フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

今期、独断と偏見によるおすすめ(?)テレビ

2009年04月27日 | オタクな日々

 まだちょこちょこアニメの新番組のミニ感想&紹介(?)を書き洩らしてますが、見てないのもあるのでGWにでもまとめて見よう、というわけで、そのうち追加します。・・・って、もうすぐ1か月経っちゃうんですが!
 アニメじゃないけど、金曜の夜、珍しく夜更かししてテレビをつけっ放しでいたら、「湯けむりスナイパー」という番組が始まった。前から新聞のテレビ欄で「なんだこりゃ・・・。温泉紹介番組だろうか・・・。秘湯・名湯をまるで殺し屋のように一発必中で探し当て、ご紹介!とか・・・?」と首を捻っていたのだが、まさかドラマだとは思わなかったよ。
「なんだこりゃ・・・。元殺し屋が引退して温泉宿で働いている・・・?今時レトロな設定だな・・・。おお!しかもオヤジ大喜びのサービス・シーンもありかよ!由美か○るの入浴シーンより断然いいじゃないか。・・・いいチチしてんなー」すでに中年オヤジの仲間入りのワタクシだ・・・。一応女のはずなんだけど・・・そういえば、元同僚のGちゃんが、失業保険の説明会に行ったらオヤジばっかで、部屋中がオヤジ臭で耐えられず、ずっと口と鼻をハンカチで押さえていたと言っていたな・・・。まあ、それはともかく。
 そのまま見続けた結果・・・「おもしろいじゃねーか・・・」いやもう、いい意味のB級ドラマでおもしろいっす!あああ、最初から見たかった!しかし時間帯が、わたしのよーな老人にはキツイっす。(11時前には寝ますからね!)さっき調べたら、週刊漫画サ○デー(少年じゃないよ。青年向けの方)のマンガのドラマ化だと。へー。いやー、今期ワタクシのイチオシ作品かもしんない!(爆)
 という変なワタクシの趣味ついでに、再放送?なのか、東海地方だけでまたセレクト放送しているのかよくわからんカルト番組(もはやB級を超えている・・・)、「Oh!マイキー!」もおすすめ。ワタクシなどDVDを全巻持っているバカはまりっぷりだ・・・。東海地方の家具屋がこの人形アニメ(アニメを「動く」と定義すると、これ、動いてないといえば動いてない・・・。マネキンが突っ立ってるだけだもんなー)のキャラでCMしているせいか、そこがスポンサーになって去年の秋ぐらいから夜中に放送が始まり、あれ、見たことある話じゃーん、再放送か?と思っていたら今年から21時台に引越し。出世したのう・・・。でも新作はないようだ・・・。(東海地方未放送はあるかもね)1度見たら忘れられない(目がテンになるほど変な)作品。君もハマッてみないか?(誰に話しかけているのか・・・


Dグレ「クロスXラビ」小説『wish』④

2009年04月26日 | Dグレイマン関連
注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②Dグレ「クロスXラビ」甘々ラブラブで、ややショタ気味です。基本設定は完全ショタです。このカップリングやラビ受けやショタが苦手な方はご遠慮ください。
③原作の設定は完全無視、また多数捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)また、前回の小説とは全く別設定で(一部同一設定あり)、続きではありません。
④文章の一部は、うっかり目に入らないように反転させることがあります。

