フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

coming and going letter-5-

2010年05月30日 | テガミバチ関連
注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。

  
★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★


 鍵を開け、彼を先に部屋に入れながら、早くも私は後悔し始めていた。彼を抱きたいと思わなかったわけじゃない。だが、どこかでそうは決してならないと安心していた上での妄想に近いものだった。私にはためらう理由がいくつもあった。
 同性だということは、恋をしてしまった時点で除外した。一つ目は、気の弱いものなら直視できないだろう上半身の火傷の痕。もう一つは……私が彼より14も年上だということだ。年の差は言うまでもないが、それ以上に、今さら恋愛にかける情熱など自分に残ってはいないと思っていたからだった。六年前、私はそれまでの地位や首都暮らしの特権や、婚約者や何もかもを捨てて、半ば自分の人生は終わったと思いながらユウサリにやって来たのだから。
 婚約者──捨てたというより、捨てられたというべきかもしれない。病院のベッドの上で、包帯だらけの私がユウサリへ行くと告げたとき、彼女はついて行くとは言わなかった。私もついて来てほしいとは思わなかったし、もし思ったとしても、彼女が来ることはないとわかっていた。彼女は生温い私などとは比べものにならない野心家で、今持っているものも権利も、何ひとつ捨てるつもりはなかった。私を除いては。
 政府のために働くのはまっぴらだった。しかし政府の矛盾を必要悪として認めざるを得なかった私は、せめて人々のために働こうと、ユウサリ勤務を希望し、今の職を得てハチノスへやって来た。そしてゴーシュ・スエードに出会い、恋をしてしまった。
 見ているだけ、同じ仕事場で働く仲間として、彼と接点を持っていられればいいと思っていた。そうしなければならないと自分に言い聞かせてきた。なぜなら、人に知られる──当の相手にさえ知られるわけにはいかないたぐいの恋だったということもあった。が、私は、自分が恋をしたという事実それ自体に、相当困惑を感じさせられていたからだ。
 ここに来たとき私はまだ26歳だったが、それなりに愛していたと思っていた女性に対する気持ちが、政府やこの社会への失望や嫌悪とともにあっさり冷めてしまったことや、それまでもいくつか経験していた「恋愛」も、自分にとっても相手にとっても、「自分にふさわしいか」「自分に利益があるか」という打算と、その場限りの欲望とで成立していたものに過ぎなかったという自覚から、自分は恋などできない人間なのだと思い込んでいた。したとしても、相手に好かれる要素など何も持っていないのに、無駄だと思った。もはや首都エリートでも今後出世の見込みもなく、それなりに見映えのした容姿も、片目はなく、顔にも、服で隠れているが腹側の上半身にも火傷の痕が残り、人前にさらすことなどできないものだ。これでは一夜限りの情事さえ不可能で、男性機能には何の異常もないことが却って恨めしいくらいだ。
 そんなわけで、26歳にして精神的にも肉体的にも「恋愛」とは無縁になったとうそぶいていた私は、事実それから六年の間、どんな女性にもこころを動かされることはなかった。……もっとも、女性と知り合うことなどほとんどない環境に身をおいていたからと言えないこともない。その中で出会った少数ではあるが女性の「テガミバチ」や部下たちは誰もみな、首都にいた女性たちに比べて純粋でけなげで愛らしく、十分魅力的だと思いはしたが、好意は持っても「恋」にはならなかった。──なのに。
 彼に恋をしてしまった。しかも、自分がするはずもないと思いこんでいた、打算のない恋だと知って、私は無知な少年のように臆している。彼が欲しい、自分を好きになってほしいという望みと、そんな望みはあまりに無分別だ、いい年した大人のすることじゃないと警告する理性との間で、私はずっと振り子のように揺れ動いていた。彼もまた、私に友人を超えた好意を持ってくれて、それどころか「寝たい」とさえ言ってくれ、ここまで来てしまった段になって私は、再び理性の方に心が揺れていた。
 おそらく性行為は未経験だろう彼に、同性とのセックスなど経験させてしまっていいのか?大人として、まだ未成年の(彼は18になっていない!)青年を正しい方向に導いてやるべきじゃないのか?……そもそも彼の私への感情は、恋愛や性愛なのだろうか?身近に自分を庇護してくれる大人を持たず育った彼の、大人の男への憧憬でしかないのではないのか?……仮に恋愛だとしても、実際には性の部分は含んでおらず、ただ私の欲望を感じとって、応えてくれようとしているだけではないのか?


 ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

 すみませんね~~、ぐだぐだと博士の独白が続いて。大人には言い訳が必要なのよ・・・。ついでに素直に他人の心も信じられないわけさー。「汚れちまった悲しみに」なわけ(爆)

 この話には全く関係ない、役に立たない人物(?)解説。
 ラグ・シーイング・・・(お、やっと人物だよ)やたらと人にパンツを穿かせたがる少年。5年後にはやたらゴーシュのパンツを脱がせたがる青年になっているに違いない(幸田の独断と偏見による)。女装が恐ろしいほど似合うかわいこちゃん(ザジ談)。一見礼儀正しく「人は(撃っちゃ)いけませ~ん!」と非暴力主義をアピールしたり、泣き虫ぶりでかわいこぶっているが、騙されてはいけない!奴はノワールに向かって「ゴーシュを取り戻すんじゃない、お前の存在を消してやる!」って心弾(ま、テガミ弾だけどさ)ぶっ放すんだぜい。怖~~~っ!
 ノワールは記憶を失ったゴーシュの新たな人格なわけで、ワタクシなんか甘いからさあ、もしゴーシュが違う人生歩んでいたらこうなっていたのかも、とか、ゴーシュの人格や記憶がわずかでもノワールの中に残っているのかも、とか考えて、「ゴーシュ、思い出して!」とは思っても「お前を消してやる」とは思わないよなあ。ラグは、ノワールが少女に「ロダ」という名前を与えたことを知って、ゴーシュの記憶が残っていると希望を持ったのにさあ・・・それでもこのセリフ。自分が知っている(ここは恋した、とほんとは言いたいところだけど!)ゴーシュでないゴーシュはゴーシュじゃないっつーことで。うわあ、この究極のゴーマン攻め(しかも精神的ドS)め!
 そのうち、うるうるっと涙を浮かべて「ゴーシュ・・・どうして博士や館長にいつも流されてしまうの?ボク、悲しいよ・・・」なーんつって、ゴーシュに二度と自分以外とナニしないと誓わせるようになるに違いない!(この妄想がすでにアウト・・・)それでいて自分がかわいこぶりっこを武器にしてるという自覚はないという憎たらしさ!苦ッ・・・!そんなラグ×ゴーシュ一押しの自分が憎い・・・!

