が目を剥く。<o:p></o:p>

 ミカは、忍を腕から放り出した。<o:p></o:p>

 

 すぐ続くよ~ん


デーモン聖典最終回前の妄想その②

2007年06月02日 | デーモン聖典関連

 獏は、おもしろそうに忍を見やった。
 「ビーストたちを探しにか?」
 「そうだ・・・。正確には、彼らの争いを止めにだ。・・・もう、手遅れかもしれないが・・・」
 忍は目を伏せた。
 「止めてどうする?お前は赤龍に『死』を与えなかった。もう決着はついたことだ」
 「決着なんかついていない・・・!」
 彼は顔を上げ、獏に詰め寄った。
 「僕は彼に何も答えていない!僕が答えたのは兄のヘルムートにだ!僕は彼について何も知らない。いつだってヘルムートとして僕に接して、彼の本当の心も姿も、見せてはくれなかった。僕は、これで終わりになんかしたくない・・・!」
 「・・・では、お前は赤龍に『死』を与えるつもりなのか?憎むことができなかったのなら、代わりに愛するとでもいうのか?・・・お前は赤龍の──受肉したヘルムートの姿ではない、デーモンとしての姿を見たことがあるのか?」
 「ある。それがどうだと・・・」
 「お前たち人類の姿とかけ離れた姿を見て、それでもお前は奴を愛せると言うのか?我らが何のために鎖の求める人間の姿をし、その者の振りをすると思う?我らの姿を見て、本気で愛することができる鎖がいると思うのか?お前はお前たち人類など容易く引き裂き、噛み千切ることができる我々が、恐ろしくはないのか?」
 「こわくなんかないわ!」
 叫んだのは、もなだった。
 「もな・・・」
 彼女は誇らしげに、自分の胸に手を当てた。
 「私はK2の姿も力も知っているけど怖くないし、K2の本当の姿も嫌いじゃないよ!そりゃあ最初出会ったときは言葉も通じなくて怖かったけど・・・、ちゃんとお互いのことがわかって、気持ちが通じれば、姿なんか関係ない!人間は、そんなにばかじゃないよ!」
 獏は不思議なものを見るようにもなを見つめ、そして侑を見やり、最後に忍に視線を戻した。
 「そうか・・・。そうだな・・・。それが、『聖典』というものなのかもしれないな・・・」
 「おにいさん・・・」
 不安そうに見上げた翔に、獏は頭を撫でてやった。
 「お前も、私の姿を見て『かわいい』と言ってくれた。そんなことを鎖に言われたのは初めてだ。自分と異種のものを家畜ではなく家族としてかわいがったり、無機物にさえ感情移入する種族など、あらゆる次元の生物の中でも人類くらいなものだ。・・・だからこそ、ここはエデンなのかもしれん・・・。
 ──いいだろう。連れて行ってやる。ただし何かあっても私はお前を守ったりしないぞ」
 「かまわない」
 忍はきっぱりと答えた。だが、
 「だめよ!どうして行くの?!だって・・・忍ちゃんが赤龍を愛せないなら、行く意味はないじゃない!だから赤龍は忍ちゃんから憎しみをもらおうとしたんでしょう?忍ちゃんが赤龍のサクリードなのは忍ちゃんが望んだことじゃないし、死をあたえられなかったからって、そのことで責任感じる義務なんかないでしょう?!」
 「りな・・・」
 「りなちゃん・・・」
 もなは膝をついて、涙ぐむりなの肩を抱きしめ、忍を見上げた。
 「りなちゃんの言うとおりだよ・・・。赤龍は、死を望んでいるんでしょう?もう、彼に残された道は、K2に敗れて死ぬことだけ。そのために赤龍はK2を作ったんでしょう?それを止めることに、何の意味があるの・・・?」
 忍は、視線を落として言葉を選びながら、答えた。
 「・・・もな、りな・・・。僕は、彼に死んでほしくない・・・。できることなら・・・彼が許してくれるなら、やり直したい・・・。確かに、僕が彼の『聖典』だったことは、僕の望んだことじゃない。けれど・・・前にミカから教えてもらったと言っていただろう?鎖が聖典となるには条件があって、それはその個体によって違うが、誰にも説明できないと。・・・ずっと、考えていた。それは、デーモン側からの条件なのだろうかと。もしかしたら、鎖の側こそが、そのデーモンを必要としていたのじゃないかと・・・。