  
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 いつも通り店が始まるより大分早めに来て、ラビはぶらぶらと手持ち無沙汰そうに店の中をうろついて、それらしいものがないかと見て回った。誰もいない廻し部屋も1つ1つのぞいて確認する。庭や裏方の棟もうろつくが、すでに夜中に何度も見たところだし、目当てがあるわけでもないので、どうにも焦点がぼやけている感覚が否めない。やはり、その現象が発現しないとどうにもならない気がする。
(それに、部屋住みの女性たちの私室にはなかなか入れないしなあ……)
 住込みの女性たちは、自分の部屋で客の相手もするので、夜の間は空くことがほとんどない。部屋主が張見世に出ているときには空くが、ラビが抜け出したわずかな時間で探れたのはたった2部屋だった。
 ラビは2階の欄干に腰かけ、どうしたものかとぼんやり考えていた。
「もみじ」
 誰かと思えば、朝声をかけてきた遊女、ささめだった。店にいる遊女たちの名は、張見世にいる間に覚えた。先に名を呼ばれて出て行くのを一度見れば、覚えられる。向こうがこっちを知っているのは、やはりこの外見のせいで目立ったからだろう。
「あんた、そんな格好してると、遣手に叱られるわよ」
 ラビはうわっ、と欄干に載せていた脚を下ろした。ついズボンを穿いているときのように、片脚を上げた上に肘をついていたので、裾が開いて太腿まで露わになっていた。下着を穿いていないが奥までは見えなかったよな、と焦っているラビを尻目に、ささめはラビと同じ欄干に腰かけた。
「……予約が入ってるんだって?昨日の男から」
 ラビはうなずいた。ささめはまだ長襦袢1枚の姿だった。秋も深まりつつあったが、まだ昼間は時折汗ばむ陽気のことがある。今日も暖かい日射しが注いでいた。ささめはふいと横顔を向け、庭を眺め下ろしながら、結い上げた髪から落ちた後れ毛を指で直した。
「あの男は、あんたを連れて行ってはくれないの?」
 ラビは答えに窮した。ここへ来た理由には貧しい家に送金するためという答えを用意していたが、クロスのことは予定外だったので、何も準備していなかった。
「……彼は仕事で世界中を旅していて、その途中で寄ってくれただけだから……。それに、そんなことをしてもらえる身ではないです。もうとっくに捨てられたんだと思っていたし……」
 適当な話をとっさには思いつけず、曖昧にぼかしたが、話しながらラビは、でっちあげるどころかまるっきり本当のことじゃないか、と自分で呆れた。
「…そう……。一緒にはなれない男なの……」
 その声に表面的でない同情を感じて、ラビは彼女を見つめた。
「わたしの父はロシアの地方貴族で、わたしは使用人の息子と幼なじみのように育って、やがて愛し合うようになったわ。彼はわたしにふさわしい男になるって言って、都会の学校に入学した。最初のうちは頻繁に手紙のやりとりをしていたけど、次第に彼からの返事は来なくなってしまった。そのうちわたしは父の命令で婚約させられ、彼に戻ってきてほしいと手紙を出したのだけれど、返事はこなくて……わたしは家を飛び出して彼のもとへ行った。……あとは想像がつくでしょ」
 他に女ができたのか、勉強をあきらめて身を持ち崩していたか、そんなところだろう。
「今さら家には帰れず、持ち出した金や宝石も尽きて、かといって働く方法なんて知らない貴族の娘に売ることができたのは体だけ。とうとうこんなところまで来てしまったわ。なのに……今でも彼のことを夢に見るのよ。夢の中でさえ、わたしはあの頃と同じことを思うの。行かないで、戻ってきてほしいって……」
「………」
 彼女の身の上を、世間によくある話だと片づけることは、ラビにはできなかった。自分は戦争や政治や歴史のことはよく知っている。けれど、愛だとか恋だとかについては、多分何も知らないのだとわかっていた。彼は生まれて初めてクロス・マリアンに恋をして、彼との関係以外知らないのだから。それでも、その男の愛情を失ったと知ったときの彼女の気持ちは……わかった。クロスが2か月経っても3か月経っても、何の連絡もなく帰ってこなくて、やっぱりオレじゃだめだったんだ、オレに飽きたんだと思って、打ちひしがれたときの自分の気持ちに、きっと彼女も共感してくれたのだという気がした。
「そうだ、あんたに見せてあげる。ちょっと待ってて」
 彼女は自室に引き返すと、小さな筒のようなものを取ってきた。鈍い銀色の筒の表面には、細密な幾何学模様と草花のレリーフが彫られている。
「こどもの頃からの宝物で、これだけは手放さなかったの。のぞいてみて」
 その一言で、それが何かわかった。ラビは、筒の蓋の穴に目を当てた。
 無限に拡がる三角で構成された空間。色とりどりのガラスや小さな貝殻が、6片の花のような図形を作り出す万華鏡だった。
「中に入ってるの、ガラスじゃなくて宝石のかけらよ。ガーネット、サファイヤ、エメラルド、アメジスト……。本当はちゃんとカットされた大きな粒もあったんだけど、それは売っちゃったから、海岸で拾った石や貝を足したの」
 波に洗われたのだろう、きれいな卵形をした黒いシルエットが2、3個見えた。
「その石、万華鏡だと黒くしか見えないけど、外に出すとすごくきれいなのよ。黒曜石みたいなガラス質で、中に金色の星みたいな、砂金みたいな粒がたくさん入ってるの。出してみようか?」
 くるくると回して見とれていたラビは、万華鏡をささめに返した。彼女は底の蓋をはずそうと止め具に爪をかけた。
「もみじ!ささめ!」
「ひゃっ」
 ふたりは飛び上がった。廊下に遣手が仁王立ちしていた。
「いつまで油売ってるの!もう時間だよ!」
「すみません!」
 大慌てでささめは小走りで自室に戻っていき、ラビは1階へ降りようとした。
「もみじ、あんたは見世に出なくていいから、3番の部屋で待ってなさい」
「……はい」
 指示された部屋は、上客用の個室だった。ラビは新入りなので本来個室は使えないが、予約の場合はそれだけ料金を高くとるので、こちらに回されたのだろう。
 部屋は、8畳に座卓と座椅子、几帳で目隠しした奥には布団が敷かれており、廻し部屋とは比較にならないほどゆったりしていて、一見すると普通の宿のようだ。
 ラビは、脚を投げ出して座椅子に座った。
 てっきり一夜きりでまた行ってしまったのだと思ったのに、今夜も来てくれるなんて、嬉しいけれど、怖くなる。行ってしまう場面に遭わずに別れられたのなら、それきりあきらめもついたのに、こんなふうにまた会ってしまったら、もう1日、あと1日だけ、と離れ難くなって、何倍にも辛さが増してしまうだろう。
(あんたは……優しくて、ほんとひどい男だよな……)
「もみじ、旦那さんがお見えです」
 ラビは慌てて椅子から飛び退き、畳の上に苦手な正座をして待った。
 引き戸が廻し方によって開けられ、クロスが軽く身を屈めて入ってきた。ラビは息を止めた。元帥を表す金糸で縁取られた団服が、これほど似合う男はいない。
 クロスが脱いだ上着を、ラビは立っていって受け取った。旅の間、クロスや師匠の身の回りの世話はラビの役目だった。食事作りや簡単な裁縫は師から習った。「ブックマン、エクソシストである前に、自立した人間として生活能力がなくてはならない」というのが、師の方針だったからだ。
 上着を壁のハンガーに掛けるとき、ふわっと煙草とクロスの香りが鼻腔を満たした。その香りが記憶を呼び醒ます。……まだクロスに片思いをしていた幼い頃、クロスが出かけてしまったとき、置いていった荷物の中からこっそりと彼の服を取り出し、それを抱きしめて彼の香りに包まれながら眠った日々。あの頃は、彼が帰ってくることを疑ったことなどなかった。だから、すべての荷物を持って、何一つ残さずに彼が姿を消したとき、二度と彼は戻ってこないのだとようやく理解して、どれほどショックだっただろう。何一つ、ハンカチーフ1枚すら残していってくれなかった。
「……おい。中身がここにいるのに、そんな抜け殻にしがみついてることはないだろう」
 我に返りラビは、自分が無意識に団服を抱きしめていたことに気がつき、うろたえた。振り返ると、座椅子に胡座をかいたクロスが、困ったように笑った。
「……泣くな。おまえは大丈夫だろうと、自分に都合よく考えて行動したオレが悪かったと、昨日反省した。だからこっちへ来い」
 言われて初めて、ラビは自分が泣いているのに気づいた。クロスの広げた両腕の中に身を投げ出すようにしがみつき、胸に顔を埋める。
「泣き虫なのは、相変わらずだな」
「……あんたの……前だけだ、よ……っ」
 ラビは思う存分、クロスのシャツの胸を濡らした。
 背を優しく撫でられ、髪に唇が落とされる感触に顔を上げる。しっとりした口づけに包まれ、ラビはそれに応えながら、両腕をクロスの首にまわして自ら引き寄せた。
「失礼いたします」
 と、戸が開いた。動転して硬直したラビを、クロスがその腰を抱いて膝の上に載せたままのところへ、使用人が食事を運んできた。座卓の上に重箱とお銚子などを並べ、男はふたりに視線をやることなく出て行った。
「おまえ、腹がすいているだろう。食べろ」
「え……あんたのメシじゃないのか?」
「オレはこれがあればいい」
 クロスは徳利を持ち上げてみせた。
 早く出かけてきたのでおやつをつまんできただけで、食事らしい食事をとっていなかったラビは、仕出しの弁当の蓋をとって料理の匂いをかいだ途端、空腹を自覚した。
 中国での生活が長かったラビは──師匠も修行したという拳法道場に放り込まれたのだが。同様に行く先々の国で、ラビはいろいろな体術を身につけさせられた──箸を使って食べ始めた。その横から、手酌で日本酒を飲むクロスが、外国人だからと添えられたフォークを伸ばして、ひょいとおかずをつまむ。ラビが締めに緑茶を飲んで満足のため息をつく頃には、クロスもお銚子を2本とも空け終わった。
「こら。寝るな」
「ん……」
 クロスの胸を背もたれにして、目蓋が重くなったラビは生返事をする。
「寝るのはやってからにしろ」
 背後からまわされた手が、片結びにして垂らした帯を解いていく。その衣擦れの音でラビは目を開けた。
「……オレ……イノセンス探さなきゃいけねぇんだけど……」
 一応、言い訳がましく呟いてみる。
「だからこんなに早く来たんだろうが。やったあとひと眠りしても時間があるようにな」
「……」
 昨日、最後までしなかったことといい、彼の任務や体のことを考えてくれてはいるのだろうが、きっと「ちゃんとした大人」なら、そもそもそんな相手とすることはやめておくだろうと考えて、ラビは頬が熱くなるのを感じた。
「なあ……」
 上半身を捻って、クロスの首に腕をかける。
「オレのために来たんじゃなくて、あんたがオレを抱きたいから来た……?」
「最初からそう言ってるだろう。本気なのはおまえだけだと」
「……オレも」
 クロスの口の端に、キスをする。
「あんたが好き。大好き」
「……くそかわいいこと言いやがって」
 クロスが獰猛な笑みを見せる。戦いに臨むときのような──それもアクマのような雑魚ではなく、千年伯爵を前にしたときぐらいしか浮かべない、その本気の表情が、ラビは一番好きだった。


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 次回はH突入です。いきなり反転してますが、記事がないわけではありませんので、ちょっと見て「あれ?ないや」と他へ移動しないでくださいね~(笑)


お知らせ
 次の日曜(5月3日)は東京にお出かけ中ですので、土曜にアップします。ヨロシク

今シーズンの新番組アニメ・ちょい追加

2009年04月19日 | オタクな日々
 けいおん!・・・原作はまんがタイムきららのマンガ。・・・って、まんがタイムってことは4コマまんが??女の子だけの軽音楽部の話。女の子がロリっぽくなくて、でもとってもかわゆい。結構好みだ・・・(←この女・・・)見たいなーと思うんだけど、他ので手一杯です。残念!
 蒼天航路・・・モーニングの三国志もの。曹操が主人公。はやりだねー。絵は荒木飛呂彦系・・・?萌えねえな!パス。

 そういえば、やっと「花咲ける青少年」第1回を見たけど、細かいことが気になる・・・。花鹿の発音が、人によってまちまちなんだよねー。私は「じか」で最初にアクセント来るんだけど、「かじか」「かじ」だったり・・・気になる。統一してくれ!
 「鋼の錬金術師」、前作より原作に忠実で、絵がギャクになる場面も多いよね。これ最初に見ていたら、絶対イチオシは「ヒュー×ロイ」になっていただろうなあ・・・。エドは原作寄りで男っぽいし、ロイはキャラも声も受けっぽいしさー(爆)(前のアニメでは、最初にアル×エドにすっころび、その後ロイ×エドとヒュー×ロイにはまったのだ)今回の再アニメ化で、原作の最終回まで(まだ終わってないけど!)やるつもりかなあ?1年でやるなら、結構テンポ良く進んでいきそうだねー。

Dグレ「クロスXラビ」小説『wish』③

2009年04月19日 | Dグレイマン関連
注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②Dグレ「クロスXラビ」甘々ラブラブで、ややショタ気味です。基本設定は完全ショタです。このカップリングやラビ受けやショタが苦手な方はご遠慮ください。
③原作の設定は完全無視、また多数捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)また、前回の小説とは全く別設定で(一部同一設定あり)、続きではありません。
④文章の一部は、うっかり目に入らないように反転させることがあります。

  
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 ぱたぱたと廊下を行き交う音、女たちの甲高い声……薄暗い中で目覚めたラビは、自分が廻し部屋にひとり眠っていたことに気づいて、がば、と起き上がった。
 クロスの姿はなく、ラビは一瞬自分が夢を見ていたのかと思った。ただ灰皿に数本吸い殻が残っているのだけが、夢ではない証拠だった。
(眠りこんじゃうなんて……またいつ会えるかわからないのに……オレの大ばかやろー……)
 帰る気力もないほど落ち込んだが、そういうわけにもいかないので、のろのろと振袖を着付けて袂にイノセンスを放り込み、すっかり日も昇って女たちが襦袢と腰巻というあられもない姿でうろうろしていたり、男たちが部屋の片付けで忙しく往復している廊下へ、そっと出た。
「ちょいと、もみじ!」
 引付座敷から顔をのぞかせたのは、遣手の女だった。
「あんた、お客を見送らなかったわね。だらしなく寝こけてちゃだめじゃないの!」
「……すみません……」
 ラビはしおしおと洗面所へ向かった。
 すれ違う女たちの様子はいつもと変わりなく、幸い昨夜は何も起こらなかったようだ。これで奇怪現象が起こっていたら、とんだまぬけだ。
 ほっとしながらもまだ落ち込んでうつむいて歩いていると、向かいからやって来た女に肩を叩かれた。長いブロンドに派手な目鼻立ちの、確かロシアから出稼ぎで来ている女性だった。
「昨日の男、あんたの恋人なんでしょ?国から追っかけてきてくれたの?」
「え……」
 英語で話しかけてきた彼女は、廊下の端にラビを引っぱっていった。
「わたし、あんたたちの隣りの部屋だったのよ。言葉はわからなかったけど、最初けんかしてたじゃない。もしかしてここで働くこと、彼、納得してないの?あんただって嫌なんでしょ。事情は知らないけど、やめるなら今のうちよ?こんなに可愛がられてるんだから」
 彼女はラビの頬を指で突つくと、一方的にしゃべって行ってしまった。
 洗面所の鏡の前に立ったとき、ラビは彼女が最後に言ったことの意味がわかった。口の周りから頬にかけて、赤いものがべたべたとついていた。触って指についたそれを見て、口紅だと気づく。自分がつけていた口紅だが、自分の口にはほとんど残っていない。
 ラビはかっと頬を染めた。口づけでクロスの口に移ったそれが、逆に自分の顔についたのだ。たぶん、クロスにもついていただろう。ちゃんと気づいて拭いてから帰っただろうかと考えたが、彼は女とのキスなど慣れているだろう……。
 他の女たちがいなくなったのを見計って頭の布と眼帯をはずし、顔を洗いながら、先程の女の言葉を思い出す。
(恋人……だなんて、口に出したらあの人にいやがられそうだけど……そう思うだけなら、いいよな……?愛人の1人じゃないって……オレに惚れてるって、言ってくれたんだから……。そんなこと、オレに嘘つく必要なんかないもんな……?)
 以前のように一緒にいられなくても、昨日までのように二度と会えないと絶望する必要はない。いつかは会えると、そう思って生きていける。…それに、わかっていた。自分はブックマンで、彼はエクソシストで、いつまでも一緒にいられるわけではないことを。それが思ったよりも早かっただけのことだ。
 ぐっすり眠ったせいか、昨日よりずっと気分も軽い。会えないことを思い悩むより、会えたことを幸せに思おう、とラビは自分に言い聞かせた。
 帰ろうと玄関へ行き、草履を出したところで、番頭に呼び止められた。
「もみじ、花代忘れてるぞ」
 一瞬何のことかと思ったが、夕べはクロスが客として来たことを思い出す。払ったんだ、と驚いたが、考えてみればラビは身分を隠して潜入しているのだから当然だった。自分はもしかしたら、あのクロス・マリアンに、初めて花代を払わせたのだろうかと、複雑な気分になる。彼が実際に払った金額には全然足りないだろうが、これはいつか返そう、と帯にはさみこんだ。
「今朝帰った客、今夜6時から予約入れていったからな。休んだり遅れたりするなよ」
 え、と顔を上げると、番頭がにやにやと笑っていた。
「お前のことが気に入ったみたいだぞ。1人で降りてきたからお前を起こしに行こうとしたら、疲れているようだから寝かせておいてやってくれ、だとよ。あのガタイ相手にがんばったようだな?」
 ラビは顔に血を昇らせた。体温が急上昇し、全身から汗が噴き出す。
「そんな……あの……」
 しどろもどろになって、慌ててその場から逃げ出した。女たちのあけすけな会話を聞くのには慣れたつもりだったが、自分がその当事者になるのは恥ずかしくていたたまれなかった。それに……
(今夜も…来るって……。どうして……)
 ブックマンに頼まれたのか、という問いに答えてはくれなかったが、そうでなかったとしても、心配はされてしまったのかもしれない。調査を始めてから4日間は何の収穫もなく、これ以上居づらくなってもいた。昨日クロスが来てくれて、客も取らず何のためにいるのかとあやしまれる可能性もなくなって、実際のところとても助かった。もっとも、貴重な一夜を寝て過ごしてしまって、何の調査もできなかったのだが。
(今夜こそ…ちゃんと探さないと。とはいえ、奇怪現象が起きてくれないことには見当もつかないんだよな。現象が起き始めたのが3、4か月前だというんだから、この場所に昔からあるものじゃなくて、そのころ外から持ち込まれたものだとは思うんだけど)
「ただいまー…」
「おかえり」
 ブックマンは読んでいた本からちらりと目を上げ、また視線を戻した。草履を脱いで上がりこむ間にラビは全部脱ぎ捨て、長襦袢1枚になって畳の上に座り込んだ。小さな台の上の皿には、大きなおむすびが2つ載っていた。
「ありがと、じじい。いただきます」
 片手で頬張りながら、腰紐も解いてしまう。そうすると締めつけるものがなくなって、やっと解放された気分になる。1個目を平らげて空腹が落ち着いたところで、ラビはそっとブックマンの背中に声をかけた。
「……じじい……もしかして、クロスと会った……?」
「ああ。お前のところにも行ったか?」
「う、うん……」
 頷いてから、昨夜のことを思い出し、赤くなりながら慌ててつけ加える。
「来てくれて、助かったさ。やっぱ逃げ続けるのは苦しくなっててさー」
「ワシは何も言っとらんぞ。お前の任務と、店の名前は教えたが、行ってくれとは頼んどらん」
「……ああ……そう……」
「言えば、行くとは思っとったがな」
「へ……」
 ラビは口の端からこぼれかけた塊を、指で押し込んだ。
「なんでさ…?」
「あいつはお前を甘やかしているからな」
「………」
 ブックマンはまた読書に戻った。ラビはもぐもぐと最後の一口を食べ終えた。
「……でもさ、じじい」
「なんだ」
 指についた米粒を舐め取る。
「クロスが行くと思って言ったってことは、じじいはそれ以上にオレを甘やかしているってことじゃねえ?」
 ブックマンの跳び蹴りが、ラビの頬に決まった。吹っ飛んだラビの手前に着地すると、何ごともなかったように彼は席に戻った。
「お前が未熟者だからだ。馬鹿者が」
 畳の上に倒れたまま、ラビは頬をさすりつつ、声を出さずに笑い転げた。