今月買った本201005

2010年05月29日 | オタクな日々

 これまでは本はほとんど姉が某ネットショップで購入してポイントを貯めたり割引を使ったりしていたのだが、システムが変わってお得に購入するためには本を大量に一度に買わねばならなくなったので、私が「早く読みたいのだ~!」という本については、金券ショップで図書券を買って本屋で買うことにした。(ま、今までも「1か月も待てん!」という場合は自分で買っていたのだが)
 で、今月買った本は次の通り。

  

「MOON 6」曽田正人
「Capeta 22」曽田正人
 相変わらずカペタはじじいキラーでたまらんですな。竹森さん、感激してカペタに熱い抱擁ですよ!衆人環視の中!さらに静岡ステラの社長さんをも動かす!この調子でステラ自販の各社長を落としていってほしいもんです(笑)
 そういや、ワタクシこの巻で初めて「ステラ自動車」って「ス○キ自動車」のことだと気づきました・・・。「静岡ステラ」の正式名称が「株式会社静岡ステラ自動車販売」だと初めて知って(きっと前にも出てたけど目がスルーしてしまったのだな・・・)、「ステラ自販」だと気づいて、あ、ト○タじゃねーや、と。勝手にト○タだと思いこんでいたんですけど、ト○タのディーラーだったら社名「自販」じゃないもんねー。
 実はワタクシ、昨年10月からス○キ自動車を担当するようになって、3月にス○キの本社とグループ会社で保険募集をしたんですな。パンフを1000枚ほどばらまいたんですが(社内イントラ告知がメインなので、実際の従業員数には全然満たないですけど)、実際に契約が出たのは5件くらい・・・。虚しい・・・orz
 いや、そもそもうちはス○キにとってメイン保険会社じゃなくて、お情けのようにパンフを納入させてもらっているだけなので、そんなやり方じゃ契約出ないのはわかっちゃいるんですけどね~~従業員の人数考えたら、やり方によってはもっと契約取れる団体。営業次第だろっ?!と思うんですが・・・前の担当のH君(年下なので君扱いだ)はここに関してはあまり熱心でなかったし、後任のN氏は他の大団体(N市役所だ・・・)で頭いっぱいで、今はそれどころじゃない。(それに彼はまだウツから立ち直ってないしな・・・。うちの部には病人しかいないのか?!)せっかく新しい商品が発売されたんだから、まずは代理店から攻めていって新商品を試しでいいから、その代わり大々的に力入れて売らせてもらえないか、交渉してくんないかな~と思う。
 まあそんなことをつらつらと思いつつ(こんなときまで仕事のことが頭から離れないなんて・・・いつの間にこんなワーカホリックになってしまったのか)、読んでました。この調子でマカオ行っちゃうのかな~。そしてヨーロッパのチームに認められてF1とか行っちゃったりすると・・・おいおい、ノブが大学卒業して修業して・・・とかやってると、カペタのマネージメントができるようになるのはいつだ?!その頃にゃーカペタは当然どっかのエージェント会社なんかと契約結んで専属マネージャーなんかついてるんじゃないの?!ノブ・・・。才能ありすぎる男に惚れてしまって(←オイ)気の毒だな・・・。でも惚れる気持ちはわかるよ!最後の1ページの、相変わらずのカペタのゴーマンさ加減にはシビれるもんな

「聖☆おにいさん 5」中村光
 ユダ・・・なんだろう、この既視感・・・。誰かに似ている!と思ったのだが思い当たったのはジェイムズくん(※青池保子「エロイカより愛をこめて」)くらい。彼を痩せさせて暗くしたような。でももっと似ている人がいたはず!あー、思い出せねー!この頃ホント物や人の名前が出てこないんだよな。もどかしくてたまらんどなたか、似ているキャラに思い当たったら教えてください!!

「ヒストリエ 6」岩明均
 岩明さんは「寄生獣」でファンになった。絵はあまり描き込む方じゃなくて割とシンプルで硬い線だし、表情も豊かというわけでもないのが、逆にこんな歴史物には合ってるかも。飄々と話を進めるよなー。ようやく主人公は後のマケドニアのアレキサンダー大王となる王子と出会う。王子が実は○○だったという設定なので、これからどういうアレキサンダー像を作っていくのか楽しみ。

「SILVER DIAMOND 20」杉浦志保
 この方の描くものってBLだと思うんだけど、当のカップルたちには全く自覚なし!でもラブラブムードが漂う、どこまでもプラトニック(スキンシップはあるけど!)。この作品は片方にはやや自覚あるけど、どろどろしたものには絶対ならないんだよね~。ワタクシは主人公カップルを見守る小姑な(笑)皆さまが大好きです。 

「伽羅の家」上杉可南子
 久しぶりに上杉さんを買った。なぜなら最近のレディースものじゃなくて昔の初期短編集(男女ものだけど!)だったから。どれも妖しかったり耽美だったり悲劇だったり、普通の男女の恋物語でないところがいいです。

