温度感知、全身か一部か=當瀬規嗣解説
いよいよ夏到来。暑い季節の始まりです。ところで、この暑いという 感覚は、どのようなしくみで私たちが感じ取っているか、ご存じでし ょうか。温度を感じ取るしくみは、皮膚、内臓、筋肉、脳などさまざま な場所にあります。とくに皮膚には体の周りの空気の温度、つまり 気温を感じ取るしくみがあります。皮膚の温度より低い気温を感じる 「冷点」と、皮膚より高い温度を感じる「温点」です。冷点と温点は気 温だけでなく、皮膚に触れたものの温度を知るしくみでもあります。 ところが、この場合は「冷たい」「温かい」「熱い」と表現します。一方、 気温ではそうは言わずに「寒い」「暖かい」「暑い」となります。音は おなじですが「暑い」と「熱い」にはかなり異なった感じがありますね。 では、体は「暑い」と「熱い」をどう感じ分けているのでしょうか。実は まだ明確なことはわかっていません。ただ、皮膚の一部分にだけ高 い温度を感じると「熱い」となります。ドライヤ-などで高温の空気を 吹き付けられたときは空気の温度ですが「熱い風」ということになりま すね。一方、全身に同じような高い温度を感じると「暑い」となるよう です。もちろん暑さがさらに高まっていても、立ってもいられなくなると 「熱い」になるかもしれません。ところで、お風呂はどうでしょう。「熱い お風呂」とは言いますが、「暑かいお風呂」とは言いません。頭を出し ているからでしょうか?でもサウナ風呂も「暑い」とは言いませんね。 いろいろ考えているうちにわからなくなってきました。頭の中が熱くな ってきたので終わりにします。そういえば、頭が暑くなるとはいいませ んね・・。(とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)