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 こっちの甘々設定では、ラビのことをじじいとクロスがめちゃくちゃ甘やかして育てたっつーのがワタクシの妄想です・・・けど、原作読んだって、じじいはラビのことめっちゃかわいがってますよね~~。マイ設定ではブックマンはクロス10歳から15歳までを後継者として育てたことになっておりますが、10歳のときすでに自分を見下ろすようなガタイで、くそ生意気で、11歳で娼婦のおねーさんと筆おろしするような(もちろん、気に入られてだからタダで!おねーさん、あとで年齢知って驚愕!16、7のハンサムな坊やだと思っていたという・・・←言うまでもなく、幸田の勝手設定)かわいくないガキだったクロスと違い、まだちっちゃくて、うるうるしたでっかい目で「じーちゃん」(人前ではそう呼ばせている)などと呼ぶ素直なラビに、めろめろになったわけですな!修行は厳しく、しかしそれ以外はただの「じじばか」だったというのが、ワタクシの萌え萌え妄想でございます・・・

なんかいろいろめんどくさい(しつこい)

2009年04月18日 | 極めて日常茶飯事
 今週は病院行って検査をしたが(これが台の上で悶絶するほど痛くって、おかげでそもそも病院行った理由の痛かったのがどっか吹っ飛んじゃったよ!)、どーも異常が見つからんので原因不明のまま終わりそうだ(痛いのもどっか行ったしな・・・。痛い目にあった甲斐があったのか、なかったのか)。
 そのあとよろよろしながら区役所と市役所をはしご。C信金に書類を渡して、ローン審査に突入だ。で、めでたく昨日、融資が決まったという連絡があった。(当たり前じゃ!10年前にはこの3倍の金額で審査通ってるんだからな!)C信金からは、返済日に向けて融資実行するから土日の間に現在のローンを全額返済する手続きをするように言われ、近所のM銀行のテレビ電話窓口で手続きしてきたところだ。
 Mホームからも屋根のペンキの色見本が届き、さらに契約金を入金するようにと請求書が届いた。セコムで追加した火災警報器の代金と工事代金も、来月には引き落とされるし(住宅には寝室と階段に火災警報器をつけるよう、法律ができたのだ・・・。台所もだったかな?うちは台所に最初からつけてるし、検査されるわけでもなし、付けなくてもいいんじゃねえの、とは思うが、一応法律は守る真面目な私だ)。あー、何もかも金のかかるこっちゃ。もういっそ地デジテレビも買おうかとうっかり考えてしまう自分が怖い・・・。普段ケチなだけに、一旦金を使うことがあると「もーどーでもいっかー。あはは」というハイな状態に突入しちゃうのだ。危険だ・・・(だいたい全額返済って言ったって、そっくりまた借りるんだから借金は減らんっつーの。冷静になれ、私・・・

今シーズンの新番組アニメ

2009年04月12日 | オタクな日々

 昨シーズンはガンダムOOと夏目友人帳くらいしか見てなかったんだけど(あ、ブリーチとリボーンはずーっと引き続きだから除く)、今シーズンは多いなあ・・・。
 戦場のヴァルキュリア・・・ゲームが原作。戦車萌えの人向きかも(笑)。女の子かわいいし、ぽやぽや頭のかわいい系青年とか、まだ出てきてないけどメガネ知的美形青年とか、話もおもしろそうなんだけど、うーん・・・すまん、あまりにも正統派RPGという感じで、わたしは萌えん・・・。見続けるかどうか悩んだけど、他に見たいのが多かったので、パスだ。
 07-GHOST・・・SFファンタジー?コミックゼロサムのマンガが原作。女の子向きだねー。美形がいっぱいだー!うわー、何人出て来るんだよ?選べないじゃーん(笑)まるで乙女ゲーのようだ・・・どっかの帝国が舞台なんだけど、主人公テイトは帝国と敵対していた国の王の息子らしい。テイトと親友ミカゲの篤い友情には目頭が熱くなるぜ!性格が悪いんじゃなくて、多分国に忠実、目的のためならいくらでも冷酷になれるタイプなんだなー、と思われる帝国軍人アヤナミとその側近(うわー、ブリーチのギンみたいに笑顔貼り付けて、これは性格悪いでしょう!)の美形2人の関係にも注目だ!(藍染さんとギンみたいな感じなんだよー)見るぜ!!
 パンドラ・ハーツ・・・Gファンタジーのマンガが原作。主人公オズは15歳のはずだけど、絵柄のせいか11、2歳にしか見えん・・・。ショタだ・・・割とダークっつうかオカルティックなファンタジー。絵はかわいいのにね!今こども時代だけど、成長してからの話になっていくんだよね?お坊ちゃまなオズの遊び相手ギルバート、小さいころはぱっとしないけど、成長したらなかなかイイ感じの美形だ。期待しよう。第1回目からオズは、過去世(?)のオズを恨んでいるらしい美少女の霊(なのか・・・?)に首絞められて押し倒され、ナイフで殺されかけ・・・。難儀やの~。次回からも見よう。
 シャングリラ・・・角川文庫の小説が原作。いや~、SFです。主人公は強~い女の子。メタルエイジという、政府のCO2削減政策に反対するゲリラ集団の創設者の孫、かな?強ーいお姉さま方(おかま1名含む・・・あ?おかまだよね??)がいっぱいだー。主人公も美少女!って感じじゃなくて、でも元気で強くていい子です。おもしろそうなので見よう。
 アラド戦記・・・すみません、絵が好みじゃないのでパスです・・・。
 Phantom・・・月間コミックアライブのマンガが原作。アダルティな感じのミステリー。インフェルノという犯罪組織に洗脳され、記憶を失い、暗殺者に仕立て上げられた青年が主人公。コンビを組む美少女(この組織のトップスナイパー)と、恋は生まれない方がクールでいいと思うんだけど、どうなるのかなあ。とりあえず、見る。
 夏のあらし!・・・ガンガンJOKERのマンガ。ラブコメ。どうでもいい・・・。
 アスラクライン・・・電撃文庫の小説。かわいい女の子の幽霊が憑いてる高校生の男の子が主人公。女の子キャラが、やや美少女アニメ風味。学園もの+ロボットファンタジー(どういう分類・・・。ほら、「神無月の巫女」もこの分類に入っちゃうと言えばいいかね?)。この男の子はかわいいし、多分これから美少年も出てくるみたいだけど、すまん、見続けるには萌えが足りないことが予想されるので、パス。
 咲・・・いやー、今シーズンは美少女アニメないんかいなーと思っていたら、あったじゃん。美少女+麻雀ものって、どういう組み合わせ・・・と思ったら、掲載誌がヤングガンガンだった。なるほど。パス(笑)。
 あ、「花咲ける青少年」と「グイン・サーガ」は見るに決まっているので、コメントはいいですな。まだ見てないけど!私はユージーンとイシュトバーンが好きです(誰も訊いてません!)
 うん?ハガレンはリアルタイムで見るのでいいとして、あとは録画だ。合計3時間。土日が潰れる・・・


Dグレ「クロスXラビ」小説『wish』②

2009年04月12日 | Dグレイマン関連
注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②Dグレ「クロスXラビ」甘々ラブラブで、ややショタ気味です。基本設定は完全ショタです。このカップリングやラビ受けやショタが苦手な方はご遠慮ください。
③原作の設定は完全無視、また多数捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)また、前回の小説とは全く別設定で(一部同一設定あり)、続きではありません。
④文章の一部は、うっかり目に入らないように反転させることがあります。

