チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 172

2019年06月17日 09時51分34秒 | 日記
着物の着方には階級が存在する
平成の時代はどんな着方をしていようが不問
昭和はまだ着物で日常を送った女性、また季節の着こなし、自分の置かれた社会環境とそれぞれ着物の選び方着方が違うことをお言える人が多かったし、婦人誌もそれに習って先人たちから伝わったことを正確に情報提供をしなけれないけないと責任を感じていた

今でもその当時の婦人誌を出してみると着物は着方よりも着物の素材や柄また着たときのTPOが主な内容になっている
先日多くの雑誌を処分してしまったがいまちょっと後悔している
昭和の着物を正しく伝えることも必要なのではないかと昨今考えているからだ

職業による着物の選び方着物のコーディネイト着物の着方というのがあった
昭和も戦争前は今ではお手伝いさんという呼び名だが女中さんという職業があり、中流家庭以上では必ず女中さんがいた

家事手伝いが主な仕事でその時に着ているものは木綿の絣物が多い
対丈の着物に筒袖帯は兵児帯か半幅
寒いときは別珍の赤い足袋を履いていたがそうでない季節は素足に下駄
下駄の歯が減ったら付け替える職業の人もいたもちろん鼻緒の挿げ替えもする、荷物を担いで道路に店開きする人やお屋敷の庭で仕事をする人もいた

学校帰りの子どもたちはその職人の手さばきをしゃがんで見物するのが楽しみだったりする
鍋の汚れを取る、鍋の穴を修理する、傘の張替えをする、包丁を研ぐ ちょっとした細かい修理をするおじさんはパッチを履いて下駄化地下足袋上はダボシャツと言われる今ではテキ屋の男たちが着ているようなもの、腹巻きをしていてそこがお財布代

女中さんでも乳母、子守、座敷、台所と別れていて座敷係は普通の着物を着ていたが、木綿や銘仙とか平織りのもの
女中さんはその家で礼儀作法を学び しつけもきちんと受けて、家によってはそこから嫁入り道具も持たせる場合もある

中流家庭では女の子が生まれると桐の木を植えたり(後に桐箪笥として使う)ありの運びみたいに着物を少しずつ揃えていく
織りの着物は流行や好みも少ないのでいいものを例えば結城紬、大島紬などを購入し、帯揚げ、帯締めなどの小物、白生地などから身の丈に合ったものを少しずつ揃えていく
いきなり大金を出して変えるのは上流階級だ

子供はモスリンとか錦紗を着ていて、娘は木綿、銘仙や大島紬の横そがすり、ウール、若奥さんになるとお召や、大島などの平織りの着物、縮織、よそ行きに後染めの染のもの
着物でその家の財力と社会的地位がわかった
(この項つづく)

#着物 #着付け #ウールのきもの #木綿の着物 #銘仙 #大島紬 #お召 #白生地 #チャコちゃん先生 #中谷比佐子 #秋櫻舎 #比佐子流着付け #帯揚げ帯締め #女中さん #中流家庭 #桐箪笥 #身の丈 #社会的地位 #財力 #嫁入り支度 #錦紗 #流行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする