チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

餌で釣る

2008年10月17日 17時54分51秒 | 日記
毎朝おまいりをしている産土神社
其処におとなしい老犬が居る
近づいて体を撫でてみるが
いつも上の空
「あんたじゃあないよ」
という顔をする

それでも
金網から鳥居の方を見ながら
待ち人を待つように立っているので
ついつい行って頭を撫でる

ある日
しばらく頭を撫でていると
突然私の手を避けて別のところへイソイソといく
見ると女が手を金網の中に差し込んでいる
「おはようございます」
と挨拶してチャコちゃん先生退場

そうなの
この犬が待っていたのは
この女であった
大きな銀杏の影から様子を見ていると
なにやら手提げの中から取り出して肉らしきものを与えている

なるほど
神社の犬でもそこはそれ
餌に手なづけられているのだった

嬉しそうに尾っぽをちぎれるほど振っている

飼い犬に他人が勝手に餌をあたえていいものだろうか
野良猫に餌をやるのとは違うように思う

こういうこと
人間の世界でも多い
餌にるられて身を持ち崩す人たちーー

また餌を与える人は
その人自身の孤独をそれで癒しているようにも思う

お互いに癒しっこしているんだなあ
すべてすべて


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金木犀

2008年10月16日 09時45分43秒 | 日記
金木犀の香りがおさまると
秋が深くなる

今年は剪定を間違えて
香りを楽しめないとあきらめていたが
残った枝に
お星さまのような
金平糖にも似た可愛い花がぎっしり
嬉しい

でも
今当方は外壁の塗り替えをしていて
我がバルコニー庭園は
ぐちゃぐちゃと植木が寄せられている
でも香りだけは漂って
金木犀の存在を教えてくれる

金木犀が香り始めると袷の用意をする
しかし現実はまだ単
チャコちゃん先生の単は
楊柳ー絹縮みー塩漬けー結城縮みーお召しー真綿つむぎ
という順序
そして雨模様のときは大島紬
結城縮みあたりから単の長襦袢になる

半襟は
絽縮緬、楊柳
金木犀が盛大に香るあたりが結城縮み

昨日
能州紬紬の社長鶴見初代さんが
「袷を着てきたんですがまだ暑いですね」
「私は20度を切らないと袷は着ないんですよ」
「能登も今年は太陽光線が強くて袷は着られません」
「東京もそうですよ」
「10月に入ったからといって袷着いへんでもよろしいんですね」
「私は気温で決めます」

町では
まだノースリーブの人もいる
きものだけ
衣替えの習慣に縛られるのもどうでしょう

きものには
季節を感じさせる
色と柄がある
単、袷は二の次さんの次

とチャコちゃん先生は思う
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金融恐慌

2008年10月15日 09時45分32秒 | 日記
本屋さんに行くと
金融コウナーが急遽設けられていて
たくさんの本が積み重ねてある
本によっては
また本屋の場所によっては
一日500冊くらいは簡単に売れているという

金融というのは
お金を融通するということのようだ
零細企業はますます大変

昨日も仲間との話で知ったが
大手の呉服チェーンが一気に数十店舗閉店した
其のとき
着物の在庫を問屋に返品
多くの問屋は
それを作り手に戻してしまった

売る技術を持たないつくり手は
売れた筈の着物を抱えて頭を抱える
それを狙って
現金を持っている小売屋が
とんでもない安い金額で買いたたいて売る

金融恐慌がこういう形で
きもの業界を襲っている

きものがまるで金融商品のような扱われ方
株と同じ
「今買うと儲かるよ」

金に投資して金をもうける
実体の無い金だけを追っかける

こういう生活が長く続いたので
金融恐慌になっている

日々の生活をもっと大事にしたい
手で作るものを大切にする社会に早くならないと

自分の生きている場所で
ただひたすら自分の仕事をする
そういう人が増えると
暮らしやすくなる

とっぴだけど
400坪を一家が持って自給自足すると
家族が優しく穏やかに食べていける

お金を追っかけない生活
それが一番清い

どこが間違っているのか
ここんとこ
チャコちゃん先生悩んでいるの

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2008年10月11日 16時56分16秒 | 日記
亡くなった尾形拳さんの書は味があって
まるであの笑い顔のようだ
いい役者でしたね
大好きな役者
特に「梅安」
追悼番組でぜひ見せてほしい