  
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 狭い部屋は布団が1組と行灯だけで、もう何を置く隙間もない。その布団の上に、胡座をかいて座っている男を、まだラビは信じられない気持ちで見つめた。
 クロス・マリアン。教団内では元帥の地位にあるが、ここ1年、教団との接触を絶って所在が掴めなくなっており、1年中諸国を巡っているラビたちには特に、行方がわかったら報告してほしいという要請が来ていた。
「……いつ日本へ?ここへ来たのは……偶然…?じゃあないよね……?」
 ラビは、日本語はもちろん、英語も聞かれることを警戒して、彼らの故郷の言葉で訊いた。隣りの喘ぎ声も聞こえるような状態なので、ほとんど囁き声になる。
「日本にいたのは偶然だが、この店に来たのはブックマンに聞いたからだ。…おい、そんなところに突っ立ってないで、こっちに来い」
 ラビはその命令を無視して、そっぽを向いた。
「へえ。やっぱりじじいとは連絡取りあってるんだ。オレが知らないうちに」
「……おい」
「それで、じじいに頼まれて様子でも見に来てくれたんですか?だったら…」
 ラビははっと息を呑んだ。クロスはラビの腕を掴んで布団の上に引き倒すと、彼の上にのしかかり、有無を言わせず唇を塞いだ。
 ラビは抵抗せず──する気など全くなく、逆にその背にしがみついた。彼らはしばらく無言でひたすら互いの唇を貪った。
 ラビの喉から嗚咽が洩れる。
「……オレ……もう、あんたに捨てられたんだと、思ってた……っ」
「何だって?……ばかなことを」
 クロスはラビの涙を舐めとった。
「だってあんた、愛人がいっぱいいるし……男なんて嫌いじゃん」
 クロスの動きが止まる。ラビはしゃくり上げた。
「あんたがオレに手ェ出したの、10のときじゃん。それからずっと続いてたのに……オレがアレが出るようになって半年も経たないうちに、あんたは戻ってこなくなって、音信不通になって……やっぱ、オレが男になったから、だめだったんだと思って……」
「おい、待て」
 クロスは、ラビの顎を掴んで、自分の方を向かせた。
「それじゃ、オレが変態で鬼畜みたいじゃねぇか」
「……10歳のオレに手を出した時点で、十分変態だと思うけど」
「最後まではしてねえだろうがッ。だいたい、オレにキスして押し倒してきたのはてめえの方だぞ。そこまでされたらいただくに決まっているだろう!」
「ガキが好きな相手にキスしたからって、そういう意味にとる方がおかしいだろ?!」
 クロスは手でラビの口を塞いだ。ラビも気づいて身を硬くし、周りの様子をうかがったが、幸い隣りはそれどころではないようだった。もっとも、この店の客も女も、聞こえてくる秘め事や痴話喧嘩など慣れっこなのだろう。
 ふたりは見つめ合った。クロスは口角を歪ませて苦い笑いを浮かべ、目元に優しい皺を寄せた。
「……オレが行方をくらましたのは、そうしなきゃならなかったからだ。誰にも知られるわけにはいかないんでな。教団の中にも……信用できる奴だけでなく、できない相手はいるからな」
 それだけで、ラビはクロスが言う意味を理解した。ぎゅ、と眉を寄せてクロスを見つめる。
「……もう……前みたいに、3人で旅をすることは……できないんだな……?」
「ああ……」
「……今度は、いつ会えるか……わかんないんだよな……」
「ああ」
「………」
 どっと盛り上がってきた涙を、ラビはまばたきしてごまかし、わなないて歪んだ唇を、無理やり笑みの形に作った。
「……オレ、平気さ。あんたがまだ、オレと会ったときには抱きたいって思ってくれるんなら、同じだろ。たまたまじじいがあんたの師匠で、それで一緒に旅していたから長く続いただけで、ホントは、あんたの愛人の1人なんだって、ちゃんとわかってるさ」
 ぱん、とラビの頬が鳴った。力は入っていなかったので音だけで痛くはなかったが、ラビはなぜクロスに叩かれたのかわからず、ぽかんと彼を見上げた。
「ばかか、おまえは」
 クロスは苦々しげに言った。
「おまえも知っての通り、オレは女に不自由したことはない。おまえたちと旅していたときだってそうだ。なのにわざわざ、こっちが気を使ってしたいようにもできないガキで男のおまえを抱く必要がどこにある」
「……オレが、あんたを好きだったから……それで……」
「オレはそんなに親切じゃない。オレが、おまえに、惚れてるからに決まってるだろうが」
「うそだ」
「……速攻で否定するな。じゃあなぜおまえに手を出したと思ってるんだ」
「……手近、だったから……?」
「ばかやろう。手近どころか、すげえ面倒だっただろうが、ブックマンの目を盗むのは。おかげで四六時中一緒にいるっていうのに、実際にやれるのは2、3か月に1度あるかないかだっただろう」
「………」
 ラビは、初めてクロスを見たように、妙にあどけない、それでいて怯えを滲ませた表情で、おずおずと右手を伸ばし、クロスの頬に触れた。
「……オレは……あんたが気に入るようなもの……何も持ってない……」
「全くだ。オレも、おまえのどこがいいのかわからん。なのになぜこんなくそガキに欲情するのか、オレが悩まなかったと思うのか」
 クロスの指がラビの頬を撫で、首筋をくすぐった。ラビは肩をすくめ、猫のように目を細めた。
「だがな……この赤い髪と緑の目は気に入っている。この生意気な口も、嫌いじゃない。時々かわいらしいことを言うから、ついばみたくなる。骨ばって筋肉のついた体も、抱き心地は良くないが、そそられる」
 クロスの手は、ラビの首から胸、腰から脚へとたどりながら下りていく。それが着物の合わせ目から中に侵入した。
「性格は」
 下着をつけていないので直接触れられて、びくりとラビは震えた。
「口は悪いし強情だし、年々素直でなくなってくる。突っ張っているくせに甘ったれで、醒めているつもりで中はぐだぐだの、どうしようもないバカなガキだと思うのに……それでも惚れているから仕方がない」
「……ひど…オレ、いいとこないじゃん……」
 ようやく、泣きながらだったが、ラビは笑った。
「本当のことだろうが」
 クロスも曇りない笑顔を見せた。
 ラビは、両腕を彼の首にまわした。クロスは彼を抱き起こし、前に膝で立たせると彼の帯を解いた。着ていた振袖を肩から滑り落とさせて、長襦袢1枚になったラビの手首を掴み、座るように促す。
 ラビは布団の上に座り、クロスのベルトを緩め、ズボンの前を開いた。下着の上から彼のものを取り出し、ためらいなく舐め始める。1度目は口で、というのが彼らの決まりごとだった。まだラビが幼いうちに関係が始まったので、長い間その行為がふたりにとってのセックスだったのと、数度の挿入行為はラビに負担がかかりすぎるので、それを軽減するためというのが、その理由だった。
 クロスのものを根元まで丹念に舌を這わせ、大きすぎて先端しか咥えられないそれからこぼれる蜜を吸い上げる。この行為をラビは決して嫌ではなかった。むしろ、クロスの反応が確かめられるから、喜んでした。自分の愛撫でそれが大きく硬くなり、彼の息が荒くなって、快楽を感じて興奮しているのだと思うと、そのときだけは彼を自分が所有している気になれた。
 ラビの髪を梳くように、クロスの手が彼の頭を撫でる。彼が幼かったころと同じ仕種を、以前はこども扱いされていると不満に思ったものだが、今は前と変わらずいとおしんでくれているのだと、素直に嬉しかった。
「……う……ンッ」
 クロスの放ったものを口腔で受け止めたが、久しぶりすぎてうまく飲み込めなかった。慌てて部屋の隅まで這っていき、盆の上の急須から白湯を注いで飲み干した。
 戻ってもう一度しようとすると、「むこうを向いて座れ」と言われ、ラビはクロスの脚の間に背を向けて座った。
「………っ」
 背後から抱きしめられて、反射的に呼びそうになったクロスの名を呑み込む。襦袢の裾をまくり上げられ、立てた膝を大きく開かれた。クロスに奉仕しているだけで勃ちかけたそこが冷えた外気にさらされ、自分の熱を自覚する。
「あ……」
 クロスの手がそれを愛撫し始める。彼の手に触れられているという事実だけでめちゃくちゃに感じて、あっという間に昇りつめそうになる。片手で腰に回されたクロスの腕を握りしめながら、もう一方で口を塞いで声を抑える。
 頬に唇と、顎ひげが押し当てられるのを感じた。チュ、と鳴らされ、彼がキスを求めているのを知る。
「……は」
 ラビは振り向きながら手を離した。上から覆い被さるようにクロスの髪と唇が降ってきて、息を奪われた。苦いタバコの味に、舌と喉が痺れる。密着した腰に猛った雄を感じるのに、クロスはこのまま彼を最後までいかせるつもりだと気づき、抗議の声を上げようとするが、奥まで侵入した舌と、唇ごと食われるような荒々しいキスに抗う術はなかった。
 快感ではなく、こんなに求めているのにクロスに貫いてもらえない苦しさに泣きながら、ラビはガクガクと膝を震わせてクロスの手に吐精した。彼の声を吸い上げておいて、クロスの唇は離れていった。
 ラビはぐったりとクロスの胸にもたれかかった。息が整ってくるにつれて、急速に睡魔が襲ってくる。昼夜逆転の生活にまだ慣れないし、昼間に眠ったつもりでも熟睡できていないのだろう。どうしても目を開けることができない。
 温かい胸に抱きしめられ、クロスの香りに包まれながら、ラビはこどものように眠りに落ちていった。



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 ワタクシ、基本的にフェ○が嫌いなんで(お前の好みは訊いていない・・・そして、サービス精神のかけらもない・・・)、自分がエロ書くときでも受けがするのはめったに書かないんですが、クロラビに限ってはバッチこーい!つか、ほとんどそれがメイン!って感じで、自分でもびっくりです。それもこれも、クロス様がそうさせるとしか言いようがないですな!そして今、禁断の、つーか、「全く、書く(描く)人の気がしれん。何が楽しいんだか」と思っていた女体化も、「ラ・・・ラビならOK・・・つか、書きたい・・・。でもその場合、アレ+神田×ラビの3P・・・(もちろん、ラビ1人が受けだ)」などと腐りきったことを考える始末。こ、これはラビが私を狂わせたとしか言いようがない・・・!そのうちそーっと、上げておいても、嫌わないでね・・・!