「わが友マキアヴェッリ 1~3」塩野七生
 マンガじゃなくて文庫本。塩野さんの著作を初めて読んだのは「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」だったです。私が中学か高校生くらいのとき、青池保子さんがカバー表紙を描いた、歴史上の人物の評伝のシリーズが出版されたことがあって、メイン執筆者が桐生操さんと塩野七生さんだったのですよ・・・。それを姉が買いまくっていて、それを読んで初めて塩野さんを知ったんですな。どっちが誰を書いたのか憶えてないんだけど(うわー、どうして私、捨てちゃったんだー!!初めて家を出たとき、こんなにたくさん本持って引っ越せない、と相当処分した中に入れてしまったんですな!その頃は日本史はともかく世界史にあまり興味なくなってて・・・)エリザベート・バートリ、カトリーヌ・ド・メディチ、メアリ・スチュアートとかがあったのは覚えてます。その中に塩野さんのチェーザレ・ボルジアがあった訳です。(もしかしたら複数のシリーズだったのかも・・・。いずれにせよ青池さんの表紙だったから買ったことに間違いはない)
 それから20年以上経って、再び世界史に舞い戻り、「ローマ人の物語」が文庫になったので購入して読破、次に「海の都の物語」も読み、この「わが友マキアヴェッリ」に突入。塩野さんの書く歴史ものって、塩野さんと同じ目線になりきってしまいますよねー。おかげで「ローマ人の物語」ではカエサルの大ファンになってしまったよ・・・。
 
「へんないきもの」早川いくを
「この変ないきもの達にこの金額を払うほどの愛が私にはあるのか?!」と本屋で単行本を前に自分に問いかけたとき、そこまでの愛はない・・・という結論に達したが、このたび文庫化にあたり、文庫本の金額ほどの愛はあったので、購入。世界の中心で愛は叫ばないが、深海の超水圧に負けず大口開けて笑う変な生き物はいるんだな・・・。


今日もチラ見せしてたよ

2010年05月23日 | オタクな日々
 今日は朝から雨なので眠い・・・(雨のせいにするな)
 昨日は「The Music Man」というミュージカルを姉と観に行きました。姉は前に私がいつも1人でTMRのライブに行っているというのを知って、「なんで私の分も買ってくれない?!」とぶーぶー言っていたので、タカノリ出演のこのミュージカルのチケットを買って「何月何日に行くから予定空けといて。あと金払って」とメールしたら、「人の都合を聞いてよ。あと高い」と返してきた。幸田にうかつに頼んではいけない・・・。頼み事は条件を細かく指示しよう。でないと有無をいわさず強制執行
 席は前の方だったんだけど壁際の斜め横に椅子が並ぶボックス席で、観るのに常に体を斜めに向けていなくてはならなかったので、腰が痛くなってしまった・・・苦っ
 さて、タカノリは、音楽教授という触れ込みで楽器や楽譜やバンドの制服を売りつけて、楽器の指導をさせられる前に逃げ出すという詐欺師の役。・・・前に出たミュージカルも、大ボラ吹きまくって女の子に取り入って出世するという調子のいい男の役だったよな・・・
 タカノリの歌い方はいわゆるミュージカルの歌い方とは全然違うので、ヒロイン役とかけあいつつ合唱になるところは結構合わせるよう気をつけてる感じがしました(笑)それ以外のソロはやや抑え気味だけどやっぱりタカノリ節ドスがきいてて(お前の表現はおかしいだろっ、とセルフツッコミ)声量あります。
 そしてキザな仕種がやっぱりタカノリ。衣装のベストとか上着の裏地が派手な色使いなのを、わざとチラチラ見せまくる。もう癖になっちゃってるのかなー(爆。タカノリはライブのとき上着の前を開いてみせるという仕種をよくやるんですなー。それが高じると脱いじゃう)演出家が止めてないところを見ると、サギを働いた町々で必ず女性といい仲になって、しかも誰一人恨んでいないでいまだに彼をかばったり想ってたりするという、格好良くて口がうまくて、でもかわいいモテ男のキャラとしてOKということなのかな。
 ときどき女性陣がタカノリに合わせてスカートの下で脚を曲げてダンスやからみをしていました・・・身長、私と同じくらいだもんねー。たいていの女優は彼より背が高いキスシーンが結構苦しいぜ!そしておしゃべりなおばちゃんたちに囲まれるシーンでは埋もれていた・・・昔の悪仲間の男性と踊るときの方が逆に背の低さが気にならないんだよねー。(悪仲間のマーセラスはブレイクダンスがかっこよかった!場内おおっとどよめき&拍手でした)
 最後は結構ジーンとしたりして。一旦幕が下りたあと、出演者全員でマーチングバンドとなって演奏。猛練習したんだろうなーと涙を誘われますタカノリは先頭でバトン振る人(なんて言うの?)。白い制服姿がかわゆいです
 アフタートークショーもあったりして、12時半開演で終了したのはほぼ16時。このあと17時から2回目公演とはハードだな・・・。いやはや、久しぶりに健全にタカノリを補給した日でしたよ!
 

coming and going letter-4-

2010年05月23日 | テガミバチ関連

注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。

  
★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

 店を出ると、先に出ていたスエードが少し困ったような笑みを浮かべて待っていた。
「すみません、ごちそうになってしまって」
「構わないよ。私が誘ったのだから」
 私につきあって一杯だけ飲んだはちみつ酒のせいで、スエードの白いはずの頬はりんごのように紅潮している。目も少しトロンとして、酔ってしまったようだ。大丈夫だとは思うが、家まで送り届けることにした。ここでさよならしてしまうには、別れ難くもあった。
 彼の腕をとり、ゆっくりと来た道を戻る。もう明かりの消えた時計屋の前を通り過ぎたところで、スエードは突然立ち止まった。
「スエード?どうした?」
「……方向が…違います。博士の家は、さっきの角を曲がった方でしょう?」
「あ、ああ。君を送っていこうと思って」
「え……?」
 彼は目を見開いて、傷ついたような目で私を見つめた。
「……ぼくはまだ、帰りたくありません。あなたといたいです。……迷惑ですか?」
「……ゴーシュ……」
 私はしばらく、その場で呆けていたらしい。我に返って、繁華街からは離れているとはいえ、人通りがないわけではない道端だということに気づいた私は、彼の手を引いて横道の陰に入った。
「…その……ゴーシュ・スエード……」
「はい」
「私は君が好きだ。友人や仕事仲間としてだけでなく、その……」
 長い間知られないようにと悩んでいたことを、あっさりと口にしてしまい、言ってから冷や汗が噴き出た。しかし今さら言った言葉は引っ込められない。
「知っています。……今日、やっと知ることができました」
「だったら……あまり私の理性を試すようなことを言わないでくれ。君に不快な思いをさせたくないんだ」
「不快……?なにを、どうしてぼくが不快だなんて思うんです」
 彼のまなじりがきつく上がる。射るような、揺らがない強いまなざし。そうだ、彼は今や「テガミバチ」のエース、テガミの配達率トップ、鎧虫殲滅率もトップの男なのだ。その顔を私に見せたことはなかったが。
「あなたは……ぼくを何もわからないこどもだと思ってらっしゃるんですか」
 そう言う彼の頬はまだ少年の柔らかな線を描いていて、そのひたむきで変化を恐れないまなざしも、彼はまだ本当に若いのだと思い──そう思う自分だからこそ、もう若くないのだと思い知らされる。
「そういう意味じゃない……。私は聖人君子じゃないから、君の望まないことをしないでいられる自信がない」
「望まないことって……」
 泣きそうに顔を歪め、彼は目を伏せた。
「……ぼくからお願いすればいいんですか……」
 横を向いた頬の赤みが増す。
「ぼくと……寝てくださいって……」
「ゴ……」
 私はひどくうろたえてしまい、その自分の狼狽ぶりを笑いたいくらい滑稽に思いつつ、激しく突き上げてきた欲情に押され、彼を抱きしめていた。


 ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

 どこで切ろうか悩んだら、やけに細切れになってしまっているなあ・・・と今頃になって気づきました。ううむ、週刊マンガ雑誌のようだ・・・

 この話には全く関係ない、役に立たない人物(?)解説。
 ステーキ・・・(また人物じゃないじゃないかーっ)ニッチの携帯非常食料。ニッチに食べられることを使命と思い、誇りにしている・・・ので、「うまそう」が褒め言葉。フライパンで焼かれてはあはあしてるドMな生物。てゆーか2度も焼かれたことがあるが毛がチリチリになっただけ。丈夫だな(面の皮が厚いのだろうか)。しかも焼かれながらぐうぐう寝ていた。不感症のドMって・・・


私が古いのか・・・?

2010年05月20日 | 実録!生保でワーキング~

 "Shota・・・I can't go on・・・"
 「翔太・・・ボクもう動けないよ・・・」
 ここのところのマイ・ブームは、ばたっと床に倒れてこう呟くことです。チャロ※、かわいいぜ・・・。 
 ※N○K教育テレビの英語番組の主人公の子犬・・・よく考えたらもう子犬じゃねーよなー。しかし子犬にしか見えん。かわいいからいいけど!
 つまり落ち込んだときとか疲れたときとかめんどくさいときに、こうして「私って、あほ・・・」とひとりで笑いをとってみるわけですな。「しょーがねえ、起きるか」という気になります。
 今日は疲れたっつーか・・・ここのところ某市役所で保険を募集中のため、毎日すごい数の電話を取りまくっていて、ブチ切れそうなのでございます。しかも今日は1人休んでいたので、余計にだったんだけど。電話を取ってメモったことを伝言する暇も、出力したオンライン画面を取りに行く暇もなく次の電話を取り、更にその合い間に自分の仕事をやり、先週募集が終わったばかりの団体のデータ作成でパニック状態の後輩の手が回っていないので彼女の担当の客の処理をし、休んでいる後輩の担当の客の処理をし・・・。
 で、休むのはいいんだけどさあ・・・この状況が先週から続いていること、知ってるだろ?!しかもその原因の某団体は君の担当だろ?!とさすがにむっとしているわけです。前から休暇取る予定だったけど、予想外の電話の数に自分自身残業して、他の同僚(・・・って私だ)が自分の仕事の一部を肩代わりしてるのわかってるじゃん?なんで休暇別の日にずらすとかしないかなあ・・・。
 昔、この市役所は私が担当してたんだけど、その頃はパンフレットの袋詰め作業をバイト雇ってうちがやってて(今は幹事が他社に変わったので、うちはやらなくてよくなったのさ)、それがゴールデンウィークの合い間と決まっていたおかげで、担当していたころはずっとGWは暦通りにしか休めなかったし、募集期間中も自分が電話を受けなくちゃ、とその間は当然休みは取らなかった。ところがその担当を後輩(もう退職した人だけど)に変えたら、後輩は袋詰め作業のときに休暇を取って、おかげで私がバイトの人たちに指示したり作業したりしなくてはならなくて、私は「え?自分の仕事だよね?バイトまで呼ぶ大変な作業だよね?それなのに休んで人に頼むわけ?」と目が点っつーか、責任感のなさっつーか、これが今どきの人にはフツーなのか?と茫然としたんだけど・・・今回も同じ。日常の業務はいくらでも代わってやるけどさあ・・・自分の担当の中で一番大きな、重要団体の募集中に休むという考えは私にはないなあ・・・。さすがに営業の男性も予想外の忙しさに「募集期間中は休まないでほしいんだけど・・・」と呟いていたよ。そんなこと本人に言ってくれ!
 はあ・・・私が注意すべきなのか、それとも今の人たちにはこれが普通だから私が注意したら逆にむっとするのだろうか、とぐだぐだ悩み中。はー・・・この間過労で倒れた当の後輩だから、「休むな」的なことは言いたくはないし・・・。ああもう、ほんとに "Shota・・・I can't go on・・・" ばたっ。なのだ!!


coming and going letter-3-

2010年05月15日 | テガミバチ関連
注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。


  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★


 唇が触れた瞬間、ぴくりと体を引いた彼をおびやかさないように、もう一度そっと重ね、柔らかく食んだ。彼が嫌がっていないか確認しながら──普段片目でしか見ていないのだから、その分目を開けていたっていいだろうというのは勝手な理屈だが──次第に動きを加えていく。そのたびに彼は身を硬くしたが、最後には私の手を強く握りしめて、忘我の表情で私の口づけを受け入れていた。
 まだ物足りなさを残しながら、私は唇を離した。ゴーシュは口づけの余韻のせいか、どこかぼんやりとした幼げな表情で私を見ていた。このまま彼を押し倒してしまいたいくらい欲望が膨れ上がってはいたが、私はそれを抑えて、つとめて冷静さを保った。
「……今夜、食事に誘ってもいいか?」
「はい……あ」
 夢から覚めたようにゴーシュは瞬きすると、困惑の表情を浮かべて視線をさまよわせた。私は、唐突すぎただろうかと焦った。
「すみません、妹に夕食を食べさせてからになりますから、少し遅くなってもかまいませんか?」
「ああ、もちろん。私ももう少し仕事を片づけなくてはならないし」
 内心ほっとしながら、私は答えた。
「それでは、こちらに伺えばいいですか?」
「そうだな……」
 日頃、BEE‐HIVEの食堂か、市場で惣菜を買って食事を済ますことがほとんどの私は、誘っておいて今さらだが、思い浮かぶ行きつけの店は限られていた。その中でいちばん気に入っている店は、最初にロイドに誘われて行った料理店なので、ロイドと出くわす可能性もないわけではなかったが、あとの店は初デートで行くにはカジュアルすぎた。
「いや、どこかで待ち合わせよう。奏鳴通りの時計屋は知っているか?」
「ええ」
「そこに20刻でどうだろう」
「わかりました。誘ってくださってありがとうございます、博士。ではお先に失礼します」
 ぺこりと頭を下げられて、私は複雑な気分になった。もしかしたら仕事場の先輩に食事に誘われたぐらいにしか思っていないのでは?下手をするとさっきのキスも、本気で単に手の代わりに「触れた」と解釈しているのかもしれない。……いや、いくらあのスエードでも、唇にキスするのがそういう意味だとわからないはずはないだろうが……。(あの、というのは、彼がどうも奥手らしいことを感じていたからだ。以前に食堂で、他のBEEたちと食事をしているのを見かけたとき、誰かが下ネタのジョークを飛ばして笑いが起こったのに、彼はきょとんとしていたことがあったからだ)
 終業後一旦アパートに戻り、薬品や動物たちの臭いの滲みついた服を脱いでシャワーを浴び、スーツに着替えた。濡れた髪を乾かすのに手間取り、約束の時間に少し遅れてしまった。道端に立っているスエードを見つけたとき、私は時計屋の前でなど待ち合わせるのじゃなかった、とほぞを噛んだ。
「スエード!…すまない、遅くなった」
 駆け寄った私に、ショーウィンドウを覗きこんでいたスエードは、振り返って微笑んだ。
「いいえ、そんなに遅れてませんよ。それに、ほら、この時計」
 スエードはガラス越しにひとつの置時計を指差した。
「まだ19刻ですから」
 彼はニコッと笑った。
「スエード……」
 麻酔弾を撃たれたように、私はその場で動けなくなってしまった。それとも強心剤かもしれない。うるさいくらい心臓が脈打ち、私は彼を抱きしめたい衝動に耐えなくてはならなかった。
「……行こうか」
「はい」
 私は彼の冷たい肩を抱いて歩き始めた。彼の柔らかな髪からは、石鹸の香りがした。


  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★


 この話には全く関係ない、役に立たない人物(?)解説。
 銀色ナメクジ・・・(いきなり人物じゃないじゃん!)テガ○バチDVD第1巻に同梱されているドラマCDに登場。サンダーランドJr.博士が経費で購入したが、実は単なる愛玩用で(・・・それは横領と言わないか?)、撫でたときの感触が辛抱たまらんらしい。うちの猫も撫でるとたまらんです。長毛の猫の腹に顔を埋めては「もふもふ~」、短毛の猫を撫でては「すべすべさらさら~」と手触りを楽しんでおります。
 こどもの頃はワタクシ、ネコヤナギの芽を偏愛しておりまして、早春、枝についた銀色の芽を収集しては箱に入れ、そのツヤツヤすべすべの毛を撫でて猫代わりにかわいがっておりました。(今から考えるとちょっと変態っぽい・・・)猫なんて飼ってもらえなかったですからね・・・。
 想像するに、銀色ナメクジもきっとネコヤナギの新芽のように銀色の艶々の毛に覆われているに違いない。そして猫くらいの大きさ。それに頬ずりしてうっとりするサンダーランドJr.博士を想像・・・。カイボーとか叫んでいるよりよほどマッドな感じだナメクジというからにはきっと毛の下は軟体動物・・・移動するとピカピカ粘液の痕が。・・・げえ!ワタクシ脚が2本以上8本までは平気ですが、脚がないのと脚が多いのはダメなんだってばー!ギャーッ!そんなものと道で出遭ったら、鳥肌立てて全速力で逃げるっつーの!博士がゴーシュの銀色の髪を撫でながら、「銀色ナメクジのように気持ちいいな・・・」なんて思っていたのなら・・・フォロー不可能逆ならもっとサイテーだ

恒例?春の新番組~その2

2010年05月09日 | オタクな日々
 テガ○バチDVD6巻のイラストが博士とゴーシュだったので、はあはあ鼻息が荒くなってしまったワタクシです。まあどうでもいいことですね・・・
 今日は朝からセーターを洗ってベランダに干しておいたのだが、ふと見るとなぜか物干し棹に空間が。「こら~!!」と慌ててベランダに出ると、にゃんこがセーターと戦闘中だった。・・・お気に入りの白いもふもふセーターが穴だらけに。・・・ガクリ。去年買ったばっかなのにさー・・・。
「・・・わかった。この穴の開いたセーターはお前にやる。思う存分じゃれるといい!」
 とリビングの床に放っておいたのに、今度は知らんぷり。なんだよ!与えられた獲物には興味ないってか?!全く、わがままなやっちゃ

 さてさて、今春のアニメ新番組、残りをなんとか観ました。やっぱ『閃光のナイトレイド』が秀逸だと思うのに、スパコミで隣りのサークルの方が「夜中にやってる新番組で、『閃光のナイトレイド』ってのを観たんだけど、ちょっと観てわたし的にないなと思ってやめた」とおっしゃってて、えええ?なんだよー、おもしろいと思うのに、私の感覚がやっぱマニアックなの?とがっくり。2話目からOPが始まって、(1話目はいきなり本編が始まったのさ。こういう始まり方、この頃はやりだよね~)それもスッゲエかっこいい!(ちょっと上條淳士―TO-Yの頃のね―を思い出した・・・という私は古いッスか?)テーマソングもCDほしくなるほどいいぜ!DVDは第1話の前のプロローグストーリーも収録?!くそー、欲しい!というくらいこの作品にはまってるのになあ・・・。しつこいようだが葵×葛推奨。ストイックな受けってたまらん・・・ハアハア

『裏切りは僕の名前を知っている』・・・ASUKA連載小田切ほたる原作。OPを観て「なーんだ、男女かよ」(←おい・・・)とがっかりさせておいて、OPラストに「男×美少年かよ・・・っ」と裏切りおって・・・って、これがタイトルの意味か?!(違う)攻め様のゼスに牙があるんですけど、ヴァンパイアもの?確か「ヴァンパイア騎士(ナイト)」という作品がついこの間アニメ化されていたよな?あれはLaLaだっけ。本編を見たら退魔もののような。じゃああの犬歯はなんじゃい。原作読んでないのでよくわからん。EDもまた男女かよー、と思いつつ、女が目を開いたら、なんだ、顔は主人公の美少年と同じじゃん。すると美少年は攻め様の恋人だった女性の生まれ変わりとか?原作読んでないので・・・以下同じ。予告が画面となんのかんけーもないギャグな会話で進んでいくのは、ブリーチみたい・・・。いいんだか悪いんだか。OP観た限りでは、主人公たちのBLカップルのほかにももう一組カップルいそう(←男2人のコンビを見ると、すぐにカップルとか勝手にホ○扱いするのはやめろ)な感じ。観てもいいけどありきたりといえばありきたりの設定&話だなー。途中で観るの飽きそうな気がする・・・。(07-GHOSTの二の舞・・・
『一騎当千××』・・・戦うセクシー美少女が9人・・・。めがねっ娘に眼帯少女に関西弁少女に巨乳に超ミニスカートにパンチラ・・・。もとネタは三国志でそれを美少女に置き換えた話。勘弁してください・・・。
『会長はメイド様!』・・・LaLaで連載中だよね。もーメイドだのホストだの執事だの食傷したよ。いーかげんにしろ。柳の下には何匹どじょうがいるんだ。これも勘弁してください・・・。
『さらい屋五葉』・・・オノ・ナツメの時代物。私、オノ・ナツメのマンガ読んだことなくて、絵を見る限り苦手なタイプかなーと思ってましたが、いやー、食わず嫌いはいけないな!この主人公のくたびれた浪人がものすごく受けっぽく見えるのはなぜだ・・・。訳ありの過去があるらしいクールな弥一も、なんつーの、男の色気がムンムンして、攻め様のニオイがするーっ!(その見方はやめろ・・・っても、腐女子フィルターは常時装着されていて取れないのだ!)できる限り観ようかと思う。ん?原作結構巻数いってるなあ。アニメでは話は完結せず途中でなし崩し的最終回になるのかな。時代劇だからな。(水○黄門とか暴××坊将軍とか・・・1話完結、話はエンドレスだよなー)
 今回なんとかチェックできたのはこれくらい。では!

coming and going letter-2-

2010年05月09日 | テガミバチ関連
注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。


  
★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

「精霊琥珀の力で、ぼくたちは『こころ』のかけらを光の形で見ることができるけれど、この体の中にあるときは、体のどこを切り開いてみても、その在処も姿もわからない。なのに、『こころ』は物や人に込めたり、伝えたりすることができる。この体の中で生まれるのに、体から離れても独立して…身体が死んでも、存在し続ける。いったい『こころ』はこの体のどこで生まれて、どんなふうに存在しているのでしょうね…?」
「それは……」
 私は、どぎまぎしながら彼の目から微妙に目をそらした。その頃の私は、まともに彼を見つめることすらできなかった。胸がときめいて、白状すると診察するときなど更に平静ではいられなかった。医師として失格だと思ったが、かといって他の者に任せるのは嫌だった。
「今のところ、誰にもわからない。いくら解剖して実験して、五感がどのように伝わって脳に達し、脳がどのように反応して感情を生み出したり手足や表情を動かすのかはわかったとしても、それは『こころ』そのものではない…。それでは、それがなぜ他人に伝わるのか、物の中に留まるのか、不明なままだからだ。私は、『こころ』は熱のようなものだと思っている。目には見えない、しかし離れていてもその温かさや冷たさを感じることができる、決して温度の変わらない熱。それが体温のように、全身の筋肉や細胞で作られるのか、それとも通説で言われるように、胸や脳など特定の場所で作られるのか、それもまだわからない。もしも『こころ』が目に見えて、胸の中に詰まっているのだとしたら、話は簡単なのだが。その『こころ』を知るには、胸を切り開けばいいだけだからな」
 彼は少し目を瞠り、ついでくすくすと笑った。
「博士、それじゃ相手の『こころ』を知ったときには、相手が死んじゃってますよ」
「え?ああ、そうか…」
 私は恥ずかしくなって鼻をこすった。ばかなことを言ったことに対してではない。そのとき私は、メスで切り開いたスエードの胸から、赤いバラの花が溢れてくる夢想にひたっていたからだ。
「……『こころ』を知りたいなら、解剖なんてしなくても、相手に訊ねればいいじゃありませんか?」
 微笑んで彼はそう言うが、
「それができれば、悩まないさ……」
「……」
 私はぎょっとして、固まった。
「『こころ』が、熱のようなものなら……」
 前触れもなくスエードの手が、テーブルの上の私の手を握った。
「触れてみれば、伝わるものもあるのでは?手をつないだり抱きしめたりするのは、そのためでしょう?……ところで、どうしていつも手袋をなさっているんです?コーヒーカップを持つときでさえ?」
「それは……」
 私は、スエードの無邪気な行動に、すっかり動揺していた。
「火傷の痕が見苦しいからだ。六年前の、飛行船の事故のときの。右目はそのとき視力を失ったし、左の顔面にも、少し残っているだろう?」
 彼は笑みを消してじっと私を見つめた。
「……それじゃあぼくは、あなたのどこに触れればいいですか……?」
「ス……」
 このときの私は、本当にどうかしていた。どうかしていたからこそあんな大胆な行動に出られたのだが、アドレナリンが大放出され、心臓は激しく拍動し、血圧は上昇、喉は干上がり、言うなれば極度の興奮状態に陥っていた。それほどスエードの仕種と言葉に、理性を失ってしまっていたのだ。
「……唇に……」
 私は手首を返し、彼の手を摑んだ。
「君の唇に……触れさせて欲しい……」
 彼の表情は変わらなかった。ほんの少しだけ驚いて目を見開いたが、拒否や嫌悪は浮かばなかった。
 彼がつと目を伏せたのを合図に、私はゆっくりと顔を近づけていった。ゴーシュからも。私たちは互いにテーブルの上に身を乗り出して、唇を重ねた。

  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

 ゴーシュに「センチメンタル」などと評された博士は、きっとロマンチストでもあろー・・・という設定。ですが、博士の妄想っぷりには、我ながら悶絶。妄想しすぎっつーか、乙女だな、博士!ちょっとキモいよ(爆)

coming and going letter-1-

2010年05月05日 | テガミバチ関連

 今日から5/3にコピー本として出したテガ○バチの小説を掲載していきます。たぶん9回・・・?(ううむ、Hシーンが長くてどこで切ったらいいのか迷う・・・)毎週末に更新予定です。テ○ミバチをご存じの方もそうでない方も、しばらくおつきあいくださいませ

注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。
⑤この作品はコピー本として通販中です。紙媒体での閲覧・保管を希望される方はブックマーク「フルール・ダンテルディ通販案内」よりお求めください。(ブックマークは携帯に対応していません)

