袷の着物を着て歩くと暑いじわっと汗が出る
西洋やアメリカのお客様は大体ノースリーブになっている
日本人は律儀だから、「11月は冬支度よね」という装いだ
生ぬるい風がほほをかすめる
「なんだか気色悪いね」と言いながら友と日比谷公園を散策
「ところでこの公園も1000本樹木を伐採するらしい」
「どういうこと?」
「そういうこと」
「ここはもともと松平備前守のお屋敷だったわけでしょう?江戸時代」
「そう桃太郎侍のお兄さんね」
「双子の兄弟なのよね、なんといっても昔の大名のお屋敷は広いね」
「住んでいる人の人数も半端ではないわね、100人以上でしょう?大会社だわ」
「そのころからの樹木もあるんでしょうねえ」
「あれなんかそうかも、幹が太いもの、楠?」
「もともと入江だったから松の木も多いねえ、いまも」
「そうだ松本楼でお茶しない?」
「いいねえ」
1000本伐採してビルとビルをつなぐ渡り廊下のようなものを作るのとか、動く歩道とかおかしいねえ
根を張り大きく葉を広げた樹木は、人を和ませる、そしてそういう生き方をしたいとも思わせる。そこに存在しているだけで、何かを深く語ってくれる
私たちの先人は、自然の姿をしっかり見ながら自分自身の成長の師と仰いだのだ
この地で生活した古の先人たちの姿を、それぞれに想像しながらのんびりお茶
それにしてもこの暑さいつまで続く?