なんかいろいろめんどくさい・・・

2009年04月11日 | 極めて日常茶飯事

 今年から住宅ローンの金利が上がるので(2段階金利で借りていて、今年10年目なのでどーんと上がるのだ)、借り換えをしようとあれこれ資料を取り寄せたり、手続きしたりがめんどくさい・・・。いっそ全額返済してしまいたいが、元本割ってる投資を解約せねばならんし、なんかあったときに手持ちの流動資金がないのも不安だし、でやっぱ借り替えるしかないんだよなー。まだ審査申込み段階で、もうめんどくなっている私だ。面倒な理由は、土地が親のものだからなんだけどさー!
 最初に資料を取り寄せ始めてから早1か月。なんでこんなにずるずる引っ張ってるのかといえば、最初に借りようとしたメインバンクのM銀行の対応がなっちゃいなくて頭に来て、別の銀行で借りることにしたという経緯があるせいなんだが。そうこうしているうちに前々から異常を感じていた体調も、これはほっといたらまずい・・・?という感じになってきたので、いい加減医者を予約しよう・・・。1つか2つ年上だけど同期入社の女性が今度手術受けることになって、ああ、やっぱこの年代は、同じようなところが悪くなるんだな、と実感したこともあるので・・・。とりあえずローンに付随する生命保険への申し込みは済ませたので、医者へ行ってもよし、だ。(←生保勤務者の悪知恵・・・。団信※は簡易告知でよいね!)・・・今電話をかけて予約したぞ。でないとまた、いやだーいやだーとずるずる延ばしそうだったからな。 (※団体信用生命保険。ローン残高=死亡保険金となる団体保険のため、一般の保険のように告知項目が細かくなく、加入資格が緩い)
 まあ、審査が通って融資が実行されたら、最初からの経緯など披露しようかな。同じく借り換えを検討されている方の参考のために・・・って、需要があるのかどうだかわからんけど!
 とりあえず、今日は実家に行って親に署名捺印してもらわねば。そのついでに夕飯を食べさせてもらおう・・・。(←おいっ)しかしまだまだ、融資までの道程は遠い・・・。


Dグレ「クロスXラビ」小説『wish』①

2009年04月05日 | Dグレイマン関連

注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②Dグレ「クロスXラビ」甘々ラブラブで、ややショタ気味です。基本設定は完全ショタです。このカップリングやラビ受けやショタが苦手な方はご遠慮ください。
③原作の設定は完全無視、また多数捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)また、前回の小説とは全く別設定で(一部同一設定あり)、続きではありません

④文章の一部は、うっかり目に入らないように反転させることがあります。

  
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         wish 


 仮想19世紀末の仮想都市・江戸。日本は鎖国を解き、科学技術の導入や産業振興を試みたがなかなか振るわず、その後方針を180度転換、外貨獲得のため観光立国を目指し、鎖国状態が続いていたことを逆手にとって、「エキゾチック・ジャパン」を宣伝文句に世界中に売り込んで、外国人観光客を積極的に受け入れ始めた。その甲斐あって日本への観光旅行ブームが巻き起こり、大勢の観光客が押し寄せ、日本は──とりわけ京都と江戸は、街に外国人が溢れる国際都市に変貌した。
 一方、その状況は「黒の教団」にも影響を及ぼしていた。これまでファインダーたちが入り込めなかった日本に、もしかしたらまだ大半が行方不明のイノセンスがあるかもしれないと、観光客にまぎれて彼らを潜入させていったのだった。

 ブックマンが日本を訪れるのは、20年以上ぶりだった。初めて訪れたのは日本が開国して数年後、今の日本ブームが起こるよりもずっと前のことで、ブックマンの記録の中でも長らく空白だった日本に関する情報を集めようと、1年以上滞在した。そして今回の再訪問は、後継者として育て始めたジュニア──今はブックマン共々「黒の教団」にエクソシストとして所属し、教団内での名は「ラビ」と名のっている──の見聞を広めるためことと日本語の習得を目的としていたため、彼らとしては割合長く、3か月にわたって国内を巡っていた。おかげで特殊な記憶法と言語習得技術によってジュニアは、話すだけならほぼ流暢に日本語を操れるようになっていた。
 そんな彼らがそろそろこの島国を離れようと江戸へ戻ってきたところへ、ファインダーが教団からの指示を持って尋ねて来た。
 江戸の吉原地区──そこは政府公認の遊郭街である。外国人観光客も出入りし、多くの金が落とされる場所として、今や政府によって厳しく統制されている。遊女たちは定期的に健康診断を受け、技楼も決められた基準──遊女や使用人の労働基準から施設の衛生・防災設備まで──をクリアしなければ営業を許可されない。おかげで「吉原」は安心して快楽を買える場所として、男性観光客の人気スポットとなったのみならず、他に収入を得る術を持たない女たちも、好待遇で稼げる場所として世界中から出稼ぎにやってきた。その吉原のある妓楼で、奇怪現象が発生しているというのである。
 だがそれは吉原という特殊事情に阻まれ、噂の域を出ていない。キリスト教会の力が政府に及ばない日本では、公権力を使って調査に入りこともできず、民間の協力者もまだ得られていないため、二の足を踏んでいる状態だった。しかし、イノセンスがあるのならば、絶対に手に入れなければならない。そこで教団は、その妓楼内に団員を潜入させて原因を探り出し、イノセンスだったなら入手することを決定したのだった。
「なんでさ?!こっそり忍び込んで探して取って来りゃいいじゃん!!」
「奇怪現象は常に起こっているわけではないらしい。忍び込んだところで当てもなくどうやって探すつもりだ?」
 悲鳴を上げたラビに、ブックマンは冷たく答えた。
「そんなこと言ったって、絶対男だってばれるって!オレ、指名されたらどーするさ?!」
「指名されんように、ぶさいくな面(ツラ)でもしておれ」
 一時金をもらって年季を勤める遊女もまだ残ってはいたが、昔の吉原と違い、今では完全歩合制の通いの遊女や、住込みの賃金制など、さまざまな形態の遊女がいる。なので、16歳になったばかりのラビを出稼ぎ遊女として送り込もうというのがアジア支部の指令だった。なにしろ女性のエクソシストは元帥が1人と、年端もいかない少女しかいないので、男性エクソシストの中では神田ユウと並んで最年少のうちのひとり、ラビに白羽の矢が当たったのだ。もっとも、性格的に神田には無理と判断されたという理由もあったのだが。
 さんざん抵抗したものの他に手がないと押し切られ、ラビは形ばかりの面接──保健所の健診結果とパスポートさえあれば、格の高い大見世でもない限り、歩合制の遊女を断ることはまずない。もちろん、それらは偽造した──を受け、その夜から見世に出ることになった。
 問題の妓楼は中見世に格付けられており、上級遊女から下級遊女まで約40人が勤めていた。外国人の遊女もいたが、吉原では日本情緒を守るため必ず着物を着ることが決められていたので、髪こそ洋風に結っていたりリボンを結んでいたりしたが、皆振袖を前で帯を結んで着ていた。
 ラビも、潜入開始前にひとりで着物を着る特訓をさせられた。胸にはタオルを巻いてふくらみを持たせる。髪を下ろし、眼帯は上から布を巻いて印象を和らげ、頭の横で結んで垂らす。白粉など塗らずとも少し紅を注すだけで、まだ少年の域を出ないラビは、十二分に少女に見えた。右目を隠しているのもマイナスどころか、むしろ痛々しいような妙ななまめかしさを感じさせた。
 初日、吉原内に借りた小さな部屋からその姿で出かけようとしたラビに、ブックマンは言った。
「……頭から何かかぶって、顔を隠していけ」
「そのつもりだけど?まだ明るいから男だってばれるといけねえし」
 ラビはきょとんとした。
「いや、ばれることはないだろうが……店でも、外から見えないように陰に隠れていろ」
「わかってるさー」
 振袖の長い袂の中には、彼のイノセンスである槌を入れていた。また、いざというときのために科学班特製の即効性の麻酔薬を仕込んだ針も隠し持っている。
「んじゃ、行ってくる」
「うむ」
 妓楼の営業時間は午後6時から0時まで。と言っても新規の客を迎え入れるのが0時に終了するというだけで、客のついた遊女はその後ずっと客の相手をし、つかなかった遊女たちはそのまま大部屋で眠ったり、近所に住むものは帰ったりする。ラビは帰らずに、楼内の調査をするつもりだ。
 6時より前に店に着いた彼は、裏口から中に入り、開店準備に追われている雇い人たちに愛想良く挨拶しながら、まっすぐ表には行かず、中を一巡りし、庭にも出てみた。
 妓楼の造りはどこもほぼ同じで、中庭に面して建物が配置されている。建物はすべて2階建てで、2階には客をもてなす部屋がずらりと並び、1階は厨房などの水周りと、遊女達の仮眠用大部屋、それに住込みの者や主人一家の部屋など、生活の場となっている。ここで起こっている奇怪現象の噂は、「歩いても歩いても、出口にたどりつかない」というものだった。
 この妓楼は建物が渡り廊下でロの字型につながっているのだが、客が夜中に小用を足そうと廊下を歩いていくと、どこまでいっても厠にたどり着かない、或いは元の部屋に戻れないというのだ。最初は酔っているせいで、同じような部屋が中庭を取り囲んでずらりと並んでいるのでわからなくなったのだろうなどと笑い話にしていたのだが、そのうちに戻ってこない客を探しに行った女まで戻れなくなって、朝になって自分の部屋の前で座りこんでいるのが発見されたとか、1階に下りる階段まで見つからずやけになった客が、庭に飛び降りて怪我をするという事態になって、人々の間に噂が広がり、日本駐在のファインダーの耳にも入ったのだった。
 そんなわけで、その噂の妓楼を一目見ようという野次馬や、自分も体験してみたいと登楼する客まで現れ、妓楼はむしろ大賑わいとなり、楼主もほくほく顔で遊女はいればいるほどいいという状態で、難有りのラビでも潜り込めたというわけだった。
 妓楼の母屋の通りに面したところには、張見世という、遊女たちの控えの間がある。ここには壁はなく代わりにベンガラ格子が取り付けられ、道行く人々が遊女の品定めができるようになっている。表からよく見える格子際の中央には上級遊女が陣取り、端にいくにつれ格が下がる。ラビはもちろん、いちばん後ろの端だが、それでも表からあまり見えないようにうつむいたり、他の遊女の陰に座ったり、しょっ中用足しだの水が飲みたいだのと引っ込み、指名されないように気をつけた。そして売れ残りの中に入って大部屋で雑魚寝しつつ、皆が寝静まったころにそっと抜け出して、楼内を探った。
 しかし、ラビが来てから折悪しく奇怪現象は起きず、無為に4日が過ぎてしまった。5日目ともなると周りの遊女も心配して、「もっと前へ出なよ」「この商売初めてなの?怖がってるのはわかるけど、覚悟決めないと稼げないよ」と気にするようになり、楼主からも「客がつかないようじゃ、うちにいてもらってもねえ…」といやみを言われる始末。これはそろそろあの薬を使うしかないのかと暗くなりながら、その日もラビは張見世の隅で縮こまっていた。
 上級遊女たちはすっかりいなくなり、気づけば40人が押し合いへし合いしていた張見世には、ラビを含めて5人しか残っていなかった。通りかかる人もまばらになり、宴会のにぎやかな音曲も絶え、店々の明かりもぐっと減っていた。本当は通りに電気を引き、終夜営業にしてしまうこともできるのだろうが、それでは江戸情緒がなくなってしまうと禁止されているのだ。
 そろそろ今夜も店じまいか…、と連日の気疲れから壁にもたれてうとうとし始めたラビの耳に、女たちの興奮した声が聞こえてきた。
「見てみて、すっごいいい男!顔を半分変な面で隠してるけど、でもいい男よ!」
「本当、いい体格してるし!どこの国の軍人さんかしら?見たことない制服よねぇ」
「遊びに来たんじゃないのかしら?それとも気に入った娘がいなかったのかしら」
「案外、見世番に断られたのかもよ。だってあんなでかい男、あたしらが壊れちゃう」
 格子に張りついていた女たちが、一斉に嬌声を上げて笑った。
 ラビはふらりと立ち上がった。
 格子越しに、近づいてくる姿が見える。豊かな赤い髪、右半面の白い仮面、金糸で縁取られた黒い制服の左胸には、ローズクロス。黒い手袋の大きな手が、煙草を口元に持っていく。露わになった左半面の、鋭く男らしい端整な白晢。
「もみじ?」
 源氏名を呼ばれたのにも気づかず、ラビは表側に歩いてくるとへたり込み、格子を両手で掴んだ。通りかかった男と目が合う。男は歩を緩め、表情は変えずに呆然と見上げるラビを眺めると、そのまま入口から中に入ってきた。
「ちょっと…うちに来たわよ」
「誰?誰を?」
 女たちが浮き立った調子で囁き交わす。見世番と男は言葉を交わし、話がついたのか籬(まがき)越しに見世番が声をはりあげた。
「もみじ、座敷に上がれ」
 女たちのうらやましげな、かつ気の毒げな目に見送られ、ラビは2階に上がった。
 妓楼のならわしでは、初見の客と遊女はまず引付座敷で、遣手(やりて)という遊女のお目付役の女と、廻し方という、部屋を手配したり女たちを客にあてがう男が同席の上、対面が行われ、軽く酒食をとってそれから部屋へ、となる。が、もちろんそんなまだるっこしいことは省略したければすぐ同衾ということも可能だ。
 ラビは廻し方に促され、引付屋敷で待っていたが、廻し方が客を案内して部屋の前を通り過ぎていく気配があり、結局すぐに呼び出された。
 昔は客が混みあっていると、大座敷を衝立で仕切っただけで行われていたというが、今は外国人のために簡単な板壁ではあるが、すべて個室に仕切られている。
 廻し方に案内され、その四畳半ほどの小部屋の1つに、ラビは滑り込んだ。


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 いやはや、いきなり妄想炸裂ですみません前の小説の続きを書き始めて、ラビが遊郭に潜入調査する話だったんだけど設定が中国だったもんだから、今回UPしたような格子越しの再会場面がなくっておもしろくなかったの・・・。単なる遊郭設定萌えです。
 前回と同一設定はクロスもブックマン一族出身ということと、目が怪我のせいじゃないことです。
 タイトルは思いつかなかったので、またエンディング曲から。(仮)タイトルってことで・・・。でも、多分思いつかないまま、これになっちゃうんだろーな
 ・・・しかし、これから書く話のパロみたいな話になっちゃってアホだわ。まだ自分にしかわからないからいーんだけどさ・・・