チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

桑蚕(くわこ)

2010年08月30日 13時58分21秒 | 日記
自然の桑の木に住み付く蚕を桑蚕(くわこ)と呼ぶ
飯田の工房で
桑の木を育て、蚕を飼育し、糸をとり、草木で染め機を織る
一貫作業に専念している志村 明さんが尋ねてこられた

手に美しい繭を持っている
「桑蚕です」
「美しいわね卵白色だわ」
あつく厚く保護した和紙のような産毛を取り去ると
中から2センチほどの小さな繭が出てきた

何気なく糸を引っ張っていると
どこまでいっても糸が切れない
みるみる左手に持っている繭が小さくなっていく

「えええーーこんなに糸がスムースに取れる繭ってはじめて」
「スゴイデショウ?」
「美しいわね、すでに艶もあるわ」

「この繭からは300メートルしかひけません」
「家蚕の6分の一??」
「しかも糸が細いのでもっと分量としては減りますね」
年間2000個しか繭が取れないので
一反分の糸を取るのに10年はかかる

「十年後を楽しみにしてくださいいい、この繭で着物を作ってさしあげます」
(チャコちゃん先生いきているかなあ)

「それにしてもごめんなさいダイヤモンドのような繭を簡単につぶしちゃった」
「イエイエ体験していただけばいいんです」
慌てて繭を戻す

日本の桑蚕は徒党を組まない
いつも清く一人で悠然と生きているのだそうだ
だから繭を捜して歩くのも労力

天敵は蜂や鳥
桑の葉を上手に体に巻きつけて繭を作っているので
なかなか発見が出来ない

しかもメスは更に孤高の人でなかなか交尾に結びつかない
めでたく交尾しても卵は100か150
家蚕が500から600産み付けるのに比べると少ない
当たり前だ人間のために生きていないんだモノ
自分達の子孫が桑の葉を自力で食べるにはこの程度という感覚か

遺伝子の優等生蚕のこと
志村さんも家蚕と桑蚕の掛け合わせ二兆戦
「いいまゆが出来ましたよ」
繭も大きく糸も1000メートる以上取れた

「どういう組み合わせですの」
「家蚕のメスと桑蚕のオスを掛け合わせました」
「逆はダメだったの?」
「桑蚕のメスは家蚕を無視ですね」
「ほう桑蚕のメスは身持ちがいいのだわね」

それにしても世のオスは節操がないのう

9月中旬には桑蚕の繭を見ることが出来るというので
高速バスで見学に行くことにした

「きものはいい糸が全てだと私は思うの」
「ボクも同じ想いですですからどんな加工にも影響をされない
強くて美しい糸を作りたいのです」

すでに志村さんの塩蔵の糸のきものを着ているが
「そういう加工に手を貸してもらわなくても自立したいい糸作りを目指すつもりです」

その手助けをするのもチャコちゃん先生の使命かと思う

「本当に美しい繭ね、ねえ少し頂戴」
アア最後はおねだり
コメント
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