  
★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★



 彼は我々の間では有名人だった。
 まずは優秀な「テガミバチ」であること。強力な心弾銃の使い手であること。珍しいアルビス種であること。人工太陽の光のように冷たく、近寄りがたい美貌であること。話してみると礼儀正しく人当たりも良く、印象に反して優しく思いやり深い心の持ち主であること。なのに神秘的な雰囲気は変わらず、憧憬の目で遠まきにするしかないこと。
 そんなふうにゴーシュ・スエードは、ユウサリ中央郵便館──通称「ハチノス」の一角にオフィスを構える生物化学諮問機関第三課のメンバーの間では、密かなアイドルだった。そう、この私にとっても。
 そのことを誰にも言ったことはない。当然だ。自分に関する評判くらい知っている。「死骸にしか興味のない解剖マニア」「生きた者より死体が好きな変人」といわれている私が、一人の青年に好意を持っているなど、誰も信じはすまい。当の私が、自分の心に驚き、信じられないでいるのだから!
 最初に彼に興味を持ったのは、BEEの新採用者の健康診断依頼の名簿でだった。希少種のアルビス種の者だと知り、いつもは部下に任せる健康診断を自ら行い、そこで初めて彼を見たのだ。
 私は、金色の瞳にひと目で魅了された。アルビス種の者を見たのは初めてではない。だが、アルビス種特有のシルクのような銀髪も、雪のように白い肌も、琥珀色の瞳も、こんなにも美しい生き物を見たのは初めてだと思った。首に触れた指先に感じた拍動、白い肌の下に透ける青い血管、薄く均等についた筋肉や背中に浮き出た肩甲骨、何もかもが美しかった。その頃の私は、彼の生物としての美しさや種族としての珍しさに強く興味を惹かれたのだと思っていたので、今後彼の健診や診察があるときは、必ず自分を呼ぶようにと部下に命じたことに、やましさなどは感じていなかった。
 スエードは、大ケガこそなかったが、負傷が多く、よく診察室にやって来た。鎧虫と戦って受けた傷だ。それはスエードの能力が劣っているせいではなく、むしろ逆だった。採用試験で対鎧虫戦闘能力を高く評価された彼は、新人の頃から鎧虫の出現が多かったり、強力な鎧虫が棲息するルートや、データのない新規ルートを通る配達を命じられることが多かったからだ。
 慣れるまでは「こころ」の使いすぎで倒れて運ばれてくることもしばしばだった。そのたびに私が診察し、慣れてからも無茶のすることの多い彼の勤務予定表をチェックしては、ときどき彼の帰りを見計らって、彼の様子を確認したりしていた。
 そうして何度も顔を合わせているうちに、スエードはだんだんと私に親しみのこもった表情を見せるようになり、世間話を交わすようになり、やがて、診察室のベッドで休んでいる彼に(彼は、ひどい顔色を妹に見せるわけにいかない、とよく一休みしてから帰宅していた)薬効のあるお茶を淹れてやって、私もその傍らに座ってコーヒーを飲みながら、互いに自分のことを話すようになっていった。私の専用研究室にまで彼が「テガミ」を届けてくれたのも、この頃だ。
 私の研究室には、感染を防ぐため部下たちの入室を禁じている。それ以外の「ハチノス」勤務の者たち──BEEたちを含めた郵便業務に携わる人々は、気味悪がって近づかないので、わざわざ禁じるまでもなかった。なのに彼は、徹夜続きでぼうっとしていたのだろう、鍵を掛け忘れた私の研究室へ恐れ気もなく入ってきた。そのとき私は、彼がすでに私の心の扉を開け、誰一人訪れる者のなかった部屋に住みついていたことに気づいたのだ……。
 それ以降彼は、郵便館留めになっている私宛ての「テガミ」を、研究室まで持ってきてくれるようになった。扉の外から呼び鈴を鳴らして。そうして時間があるときは研究室を出て課長室でお茶を飲みながら、訪れてくれた彼とともにわずかな時間を過ごした。私は、自分が彼を愛していると気づいていたにも関わらず、彼から訪れてくれなければ、診察以外で彼と話をするどころか、顔を見ることさえできなかった。この気持ちを彼に知られないよう、必要以上に臆病になっていたのだ。もしかしたらそれはスエードも同じだったのかもしれない。彼も「テガミ」を届けるという口実のあるとき以外、訪れては来なかったからだ。
 そんな関係が、一年も続いた。それは、何がきっかけだったのか……。スエードは聴き上手というか、話し下手というか、いつも気がつくとほとんど私が話して、彼が相槌を打ったり先を促したりということが多かった。そのときも私が、さんざん生物の神経伝達の仕組みと、運動や反射について話したのだと思う。
「博士は、『こころ』はどこに宿っていると思われますか?」
 スエードは、私を見つめた。


  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★  ★

 アルビス種の目の色って、文章だと「琥珀色」って表現されているけど、カラーイラストだと紫に塗られてるんだよねえ・・・。アニメもラグ、ゴーシュとも紫だし。シルベットは水色だけど。これはアニメだからある程度キャラクターにあわせてというのがあるんだろうけど、原作はどうなの?と悩むところ。だって琥珀色って黄色に近いよね?ウィスキーとかの色を表現するとき、よく「琥珀色の液体を・・・」云々言うじゃん。個人的には紫が好みなんだけどなあ!どうしたらいいのか困る・・・。と悩んでいたせいか、コピー本で「暁色」と書いた直後に「琥珀色」とか書いてたよ・・・。やでやで。こちらでは「金色」に直しておきましたが、マイ設定で琥珀色だけど色素が薄いので、室内の暗いランプの明かりの下だと琥珀色、明るい白っぽい光の下では金色、ユウサリの屋外の夜明けに近い空の下では紫がかって見えるということで!(そんな細かい設定、今のところ全く出番ない・・・)


GWのオタク的過ごし方

2010年05月04日 | オタクな日々
 4/29・・・コピー本を作る。
 5/1・・・コナンの映画を見に行く。
 5/3・・・スパコミに参加する。
 ううむ。大変オタクらしいGWの過ごし方だな!あと2日、録画したのが溜まっているアニメを見て過ごす予定だ・・・。スパコミで買った本は帰った夜のうちに読んじゃったっつーの。あああ、徹夜するまでもない量なんだもんなー(涙)あんなに買う気まんまんで行ったのにさー!
 テガミバチって・・・もしかしてマイナージャンル・・・?もしかしなくてもマイナー?・・・ワタクシ、また、マイナージャンルにハマリましたか・・・?
 OH!NOOOOOOOH!
 確かにスパコミの参加締め切りは2月くらいで、アニメですっ転んだ人が今までのジャンルから変えて新しいジャンルで申し込むには微妙な時期だったさ!私もカタログカットに「テガミバチもあるかも・・・?」と入れようとしたけど、「やっぱ出さないかも・・・」と思い直してやめたクチですからねー。そ、それにしてもたった10サークル・・・そのうち2サークル(3サークルだったかもしれん)は欠席だ!残りのうちゴーシュ受サークルは3サークルさ!(あとはラグ受とかロイド×ジギーとか・・・ギャグとか・・・)・・・泣くよ。
 オンラインだけのサークルならもうちょっとあるみたいだけど、みんな検索避けしてるから(うちはサイトもブログもしてません・・・。別館だけかな)、なかなか探すのが面倒だし、うーん、ネットだとどうしても短編っつーか、掌編が多くて、ワタクシ好みの「両思いまたはそういう関係に陥るまでをみっちり書いて、がっつりエロ!」というのは少なくってねえ・・・。(ご存知の方、情報求む!)やっぱネットだとどうしても自主規制しなきゃいけないしねー。(18歳未満は閲覧するな!とか警告はするけどそんなん読み手次第でしょ・・・。私が18歳未満でも、そりゃー見るよ・笑・・・っちゃいかんけど)
 というわけで(どんな訳だ)、テガミバチ本はまずは通販開始いたしましたー。右下ブックマ-クの「フルール・ダンテルディ通販」をクリックしてくださいませ。ブログにアップするのはそのうちに。してもHシーンは反転表示か別館行きです・・・。