さて
昨夜大和古流の御当主友常貴仁さんが
「墨を六時間摺って書を書いたけど、其の墨の色をみてほしいねえ」
とおっしゃる
六時間も墨をするなんてチャコちゃん先生の脳には無いのでたまげた
それで
早速墨を摺ってみた
ただし二時間
それもサスペンスドラマを見ながらだから態度悪い

それでも墨がとろりとして按配よさそう
丁度新しい本にサインを30冊頼まれていたので
届いたばかりの筆を下ろして取り掛かる
この筆ミンク
友禅師が使う筆だよ

今度の本は軽いので万年筆のサインと決めていたが
二時間摺った墨で書くといやはや我が字もまんざらではない
第一確かに色がいい

書は
彼の女流書道家矢萩春恵さんに教わったのだが
長続きせず、友だち関係という甘えもあったようだ
それではと
女優の佐藤友美さんと男性書道家の所に通い
それも「王義之の蘭亭叙」を一回書いて終わり

そういえば
其のときも一時間は必ず墨をすった

というわけで
墨、硯、筆、紙はプロ並みのものを所有
しかししかししかしだ
字は一向に上達しない

何を持って上達というかといえば
はやり美しさと何か響くものがほしい

父はいつも書
手紙はもちろん
裁判所の書類も墨をすって筆で書いていた
しかし下手
周りの方々は
「味がある」
と優しく言ってくださっていたがーー。

チャコちゃん先生のは
味ではなく勢いを感じるといってくださる

きっと言いようが無いのであろう

墨をする行為は
「己が宇宙と一体になること」
と男先生はおっしゃっていた

テレヴィなど見ずに集中しないと
墨をする意味も無いーーということ?
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白い建物に青い扉

2008年10月10日 15時08分14秒 | 日記
土佐の海を展望する美しい建物
スペインを思わせる
白い建物に青い扉
其の戸を押して中に入ると
窓の外は一面の青い海

昨日の大雨で
大地も樹も生き生きとしている
潮が引くたびに海に浮かぶ岩があらわになる

一昨年から浜崎数未さんのご紹介で高知に縁ができ
フアルダを主宰する広瀬恵子さんに招聘されては
きものから教わった風水を始め
さまざまの知恵をお話させていただいている

其の合間に
このような素敵なおまけがつく

前々日は
土佐神社で奉納されたクラッシックを聞いた

この神社は15世紀に建築されていて
質素でありながら荘厳さがすばらしい
ふた抱えもある柱に囲まれ
神の慈愛を感じたのか
日本の歌を歌う声も澄み通っていた

しばらく声楽のレッスンを休んでいる
ということを思い出し
ヤハリ日本の歌、日本の歌詞は魂が喜ぶことも知った

この企画は
フアルダの生徒さんのご主人が開催
土佐を元気にしようと始めた地域おこしだという

四国は八十八箇所として
名がとどろいているが
由緒ある神社も多いようだ

さらに土佐は
野菜、果物、魚が異様においしい
ついつい目が卑しくなってしまう

いつものホテルも
四万川の水、土佐ジロウの卵、土佐みかん、などなど
土佐のものばかりのバイキングで
いやおうなく食が進む

必ず三キロフトって帰る
コレだけがどうもね

食べ物だけでなく
お人も素敵
お遍路さんに優しい人たちですものね
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キャパクラ

2008年10月03日 09時30分08秒 | 日記
テレヴィを見ていたら
「女性の人気職業」というアンケートの10位までに
・キャパクラ嬢
というのが入っていて
チャコちゃん先生は瞠目した
その下に
・マスコミ関係

あまりにも驚いたので一位の職業も思い出せない

どうして希望するかの質問に
・楽しそう
・おしゃべりをしているだけでお金もらえる
・いつもお洒落ができる

寝食を忘れて楽しいことをするのが天命
なんていってる女の子も居た

寝食を忘れるほど打ち込むことが楽しい
それが世の中のためになっている
ということを忘れているようだ

電車に乗ると
其のキャパクラ務めのような女性がわんさかいる

そういう子がきものを着ると
まさしく遊女

そういえば先週の日曜日
銀座に其の遊女道中と出くわし
ここでもチャコちゃん先生瞠目

打ち合わせに来たマスコミ関係のレデイに
「キャパクラに負けてるよ」
と話したら
「やはり、体も頭も使いたくない人多いんです」
だからこそ出版社の存在価値はある
と堂々と頼もしかった

何が正しいのか
正論で生きると生きにくい
西郷隆盛は
正論で生きたから死ななければ成らなかった

日本は明治から今日まで
正論者が冷や飯を食う


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三人の紳士のお見立て

2008年10月02日 16時38分40秒 | 日記
「きものサミット イン 結城」
が11月8日結城のアクロスで行われる
チャコちゃん先生はそこでパネラーとしてご出演
「結城紬から教わったこと」というのが基調講演

昨日は
其のパネラー達と主催者側との打ち合わせが
アクロスの大ホールの壇上で行われた
司会進行は奥順の専務 奥沢武治さん

結城の歴史の研究家
結城紬の技術指導者
市会議員で染屋さんなどから
いろいろと本当にいい情報を頂いた

ところで
客席からライトのテストや
バックに何色が降りてくるのか
とチャコちゃん先生内容よりそちらに気が向いてしまう

バックは黒の幕がくるという
「ねえ武ちゃん、何を着よう」
「あの白い結城は?」
「あれね、後ろに藤の花が刺繍されているの」
「春かーー、じゃあピンクは?」
「あれ陽子ちゃんに上げちゃった」
「薄いグリーンのは?」
「あれ蚊絣だからチョット普段着っぽい」
「後は黒だったり紺だったりだよね」
「そう99年借りてるとびがすりの縮みもあるけどーー紺だ」

それにしても人のきもの良く覚えていること

それで
奥順に行く
「ねえお饅頭を食べたい」
「分かった」
若いときココのお母上が良く作ってくれた
今は菓子屋が製造


居心地のいい奥座敷のいつもの席に座る
今年は花梨が鈴なり
秋の薔薇もちらほら
本当にココの場所は落ち着く、実家に居るようだ

「藤色を着ようかなあ」
どさっと無地の反物が届く
とそれを合図のように
社長の順と長き友の稔君

三人の紳士を前に
反物をアレコレ顔に合わせる
「其のピンクいいねえ」
「藤色も良いよ」
「グレイも合うね」

「やだどれかに決めて!」
といいながら帯や長襦袢の色がアレコレ頭に浮かぶ

饅頭が届いてそれを食べながらも、くるくるとコウデイネートに頭が行く
コレにしようかな
鏡も見ず三人の紳士の目を信頼して決めてしまう

「夕飯食べて帰る?」
「もちろん!!」
「なに?」
「お寿司」

すしを食べながら
「ねえねえ刺繍の飾り紋と染とどっちがいいと思う」
「チャコは刺繍が多いから今度は染めにしたら」
「ねえねえどんなのがいい?」
「やっぱり花じゃあないかなあ」
「基調演説ではそういう楽しい話もしてね」

さすが進行係ちゃんと締めましたね

皆さん11月8日結城にいらしてください
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節約精神

2008年10月01日 10時10分29秒 | 日記
「あなたが節約の本を?」
「この本書きながら節約を考えたわけね」
「節約に一番遠いのにねえ」
「節約ときものとどう関係するわけ?」
とまあ友人達のお言葉

父が中谷に言った言葉
「比佐子はザルですよ」
この言葉は
小さいものは抜けていくということのよう
だから大きいお金を稼ぎなさい
というように中谷は取ったらしい

其のせいか
私が使うお金に関して一切のチェックなし
其のお陰で
きものの勉強、研究がとことん出来た
其のことには心から感謝

チャコちゃん先生の売りは
あらゆるきものに手を通した
ということ
それゆえにきもののことは自信を持って
アレコレいえる

ざっぱな性格であっても
きものからはおおいに節約精神を教わった
繰り回して布団を作ったり
小さい布を再生して敷物を作ったり
着物が美しいから
たとえ一センチでも布は捨てられない

更に
着物を作る人の心を
そしてそれにかける努力を思うとき
きものは捨てられない

命を全うさせなければ
着物を作っている人
蚕さん
その他もろもろに申し訳ない

着物を知ることで
命を大切にすることの尊さを知る

其の思いが料理や住み方
また生き方に投影される
今度の中谷比佐子の本は
きものからの学びをきものに感謝のつもりで書いた

昔の人は
「そういえば母親が言っていた、やっていた」とか
思い出してくれるであろう

今の人は
日本人の命を大切にする姿勢と
自然との共存共栄の姿を見てくれると思う

そして
きものを着ることの大切さを知ってくれるともっといい
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