 ・・・僕は、ずっと忘れていた。・・・おそらく、赤龍が忘れさせたのだと思う。彼と接触したときのことを。やっと・・・思い出したんだ。僕が気を失ったのは、ヘルムートが自分を傷つける姿を見たときじゃない。そのあと・・・赤龍に触れて、彼がヘルムートの姿になったのを見た後だ。僕は・・・僕から・・・僕の方が、彼に触れることを望んだんだ・・・」
 耐え切れないように、忍は顔を覆った。
 「忍ちゃん・・・」
 「どうして?いったい、何があったの?」
 もなは思わずりなの肩に置いた手に力を込めた。
 忍は何度か苦しげに深呼吸して、ようやく震える手を下ろした。
 「済まない・・・。今行かなければ、一生僕は後悔する。このまま、彼を死なせたくないんだ。すまない、もな・・・りな・・・」
 忍はふたりに背を向けた。
 「頼む」
 「OK。翔、すぐに戻るから待っていろ」
 「う、うん」
 獏が、「おにいさん」の姿から「獏」の姿に戻る。
 “特別に背中に乗ることを許してやる。結界は張るが、落ちるなよ”
 「ああ。ありがとう」
 忍が獏の背に手をかけたとき、りなはもなの手を振り払った。
 「もなちゃん!」
 「いや!」
 りなは忍に後ろからしがみついた。
 「りな・・・」
 「いや!赤龍のところへなんか行かないで!私と一緒にいて!私と、もなちゃんと、ミカと、K2と、みんなと一緒に暮らせばいいじゃない!・・・どうして・・・!?どうして赤龍を選ぶの?!私、わたし・・・っ、忍ちゃんが好きなの・・・!お願い、行かないで・・・!!」
 「りな・・・」
 一瞬驚いた表情で振り返った忍は、しかしすぐに前を向いて、背中に顔を埋めたりなをそのままに、唇を噛んだ。
 突然の告白にもなは、じんと目蓋の裏が熱くなるのを感じながら、双子の姉を見つめた。自分はその間に入れない──そう思って、ふたりに嫉妬したこともあった。いつの間にかK2がそばにいるのが当たり前になって、そんな気持ちのことは忘れていた。姉の忍への気持ちには気づいていたけれど、忍も自分よりりなの方が好きなんだなあと、心配はしていなかった。だから・・・きっと、忍はりなのために残ってくれる。そう、信じていた。
 忍の手が後ろに回り、りなの手をそっと摑んだ。忍が手を外させるのに抗わず、りなは、跪いた忍を涙に濡れた瞳で見つめた。
 「りな・・・」
 忍は、悲しげな微笑みを浮かべた。
 「ありがとう・・・。僕も、りなのことが大好きだよ。りなは・・・僕を救ってくれた。りなを好きな気持ちは変わらない。だけど・・・」
 りなは目を見開く。言わないで、唇を動かしたが、声にならなかった。
 「こんな気持ちのまま、彼を失いたくないんだ・・・。許してくれ、りな・・・」
 「・・・・・・!」
 忍は立ち上がった。
 ぼろぼろと涙をこぼしながら立ち尽くす少女を敢えて振り返らないように、忍は痛む胸を抱えて獏の背に飛び乗った。
 獏が床を蹴ると同時に風が渦巻き、部屋の中の物が舞い飛んだ。一瞬の残像と共に、彼らの姿は消え、舞い上がった本や雑貨は音を立てて落ちた。
 ──あの人は、忍ちゃんを連れて行ってしまった・・・
 りなは、忍を抱きしめて、挑戦的に自分を見たヘルムートの姿を思い出していた。
 父親の見舞いに行ったのは、自分の言葉を聞いてくれたからだけではなかった。忍は、もう戻ってこないことを覚悟しているのだ。
 (私の小さな手じゃ、引きとめられなかった・・・。忍ちゃんは、あの人を選んだんだ・・・)
 「・・・りなちゃん・・・」
 茫然と、声もなく泣き続ける姉に、もなはなす術もなく、ただ背後から彼女を抱きしめるしかなかった・・・。

 まだまだ続く・・・が、やばい。書けば書くほど長くなる病が・・・っ


「デーモン聖典」本、通販受付終了しました

2007年05月31日 | デーモン聖典関連

 ちょっと早いですが(もう私が寝るから・笑)、『Escape from EDEN Ⅰ・Ⅱ』の通販受付を終了しました。お申込みくださった方々、ありがとうございました。

 今日、他の方の『デーモン聖典』についてのブログをちょこちょこっと見てみたのですが(今まであまり見たことなかった・・・。だってー、みんな割りとまともなんだもん!私は高速回転しすぎだ・・・)、見たとこすべて「忍×りな」だったのはなぜ・・・?もしかして私、気づかずにデーモン聖典ファンの皆さまから白い目で見られてたりした・・・?あいたたた・・・


デーモン聖典最終回前の妄想その①

2007年05月28日 | デーモン聖典関連

 K2と赤龍、そしてミカが決着をつけるため別次元へと消えてから1週間、世界は何もなかったのごとく元通りに戻っていった。
 SMICは、EUを後ろ盾にした、ウィーン本部のクロムウェル卿が実権を握り方針を転換、閨人の映画製作も一時中止となった。相変わらず各地ではデーモンによる被害が発生していたが、頻度は目に見えて減っていた。・・・それは、「マスター」がデ-モンを呼び集めることをやめたせいかもしれないと、知る人はいなかった。・・・彼らを除いて。
 彼ら──それを知る一握りの者たちが集まっているのが、ここ東京の、リンデルツ家の別邸だった。
 ゾフィは失踪した(世間的には病気入院、そして多少事情を知っているが彼の正体を知らない者にはそういうことにしていた)ヘルムートの代わりに、SMICからは手を引き、エットーレとともにリンデルツ家の支配する諸々の企業の引き締めに専念する決断を下した。そのために旅立っていった彼女がここに来ることは、当分なさそうだった。
 彼女のいない屋敷に、りな、もな、侑、翔、美羽、「おにいさん」たちは身を寄せ、ずっとK2たちの帰りを待っていた。そして忍は、そこにはいなかった。
 忍は最初、りなたちと共にリンデルツ家にやって来たが、彼女たちが落ち着くと、「すまないがやることがあるから・・・」と出て行ったまま、戻らなかった。一応まだSMICの職員だから、と出勤して行って、一度「当分戻れないが心配しないでくれ」というメールが届いただけで、あとは音信不通となってしまった。電話も取り次いでもらえず、携帯の電波も届かないため、心配したもなが朱鉦経由でなんとかトレヴァーに連絡をつけたところ、「忍からは体調不良で休職願いが出ている」という返事がきた。「行方不明なのか?僕も探してみる。君たちは動かないで連絡を待って」という言葉に従って待っていたものの、1週間が経ち、オーロラも消えてしまったというのに、K2もミカも戻っては来ず、彼女たちは焦燥と不安でいてもたってもいられず、かといってどうしたらいいのかもわからなかった。
 だが、オーロラの消えた翌日、忍は戻ってきた。
 「忍ちゃん!」
 「・・・ただいま、りな、もな・・・」
 「忍ちゃん、どこに行っていたの?!SMICへ行くなんて嘘ついて、みんな心配してたんだよ?」
 「ああ・・・」
 忍は疲れた顔に済まなさそうな謝罪の笑みを浮かべた。
 「ごめん・・・。スイスに・・・父に、会いに行ってきた・・・」
 「お父さんって・・・病気の?」
 りなはそっと忍の腕を取った。
 「ああ。お礼と・・・別れの挨拶にね・・・」
 それでは忍は、自分の頼みをきいてくれたのだ、とりなはぽっと胸が温かくなるのを感じた。あのとき、どんなに嬉しかっただろう。ミカが「忍が自分以上に愛している」のが自分たちで、さらにもなよりも自分を愛しているのだと教えてくれたとき。
 忍は自分を選んでくれたのだ。あの予感は実現しなかった。「彼」に忍を奪われずに済んだのだ・・・
 「・・・K2たちは?」
 忍は、どこか聞くのを怖れているように声を潜めて訊ねた。
 途端にもなの表情が歪む。
 「・・・帰ってこないの・・・」
 「え?」
 「K2もミカも、帰ってこないの!どうしよう・・・っ、K2、私が地球を救ってと頼んだから・・・!!」
 「・・・・」
 忍の表情が変わり、唇が何かを言おうとした。りなは思わず彼の腕にすがる手に力をこめた。
 忍は翔の背後に立つ「おにいさん」こと、獏を見つめた。
 「獏、おまえは赤龍たちがどの次元へ行ったのかわかるか?」
 「まあな。奴ら、軌跡を隠そうとはしなかったし。わかることはわかるが」
 忍は獏の方へ一歩踏み出した。りなの小さな手から、彼の腕がすり抜ける。
 「頼みがある・・・。翔から頼んでもらってもいい。僕を・・・」
 忍から、苦悩と、疲れきった様子が消え、瞳に強い光を取り戻して、彼は言った。
 「僕を・・・その次元に、連れて行ってくれないか?」

以下、続く!・・・のか


「デーモン聖典」47話感想

2007年05月23日 | デーモン聖典関連

 今日は水曜。本来ならマガニャンの「ツバサ」の感想(この頃じゃ一言コメントに成りさがっとるが)のはずだが、LaLa発売と同日じゃあ割り食ってしまうがな。
 というわけで、「ツバサ」はさくさくっと。ま、大きな展開もないしね~。
 四人の対価はゲームの優勝賞金ってことで。モコナが「自分は参加してない」っていうと、小狼が「モコナが待ってると思ったからがんばれた」みたいな(みたいなって、例によってうろ覚え・・・と言い訳するのも毎度のことでは空しいぜ!)こと言うわけだ。いい奴だな、小狼本体!「小狼」なんだから当ったり前~だけど。しかし、そう言ったところでやっぱ侑子さん、モコナに甘いだろ・・・。
 ファイは時空移動が何度でもできる魔力(半分になった今でも)の持ち主と判明。なので、場所の指定ができないモコナと共に魔法を使ってセレス国へ。とその前に黒様の蒼氷を、いつもモコナに預けていたけど自分で自由に使えるようにと、小狼本体みたいに黒様のてのひらから出せるように魔法をかけるファイ。あらまあ、旦那感激してまっせ(笑)奥様の内助ってヤツですか(爆笑)

 さて、「デーモン聖典」。
 ミカ!赤龍にとどめ刺しに来たのかと思えば、
私にとどめ刺しに来たんかい!!
 忍が自分以上に愛しているのはりなともなだけ、さらに言えばりなだけだって・・・おい!「忍のあれは妹とか家族への愛なのよっ」 と信じたかった私にぐっさり突き刺さりましたよ・・・。うわーん、一番私が見たくねー最終回になりつつあるようでいやーっ!!それは・・・「逆行症候群が治ったりなが成長して忍とくっつく」という最悪のエンディングだ
 と、とりあえず・・・私の推測「聖典の憎しみの言葉で死ぬ」というのは合っていましたな。あと、自分の妄想小説の方は、忍が本当はヘルムートに惹かれていたという前提で書いたけど、あながち間違っていなかったとわかって嬉しいなま、「彼から愛されたがっていた」という程度の告白だったけど、原作で幼い忍が「彼はどこにいても目を引く少年で、怖れながらも見ずにはいられなかった」という回想があったのでそうじゃないかなーと思ってたのよ。それを感じとったからこそ、赤龍は自分がヘルムートでないことを告白せず、ヘルムートの振りをし続けたのかなー。
 あと、忍に無意識の破滅願望がるというミカの指摘にもニヤリ。へへ、だったら妄想小説の2冊目の展開もアリでいいよね
 別次元で浅い海(?)の中で座り込むこどもの姿のヘルムート(赤龍)がいじけてるようなすねてるみたいなでうっかり「かわいい」と思ってしまった。「私が欲しいのは(転生した忍ではなくて今の)あいつからの言葉なんだ」という子ヘルムートいとおしいぜ!赤龍がK2を作った理由が自分と同じほどの力がある相手、すなわち自分を殺せる相手を作ることだったというのはだいたい予想ついてたことで。だから忍から憎しみの言葉を引き出せると判断した時点で、ヘルムートは「お前はもういいらない」と檻に突っ込んでしまったんですな。しかしそのK2がもなから「一番好き」という言葉をもらって「全部かなえてやるよ。お前の望みなら」などと言って赤龍と戦いに行っちゃったのは、憎い・・・。忍と赤龍だって、ほんとはそういうラブラブになってほしかったんだーっ
 キレちゃった赤龍が地球を滅ぼしてしまう=忍(と、彼が愛しているもなとりな)だけは別次元へ転送させて生かすつもりだというのは(2名邪魔・・・。忍だけ連れて行って、2人は他の次元へ・・・って、K2とミカがいるから放っておいても連れて逃げてくれるわよッ)めちゃくちゃ萌えですが!つか、
そのまんま「Escape from EDEN」ですがな!!
←さりげなく宣伝・・・。通販受付中です
 
最後に、もな(それともりな?)のナレーションに突っ込みたい・・・。「オーロラが消えても、ミカもK2も帰ってきてはくれなかったのです」・・・赤龍は帰ってこなくていいんだな・・・。忍は帰ってきてほしいと望んでると思うぞ!(そしてやり直したいと思っているはず・・・思っていてほしい・・・と思うのは、所詮腐女子的願望さ・・・ふっ・・・




「デーモン聖典」本通販再開しました~v

2007年05月19日 | デーモン聖典関連

 「デーモン聖典」本、本日より31日まで通販再開しましたので、興味を持たれた方は是非ご注文くださいませ~GO!

 昨日は劇団四季の「アイーダ」を見てきた。同僚のYさんは演劇・お芝居が大好きで、某俳優さんの追っかけもしていて、日本全国を飛び回っている。今日も東京へ行っているはず。で、土日が東京行きということで、金曜の「アイーダ」の席を取ってはいたものの、体力がもたない、と席を譲ってくれたのだ。(いや、代金は払ったよ。もちろん)前から2列目、真ん中に近いどえりゃーいい席だ・・・。近すぎて俳優さんたちの表情のみならずやマイク(へー、今までどこにマイクつけてるのかわからなかったけど――いつも2階席とか後ろの方の席だからさ――あんな風につけてるんだ!オドロキ)とか、飛ぶつば(笑)まで見える。
 いやー、さすがディズニー、どこがエジプトやねん!と突っ込みつつ・・・。良かったのはラダメスとアイーダのラブシーン(笑)。おお、ラダメスの手つきがいやらしいぞ!そんなとこ触っていいのか(笑)あと、男性の群舞。ジャ○ニーズみたい・・・(こらこら)。ラダメス役の阿久津さん、いい男ですな~。しかし、ラダメスの父親のゾーザー、悪の魅力・・・v「そなたもワルよのう・・・」と心の中で突っ込みつつ、だんだん目が彼を追ってしまう。陰謀好きな男って好きだーv

 またもや話は変わって。現在「おおきく振りかぶって」を布教中のワタクシ、コミックスを橘に貸し出した。数日後、メールが来た。「ナイスだよ!メチャおもしろい」よしよし、うまくはまったようだな。「榛名×加藤もあり?」・・・おい!また私とカップリング違うのかよ?!全くもー・・・。

 あああ、もうすぐLaLa発売ですね!とうとう忍の前で本当の受肉した姿、こどものヘルムートの姿を見せる赤龍!(樹さんのHPで確認!)で、「だんだんヘルムートがかわいそうなことに」ってコメントが。あああ、そーだろーともさ!ミカもやっと登場かぁ。性格の悪さを発揮して赤龍をいじめてくれると嬉しいな!(は?)
 今朝、掃除しつつふと思ったのですが(こいつは、24時間「デーモン」のことか、「おお振り」のことを考えている・・・アホだ・・・)、忍は「鎖であるはずの僕の言うことを何一つ聞いてはくれない」といっていますが、「SMICを解体してくれ」という忍の願いに、確かに「そうする」と素直に答えてはいないけど、その後ヘルムートは忍から「憎しみ」を引き出す計画を実行する。つまり「死」を与えてもらおうとするわけだけど、ここで注意!エットーレがヘルムートが姿を消したとき「まるですべてがどうでもよくなったかのように」と呟いていますが、まさにそれは正しい。
 「エデンを守ること」は「マスター」の義務、なんて弱いものじゃない。「マスター」に選ばれるのが「宿命・ことわり、従わざるを得ない道」であるなら、「エデンを守る」こともしかり。赤龍にとって自分の意思にかかわらず、そうせざるを得ないことだけれども、それを上回ることがただ一つある。「聖典の望むこと」、オレたちは絶対にそれに逆らえない・・・とK2が言っていたように、赤龍は忍の望みを優先させようとした。それは「マスター」としての宿命を断ち、「エデンを守る」さだめを放棄すること。すなわち「死」ぬこと。そうしなければ、宿命から逃れることはできない。「マスター」としての「宿命」という鎖さえも上回る「聖典の望み」だから、「すべてがどうでもよくなった」。しかし、未だ忍から愛を得られない彼としては、「憎しみ」で死ぬしか方法は残されていなかった・・・。
 ・・・のではないでしょうかー?まあ、赤龍ってばけなげ



眠い・・・って、前にも書いたな;

2007年05月16日 | デーモン聖典関連

 今週はマガニャンのツバサは休み。
 いきなり話は2週間前に戻って。
 GWのスパコミに向かう新幹線の中、お弁当を食べ終わった私はおもむろに「デーモン聖典10巻」を取り出して読み始めた。「あれ、今日発売日だった?」と橘。「そーだよ」読んでいると、隣から橘がチラチラと見ている気配。「読む?」「後で買うから別にいいんだけど・・・」「そう?」読み進める私。「・・・ぶはっ」と橘が吹き出した。「なによ?」「だ・・・だって、その台詞・・・!」そこは、忍が「あなたを愛しています」と言う場面だった。・・・そこ、笑うとこちゃいまっせー。私は違う意味で笑うけどね! 「うへへてなイヤラシイ笑いですが!
 で、「デーモン聖典」って、コミックス化すると各話にタイトルがつきますが、「ぶはっ」(←橘の真似)act.39のタイトル・・・「求愛」ですよ!!これが笑わずに・・・いえ、引っくり返らずにいられるでしょーか!
 「求愛」って、誰が誰にですか・・って、この回、ヘルムートが無理やり忍に「愛してます」と言わせる回なわけで、ヘルムートが理詰めで忍を追い込み、情で強制するアレは、ヘルムート(赤龍)様なりの「求愛」なわけですなーっ
 しかしもう、赤龍様って結構人間臭い・・・。エットーレに対して「全く仕事熱心な男だな」と呆れ、忍に、忍が鎖であると教えたミカにはお仕置き(もちろん、りなを林博士のところにやるために邪魔だったからでもあるんだけど)、林博士に「(りなの研究に対し)多少の無茶も許される」とけしかけたのは、後でそれを知った忍が怒ることを見越してだけど、それだってあそこまでやるなら(#46)別に不要じゃ~ん?だから、りなに対する嫉妬でしょう。「あのデーモン(赤龍)りなちゃんをじっと見てたじゃない!?」って、まさにそういう理由だろうし。ははは。
 今は#47はこういう展開には絶対ならねーだろーなー、でもいいじゃん!今だけ!という妄想を毎晩布団の中で反芻しております・・・。

 暖かくなってから眠い眠いと呟いておりますが、ここのところそれがひどい・・・。早く寝るようにしているけれど、時間を長くしても目が覚めた瞬間から眠い。とにかく、夢が長い。相当強烈な夢以外はあまり覚えていない私だが、毎日思い出せる。とにかく長かったという感覚がある。実際、思い出せる内容だけでも長い。レム睡眠が長過ぎるのかねぇ?とにかく日中ずーっと眠くてたまらん。電車で座ると目が開けていられない。うーむ、これも年のせいか?この頃不調は全部年のせいで済まされてしまうのが悲しい・・・


またまた「予想外です」デーモン聖典46回!

2007年04月23日 | デーモン聖典関連

 夕ご飯を食べる前にまず3回!読み返しましたよ、LaLa6月号「デーモン聖典」。
 あいやー!またもや「予想外です」な大逆転。最初の1回目で「へ?自分の霊体を使ってK2を作って、赤龍は愛じゃなくて憎しみで死を得られるように『体質改善』(爆)でもしたのかしら」2回目で「愛しさ余って憎さ百倍、ここまでやっても愛を得られないのなら、いっそ憎まれてしまえーとやけっぱちなのかしら」3回目でやっと「あ、そっか!前にミカが言っていた『我々が欲しいのは究極の感情なんだ。それを言霊で与えてほしい』というのは『究極の愛』じゃなくても、『究極の憎しみ』でもいいってことか・・・!!から、ヘルムートの姿を与えられた赤龍は、愛ではなく憎しみを得ることにしたのか!」と合点。
 そう、赤龍が忍に求めた究極の感情は、「憎しみ」だったというのが真実。もなの独白「(忍からヘルムートという)最悪の形をもらってしまった赤龍は、何を考えただろう・・・」への答えが、これだったのです。忍から憎まれるために、「自分はデーモンではなく兄のヘルムートだ」と思わせなければならなかった。優しい兄のふりをし続けて、最後の最後で忍を裏切り、憎しみを自分にぶつけさせるために――
 ・・・と結論づけようと思ったのですが!しかし!再度コミックスを見直してみると、そう単純でもないっつーか、最初から憎しみを求めたわけでは、やはりないのではないかと思う。
 コミックス7巻、「変わらないのはお前だ!どんなに私が愛してやっても恐れ忌み嫌う!お前こそ変わらない!」とヘルムート(赤龍)は怒りを爆発させた。この怒りは思わず出てしまった、赤龍の本音じゃないのかなー。そして9巻の「私というデーモンは君から真実の愛の言葉をもらわない限り“恍惚の死”を得られないわけだ。絶望的だねぇ」という自嘲的な言葉も、本音じゃないのか。このセリフは、忍の「僕は努力するつもりです。必ずあなたを心から愛せるように・・・」という言葉への返事。忍の「努力する」に対して赤龍は「真実の」と答えているわけで、赤龍はこの時点で、忍の愛が決して得られないと悟ってしまった。このやりとりは、おそらくグリフィンが恍惚の死を迎えたあと、赤龍がそれを見てしまったあとでしょう。それで矢も盾もたまらず、唐突に(よく考えると、とても唐突にヘルムートは現れている。だってどう考えたって偶然ヘルムートが出歩くような場所でもないし、忍もタクシーを捜して移動している最中。忍に不審に思われる可能性大なわけで、これだけで赤龍の動揺ぶりがわかるというもんだ)忍に会いに行ってしまった。その結果、赤龍は愛ではなく、憎しみを得ようと方向転換した。
 コミックス4巻、ミカはデーモンの死を説明するけど、そこで「聖典が私たちを唯一無二のものとして愛してくれたとき、そして言葉として思いを伝えてくれたとき、我らは(その胸は熱い喜びで満ち、至上の幸福感に包まれる)恍惚の死を迎える」と言った。「究極の感情」の言霊でデーモンは死を迎えることができるというが、聖典の愛による「恍惚の死」だけでなく、憎しみによる「絶望の死」(と仮に呼ぼう)があるのではないか?赤龍だって、もちろん「恍惚の死」を望んでいたはず。それなのにあまりに長い間、何千億年も行き続けてきた末にやっと見つけた聖典には、最悪の相手の姿を与えられてしまった。だが忍も「愛に飢えた不幸な境遇の子ども」(鎖に子どもが多いという話を忍としているときに、ヘルムートが言っている。赤龍である彼は経験上それを知っていた)だった。だから、優しい兄として家族として彼を愛していけば、いつか愛し返されるのではないかと期待していた。しかし、それは徒労に終わった・・・。そのとき、赤龍はこの永い孤独と、ただ食らうだけの生を終わらせ、死ねるのならば、「恍惚の死」ではなく「絶望の死」でもいいと決めたのではないか。忍の言葉だけの、虚しい「愛しています」を最後の思い出(おセンチですが。何かそんな感じ)にして・・・。(あ、ここ、次のコミックスで入るところね)
 ですので、私は赤龍は最初から忍の「憎しみ」を求めていたわけではない、と考えるのですが・・・夢見過ぎ?
 しかしねー、赤龍が失敗したのは当然っつーか、だって赤龍さまってばめちゃくちゃプライド高いんですもの!「愛を求める“デーモン”、そんな物が私だと!?」って、あー、やっぱ忍の愛を得るために自分がデーモンであると告白して愛を請うよりは、憎まれることを選んでしまったのは、このプライドの高さゆえ。「どんなに私が愛してやっても」というセリフからも、何千億年も生きた高位霊体である自分が、こんな瞬きよりも短い生しか持たない、しかも放っておけば自分たちも地球も滅ぼしてしまう愚かな人類の1人の愛を得なければならないことを理不尽に思っていることがうかがえます・・・。K2みたいに単純に「そん中でもいちばんおいしいのが「スキ」って感情だ」「スキって言葉が手に入るなら死んでもいい」って思えればよかったのにねー・・って、赤龍、霊体を分けるときに、そういう素直な部分を全部K2に渡しちまったんじゃないのか(笑)
 あ、まだ謎がひとつ。赤龍は何のためにもう1人の自分ともいえるK2を作ったのか。これはあと2回(うわーっやだやだーっ)のうちにわかるだろうけど。
 それにしても・・・「おまえは憎しみの言葉さえ・・・私に与えないのか・・・」という赤龍の言葉が切ない。赤龍にとっては愛してもらえないのなら、せめて憎まれたい、彼にとって最も耐え難いことは、無視される、何の感情も向けてもらえないことだっただろう。だから前に忍に言われた「僕のことは放っておいてくれませんか」=あなたとは関わりたくない、というセリフは、相当傷ついたんじゃなかろうか・・・。「憎いのはこの宿命だ!あんたじゃない」って言われたときの赤龍の絶望の表情・・・。もう・・・かわいそすぎる・・・忍・・・あんたってば・・・鈍いのにも程があるっちゅーの・・・
 
