花がグングン環境にもグ- 関西電力など六ヶ所村で検証
電気とその発電時に出る熱、二酸化炭素(CO2) の三つを花卉栽培に生かす「トリジェネレ-ショ ン」の国内初の大規模実証研究が、青森県六ヶ 所村で始まった。発電時の排熱を活用するコ-ジ ェネレ-ション(熱電供給)は一般家庭にも普及し つつあるが、さらにCO2を温室に供給して植物の 生育を促す仕組み。温室効果ガス削減策としてで そうだ。(東京政経部 関口裕士)
関西電力などか゛、トヨタ自動車系列で花卉栽培 を手がけるトヨタフロ-リテック(六ヶ所村)の国内 最大級約2㌶(幅88㍍、奥行き230㍍)の温室内 で始めた。来年度までの2年間で費用対効果を検 証する。発電は出力50㌔㍗のマイクロガスタ-ビ ンによるコ-ジェネシステムで行い、電気は夜間や 日照の少ない日のナトリウム灯照明などに、排熱 は温水の供給に利用する。さらに従来は大気中に 放出していたCO2を、温室内に巡らせた配管から 均一の濃度で供給。植物の光合成(光エネルギ- を用いCO2と水から炭水化物と酸素をつくる作用)を促す。関電による と「植物のCO2吸収量を数値化するのは難しい」が、重油からの転換 による効果などを含め、従来のシステムよりも少なくとも年間約90㌧ のCO2が削減でき、30%の生産性向上を見込める。温室全体で最低 20%のCO2削減が期待できるという。トリジェネシステムの設置費用 は約7千万円。電気料金など維持費は従来より軽減されるという。トヨタ フロ-リテックは年間約2百万鉢のミニバラやポインセチアなどを生産し ており、水野勝義取締役は「環境にやさしい技術で栽培した花という付 加価値をPRしたい」と話す。トリジェネは、日照量の少ないオランダやデ ンマ-クなどで実用化され、国内でも大阪ガスが青森県藤崎町の農協 と共同でトマトのハウス栽培に活用している。関電エネルギ-ビジネス戦 略グル-プの手島泰マネ-ジャ-は「一石二鳥にも四鳥にもなる取り組 み。熱需要の大きい北海道なら特に効果が期待できる」と話している。