 えーと、これですっきりと「うちは原作とは全く関係なくラブラブ・ハッピー&エロで行くぜ!」と開き直れますさー、スパートかけてコピー本書くぞー!
 そしてデーモン聖典10巻、5月2日発売ってことで。もちろん、買って、その足で新幹線に乗りまっせ!いつもなら「イベント行くのに少しでも荷物増やしたくなーい」って言って、帰ってきてからしか本は買わないけど、今度は新幹線の中で2時間、至福の時を過ごしまする~
 


「デーモン聖典」45話感想~♪

2007年03月24日 | デーモン聖典関連

 今週はマガニャン読みそこねた。まーいいや。人様のブログで内容確認したから。(←おい
 昨日はLaLa発売。ううむ、忍はラスト1ページしか出てこない。ヘルムート様なんぞ影も形もない。しょーがねーな・・・。とうとうK2は成獣になって、もなが「聖典」だと明らかになった。ま、これは予想通りだから驚きゃしないけど。とはいえ、もなはK2に「恍惚の死」なんか与えないだろーな。少なくとも今のところは(連載中に描かれるだろう時間内ではね)。
 一番「げっ」となったのは、ヘルムート様の今の姿が「幻影」だってはっきりしたことかな・・・。ちぇーっ、それじゃやれないじゃん(何をって?ははは・・・)本体は11歳のままってことは、忍、とてもじゃないけどその姿の赤龍を受け入れられないと思うんだけど。もなは「オレが年取らないのいやがってただろ?(幻影を見せることは自分にもできるから)望むならそうするけど」とK2に言われても「「いつも本体と一緒にいたいもん」と拒むけど、忍の場合は「大人のヘルムート」の姿の方がいいんじゃないかなー。いっそドラゴンの姿の方が、忍はOKだと思う。動物好きだし(爆笑)。「寝そべるドラゴンに安心したようにもたれかかる忍の図」なんて想像したら・・・ひえぇ!めちゃ萌え!! 
 忍は犬派だと思うんだよね。自分が猫派だから思うんだけど、飼い主との関係って、やっぱ犬と猫は違う。猫だと飼い主は「お母さん」だけど、犬だとやっぱ「ご主人様」っぽいよねー。基本は主従関係。
 家族(群れ)関係とはいえ、飼い主に甘える犬って、「お母さんに甘える」感覚じゃなくて、どこまでも「ご主人さまに認めてほしい」って感覚に他ならないと思うのよ。この微妙な感じ、わかるかな~。「お母さんとこども」だと、どっちが立場強いって、「こども」なのよ。だけど主人と下僕・・・(はっ、なんかいやらしいと思う私の感性は間違っているな・・・)というか、仕える者って、主人の立場の方が上なわけで。それでいて主人が下僕に甘えるということも成立するんだよねー。(これがお母さんとこどもという関係だと、お母さんがこどもに甘えるってことは成立しない)「相手を信頼しているから、或いは相手が自分を裏切らない、何でも従う、受け入れると信じているから自分を預けてしまう」っていう主の従に対する甘えですな。
 で、鎖とデーモンの関係も、主従関係に近い。だってデーモンは「鎖の言うこと(特に聖典)には逆らえない。逆らいたくない。望みは叶えてやりたい」わけで。「聖典」である忍と赤龍の関係も然り。忍の愛を得たいという赤龍は、どうやったって忍より立場が下。だって決定権は忍にあるんですからね~。忍はその気になれば赤龍にわがまま言いたい放題!甘え放題!何を要求したって受け入れてもらえるんですから。そういう関係を基本的に犬派の忍は好ましいと思うタイプ。自分を頼る犬を愛しいと思い、かつ精神的には、自分を全面的に肯定する(受け入れてくれる)犬に依存している部分もあったことは、彼の過去を見れば一目瞭然。だから、赤龍を受け入れる余地は十分あるはず。まあ、赤龍もプライド高いから、ああいうアプローチしかできなかったんだろうけど、「あなたの愛がほしい」って態度を前面に出せば、うまくいくと思うんだけどな。だって、44話で忍を他のデーモンから救いに現れたときの忍の表情ったら・・・「ヘルムート」じゃなくて、赤龍(ドラゴンって、基本的に爬虫類というよりは犬っぽくないですか?)の姿で、「命がけで常にお守りします!ずっとそばにいます!」っていう態度を見せれば、オチると思うよ・・・。
 話は変わって。私がずーっと気になってるのが「なぜ、りなともなの母親の玲奈は、死んだのか」ってことで。病気?って感じじゃないよね・・・。なんとなく生きるエネルギーが尽きたっつーか。例によって「伏線?」とか疑っている私は、「聖典」とデーモンの関係が(「恍惚の死」を与えられないまま)長く続くと、「聖典」の生命になんらかの影響が出るのかなーとか思ったんですが。忍の高熱の原因も、はっきりしないままだし。違うかなあ。ま、いつも私は勘繰りすぎというか深読みしすぎなので、ぜーんぜんそんなことないのだろうけど。ちと気になっているので。
 
 気になるといえば今、おもしろいアニメは「リボーン」。初めて見たときは「リボーン様って、クールでステキ・・・」だったんだけど、見ているうちに「あれ?ギャグっぽいのに出てくるのは美形ばっか・・・」「ヒバリさま、かっこいい」「獄寺くんってば、ツナを命がけで守るって決めてて、これは絶対ね・・・」とハマっております。
 そうそう、橘からの情報で「コードギアス、名古屋でもやってるよ。何曜日か忘れたけど、夜中」「なにーっ、気づかなかった!」と、姉にメール。「コードギアスって知ってる?DVD録ってない?」と聞いたら「録ってあるよ。まだ1話も見てないけど」という返事。何て使える女だ・・・。持つべきものはオタクなきょうだいだな・・・。

 昨日、愛知県は公立高校入試の合格発表だった。甥っ子が受験生なのだが、家族一同「奇跡が起こらない限り無理だ・・・」と、私立に行く(それすらも難しいのだが。なにしろ奴は、学校で後ろから数えて10人に入るというひどい成績なのだ・・・)覚悟をしていたが、奇跡が起こった・・・。
 兄と私は「奇跡だ」と言い、父は「600グラムのステーキを食わせてやる」(奴はヤセの大食いなのだ・・・)と言っている。うわー、信じられねぇ・・・。絶対どこも入れなくて「16歳になったら自衛隊に入れてしまえ」と言っていた(私がね。ひどい叔母だ)のになあ。いやー、良かった良かった。卒業できるかどうかは知らんけどな!高校にゃー留年も退学もあるんだぜ・・・。(そしたら確実に自衛隊に入れてやる。ニートだのフリーターだのを養う余裕は母子家庭にはないっての!)